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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟む崇陽の指がピクリと動いたので、動きを止めて崇陽を見つめると凄く複雑そうな表情を浮かべてこちらを見ていた。
「なるほど…まさかココで裏目に出るとはな…盲点だった」
崇陽によれば別に完全主義者でもないし、そこまで無慈悲でもないと言っていた。本人的には普通に生活していただけなんだとか…
敵には容赦しないが身内にはそこまでしないとも言っていた…否定する必要性も肯定する必要性も感じなかったから放置していたらしい…
基本的にアルファとオメガが惹かれ合った場合には怖がるよりも先に抱き合いたいとか近くに居て安心したいなどプラスの感情が出てくるらしく、実際に怖がったりするオメガは居なかったらしい…
崇陽の会社で働いているアルファとオメガはそうだったんだって…
ならば、僕はどうなのか…『ネオオメガ』だから他と違うのかと不安に思っていると、目の前の崇陽が動いた。
今度は崇陽が僕の手を優しく握り僕の手の甲に崇陽自身の頬をあて甘えるように擦り寄ってきた。
そして、微かに目尻を下げ口を開く。その優しい表情に場違いだとは思うけれど、胸がときめいた…
「『ネオオメガ』とかは関係ないだろう。恐らく育った環境が強く影響を与えている…少なくとも俺はそう思っている」
「育った環境?」
「そうだ。…悪いが既に蒼の身辺調査はさせてもらっている」
それはまぁ、そうだろうとは思っていた。アルファの頂点な彼がどこの馬の骨かも分からぬ者を無条件に傍に置くとは思えない…
「お前が育った施設も視察済みだ」という爆弾を投下されてとんでもないアホ面になっていたと思う…
「非常によろしくない環境だったな。オメガが虐げられていた。アレが普通だとは思わない方が良い…蒼はアレが普通だと思っていたから今まで普通に生活できていたんだろうな…」
そう言われてどう返したら正解なのか分からなかった…
「あそこの施設に居たオメガはとある機関に保護される事になった」
「とある機関?」
「まぁ、協力関係…いや、俺の後ろ盾とも言えるか…」
「後ろ盾?」
「自分で言うのもアレだがー…俺は人間のアルファの中では特別だろう…皆が言う通り最上位なのかもしれないな…」
含みのある言い方に首を傾げていると崇陽から曖昧な笑みが返ってきた。
「まぁ…この話は置いておこう…この後ろ盾がある限り俺の事を引きずり下ろす事はできないだろう…俺はお前を守る為なら悪魔にだって鬼にだって魂を売るつもりでいたしな…その為にいろいろとコネクションを作ってきた結果、今の会社があるんだから良しとしよう」
凄~く誤魔化された感が否めないが…この話は掘り下げても崇陽が答えてくれる事はないだろう…
「話が脱線してしまったな」
そう言って崇陽は話を僕の話へと戻した。
*
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