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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟む返事の代わりにコクリと頷くと、悪戯めいた瞳が煌めいたように見えた。そして、崇陽さんは僕の首筋から鎖骨にかけてツーっと撫でてくる。
途端に口からは甘えたような声が漏れる。慌てて口を押さえた僕を楽しそうな雰囲気で見下ろしている。
直後、口を開いた…
「ところでいつ敬称を外し、敬語も外してくれるんだ?」
「っ…え?」
悪戯に撫でてくる手を弱々しく握り抵抗していると、危うく聞き漏らしそうになった。
「ほら、そろそろ慣れただろう?言ってみろ」
「『崇陽』って呼び捨ててみろ。」そう言って僕の唇をプニプニつつく。視線を忙しなく動かし、なかなか口にしようとしない僕に苛立った様子なんて見せず…
寧ろ悪戯を思いついたと言ったような顔をして寝ている体勢だった僕の身体を軽々と抱き上げ膝に乗せた。
「あ、ぅ…」
「そうか、言えないのか…なら仕方ないな」
「崇陽さん?」
その笑みと呼べるか分からぬ表情に僕の中に不安が頭を擡げ始める。
僕の呼びかけに『そうじゃない』と首を振ると、あろう事か深く口づけをされる…
「ほら、言わないとこのままだぞ?」
触れるか触れないかの至近距離でそんな言葉を言ってくる。そして、状況を分かりやすくする為なのか、舌を出して僕の上唇を舐めた。
その後、流れる動作で舌唇をチュウっと軽く吸われてそのまま深く口づけられる。舌が絡んで息が上がってくる。
コレは本格的にヤバいと頭の中で警鐘がガンガンなっている。唇が離れて行く一瞬の隙きをついて口と口の間に手を滑り込ませる事に成功した。
成功したのは良い…けれど、その気になれば直ぐにでも引き剥がせれるだろう。が、崇陽さんはそうせずに、僕の指の間に舌を這わせながらこちらを見ている。
変な声が出そうになるのを必死に抑えて崇陽さんを見つめた。そして、何度か深呼吸をして口を開いた。
「たっ…た、た、た、崇陽っ…ン…んん~!!」
呼んだ直後、手を引き剥がされ先程とは比べものにならないくらい深くて甘いキスをされた。
キスをしつつスルリと手が服の中に入ってきた。弄られて感じる羞恥と快楽により涙腺が崩壊してしまった。
泣き始めた僕に崇陽さんの動きが止まりゆっくりと離れて行く。口の中から舌が出ていく。舌と舌をどちらとも言えぬ銀の糸が繋いでいたがプツリと切れた。
ゆっくりと優しく僕の涙を指で拭き取ると、気まずそうにしてこう言った。
「すまない。可愛すぎて理性が飛んでしまった」と…涙が止まり今度は顔に熱が集まってきた。
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