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1章 怪異は放課後に訪れる
嘘のような本当の話
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前を歩く先輩の後をついていくと、彼が部室棟へ向かっているらしいことが分かった。図書室の前にある大階段を上って四階まで来たけど、四階の南側は理科室や美術室の特別教室、北側は空き教室しかない。空き教室は文系部活の部室として使われている。なので非公式だけど、四階の北校舎は生徒たちから部室棟と呼ばれているのだ。そこは校舎の北側にあるせいか外の光が全然入ってこない場所だった(今日は雨というのものあるが)。なんとなく気分が落ち込むような雰囲気がある。
「ついてきたまえ」
先輩の口ぶりは上品だが有無を言わせない気迫があった。そして、ずんずんと前へ進んでいく。僕は慌てて彼の背中を追いかけた。
「(呪いの本なんて……)」
そう思うけれど「三日後に死ぬ」なんて具体的に言われると気になってしまう。それに、確信めいている彼の物言い。
本当に、僕は死んでしまうんだろうか?
そういえば、まだ先輩の名前を聞いていなかったな。……そう思った瞬間、向こうから声を掛けてきた。
「入りたまえ」
先輩はとある教室のドアに手をかけた。四階北校舎の一番奥にある教室。ここを使っているのはどの部活だったか。ふと見上げると、ドアの上に掛かっている教室札は名無しだった。こんなことってあるのか? 何も書かれていない教室札……。
なんとなく嫌な予感がしたがもう遅い。――部室のドアは開かれてしまった。
「みんな揃っているね」
先輩はそう言いながら部室の中を見回した。ちょうど長方形を作るような形で並べられた長机の前に四人の生徒が座っていた。行儀よく膝の上に手を置き穏やかに微笑む黒髪の女子、うつむきながらこちらの様子をうかがうように見つめている小柄な男子、机の上で頬杖をつきながらあくびをする女子、金髪に鋭い目つきが印象的だけれどプイとよそを見ている男子。
なんというか、てんでバラバラで共通点があまりない人たちだった。襟元の学年章を見る限り学年もそれぞれで統一性がない。彼らはどういう集まりなんだろう?
空いている椅子は二つあったが、先輩は一番奥――中央の席へ座った。座るなり、今頃気づいたとばかりに手を打って言う。
「申し遅れたね。僕は怪異体験クラブの部長、真咲 渉(まさき わたる)だ。みんな、彼は一年生の保科 佑くん。今日から彼はこのクラブへ入ることになる、と思う」
部員たちは思い思いの反応を見せたけど一番驚いているのは僕だった。思わず声を張り上げる。
「勝手なことを言わないでください」
「でも君は帰宅部だろう? だったらいいじゃないか」
「そういう問題じゃないです」
なんでそんなことまで知ってるんだと思ったけれどそんな話は後だ。たぶん、この調子だと図書室の時みたいに真咲先輩のペースで話が進んでしまう。この流れを止めないと。
止めないと……もう後戻り出来ない気がする。
「彼も怪異に出くわした、というわけね」
長い黒髪の女子生徒が口を開いた。涼やかで、聞いていると気の落ち着くような声だ。学年章が緑色だから三年生。たった二歳違うだけなのになんだか彼女は大人びて見えた。口に手を当てて首をかしげる動作がいかにもしおらしい。後で分かったが、彼女の名前は鈴原律(すずはら りつ)という。
「つまり“彼も”見入られてしまったと」
次に声を上げたのは小柄な男子だ。けだるそうな瞳で僕に一瞥くれると、すぐに真咲先輩の方を振り返った。彼の右隣に座っているあくびをしていた女子は「ふーん」と、興味があるんだかないんだか分からない反応だった。金髪の彼にいたってはうんともすんとも言わないし、一度も僕の方を見ない。
