生きる世界と冒険譚

山田浩輔

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大剣の戦士

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 「フォルト、これは第六感ってやつかもしれないが...なんだか嫌な予感がする...」
 「奇遇ですね...僕もそう思います、あれは一体....」
 
 ドアの微かな隙間から見えるのは3mほどある巨大な剣を持った小柄な男であった。
 
 「人を呼んで戦った方がいいかもしれません、僕が待機するのでレオンさんは人を呼んでください」
 フォルトの言葉にレオンは了解のジェスチャーをするとゆっくりとその場から離れた。
 「髪色は...黒...あの重さをモテるってことはジートかな...?」
 外見と持っている武器からジート人と仮定しつつ髪を切ると結ぶことで長い一つの紐のようにして入り口近くに仕込む。
 
 「入り口にどうにか誘導しないと...」
 隙間から男の動向を見ていると突然こちらを振り向くと殺気を放ちそのまま大剣をこちらに投げ飛ばす。
 「......!?」
 手で声を無理やり抑えながら横に避けると煙をあげ、ドアは粉々に消し飛んでしまった。
 避けられた安心で背に壁を向けながら力が抜けたように腰を落とす。

 ゆっくりと男はフォルトの方に向かうと巨大な大剣を両手で持ち上げる。 
 (やばい...今の隙に剣を奪っておくべきだった....)
 過ちにフォルトは自らを卑下するがすぐに立ち上がると雷鎖剣を取り出す。
 
 男の眼は冷酷でかつまるで何も感情がないような顔つきだった。
 しかしフォルトはすぐに放電をする。
 後頭部に力を入れ電気が一瞬にして流れる、しかしその電撃を男は後ろに跳び回避した。
 「....やっぱりレイドだったか...」 
 低い声で一言言うと大剣を構えこちらに突進してきた。
 速くはないが足音の大きさとその重厚感から当たったら即死するであろう、フォルトは距離を取ると雷鎖剣を横に振る。

 フォルトの攻撃は空を切ったが一瞬だけ男の動きは止まった、その瞬間に顔だけ男の方を向きながら背を向けて逃げる、何もない長い廊下では投擲されれば守れるものはない、避けることに集中させながらも足を動かす。
 扉を見つけると急いで開けて入ると足で閉める。
 部屋は広く家具こそあるが他の部屋に行けるような通路はない、一瞬の後悔を持ちつつ棚の裏に隠れる。
 息を殺し10秒もせずに男がドアを蹴破り入ってくる。
 男はフォルトを探すために部屋を探し始める、そしていざフォルトがいる場所に近づくと村人が1人、トーマスが入ってきた。
 「おい! ここにまだ山賊がい——」
 男は近くにあった椅子を村人に向かって投げつけ村人は後ろを向いていたため椅子に直撃し後ろに吹き飛ぶ。
 「邪魔が入ったな...」
 ゾロゾロとダニエル、マーカス、ケニー、ジェイの4人が入ってきた。
 「トーマス! 大丈夫か!?」
 ケニーが倒れてるトーマスを背負って逃げるとマーカスが槍を持ち男に突っ込む。
 「次から次に...」
 男がマーカスの方向に向いたその瞬間にフォルトが雷鎖剣を振る。
 
 男は鎖の部分だけを腕に巻き付けると腕を乱暴に振りフォルトの手から離そうとする。
 次の瞬間にダニエルが回り込むように走ると薪割り用の斧を両手で振りかぶる。
 フォルトは地面に倒れながらも全力で握り決して離そうとしない。
 
 「死ね」
 男は片手で大剣を振り下ろすとマーカスの右腕を飛ばす。
 「うああああああああああああ!!」
 マーカスはあまりの痛みにその場に倒れ伏し腕を必死に抑える、血が広がり、その悲鳴にフォルトとダニエルは恐怖する。
 
 「落ち着けマーカス! 腕を縛るんだ!!」
 ダニエルが指示するもマーカスは冷静ではない、とどめを刺そうと男はまた剣を振り上げる。
 「くそ!」
 ダニエルはマーカスの襟元を掴むとそのまま入り口の方面に投げとばす。
 「仕留め損なったか」
 男が追撃に向かおうとするもフォルトが邪魔で走れない、男はフォルトに剣を振りかぶるとダニエルが叫ぶ。
 「俺がいるのを忘れんなよ!」
 斧を勢いよく振るが剣の柄で防がれてしまった。
 ダニエルは男に頬を殴るがびくともしない、男は蹴りをダニエルの腹に喰らわせるとダニエルは嘔吐をしながらも男の腕を必死で掴む。
 
 「邪魔だ」
 男はダニエルに頭突きをするがまだ離さない、ダニエルの目は焦点が合わずおかしな方向を向いている、しかしそれでも力を決して弱めない。
 やれやれという顔をすると大剣を放すと鎖が絡まった腕を力強く振る。
 「な....!?」
 フォルトの身体は宙に浮くと地面に叩きつけられる。
 「う..........!」
 また振り上げられ地面に叩かれる。
 何度も、何度も、何度も
 最初こそ喘ぐほどに悲鳴をあげていたが声はだんだんと弱くなり声も掠れていった、服は擦り切れ身体は傷だらけ、顔も血だらけになりながらも決してフォルトは剣を離さなかった。

 そうして膠着状態が続いているとようやくレオンがやってきた。
 「ダニエル! フォルト!」
 あまりの惨状にレオンは声を荒げながら斧を取り出す。
 男は鎖部分を掴むとフォルトをそのまま利用しレオンにぶつける。
 「フォルト! 離せ!」
 フォルトに指示するも声は届かない、完全に意識を失っているからだ。
 
 レオンは男に向かって走り出すと斧を振る。
 男はダニエルを前に出し盾にする。
 レオンは斧の軌道を変えると男はレオンを蹴り飛ばす。
 「大丈夫か!?」
 サム、ロイが部屋に入ってくるとロイは弓を構えサムは剣を取り出す。
 レオンはぼやく。
 「どうやってこの状況を崩すか.....」
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