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第二十七話 核爆発
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第九紀 ~九五二年~
「イワン、お前が役に立つ時が来た!」
7歳の頃、父さんはキラキラとした目で俺に言った、嬉々に震え、興奮している父さんを見て俺も嬉しくなった。
毎日役立たずと罵られ、褒められることもなく、愛情もない、そう思っていた、だけど違う、父さんは愛情を持って厳しくしていたのだと。
俺は少女のような格好をさせられ、ミソッド人男の前に出された。
「これは...なに...?」
泣きそうに、逃げたくなりながらも父さんに声を振るわせながら聞くと父さんは答える。
「今日からその人がお前のお父さんだ!!」
「え...何を言ってるの?」
「君がイワン君だね、俺の名はロイド、今日からよろしくね?」
男の目は道具を見るような目であった、そこには親としての目ではなく、何か玩具を、好奇心を持つような目に俺は恐怖を覚えた。
「もうお金は貰ったんだ! 本当に、お前がいてくれてよかった!!」
父さんは銀貨の入った袋にほおを擦りながら言う、しかし俺と目を合わせることはなく、すでに硬貨に心を奪われているようであった。
「それじゃあ行こうか?」
「...は...はい...」
そうして俺はその男についていくこととなった。
それから俺は毎日遊ばれ続けた、食事や睡眠、生活は以前よりも確実に良く裕福で、暴力も振られることもなかった、しかし夜だけは、毎日が地獄の日々であった。
そして俺は逃げ出した、それは生きるためではなく、自分の尊厳のために、死すら厭わない、それで解放されるならと、そう思っていたはずなのに、俺は人家へと匿ってもらった、自分は助かるのだと、そう思っていた。
「本当に知らないのかい? もしかしたら思い出すかもしれないよ?」
ロイドは家の主人へ金貨を数枚渡すと主人は俺を指差した。
「なぜ逃げた!!」
俺はロイドに頬を殴られた、父さんよりは弱い、なのに、それ以上に重い何かがそこにはあった、嘔吐しそうになる程の嫌悪感、連れ戻される絶望、つれ帰られる時に何度も叫んだ、助けを求めた、しかし金で人は黙らされた。
所詮金なのか? そんなことで人の良心は? そんなにどうでもいい? 結局他人事?
わからない
それからはどんどん酷くなっていった、ロイドは自分へ肉欲をぶつけるだけぶつけ、精神は疲弊していった。
だけど、ある時、人生の転機が訪れた。
第九期 九六三年
「古代ダンジョンにでも調査に行こう」
ロイドはダンジョン調査を商いとする商人であり、同時に現場監督でもあった。
「はい」
俺は言われるがままに着いていき、そしてダンジョンにつき、奥地へと近づいたところで、走り出した。
ロイドに捕まればきっと殺される、精神的にか、死を受けるのか、それでも今よりマシだと思い、そしてずっと走り続けた。
素足で走り続け、血まみれになった痛みだらけの足を見つめ、もういいと、このまま死にたいと、ダンジョンの奥地にあった、鋭い石片を持ち、首へと押し当てた。
「死ねない...!」
涙を流しながら、力無く俺は手を下ろした。
怖いんだ、結局のところ、俺は死ぬことすらできない臆病者で、生きる意味もないのに呼吸をする。
鼓動が嫌いだ、息も止めてしまいたい、それでも俺は...死ねないんだ。
そうして1人で泣いていると、一つの宝箱を見つけた。
俺は自然に吸い寄せられ、古ぼけた宝箱を開いたその時、不思議な感覚に襲われ、瞬きをした直後、俺は何もない亜空間にいた。
「熱い...!?」
心臓に焼け付くような痛みと共に脳に直接ぶつかる衝撃、しばらく苦しむが、目が覚めると、横になっていた。
ゆっくりと起き上がると涙を拭い、立ちあがろうとした時、何かが手に感じた。
何も持っていないのに、何かがある、そして俺は手を前にかざすと、赤黄色く光る液体が飛び出た。
「うおあ!」
液体は壁にかかった瞬間に壁がドロドロに溶け出した。
「これは...なんだ!?」
俺は恐怖を抱きつつ、その液体のついた部分を見ようとした時、壁が開き、宝部屋が現れる。
「これは...宝物庫か!?」
俺はすぐに部屋に入ると、宝を確認する、純金でできた器や金貨を見た、そうだ、この世は金が全てだ、人の命も、力も、名誉も、全ては金に換えられる、もしもこれを持ち出して逃げれれば....俺はやり直せる。
「ココさん!!」
フォルトが叫ぶとココに向けて爆裂剣を投げ飛ばす。
「うお!」
ココは投げられた剣を掴むと翼を展開し、中空に飛ぶ。