「そうだ。何せ彼はこれを持ってきたのだからね」
真咲先輩は僕から取り上げた呪いの本を掲げてみせる。一同の視線が古びた本に注がれた。
「浅場(あさば)くん、君なら分かるだろう」
「……“図書室に存在しないはずの呪いの本“ですね」
真咲先輩に浅場と呼ばれた小柄な男子生徒がこともなげに言う。そんなに有名な本なのか? 僕はこの高校に入学して二カ月しか経っていないけどそんな話は聞いたことがない。そもそも「呪い」だなんて……小学生じゃあるまいし。
「“借りたことになっているけど図書室の本ではないから返せない”という本ですね。貸出カードは調べましたか?」
え? 浅場先輩――彼は二年生だった――に言われて、真咲先輩は本の裏表紙を開いた。今時珍しい、貸出カードなんてものを入れておくためのポケットが裏表紙の内側に張り付けられている。紙で出来たポケットから貸出カードを取り出すと……知らない生徒の名前が書かれていた。この本を借りた人の名前のリストだろう。そして、リストの一番下に見たことのない字で「保科 佑」と手書きされていた。はっきりと。
そして本の裏表紙にあるはずのバーコード……は無かった。本の貸出はバーコードと学生証を使う。バーコードがはがされたような跡もないから、この本には最初からバーコードなんてなかったのかも知れない。
「へー、これが処刑リストってわけかぁ」
いつの間に忍び寄ったのか、頬杖をついていた女生徒が僕の肩越しに貸出カードを眺めて言った。処刑リスト、という言葉に僕はどきりと心臓を鳴らした。
「だってさ、この本を借りた人は死んじゃうんでしょ?」
「野々宮くん、口を慎みなさい」
真咲先輩に注意された野々宮という生徒は「はーい」と生返事をした。いかにも叱られ慣れているという感じで、少しもこりたように見えない。そして、彼女の言葉が僕の頭の中で繰り返される。
この貸出カードに名前を書かれた者は死ぬ。
そんな話を、信じろだって……? 僕は鼻で笑いたかったけれどできなかった。何故って、この部室に集まっている人たちがいかにも気の毒そうに僕を見たり、本を慎重に取り扱ったりしているからだ。雑に扱うと災いが起きるとでも言いたげに。いや、“災いが起きる”と確信しているように。
「これを」
そう言って浅場先輩が僕に手渡してきたのは古ぼけたファイルだった。紙に穴を空けて紐を通すタイプの骨とう品みたいなファイル。表紙は油性マジックで昭和××年〇月と書かれていた。
「この学校にまつわる事故や事件についての記録です」
どういうことだろう? 察しの悪い僕がしどろもどろしていると、浅場先輩がそっと僕の手から貸出カードを抜き取った。ファイルを広げて貸出カードと内容を見比べている。
「秋野××、吉中○○、佐藤△△、他三名……。貸出カードに書かれた名前は在校中に亡くなった方と一致しています」
そう言う浅場先輩の言葉は淡々としているけど残酷だった。つまり、この本を借りた人は“本当に死んだ”ということだ。冗談じゃない。真咲先輩は顎に手を当ててふんふんと頷く。
「何せ“手にした人間は必ず死ぬ”っていう触れ込みだからね。僕たちもこうして実物を見るのは初めてなんだよ」
「そんな……」
思わず喉からこぼれた言葉は、その先が続かなかった。
「ありがとう浅場くん。彼も噂の深刻性を理解してくれたと思う」
真咲先輩の言葉を聞くと浅場先輩はファイルを閉じ、黙ってまた下を向いてしまった。
「安心してほしい、保科くん。僕たちは怪異体験クラブだ」
真咲先輩の言う、そう、その怪異体験クラブという部活……いやクラブだから同好会? なんでそんなものに僕を連れてきたのだろう。というか、怪異体験クラブってなんだ?
