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四年の月日
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第九紀 九六〇年 盗賊団アジト
石造りの埃まみれの古城は息をするたびに臭いがする、そんな盗賊のアジトに一人の少年がいた。
「おらぁ!!」
つま先で地面を軽く蹴ると茶色の革製ブーツの先から仕込みの刃が出てくると盗賊の一人の側頭部に蹴りを入れ突き刺すと体ごと足を捻り絶命させると同時にナイフを折り後ろに飛ぶ
体全体を覆う漆黒のマントを纏い、チェーンメイルは斬撃を防ぐ
腰のベルトには沢山のナイフを持つ、鉄製の五角盾とロングソードを手に持つ。四年経ち、ウィリアムは16歳になっていた。
盗賊が斧を振りかぶり、盾で防御姿勢をとるが横から石飛礫が右腕に命中する、重い激痛を無視しながらウィリアムは剣で斧の横を打ち攻撃を逸らすとそのまま切り返し胸元に斬撃を浴びせる、盗賊は怯むが死ぬほどではない、目を充血させるほどに見開きながら興奮状態で斧を振り回す。
ナイフを左手で取り出し盗賊の左太腿に刺してそのまま盗賊がいる方向の逆を振り向いてすぐに走り去る
魔法に矢が飛びウィリアムの左肩に矢が、右足にファイアボルトが命中し激痛を耐え必死に走り続ける。
走っていると登録証は青色に淡く光り胸ポケットを通して光るのをウィリアムは確認する。
「準備できたか!」
狭い通路を進みその後ろを盗賊たちが追いかけてくる
走り続け僅かに月の光が見えると振り向いて先頭走る盗賊に投げ右足に命中し先頭の人間が倒れると後ろの人間も何人か足を引っ掛けて転ぶ、そのまま外に向かいながら登録証を人差し指で触り二階の窓から飛び出す。
ウィリアムが草原に落ちるとすぐに起き上がり盾や剣を捨てて、急いでその場から離れる。
地面には黒い糸が張り巡らされておりそこから離れると同時に盗賊たちが飛び出す。
「フォルト!いけ!!」
ウィリアムが叫ぶと黒い糸の周りに白い光が現れ電子音をたてる、盗賊が黒い糸を踏むと電流が走りそのまま倒れてしまった。
「おっかねえな...」
後ろを見るとフォルトとヒューズがいた。
「またギリギリなことしてるなぁ...」
ヒューズは呆れた顔でウィリアムを見ながら言う。
フォルトの髪からは煙が上がっていた。
「痛てててて....」
ウィリアムは電流で倒れた盗賊に目を移す
「残党まだ残ってるかな?」
「まあまだ残ってるかもしれないし、ヒューズさん行ける?」
フォルトはウィリアムに刺さった矢を引き抜くと、植物を渡す、ウィリアムは受け取ると土魔法を発動させる
「アクティベート!」
傷口はすぐに瘡蓋になるのを確認するとフォルトはウィリアムに肩を貸す。
「わかった、まあ二人とももうまともに戦えないだろ、俺が入るから休んでろ」
そしてウィリアムはフォルトに肩を貸してもらいながら馬車に乗り、数時間後にヒューズが帰ってくるとギルドに向かった。
「はい! アジトの壊滅、報酬の銀貨35枚です、にしても見違えるほど変わりましたね! ウィリアムさん!」
「え? そうですかね?」
「あの頃は小さい子が来たなぁって思っててゴブリン退治とか止めようかと思いましたからね!」
受付嬢の目はキラキラとしているがそんなこと思っていたのかとウィリアムは若干自信がなくなる。
(今ってこの人は19歳くらいかな? 心配するってことは多分成人してすぐの頃だったのだろうか?)
