生きる世界と冒険譚

山田浩輔

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第二十八話 犠牲の果てに

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 ルーカスはダイナマイトを真上に投げ飛ばすと詠唱をする。
 「ファイア!」
 中空でダイナマイトは爆発をし、音を聞いたドラゴン達が次々とルーカスの元へ飛ぶ。
 ルーカスは大量のドラゴンの前で微動だにせず、ルーカスはドラゴン達に身体を貪り食われる、悲鳴一つ上げずに、ルーカスの血以外の全てが跡形もなくなり、ドラゴン達が集まった中で、青白い光がドラゴン達を襲い、それと同時に大爆発を遂げる。
 地下街は一気に崩壊を遂げ、森の中からフォルト達はキノコ雲を眺めるだけであった。
 「ルーカスさん...」
 フォルトはキノコ雲をみながらルーカスの事を思い出しながらもアストラへと声をかける。
 「マルセル街にいた人たちはどうなるのでしょうか...」
 「どうなるの!?」
 ココが割り込みアストラの前に出るとアストラは答える。
 「レセッダにつれてもいいんじゃないかな、まあドラゴンに壊滅させられた所はいくつもあるしね」
 アストラの穏やかな顔にフォルトは目を丸くする。
 「なんかというか....前よりも柔くなりましたね」
 「え...? そうかな...俺にはわからないな」
 そうしてフォルト達は難民を連れてレセッダ地下街へと進むのであった。




 
 ~数日後~ レセッダ地下街
 「ルカさん!」
 フォルトに声をかけられルカは振り向くと設計図を投げ渡す。
 「でも本当に大丈夫ですか? 地上に街を作るのは...」
 「ええ、今まではそうだったようですね、ですがルーカスさんのお陰でこの地域のドラゴンはほとんどいません、今、この間にドラゴンの対策を行うべきだと思います」
 「そうですか、では進めていきましょうか」
 ルカはフォルトについていくと階段を登り、地上へと出ると、フォルトを見たココが声をかける。
 「あ! ウニセンボン!」
 「ひどいなあ...まあいいけど」
 ルカは顔を隠しながらクスクスと笑い、フォルトは少し恥ずかしくなりながらも飛行場へ走る。

 「アストラさん、できましたか?」
 「あの機関銃は作れなかったけど、大銃はできたよ」
 アストラはフォルトに迫撃砲を渡す。
 「ドラゴンを殺すほどの威力はある、だけど装填が面倒くさい」
 「撃ちたい!!」
 ココは迫撃砲を手に取るがアストラが奪い返すと上に挙げる。
 「ダメです、危ないから」
 「ヤダヤダヤダ!!」
 ココは地面に倒れジタバタとして全身で拒否を示すがアストラは角砂糖を口に入れ込む。
 「これでも食っとけ」
 「うめえ! もっとよこせ!!」
  アストラの襟元を掴むとブンブンと揺らしまくる、アストラはココの手を離させると飛行機へと向かう。
 
 「フォルトさんの乗ってきた乗り物はできるだけ保管しましょう、いざという時、使えるかもしれません、さらにはそれと同時にこれを再現することを目的にしましょう」
 アストラは零戦のエンジン機構を開く。
 「これは今の時代でも再現することはできない、あなたの言うとおりなのであればこれは千年以上前の代物だ、魔力すら使用してない、これはドワーフには作れず、ファラルでもこの技術はない、この技術を手に入れるには百年なんかではない、もっと沢山の時間をかける必要があります」
 アストラは表情を強張らせ、考えているとジャンが声をかける。
 「アストラさーん!!」
 屋根からジャンが飛び降り、受け身を取れずにフォルトの上に飛び乗る。
 「ぐはっ!!」
 フォルトはジャンを抱えながらもゆっくりとしゃがむとジャンを下ろす。
 「ありがとうございます!」
 「気をつけて...くださいね...」
 ジャン達は飛行場を出ると一つの大きな旗を指差す、そこには赤、青、緑の三色に分かれた旗をがあった。
 「これが新生レセッダの旗、なんちゃって」
 「ダサい....」
 ココは絶望的な表情で旗を見つめ、ジャンは胸に手を置く。
 「こんなかっこいい旗が!?」
 「ダサいいいいい!!」
 ココは声高に叫び、ジャンは旗を持つと全力で振るう。
 「かっこいいね!!」
 ジャンは半泣きになりながら旗を振り続けるとアストラがジャンの肩を持つ。
 「...諦めも大事だと思う」
 「うあああああ!!」
 ジャンは絶望しながら倒れてしまった。


 

 ~診療所~
 「ルーベルさん!」
 個室を開けるとそこには全身に包帯を巻いたルーベルがいた。
 「ああ、フォルトさんか...」
 フォルトは椅子に座るとルーベルはフォルトに聞く。
 「あれからどうなったんですか?」
 「ええ、レセッダの方々は快く歓迎してくれました、ドラゴン信仰はルカさんがゆっくりと衰退させていくそうです、ドラゴンと戦う力というのはまだ難しいかもしれません、ですが歴史は進み続けます、いつか誰もが幸せになれる世界を作る、それは僕の夢なのかもしれませんね」
 「そうですか、俺はきっと見れません、もう直ぐ死ぬでしょう、ですがその夢の実現を、あの世で見続けますよ、フォルトさん」


 今まで生き続け、沢山の人と出会い、沢山の人を失った、敵も、味方も、誰もが尊い命であり、同時にとても軽い、だけどそれこそ生きることなのかもしれない、その鼓動が止まるその時まで、私は戦い続けるでしょう、それは暴力でない、人を貶めるものでもない、そんな戦いを、それでも僕は構わない、この命を僕は、決して無駄にはしないのだから
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