拳銃スキルで異世界探訪~銃スキルは優秀、ただし使用者も優秀とは限らない~

摂政

文字の大きさ
4 / 21

俺が強いのは何故かって? それは俺だか、いや師匠のおかげですごめんなさい

しおりを挟む
「――――回転し、敵を穿て! ジャイアントパワーデス・フィナーレエンド・ロックフェスティバル!」

 略して、巨大石ころがし、っ!

 ……ふっ、やはりカッコいい技名を言うと、決まるな。
 少し湿り気が気になるダンジョンの奥に居た、ボスのゴーレムを俺の必殺技――――大きめの石を見つけて、ダンジョンから吸い取った魔力で押し出して倒すという必殺技、が見事に決まり、俺は当然だと納得していた。

 ボスとは言えども、やはり三下。
 ただ硬いだけの、鈍重な土人形が、崇高なる魂を持つこの俺に張りあおうだなんておこがましいにもほどが――――


「あっ、ご主人様! 宝箱、宝箱です!」

「……プラト、そのご主人様はカッコいい台詞を言っていた最中なのだが」

 決め台詞の最中くらい、静かにして欲しいモノだ。
 なにせ、こんなカッコいい台詞を言っている最中に、そんな事を言われると、見せ場が……俺の見せ場がかすんでしまうじゃないか。まったく。

 いかん、いかん。レディーを怒るだなんて、男の風上にもおけない非道な行為だ。
 そして今の目的は、この《スリーウッドの洞窟》にて新たな銃探しに来たのであった。
 銃は宝箱から出るので、むしろ宝箱が出た事は嬉しく思わないといけないのに。

「……むっ、これは――――もしや、伝説の回転式拳銃リボルバー?!」

 まっ、まさか……こんなところで、回転式拳銃と再び巡り合えるとは……。
 いや、前世含めてこれが初だけど。


 プラトに渡した自動式拳銃、そして今手に入れた回転式拳銃リボルバー
 2つの大きな違いとしては、銃弾のセッティングの仕方である。

 自動式拳銃はマガジンと呼ばれる板状の物体に入れて撃つ一方、回転式拳銃は開いている穴の中に銃弾を込めて撃つ。
 この世界においてはこの2つの違いがかなり関わって来て、それ故に回転式拳銃にはとある特殊効果が宿っている。
 ――――まぁ、今はその辺りの特徴を語るのは後で良いだろう。ダンディーな男には、秘密はつきものだ。

「これで"師匠"にまた一歩、近付けるな」

「し、しょう……?」

 俺の呟きに対し、プラトさんが反応する。

 ……ふっ、そうだな。そろそろ師匠、【アルトバイエルン】のことについて話しておくべきだろう。
 あれは一年前、俺がこの世界に転生して間もない頃の出来事である。




 【狂い踊る死神インビジブル・デスサイズ】。それが一年前の、俺の呼び名である。
 その頃の俺はダンジョンで活動するよりかは、賞金首という捕まえたりする仕事を主な活動としていた。仕事としては冒険者エクスプローラーというよりかは、掃除屋スイーパーというべきだろうか。

 俺の仕事は単純。標的ターゲットを見つけ出して、そいつに俺の必殺の一撃を与える。
 その名も《暗黒の眠りの銃弾》――――通称、"インビジブルフィナーレ"をぶつけるというお仕事である。

 《暗黒の眠りの銃弾》は、相手を確実に動けなくする恐怖の銃弾。具体的には相手の身体に毒を打ち込む技である。強力な毒を一時的に自身に【吸収】して、それを【再錬成】によって弾丸にする。それを打ち込むわけだが、この弾丸は誰にも見る事は出来ない。何故なら、無色無臭の、毒ガスの弾丸だからだ。
 撃ち込まれた時には、既に身体の穴……口とか、毛穴とかから、毒は侵入して、そのまま倒れる。

 ガード不可、何故なら身体の全ての穴を塞ぐ事なぞ出来ないから。

 俺は無敵であり、そして死神である。
 悪人を退治し、報酬をいただく。今にして思えば、実にハードボイルドな生活をしていたな、うん。

 そんな俺に転機が訪れた。

 その日のターゲットの名前は、【ポチ】と言う名前の狼獣人の盗賊はんざいしゃである。
 名前は何とも弱そうな名前ではあるが、報酬は通常の賞金首の10倍以上。遥かに高額な、それだけ強いターゲットである。
 普通の掃除屋なら遠慮してしまいそうになるような相手ではあるが、連戦連勝・順風満帆・向かう所敵なしなその頃の俺にとっては、楽なターゲットにしか思えなかったのである。名前も弱そうだし。


