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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟むその後、崇陽は冬樹さんともう2人見たことない人を部屋へと呼びつけた。
冬樹さんには買い物を言いつけて一旦、追い出し…もう一人は医師らしく僕の診察をした後に薬を処方して崇陽と会話をやり取りして帰って行った。
冬樹さんも買い物を済ませてくれると「ご無理をなさらずお大事になさってください」そう言って崇陽へと買い物袋を渡し帰って行った。
体調が悪いと自覚してからさらに悪化したからなのか…崇陽が見えるところに居ないと凄く不安になる。
崇陽が行くとこ行くとこについて行こうとする僕を心配してなのか「寝ていた方が早く良くなるんだぞ?」と言いつつも最終的には折れて僕を抱き上げて移動したり、トイレに立つ時は発表して「待っていられるか?」と聞いてきたりする。
ご飯の準備も邪魔にならない所に椅子を置き、僕に座って居られるのか確認してから支度をする。
毎回、ベッドで寝ているか聞かれるが首を横に振り崇陽から離れようとしなかった。
邪魔になっているし、面倒くさい事をして手間をかけさせてしまっているのは理解できていたが、今の僕には『離れる』なんて選択肢は全くなかった…
全く離れない僕に怒ることもなく、崇陽以外は触れない仕事以外は全て冬樹さんへ押し付ける電話を掛けてからずっと側に居てくれている。
電話口に聞こえた冬樹さんの声は呆れていたようにも納得していたようにも聞こえた。
冬樹さんの番が発情期に入ったりだとか体調を僕みたいに壊した時には崇陽も被っているからお互い様だろ。という事らしい…
いい加減、ゆっくり寝てもらいたいのか…寝室へ向かうとベッドに僕を寝かせると、普段よりも随分早く崇陽も僕の隣へ滑り込んできた。
ギュッと抱きついて胸の辺りに顔を埋めると凄く安心して次第に眠くなり、夢の中へと旅立っていた。
☆
目覚めると部屋は薄暗く、ベッド横の間接照明が辺りを照らしていた。
隣を見るとこちらに背を向けてベッドの端に座っている崇陽が視界に入る。
抱きしめて寝てくれていなかった事にムッとなってしまったのは体調が悪くて不安だったからだろうか?
もぞりと崇陽の方に躙り寄ろうとしたら微かな振動により振り返った。
その手には体温計が握られており熱を計っていた事が伺える…
「熱を計り終わったところなんだが…すまない。起こしたか?」という崇陽の様子に思い違いをしていた事に気が付いた。
どうやら崇陽は僕の熱を計り終えて新しい冷えピタを取りに行こうとしていたらしい。
ホッとして崇陽へと腕を伸ばすと抱えるように起こしてくれたが、そのまま離れていこうするのでその腕にギュッとしがみついた。
そんな僕の背中をあやすようにポンポンと軽く叩いてくれている。まぁ、それも直ぐに止まってしまったのだけれど…
「熱は微熱だな。油断はできないが、無理をしなければ大丈夫な範囲ではあるな」
そう言った後、直ぐに何かを考え始める。
「いや、しかし…オメガとアルファでは身体の勝手が全く違うし…」なんてブツブツと呟いているのが聞こえてきていた。
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