生きる世界と冒険譚

山田浩輔

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 「どうですか? ウィリアムさん」 
 馬車の中で義足、義手をつけたウィリアムはニヤリと笑う。
 「いいね、また戦えそうだ」
 ウィリアムは仕掛けを幾つか確認をすると立って伸びをする。
 「四肢もしっかり動くし、なんとかなりそうだな」
 ウィリアムはガッツポーズをしてると結衣が泣きながら声を出す。
 「どうしてそんなにのんびりしてられるんですか...みんな死んで...あなたの親友もきっと...」
 ウィリアムは結衣の言葉が引っ掛かり顔に手を置く
 


 そうだ、俺は泣いてない。
 悲しい、はずだが心が揺れない、何かがおかしい
 心臓の鼓動、瞳孔、何も変わらない、皆の顔を思い出しても俺は何も動かない、そもそもなぜこんなことをしている?
 精霊に関わっていいことよりも悪いことの方が...

 まあいいや、気にするだけ無駄ってもんだな!
 
 「最近...いろんなことがありすぎてちょっとな...こうでもしてないとやってられないんだ...」
 ウィリアムは疲れ切ったような表情を結衣に見せ、結衣もその顔を見て少し反省する。
 「そうですね...私も少し言いすぎました...ごめんなさい...」
 「ああ、すまん...」
 しばらく沈黙が続くと御車台からフォルトが声をかける。
 「ウィリアムさん、結衣さん、もうすぐ例の場所につきます...!降りる準備を!」
 そうしてついた洞窟の前に馬車を止めると洞窟に入っていく。
 
 ウィリアムは古びた一つの扉を見つけその扉を開けると、3人は驚く。
 「これが...龍戦争で...ミメーシス、これなのか?」
 (ああ、龍のように大空を羽ばたく、ファラル人の男が作った兵器、零式戦闘機だ)

 「...これが兵器....どんな武器なんですかね...?」
 結衣が飛行機の周りをぐるぐると見ているとウィリアムがコックピットの乗り込む。
 (これは二人乗りだ、もう一人乗ることができる)
 「おーい、どっちかこれに乗りたいやついるか?もう一人乗れるっぽい」
 ウィリアムがそう言うと結衣とフォルトがお互いに見合う。
 「じゃあ機械に詳しそうな結衣さんが乗ってください、僕が乗ってもね....」
 
 そうして結衣が乗り込むとエンジンを動かす。
 「ミメーシス、動かしてくれ」
 (わかった、エンジンは無事、ガソリンは満タン、問題はなし、天井を開くぞ)
 洞窟上部が大きな音を立ててゆっくりと開く。
 (飛ぶぞ)
 プロペラが高速で回転し、坂道を駆け上がり一気に飛び上がる。
 
 
 「これが...空....」
 あまりの絶景に驚いているとミメーシスが無線をONにする。
 (これで結衣と会話が可能だ)
 「結衣~、聞こえるか?」
 ウィリアムが声をかけるとノイズと共に結衣の声が聞こえる。
 「聞こえますよ、ウィリアム」
 「よかったよかった、とりあえず一回降りる」
 「わかりました」
 (わかった着陸する)
 そうして地面に着陸するとフォルトが走って近づく。

 「こんなもの...確かにすごいですね....」
 フォルトが驚いているとウィリアムが提案をする。
 「俺は村に一回行く、そしてもしもヒューズの死体がなかったら、教会に行きたい思ってる、少しでも生きている可能性に賭けたいからな」
 ウィリアムの言葉に二人は賛同する。
 「わかりました、これ以上進めない以上は戻るしかないですしね...」
 そうしてウィリアム達は元の村へと戻ることになった。




 村に戻ると既に何もなかった、石造りの壁は壊され、前まであった村のあと陰は何一つなかった。
 「みんな...」
 焼死体が多く、焼き焦げた臭いの中を歩いていると、一人の男がいた。
 「よお、ウィリアムか」
 そこにいたのはマークであった。
 ウィリアムが抜剣をするがマークは両手を上げる。
 「待て待て、話があるんだ」
 「話?」
 ウィリアムは警戒しながらもゆっくりと剣を鞘に収めるとマークの話を聞くことにした。
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