「オカルト研究部みたいなものですか?」
僕が卒業した中学校ではそんな部活もあった。全然興味はなかったけど、文化祭の出し物(黒魔術――日常への実践と悪魔との共存を試みた九十日間の手記――という真っ黒いノート)には鬼気迫るものがあった。
「研究とは資料を読んだり実験をしたり、フィールドワークをしたりして知見を得ることだ。それは僕の言う“体験”とは違う」
うーん……。先輩の言うことはなんとなく分かるけど具体的に「どう違うか」と聞かれると微妙だ。先輩は不出来な生徒――僕を優しく諭すように言った。
「研究の場合、自分は観察者なのさ。つまり外側から現象を見ている。でも怪異体験クラブは違う。僕たちは怪異の“当事者”だからね」
それはつまり事件の外側ではなく内側――むしろ真ん中にいることを意味する。真咲先輩は――何故か、さも楽しそうに言った。
「面白いだろう? この学校では不思議なことがたくさん起こるんだ。特に放課後は“彼ら”の時間らしくてね。遅くまで一人で学校に残ることはおすすめしないよ。それに」
怪異はえり好みをする、と先輩は言った。
「あるいは怪異に好かれる何かが僕たちにはあるのかもしれない。何せ毎日のように不可解な事件に遭遇しているんだ。まぁ、連中もあの手この手で趣向を変えてくるから飽きないけれど」
僕はとうとうと紡がれる先輩の言葉をぽかんと口を開けて聞いていた。なんだこの人? こんなことが毎日あるって? 僕は勘のいい方ではないけど予感がする。とても悪い予感だ。これまでどんな怪異に出会ったかにこにこと笑いながら語る先輩を見れば、彼が普通じゃないことは誰にでも分かる。僕はとんでもない所に来てしまったんじゃないだろうか? 今すぐ逃げ出すべきじゃないか……?
けれど僕はもう怪異に出会った――怪異に巻き込まれてしまったし、怪異体験クラブへの扉は開かれた。僕は――真咲先輩の言葉を借りるなら怪異の「当事者」になってしまったのだ。相変わらず真咲先輩は愉快そうに言う。
「信じられないような顔をしているね。まぁ、最初はみんなそんなものさ。けれど一度怪異に出くわした以上、必ず君は困りに困ってここへ来る。“必ずだ”。他にどうしようもないからね。だから、今のうちにみんなで歓迎しておこうじゃないか」
真咲先輩の言葉を聞いて、その場に居た部員が一斉にこちらを見た。自分たちと同じ怪異に魅入られた新参者を歓迎する、あるいは憐れむように。
「ようこそ、怪異体験クラブへ」と。
「ついてきたまえ」
先輩の口ぶりは上品だが有無を言わせない気迫があった。そして、ずんずんと前へ進んでいく。僕は慌てて彼の背中を追いかけた。
「(呪いの本なんて……)」
そう思うけれど「三日後に死ぬ」なんて具体的に言われると気になってしまう。それに、確信めいている彼の物言い。
本当に、僕は死んでしまうんだろうか?
そういえば、まだ先輩の名前を聞いていなかったな。……そう思った瞬間、向こうから声を掛けてきた。
「入りたまえ」
先輩はとある教室のドアに手をかけた。四階北校舎の一番奥にある教室。ここを使っているのはどの部活だったか。ふと見上げると、ドアの上に掛かっている教室札は名無しだった。こんなことってあるのか? 何も書かれていない教室札……。
なんとなく嫌な予感がしたがもう遅い。――部室のドアは開かれてしまった。
「みんな揃っているね」
先輩はそう言いながら部室の中を見回した。ちょうど長方形を作るような形で並べられた長机の前に四人の生徒が座っていた。行儀よく膝の上に手を置き穏やかに微笑む黒髪の女子、うつむきながらこちらの様子をうかがうように見つめている小柄な男子、机の上で頬杖をつきながらあくびをする女子、金髪に鋭い目つきが印象的だけれどプイとよそを見ている男子。
なんというか、てんでバラバラで共通点があまりない人たちだった。襟元の学年章を見る限り学年もそれぞれで統一性がない。彼らはどういう集まりなんだろう?