イワンはココに向けて手を向けるがルーベルが杖を構え、詠唱する。
「ウィンドフォウルカッター!!」
風の刃が大量に現れ、一斉にイワンに向かうとともにルカが現れ、ダイナマイトをイワンに投げ飛ばす。
「今です、ココ様...!」
風と爆弾の蓮撃がイワンを襲い、イワンは避けつつも刃を叩き落とし、マグマの壁で防ぐ。
ココは中空から剣を構えると腕全体を硬化させ、詠唱する。
「ファイア!!」
剣の等身が爆発し、その推進力でイワンに急接近すると斬りつける、イワンは咄嗟に剣で防御するが、それと同時に体勢を崩し、手を地面に置いた瞬間にフォルトは刀を構える。
「ミメーシスさん!!」
(了解した)
フォルトは足に力を込めると刀に全身全霊の力を込める。
「力を借りますよ...フェルリートさん!!」
フォルトは音速を超える超神速でイワンの首を一撃で切り落とした。
「はあ...はあ...ようやく...体が...もう動かない...」
フォルトの全身に痛みが走りながらも、イワンの生首を確認し、肩の荷を下ろす。
「終わった...?」
ココがゆっくりとイワンの死体に近づいたその時、ルーベルが叫ぶ。
「まだだ!!」
フォルトはゆっくりとイワンを見ると、心臓部分がオレンジ色にと発光し、だんだんと大きくなり始めていた。
ルーベルはフォルトを抱えると走り出す。
「ココ様! 早く!」
「何が起きて...」
フォルトが呟くとミメーシスが答える。
(逃げろ、今にも爆発しそうだ、爆発すれば教会どころかこの街一つが消し飛ぶほどの力を持ち、早く逃げろ)
「皆さん! このままでは爆発します! この地下街から逃げてください!」
皆が一斉に走り出す中、ルーカスはイワンの死体に走り出すとシャベルで穴を掘り始める。
「ルーカスさん! 早く!」
「いい! 俺のことはいい! 早く逃げろ!!」
「何をして!?」
ルーカスは穏やかに微笑むと言う。
「俺は被害を少しでも少なくする、早く逃げろ」
「そんな!?」
フォルトは抱えながらもルーカスに向けて叫ぶが、ルーベルは足を止めることなく、走り続けた。
「イワンさん、俺が地獄に着いてってやるよ、俺はあんたとは長い付き合いだからな」
ルーカスは穴にダイナマイト入れて、穴を開けるとそこへイワンの死体を入れ、土や角材、鉄片や武器、周りにあるもの全てを被せていく。
「こんなことして意味があるかはわかんねえし、まあいいさ、俺はもう生きる意味なんてないしな」
そうしてルーカスは、塵山の上で、ゆっくりと目を閉じた。
「イワン、お前が役に立つ時が来た!」
7歳の頃、父さんはキラキラとした目で俺に言った、嬉々に震え、興奮している父さんを見て俺も嬉しくなった。
毎日役立たずと罵られ、褒められることもなく、愛情もない、そう思っていた、だけど違う、父さんは愛情を持って厳しくしていたのだと。
俺は少女のような格好をさせられ、ミソッド人男の前に出された。
「これは...なに...?」
泣きそうに、逃げたくなりながらも父さんに声を振るわせながら聞くと父さんは答える。
「今日からその人がお前のお父さんだ!!」
「え...何を言ってるの?」
「君がイワン君だね、俺の名はロイド、今日からよろしくね?」
男の目は道具を見るような目であった、そこには親としての目ではなく、何か玩具を、好奇心を持つような目に俺は恐怖を覚えた。
「もうお金は貰ったんだ! 本当に、お前がいてくれてよかった!!」
父さんは銀貨の入った袋にほおを擦りながら言う、しかし俺と目を合わせることはなく、すでに硬貨に心を奪われているようであった。
「それじゃあ行こうか?」
「...は...はい...」
そうして俺はその男についていくこととなった。
それから俺は毎日遊ばれ続けた、食事や睡眠、生活は以前よりも確実に良く裕福で、暴力も振られることもなかった、しかし夜だけは、毎日が地獄の日々であった。
そして俺は逃げ出した、それは生きるためではなく、自分の尊厳のために、死すら厭わない、それで解放されるならと、そう思っていたはずなのに、俺は人家へと匿ってもらった、自分は助かるのだと、そう思っていた。
「本当に知らないのかい? もしかしたら思い出すかもしれないよ?」
ロイドは家の主人へ金貨を数枚渡すと主人は俺を指差した。
「なぜ逃げた!!」
俺はロイドに頬を殴られた、父さんよりは弱い、なのに、それ以上に重い何かがそこにはあった、嘔吐しそうになる程の嫌悪感、連れ戻される絶望、つれ帰られる時に何度も叫んだ、助けを求めた、しかし金で人は黙らされた。
所詮金なのか? そんなことで人の良心は? そんなにどうでもいい? 結局他人事?