少しだけ思ったがウィリアムは報酬を受け取るとギルドを出た。
「報酬もらえたか?」
「ほら、もらって来たよ」
銀貨の入った袋をヒューズに投げ渡すとヒューズは紐を解き中身を見る
「これだけあれば2週間くらいはどうにかなるな、どうするんだ? ウィリアム」
「じゃあ飯に行こうぜ! 飯!!」
ウィリアムはニコニコしながら大声で言う。
「それじゃあ適当に済ませるか...」
比較的大きな酒屋に入り席に座ると大声で注文する
「すいませーん! エール3つと猪肉の丸焼き下さ~い!!」
「速攻で金を溶かす気か?」
ヒューズは若干怒りをこめながら言う
「金は溶かしてなんぼでしょ!!」
「.....もういいや...」
そして食事を終えると街の中を一人で歩くことにした。
真昼間の時間は商業が最も盛んな時間である、特に目的はなく歩く、そうして歩いていると裏路地へと歩いていった。
暗い石の道を進んでいると一人が声をかけてくる
「いつもは見ないやつだな、どうした?スパイか?」
声から男だろう、男はフードを深く被り顔があまり見えず年齢はわからない
ウィリアムは何も言わずに警戒する
「あ~....確かお前、ウィリアムだっけ?」
ウィリアムは一歩下がりナイフに手をかけ姿勢を低くする
「あ~...違う違う、俺は情報屋だ、ギルドの人間くらいは知ってる、少なくとも敵じゃない」
男は手を軽く上げて敵意がないことを証明しようとする
ウィリアムはゆっくりとナイフから手を離し姿勢を戻す
「.....お前、名前は?」
すると男は不敵に少し笑うと名前を言う
「トゥリアだ、正確には俺らのグループなんだがな、名前は言えないが知りたいことがあったりしたら来いよ、金は必要だがな」
(トゥリア...変なやつだな....)
「その時はよろしく...な」
「まあ俺は誰にでも声をかけてるんだけどな」
トゥリアはニヤニヤしながら言うが何が面白いのか全くわからない、笑いどころなのか?
ウィリアムは怪訝ながらも気にせず裏路地を早足で出た。
石造りの埃まみれの古城は息をするたびに臭いがする、そんな盗賊のアジトに一人の少年がいた。
「おらぁ!!」
つま先で地面を軽く蹴ると茶色の革製ブーツの先から仕込みの刃が出てくると盗賊の一人の側頭部に蹴りを入れ突き刺すと体ごと足を捻り絶命させると同時にナイフを折り後ろに飛ぶ
体全体を覆う漆黒のマントを纏い、チェーンメイルは斬撃を防ぐ
腰のベルトには沢山のナイフを持つ、鉄製の五角盾とロングソードを手に持つ。四年経ち、ウィリアムは16歳になっていた。
盗賊が斧を振りかぶり、盾で防御姿勢をとるが横から石飛礫が右腕に命中する、重い激痛を無視しながらウィリアムは剣で斧の横を打ち攻撃を逸らすとそのまま切り返し胸元に斬撃を浴びせる、盗賊は怯むが死ぬほどではない、目を充血させるほどに見開きながら興奮状態で斧を振り回す。
ナイフを左手で取り出し盗賊の左太腿に刺してそのまま盗賊がいる方向の逆を振り向いてすぐに走り去る
魔法に矢が飛びウィリアムの左肩に矢が、右足にファイアボルトが命中し激痛を耐え必死に走り続ける。
走っていると登録証は青色に淡く光り胸ポケットを通して光るのをウィリアムは確認する。
「準備できたか!」
狭い通路を進みその後ろを盗賊たちが追いかけてくる
走り続け僅かに月の光が見えると振り向いて先頭走る盗賊に投げ右足に命中し先頭の人間が倒れると後ろの人間も何人か足を引っ掛けて転ぶ、そのまま外に向かいながら登録証を人差し指で触り二階の窓から飛び出す。
ウィリアムが草原に落ちるとすぐに起き上がり盾や剣を捨てて、急いでその場から離れる。
地面には黒い糸が張り巡らされておりそこから離れると同時に盗賊たちが飛び出す。
