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エピソード・3 injury
3-9 青春は写真の中へ
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蕪木が浴衣を着てくれる。と言う学校中の人間が湧き立ちそうな約束を取り付けた時、丁度列は捌けていて、自分たちの番が回ってきていた。
「……中々良い値段がするな、これ」
先頭に立ってメニュー表を見た自分は、思わず重心を後ろに引いた。
金箔が使われているだけあって、お値段はワンコインを越えている。コンビニやサービスエリアのソフトクリームと比較すれば破格な値段と言えるが、これも金箔が使われていることを考えれば妥当な値段なのだろう。
それぞれ一つずつ金箔ソフトを注文した自分たち、レジから離れて待っていると程なくして店員さんが四つ合わせて運んできた。
「おおー! 本当に金ぴかなんですな」
「食べるのがもったいないわね」
金箔にも引けを取らないほど目を輝かせる部長が隣にいるためか、普段大人びて見られる蕪木も年そう思うの表情が見える。
そんな二人に倣って自分もはしゃぐことはできるのだけれど、何より大切なのは味だ。
「それじゃあ、いただきます!」
部長の掛け声とともに自分たちは一斉にソフトクリームを食べた。
その味は。
「普通に美味しいソフトクリームだな」
分かってはいたが金箔には味がなく、とても豪華なバニラ味のソフトクリームだった。
「味が一番の目的じゃないのかもね」
「SNS映え。ってやつか?」
「おそらくね。それこそ古い町並みの中、浴衣を着て金箔ソフト何て嗜もうものなら、ね」
と言って万次郎は再び窓の外に視線を向ける。その視線の先には先ほどの大学生のグループが居て互いに写真を取りあっていた。
古い町並み、雅な浴衣。そして、金箔が張られたソフトクリーム。そのどれをとっても非日常のもので、合わさればさぞ写真に映えるのだろう。
「…………」
残念ながら今日、自分たちは浴衣を着ていないわけだが。
「せっかくなら撮っておくか、写真?」
「お! 梅ちゃんにしては良いこと言うね」
「おれにしては。って言うのは余計だ。蕪木は?」
「そうね。大ちゃんとの思い出になるから」
「そこに僕たちも含んでほしいんだけどなあ」
と苦笑する万次郎は自分の背中を押して部長の方へ近づける。対して部長は蕪木の腕を引き自分に近づく。
強引な形で近づけられたためリアクションを取る暇もなくて、自分と蕪木は慌てるばかり。そんな表情を万次郎のスマホの中に収められた。
もう少し落ち着いて撮れば良いものを。と思ったけれど、部長は充分満足したのか、頬が上がっている。
「また来ようね。次は浴衣を着て」
「そうそう。梅も見たがっていることだしね」
「あら、本多が。というより、本多も。だと思っていたのだけれど」
「あちゃー、バレてましたか」
万次郎はわざとらしく後頭部を掻き、蕪木は冷たい目線を送る。そんな蕪木をあやすように部長が蕪木に抱き着いた。
しかし、万次郎のことはともかく、蕪木にはしっかり自分も見たいというのがバレているらしい。観察眼の鋭さには驚かされるばかりだ。
まあ、何にしろ、次の約束をした。というのは良いことだ。
自分はふざけ合う三人の姿を眺めながら、少しだけ頬を上げた。
「……中々良い値段がするな、これ」
先頭に立ってメニュー表を見た自分は、思わず重心を後ろに引いた。
金箔が使われているだけあって、お値段はワンコインを越えている。コンビニやサービスエリアのソフトクリームと比較すれば破格な値段と言えるが、これも金箔が使われていることを考えれば妥当な値段なのだろう。
それぞれ一つずつ金箔ソフトを注文した自分たち、レジから離れて待っていると程なくして店員さんが四つ合わせて運んできた。
「おおー! 本当に金ぴかなんですな」
「食べるのがもったいないわね」
金箔にも引けを取らないほど目を輝かせる部長が隣にいるためか、普段大人びて見られる蕪木も年そう思うの表情が見える。
そんな二人に倣って自分もはしゃぐことはできるのだけれど、何より大切なのは味だ。
「それじゃあ、いただきます!」
部長の掛け声とともに自分たちは一斉にソフトクリームを食べた。
その味は。
「普通に美味しいソフトクリームだな」
分かってはいたが金箔には味がなく、とても豪華なバニラ味のソフトクリームだった。
「味が一番の目的じゃないのかもね」
「SNS映え。ってやつか?」
「おそらくね。それこそ古い町並みの中、浴衣を着て金箔ソフト何て嗜もうものなら、ね」
と言って万次郎は再び窓の外に視線を向ける。その視線の先には先ほどの大学生のグループが居て互いに写真を取りあっていた。
古い町並み、雅な浴衣。そして、金箔が張られたソフトクリーム。そのどれをとっても非日常のもので、合わさればさぞ写真に映えるのだろう。
「…………」
残念ながら今日、自分たちは浴衣を着ていないわけだが。
「せっかくなら撮っておくか、写真?」
「お! 梅ちゃんにしては良いこと言うね」
「おれにしては。って言うのは余計だ。蕪木は?」
「そうね。大ちゃんとの思い出になるから」
「そこに僕たちも含んでほしいんだけどなあ」
と苦笑する万次郎は自分の背中を押して部長の方へ近づける。対して部長は蕪木の腕を引き自分に近づく。
強引な形で近づけられたためリアクションを取る暇もなくて、自分と蕪木は慌てるばかり。そんな表情を万次郎のスマホの中に収められた。
もう少し落ち着いて撮れば良いものを。と思ったけれど、部長は充分満足したのか、頬が上がっている。
「また来ようね。次は浴衣を着て」
「そうそう。梅も見たがっていることだしね」
「あら、本多が。というより、本多も。だと思っていたのだけれど」
「あちゃー、バレてましたか」
万次郎はわざとらしく後頭部を掻き、蕪木は冷たい目線を送る。そんな蕪木をあやすように部長が蕪木に抱き着いた。
しかし、万次郎のことはともかく、蕪木にはしっかり自分も見たいというのがバレているらしい。観察眼の鋭さには驚かされるばかりだ。
まあ、何にしろ、次の約束をした。というのは良いことだ。
自分はふざけ合う三人の姿を眺めながら、少しだけ頬を上げた。
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