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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜

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 口へキスをしてしまうと歯止めがきかなくなり襲いかかる恐れがあった事や可愛く甘えてくるのに身体に触れられないもどかしさをずっと耐えてきたらしい…
 世話をするのも理性との戦いだったのだとか…
 しかも、僕が寝静まった後はこっそりと僕の傍を離れて独りでヌいていたとか、ヤバかったのは僕に『あ~ん』をした時だった事も小さい声でボソボソと教えてくれた。

 崇陽らしからぬ小さな声に本当は僕に知られたくなかったのだろうという事は理解できたが、あまりにも僕が知りたがったので教えてくれたのだろう。
 僕に甘い崇陽にフワフワとした気分になった。

 未だに両腕でクロスをしたまま顔を隠している崇陽に微笑ましさを覚えて頭を撫でてみる。
 すると微かにピクリと反応し少しだけ腕をズラしてこちらを見ている崇陽と視線が絡んだ。

 拒絶じゃないその瞳の色に安心した僕は他にも幾つか質問をした。崇陽のご両親の事だ。本人は両親の事を話題に出した時に渋い顔をしたのであまり良く思っていないのだろうと思った。

 「知っていたか?蒼」という脈絡の無い呼びかけに崇陽を覗き見ると、崇陽は腕を外し僕の頭を撫でる。

 「何を」と聞いてみるとスルリと僕の頬を手の甲で撫で、擽るように耳の裏に人差し指を這わしながら口を開いた。

 「俺の会社は『オメガ』…自分の『番』を守るという事を概念に結束している。だから、俺の会社には番持ちのアルファしか居ないし、世帯持ちのベータしか居ない。ベータはアルファの考えに賛同しアルファと同じようにオメガへ敬意を払える者しか働いていない。それ相応の試験をしているからな」

 そう言って体勢を変える…覆い被さるように僕の顔の横に肘をつき手の平は僕の頭を大切そうに抱いている…そして、崇陽は肘をついた反対側の僕の首元に顔を埋めて匂いを嗅いできた。
 その押し倒されたような体勢に顔が赤くなる。頬に当たる崇陽の髪に擽ったさを覚えて身を捩ると微かに笑った気配があった。

 「俺は両親や親戚の殆どとは没交渉だ。価値観の相違ってヤツだな…」という言葉に驚いて崇陽の顔を覗き込もうとしたが崇陽の身体はピクリとも動かなかった…
 そのまま聞いてほしい…という風に少しだけー…本当に微々たるものだったけれど、僕の頭に触れていた手に力がこもる。

 「両親はオメガについて熱心に調べていた俺にこう言った『将来お前は優秀なアルファの女性と結婚し、優秀な血を残せ』と…『それが俺の存在価値だ』、『生まれた理由だ』と…」

 そう言った崇陽の表情を伺い見る事はできなかったが、声音からして凄く不愉快に思っている事は理解した。

 「だからほぼ・・潰した」

 少し低くなった声とともに吐き出された不穏な言葉を聞いてギョッとした。
 
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