空いている椅子は二つあったが、先輩は一番奥――中央の席へ座った。座るなり、今頃気づいたとばかりに手を打って言う。
「申し遅れたね。僕は怪異体験クラブの部長、真咲 渉(まさき わたる)だ。みんな、彼は一年生の保科 佑くん。今日から彼はこのクラブへ入ることになる、と思う」
部員たちは思い思いの反応を見せたけど一番驚いているのは僕だった。思わず声を張り上げる。
「勝手なことを言わないでください」
「でも君は帰宅部だろう? だったらいいじゃないか」
「そういう問題じゃないです」
なんでそんなことまで知ってるんだと思ったけれどそんな話は後だ。たぶん、この調子だと図書室の時みたいに真咲先輩のペースで話が進んでしまう。この流れを止めないと。
止めないと……もう後戻り出来ない気がする。
「彼も怪異に出くわした、というわけね」
長い黒髪の女子生徒が口を開いた。涼やかで、聞いていると気の落ち着くような声だ。学年章が緑色だから三年生。たった二歳違うだけなのになんだか彼女は大人びて見えた。口に手を当てて首をかしげる動作がいかにもしおらしい。後で分かったが、彼女の名前は鈴原律(すずはら りつ)という。
「つまり“彼も”見入られてしまったと」
次に声を上げたのは小柄な男子だ。けだるそうな瞳で僕に一瞥くれると、すぐに真咲先輩の方を振り返った。彼の右隣に座っているあくびをしていた女子は「ふーん」と、興味があるんだかないんだか分からない反応だった。金髪の彼にいたってはうんともすんとも言わないし、一度も僕の方を見ない。
「そうだ。何せ彼はこれを持ってきたのだからね」
真咲先輩は僕から取り上げた呪いの本を掲げてみせる。一同の視線が古びた本に注がれた。
「浅場(あさば)くん、君なら分かるだろう」
「……“図書室に存在しないはずの呪いの本“ですね」
真咲先輩に浅場と呼ばれた小柄な男子生徒がこともなげに言う。そんなに有名な本なのか? 僕はこの高校に入学して二カ月しか経っていないけどそんな話は聞いたことがない。そもそも「呪い」だなんて……小学生じゃあるまいし。
「“借りたことになっているけど図書室の本ではないから返せない”という本ですね。貸出カードは調べましたか?」
え? 浅場先輩――彼は二年生だった――に言われて、真咲先輩は本の裏表紙を開いた。今時珍しい、貸出カードなんてものを入れておくためのポケットが裏表紙の内側に張り付けられている。紙で出来たポケットから貸出カードを取り出すと……知らない生徒の名前が書かれていた。この本を借りた人の名前のリストだろう。そして、リストの一番下に見たことのない字で「保科 佑」と手書きされていた。はっきりと。
そして本の裏表紙にあるはずのバーコード……は無かった。本の貸出はバーコードと学生証を使う。バーコードがはがされたような跡もないから、この本には最初からバーコードなんてなかったのかも知れない。
「へー、これが処刑リストってわけかぁ」
いつの間に忍び寄ったのか、頬杖をついていた女生徒が僕の肩越しに貸出カードを眺めて言った。処刑リスト、という言葉に僕はどきりと心臓を鳴らした。
「だってさ、この本を借りた人は死んじゃうんでしょ?」
「野々宮くん、口を慎みなさい」
真咲先輩に注意された野々宮という生徒は「はーい」と生返事をした。いかにも叱られ慣れているという感じで、少しもこりたように見えない。そして、彼女の言葉が僕の頭の中で繰り返される。
この貸出カードに名前を書かれた者は死ぬ。
そんな話を、信じろだって……? 僕は鼻で笑いたかったけれどできなかった。何故って、この部室に集まっている人たちがいかにも気の毒そうに僕を見たり、本を慎重に取り扱ったりしているからだ。雑に扱うと災いが起きるとでも言いたげに。いや、“災いが起きる”と確信しているように。
「これを」