わからない
それからはどんどん酷くなっていった、ロイドは自分へ肉欲をぶつけるだけぶつけ、精神は疲弊していった。
だけど、ある時、人生の転機が訪れた。
第九期 九六三年
「古代ダンジョンにでも調査に行こう」
ロイドはダンジョン調査を商いとする商人であり、同時に現場監督でもあった。
「はい」
俺は言われるがままに着いていき、そしてダンジョンにつき、奥地へと近づいたところで、走り出した。
ロイドに捕まればきっと殺される、精神的にか、死を受けるのか、それでも今よりマシだと思い、そしてずっと走り続けた。
素足で走り続け、血まみれになった痛みだらけの足を見つめ、もういいと、このまま死にたいと、ダンジョンの奥地にあった、鋭い石片を持ち、首へと押し当てた。
「死ねない...!」
涙を流しながら、力無く俺は手を下ろした。
怖いんだ、結局のところ、俺は死ぬことすらできない臆病者で、生きる意味もないのに呼吸をする。
鼓動が嫌いだ、息も止めてしまいたい、それでも俺は...死ねないんだ。
そうして1人で泣いていると、一つの宝箱を見つけた。
俺は自然に吸い寄せられ、古ぼけた宝箱を開いたその時、不思議な感覚に襲われ、瞬きをした直後、俺は何もない亜空間にいた。
「熱い...!?」
心臓に焼け付くような痛みと共に脳に直接ぶつかる衝撃、しばらく苦しむが、目が覚めると、横になっていた。
ゆっくりと起き上がると涙を拭い、立ちあがろうとした時、何かが手に感じた。
何も持っていないのに、何かがある、そして俺は手を前にかざすと、赤黄色く光る液体が飛び出た。
「うおあ!」
液体は壁にかかった瞬間に壁がドロドロに溶け出した。
「これは...なんだ!?」
俺は恐怖を抱きつつ、その液体のついた部分を見ようとした時、壁が開き、宝部屋が現れる。
「これは...宝物庫か!?」
俺はすぐに部屋に入ると、宝を確認する、純金でできた器や金貨を見た、そうだ、この世は金が全てだ、人の命も、力も、名誉も、全ては金に換えられる、もしもこれを持ち出して逃げれれば....俺はやり直せる。
「ココさん!!」
フォルトが叫ぶとココに向けて爆裂剣を投げ飛ばす。
「うお!」
ココは投げられた剣を掴むと翼を展開し、中空に飛ぶ。
イワンはココに向けて手を向けるがルーベルが杖を構え、詠唱する。
「ウィンドフォウルカッター!!」
風の刃が大量に現れ、一斉にイワンに向かうとともにルカが現れ、ダイナマイトをイワンに投げ飛ばす。
「今です、ココ様...!」
風と爆弾の蓮撃がイワンを襲い、イワンは避けつつも刃を叩き落とし、マグマの壁で防ぐ。
ココは中空から剣を構えると腕全体を硬化させ、詠唱する。
「ファイア!!」
剣の等身が爆発し、その推進力でイワンに急接近すると斬りつける、イワンは咄嗟に剣で防御するが、それと同時に体勢を崩し、手を地面に置いた瞬間にフォルトは刀を構える。
「ミメーシスさん!!」
(了解した)
フォルトは足に力を込めると刀に全身全霊の力を込める。
「力を借りますよ...フェルリートさん!!」
フォルトは音速を超える超神速でイワンの首を一撃で切り落とした。
「はあ...はあ...ようやく...体が...もう動かない...」
フォルトの全身に痛みが走りながらも、イワンの生首を確認し、肩の荷を下ろす。
「終わった...?」
ココがゆっくりとイワンの死体に近づいたその時、ルーベルが叫ぶ。
「まだだ!!」
フォルトはゆっくりとイワンを見ると、心臓部分がオレンジ色にと発光し、だんだんと大きくなり始めていた。
ルーベルはフォルトを抱えると走り出す。
「ココ様! 早く!」
「何が起きて...」
フォルトが呟くとミメーシスが答える。
(逃げろ、今にも爆発しそうだ、爆発すれば教会どころかこの街一つが消し飛ぶほどの力を持ち、早く逃げろ)
「皆さん! このままでは爆発します! この地下街から逃げてください!」
皆が一斉に走り出す中、ルーカスはイワンの死体に走り出すとシャベルで穴を掘り始める。
「ルーカスさん! 早く!」
「いい! 俺のことはいい! 早く逃げろ!!」
「何をして!?」
ルーカスは穏やかに微笑むと言う。
「俺は被害を少しでも少なくする、早く逃げろ」
「そんな!?」
フォルトは抱えながらもルーカスに向けて叫ぶが、ルーベルは足を止めることなく、走り続けた。
「イワンさん、俺が地獄に着いてってやるよ、俺はあんたとは長い付き合いだからな」
ルーカスは穴にダイナマイト入れて、穴を開けるとそこへイワンの死体を入れ、土や角材、鉄片や武器、周りにあるもの全てを被せていく。
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