「フォルト!いけ!!」
ウィリアムが叫ぶと黒い糸の周りに白い光が現れ電子音をたてる、盗賊が黒い糸を踏むと電流が走りそのまま倒れてしまった。
「おっかねえな...」
後ろを見るとフォルトとヒューズがいた。
「またギリギリなことしてるなぁ...」
ヒューズは呆れた顔でウィリアムを見ながら言う。
フォルトの髪からは煙が上がっていた。
「痛てててて....」
ウィリアムは電流で倒れた盗賊に目を移す
「残党まだ残ってるかな?」
「まあまだ残ってるかもしれないし、ヒューズさん行ける?」
フォルトはウィリアムに刺さった矢を引き抜くと、植物を渡す、ウィリアムは受け取ると土魔法を発動させる
「アクティベート!」
傷口はすぐに瘡蓋になるのを確認するとフォルトはウィリアムに肩を貸す。
「わかった、まあ二人とももうまともに戦えないだろ、俺が入るから休んでろ」
そしてウィリアムはフォルトに肩を貸してもらいながら馬車に乗り、数時間後にヒューズが帰ってくるとギルドに向かった。
「はい! アジトの壊滅、報酬の銀貨35枚です、にしても見違えるほど変わりましたね! ウィリアムさん!」
「え? そうですかね?」
「あの頃は小さい子が来たなぁって思っててゴブリン退治とか止めようかと思いましたからね!」
受付嬢の目はキラキラとしているがそんなこと思っていたのかとウィリアムは若干自信がなくなる。
(今ってこの人は19歳くらいかな? 心配するってことは多分成人してすぐの頃だったのだろうか?)
少しだけ思ったがウィリアムは報酬を受け取るとギルドを出た。
「報酬もらえたか?」
「ほら、もらって来たよ」
銀貨の入った袋をヒューズに投げ渡すとヒューズは紐を解き中身を見る
「これだけあれば2週間くらいはどうにかなるな、どうするんだ? ウィリアム」
「じゃあ飯に行こうぜ! 飯!!」
ウィリアムはニコニコしながら大声で言う。
「それじゃあ適当に済ませるか...」
比較的大きな酒屋に入り席に座ると大声で注文する
「すいませーん! エール3つと猪肉の丸焼き下さ~い!!」
「速攻で金を溶かす気か?」
ヒューズは若干怒りをこめながら言う
「金は溶かしてなんぼでしょ!!」
「.....もういいや...」
そして食事を終えると街の中を一人で歩くことにした。
真昼間の時間は商業が最も盛んな時間である、特に目的はなく歩く、そうして歩いていると裏路地へと歩いていった。
暗い石の道を進んでいると一人が声をかけてくる
「いつもは見ないやつだな、どうした?スパイか?」
声から男だろう、男はフードを深く被り顔があまり見えず年齢はわからない
ウィリアムは何も言わずに警戒する
「あ~....確かお前、ウィリアムだっけ?」
ウィリアムは一歩下がりナイフに手をかけ姿勢を低くする
「あ~...違う違う、俺は情報屋だ、ギルドの人間くらいは知ってる、少なくとも敵じゃない」
男は手を軽く上げて敵意がないことを証明しようとする
ウィリアムはゆっくりとナイフから手を離し姿勢を戻す
「.....お前、名前は?」
すると男は不敵に少し笑うと名前を言う
「トゥリアだ、正確には俺らのグループなんだがな、名前は言えないが知りたいことがあったりしたら来いよ、金は必要だがな」
(トゥリア...変なやつだな....)
「その時はよろしく...な」
「まあ俺は誰にでも声をかけてるんだけどな」
トゥリアはニヤニヤしながら言うが何が面白いのか全くわからない、笑いどころなのか?
ウィリアムは怪訝ながらも気にせず裏路地を早足で出た。
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