生きる世界と冒険譚

山田浩輔

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第九話 諜報活動

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  ルーベルが酒屋のカウンター席で食事をしていると後ろから肩を叩かれる。
 「君だね、ルーベル君ってのは?」
 ルーベルが振り向くとそこにはいかにも優男という感じの男と全身を覆うコートを身に纏った隈を持つドワーフの男がいた。
 「ミソッドとドワーフか」
 ルーベルの言葉に優男は両手を振る。
 「あー違う違う、確かにそう見えるけど染めてるだけなんだ、俺はカルダー人だよ」
 そう言って優男は自身の首を指で擦ると、塗料が取れ、黒い肌が露出する。
 「そうか、まあよろしくな」
 ルーベルは頭を下げると握手をするために手を前に出すと、優男は握手をしながら名乗る。
 「ああ、俺の名前はレイク、こいつはルカな、よろしく」
 ルカは何も言わずにただ佇んでいるとレイクはルカを椅子に座らせる。
 「まあ酒でも飲んでれば仲良くなれるでしょ、すみませーん! ラガー3杯とモグラの丸焼きで!」
 「俺、酒は...」
 ルーベルが止めようとするがレイクの勢いに押され、止めることもできずに注文を待つことにした、頬杖をついていると姿そのままの1mほどあるモグラと酒を置かれる。
 「こんなに食えるかよ...」
 ルーベルが引き気味にモグラと足をちぎると取り皿に置く。
 「まあまあ俺結構さ、腹減ってんだ」
 レイクは自分の皿、そしてルカの皿に肉を乗せると食べ出す。
 「んーおいしいね」
 一人だけ山盛りの肉をレイクが笑顔で頬張っているとココが
 「おお! いい匂いする!」
 ココは丁度ルーベルの隣に座ると注文するでもなく、ただ焼いたモグラをじっとみ続けていた。
 「...食べるか?」 
 「いいの!?」
 ルーベルが皿を横にずらしてココの前に出すとそのままかぶりつく。

 「随分と野生的なやつだな...」
 ココの幼さもありルーベルはあまり考えないようにし、酒を飲む。
 「子供の頃か...あの時は親もいなかったしな...」
 ルーベルが暗い顔になっているとレイクが腕を肩に置く。
 「辛気臭い顔しないでよ、食べよ食べよ!」
 しかし殆どの肉をレイクとココが食べてしまった。
 「ふー腹一杯! とりあえず俺は先に失礼するぜ! またどっかで会おうな!」
 レイクは銀貨を6枚置くと出て行った。
 
 「おお! 光ってる!」
 ココが先ほど置いた銀貨をかざし、輝いてる姿に見惚れていることもありルーベルはココのを取ることなく銀貨を拾う。
 「嬢ちゃん、それは遊びものじゃないぜ?」
 ルーベルは笑顔でココの銀貨を返してもらうと会計を済ませて出て行った。

 (硬貨の位置か、あれは酒場の上面からの地図、裏が敵、表側俺たちってところか、一人はレイクにつき、今も尾行されてる...ルカは一度も会話をしてない、おそらく俺に二人か? 数がわからない...気付いたと悟られる前に巻くか...)

 ルーベルは数分ほど歩くと鍵を使い、民家へ入ると扉を閉め、コートを脱ぐと物置を漁る。
 「...これだな」



 



 「ルーベルが一軒家に入ったッスよ」
 ラルクは地図に印をつけるとアストラに渡す、3人とも模倣により顔を変えており、ルーベルを尾行していた。
 「了解~、尾行に気付いてる可能性もあるんで」
 アストラは携帯食料を食べながら紙に文字を記していく。
 「わかってるッスよ、とりあえず動きを追っていくっす」
 「ココと話していたけどルーベルとの面識は無さそうだったけどどうなの?」
 ユリアの疑問に対しラルクはわからないと言わんばかりに首を傾げる。
 「まあココの調査が本命でしたしね、それともう一人のミソッド人の男も一応尾けてはいるけどまあ...」
 アストラは歯切れ悪く言葉を止めると水晶玉をユリアに渡す。
 「これは一体...」  
 「接続した冒険者登録証ぼうしょうの位置が出てます、地図はないので大体しかわからないのですが...発信機程度には使えるでしょう」
 水晶玉に映る青い光はゆっくりと北東の方に向かう。
 「これはどれくらい移動してるの?」
 ユリアがアストラに聞くと水晶玉を見る。
 「うーん、家の中で待機...いや違うな、全く動かない」
 「動かないなら寝たんじゃないの?」
 ユリアの言葉にアストラは疑問を思う。
 「家に入った瞬間ですからね、すぐに寝たというよりはコートを脱いだんですかね、あんまり几帳面じゃないのかもですね、処理はされてないので気付いてはないですが...」
 頭をポリポリと掻きながらアストラは立ち上がる。
 「今からルーカスのとこに行きます、ココを追っているはずなので」
 そうしてアストラは去って行った。
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