そう言って浅場先輩が僕に手渡してきたのは古ぼけたファイルだった。紙に穴を空けて紐を通すタイプの骨とう品みたいなファイル。表紙は油性マジックで昭和××年〇月と書かれていた。
「この学校にまつわる事故や事件についての記録です」
どういうことだろう? 察しの悪い僕がしどろもどろしていると、浅場先輩がそっと僕の手から貸出カードを抜き取った。ファイルを広げて貸出カードと内容を見比べている。
「秋野××、吉中○○、佐藤△△、他三名……。貸出カードに書かれた名前は在校中に亡くなった方と一致しています」
そう言う浅場先輩の言葉は淡々としているけど残酷だった。つまり、この本を借りた人は“本当に死んだ”ということだ。冗談じゃない。真咲先輩は顎に手を当ててふんふんと頷く。
「何せ“手にした人間は必ず死ぬ”っていう触れ込みだからね。僕たちもこうして実物を見るのは初めてなんだよ」
「そんな……」
思わず喉からこぼれた言葉は、その先が続かなかった。
「ありがとう浅場くん。彼も噂の深刻性を理解してくれたと思う」
真咲先輩の言葉を聞くと浅場先輩はファイルを閉じ、黙ってまた下を向いてしまった。
「安心してほしい、保科くん。僕たちは怪異体験クラブだ」
真咲先輩の言う、そう、その怪異体験クラブという部活……いやクラブだから同好会? なんでそんなものに僕を連れてきたのだろう。というか、怪異体験クラブってなんだ?
「オカルト研究部みたいなものですか?」
僕が卒業した中学校ではそんな部活もあった。全然興味はなかったけど、文化祭の出し物(黒魔術――日常への実践と悪魔との共存を試みた九十日間の手記――という真っ黒いノート)には鬼気迫るものがあった。
「研究とは資料を読んだり実験をしたり、フィールドワークをしたりして知見を得ることだ。それは僕の言う“体験”とは違う」
うーん……。先輩の言うことはなんとなく分かるけど具体的に「どう違うか」と聞かれると微妙だ。先輩は不出来な生徒――僕を優しく諭すように言った。
「研究の場合、自分は観察者なのさ。つまり外側から現象を見ている。でも怪異体験クラブは違う。僕たちは怪異の“当事者”だからね」
それはつまり事件の外側ではなく内側――むしろ真ん中にいることを意味する。真咲先輩は――何故か、さも楽しそうに言った。
「面白いだろう? この学校では不思議なことがたくさん起こるんだ。特に放課後は“彼ら”の時間らしくてね。遅くまで一人で学校に残ることはおすすめしないよ。それに」
怪異はえり好みをする、と先輩は言った。
「あるいは怪異に好かれる何かが僕たちにはあるのかもしれない。何せ毎日のように不可解な事件に遭遇しているんだ。まぁ、連中もあの手この手で趣向を変えてくるから飽きないけれど」
僕はとうとうと紡がれる先輩の言葉をぽかんと口を開けて聞いていた。なんだこの人? こんなことが毎日あるって? 僕は勘のいい方ではないけど予感がする。とても悪い予感だ。これまでどんな怪異に出会ったかにこにこと笑いながら語る先輩を見れば、彼が普通じゃないことは誰にでも分かる。僕はとんでもない所に来てしまったんじゃないだろうか? 今すぐ逃げ出すべきじゃないか……?
けれど僕はもう怪異に出会った――怪異に巻き込まれてしまったし、怪異体験クラブへの扉は開かれた。僕は――真咲先輩の言葉を借りるなら怪異の「当事者」になってしまったのだ。相変わらず真咲先輩は愉快そうに言う。
「信じられないような顔をしているね。まぁ、最初はみんなそんなものさ。けれど一度怪異に出くわした以上、必ず君は困りに困ってここへ来る。“必ずだ”。他にどうしようもないからね。だから、今のうちにみんなで歓迎しておこうじゃないか」
真咲先輩の言葉を聞いて、その場に居た部員が一斉にこちらを見た。自分たちと同じ怪異に魅入られた新参者を歓迎する、あるいは憐れむように。
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