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俺のイケてるオメガ様。
01
しおりを挟むなんやかんやあって、漸く番う事ができた俺たちだが…
俺と雅輝が出会ったのは16歳の時ー…。俺の一目惚れだった。見た事のないくらいに整った顔立ち。
精悍な中にも妖しい色気をもっている彼に俺は釘付けになり、見事に落ちた。
ちなみに俺は父親がクズ過ぎて中学卒業と同時にバイトを掛け持ちして働いていて、給料の殆どを父に搾取されていた。
父は父で働いているにも関わらず、だ…。付け足すと、父は結婚していたが…当時、齢14歳の女のオメガを妊娠させた犯罪者だ…。
さらに付け足すと、その時の父の年齢は24歳…。想像するだけで吐き気がするレベルのクソ野郎だ。
そして、その14歳の女のオメガが俺の母親…。俺を産んだ直後、命を落とした。
父は当時の結婚相手に多額の慰謝料を請求されており、俺の母親の親…俺から言えば、祖父母にも多額の慰謝料を請求されている。
祖父母の元へ父親について行くと「この男の血を引いているから顔も見せるな!!我が家に二度と近づくな!!」と水の入ったコップを投げ付けられた。
お湯じゃなくて良かった…そう思うしかなかった…。
雅輝の両親…父親はこのクソ野郎の友人であり、俺はその連れ子だから、お情けで同居を許された居候である。それは父である城戸 隆にも再三言われていた。が、父も居候である事に変わりはない。
しかし、何故か父は雅輝を家政夫のように扱った。雅輝に気にした様子はなく、寧ろ言われる前に家事の全てを仕事の合間にこなしていた…。
家事、仕事…全てにおいて完璧な彼が俺なんかを好きになってくれるはずもない。
聞けば以前、番った相手がおり、そのアルファに『運命』が現れたとかなんとかで身勝手に解消をされ、それ以来、神無月産の特効薬を服用し、発狂せず、フェロモンの乱れを抑え短命にならずに居る。
見たことない相手に憤りすら感じる。
なんと勿体ない事を…
俺なら絶対に雅輝を捨てたりしないのに…
そんな想いもあって、俺は雅輝が好む物だけは完璧に作れるように練習をしまくった。
時間があれば少しでも雅輝に気に入られるように頑張った。
雅輝はロイヤルミルクティーを好んで飲む。疲れている時は特にソレを飲んでいた。雅輝は紅茶を好む傾向にあったが、その中でも特に好んで飲むのがロイヤルミルクティーだった。
毎日、部屋にいる時は気づかれないように注意深く様子をうかがっていた。
ある意味…ストーカー紛いな事もやったような記憶はある…。
でも、それも無駄ではなかったと言えるだろう…。
疲れている時に出る癖を見つけた。他にも機嫌がいい時や、苛ついている時の癖なんかも見つける事ができた。
俺はいち早く雅輝の感情を読み取り、今してほしい事や、してほしくない事なんかを理解する能力を得る事に成功した。
凄い俺!やればできる!!
と称賛できるくらいである。雅輝にもよく褒められたので俺は嬉しくなり雅輝に関する事は特に頑張った。
その甲斐あってか、雅輝は俺に仕事を紹介してくれた。
「千歳にピッタリだと思うけどやってみる気はない?話はつけておくから…」
という雅輝の言葉に即座に飛びついた俺は雅輝の顔に泥を塗らないように頑張りまくった。
その結果ー…
雅輝が所属する神無月グループの本社へとヘッドハンティングされた。しかも、神無月様の秘書である冬樹さん直々に、だ。
本社に籍を移した俺はさらに頑張った。雅輝に褒めてもらえるように…。
雅輝に褒められるとかなり、やる気も出る。それに、雅輝は良い匂いがする。
微かにしか匂わないが…近づけば近づくほど匂いが鮮明になるのだ…。
俺の雄を直接、刺激するような匂い…。
俺は本能で理解した…。
間違いなく雅輝は俺の『運命の番』であると…
*
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