 ――――そして、ボロボロに敗けた。


「ふっ、なにかと思えば噂の【狂い踊る死神】の正体が、こんなしょうもない、取るに足らない男だとは思わなかったテン。
 この私の筋肉の前には、お前の使う妙な技など利くはずがないテンっ!」

 狼のはずなのに語尾が「~テン」という謎な点はさておき、ポチに俺の技、《暗黒の眠りの銃弾》は効かなかった。
 何故なら、そいつが筋肉男マッチョだったからだ。

 顔は柴犬を思わせるくりくり瞳の超可愛らしい愛らしい顔なのだが、それを支える身体は優に3mを越える全身筋肉の大男。
 頭とお尻には狼の耳と尻尾があるが、それが霞むほどの身体を覆う、赤々しい筋肉。

「(先程から《暗黒の眠りの銃弾》を10発以上撃ち込んでいるのに、全然眠ろうと言う気配がない。
 くそっ、こいつバケモノか?)」

 効かない理由は分かってる。
 こいつが、毒を打ち込んでも効かない、超絶健康優良児マッチョだからだ。
 
 毒とは言っても、自分の身体に一度取り込んでいるから、すぐさま死んだり、眠ったりするような毒ではない。けれどもかなり強めの毒なので、だいたいの人だったら効くはずなのに。
 それすらも効かないほどの、圧倒的な健康体質マッチョ……。

「……っ! 他の攻撃も、打つ手なしかよっ!」

 仕方なく、鉄の銃弾をぶち込むも、相手の筋肉が硬すぎるために全然ダメージになっていない。それどころか銃弾も、彼の身体に傷一つ付けていないだろう。
 天然の肉の鎧、それがこのポチの厄介さである。

「(盗賊なのに、なんだよ。このガタイの良さはっ?!
 くっそ、なんだよ、この筋肉?! 普通だったら鉄の鎧であろうともひびが入るのに、なんという硬さだよっ?!)」

「お前と遊んでる暇はこちらにはないんだテン。故に、さっさと倒させて貰うんだテンっ!」

 彼はボディービルダーを彷彿とさせる、筋肉を強調させるポーズを見せる。
 そして拳を強く握りしめ、そのまま、思いっ切り振りかぶる。

 やられる、そんな事を思ったその時である。


「――――少年、なんだ? そのへっぴり腰は。なんともなさけない。
 "カッコつける時は、ちゃんとカッコつけなくちゃ。それが男ってもん"、だろ?」


 現れたのは、両脚が鋼の義足で出来た女の人であった。その義足は先が尖っており、その右の瞳は藍色に光り輝いており、両手には長い剣を持っていた。
 彼女こそ俺の師匠となる御方、【リボルバー・オセロット】。通称アルトバイエルンその人である。

 ……え? 銃を使う俺の師匠なのに、銃を持たずに剣を使っているのは可笑しくないってか?
 げえよ、別に師匠だからと言って同じ武器を使う訳じゃないだろう?
 彼女から教えて貰ったのは武器の使い方ではなく、その精神の在り方なのだから。

 師匠、カッコいいよ!
 やっぱ、師匠はカッコいいねぇ!
 ……くぅ、今思い出してもカッコいいぜ!

「少年、こいつは私が貰おう。この筋肉ダルマには借りがあるのでな。
 "借りは常に返すべし、さもなくば借りる覚悟はない"ってね」

「ちっ、義足女。またしても追いついてきやがったかテン。
 お前の技は、俺のこの自慢の肉体でも相性が悪いんだテン。ここは一時、退却させて貰うんだテン」

 彼女の姿を目視したポチは、忌々しそうに、至極残念そうにそう告げると、握った拳を自分の下の地面に振り下ろした。
 自慢である筋肉を使っての拳は、地を割り、大量の砂煙で俺達の視界を奪う。
 煙が晴れた頃には、既に彼の姿は霧散していた。

「……逃げたか、まぁ、良しとしよう。
 "褒められない人間に成長はない、ましてや自分を褒めない人間ならなおさらだ"とな」

 師匠はカッコ良かった。
 言ってる事はさっぱり意味不明だったけど。

 そして、俺は師匠に弟子入りした。
 それから俺はきっぱりと脚を洗ったのだ、眠り薬を利用した卑怯な銃はもう撃たない。
 これからはクールで、スタイリッシュで、大人らしい、自分に納得出来る銃しか撃たないと。

 今の強くて、カッコいい俺があるのも、師匠のおかげだ。
 感謝しても、しきれないくらいである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...