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湖で、ダンディーバカンス! ――ただし、心情的には逃避行
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はじまりの街フールシー、俺達はその街を追いだされた。
――――いや、自分達から出て行った。
流石に宿屋の庭を半壊させてしまっては、この街にいることは出来ないだろう。
まぁ、庭の方は【吸収】で飛び散った地面を身体に入れて、それを【放出】することで直しておいたが。
と言うのが、俺なりのケジメ、ってやつだ。
「……ごめんなさい、ご主人様」
しゅん、とした様子で、プラトは縮こまってしまっていた。
まぁ、俺が悪いのだ。まさかあれほどの銃の勢いが、出て来るとは思っていなかったからだ。
(彼女のの戦闘力は予め、最初に《ファイアーアルフレッド》を渡した際に把握していたつもりだが、まさかあれほどの威力が出るとは思いもしなかった。
…この短期間の間にレベル的な成長があるとは思わない、だったら心情的な面、か?)
根性論、みたいに言われるかもしれないが、この世界だと割とある事みたいだ。
スキルや魔法ってのはイメージが重要みたいで、イメージががっしりと固まって前しか見えない状況だと能力の本質が発揮できない。
「(実際、俺の【吸収】の能力も、病気をも対象に加えるということもできるようになったし)」
本来、俺の能力では病気を【吸収】するだなんて出来ないはずである。
スキルを作った神、それに近しい何者かは本来、そういう使い方は予期していないはずだろう。
けれども、俺は「出来る」と思った。だからこそ、出来た。
「プラトの心情が前向きになったからこそ、威力も上がったのか?」
「――――?」
「いーや、なんでもない。それよりも気にする事はない。
"ダンディーな男は、住む場所を選ばない。そして過去を振り返らない"ってヤツだ」
今、俺とプラトの2人は湖の村ベートシャンへと向かっている。
ベートシャンでは大きな湖ワンベートというほとりに作られた、漁業で有名な村らしく、そこでは上手い魚と、陽気な女達が多いらしい。
「美味い料理と、良い女達。
――――それさえあれば、俺は満足だ。そう、それがハードボイルドって奴だ」
キラッ、と決めつけて笑顔を見せつける。
ふっ、と俺は決まったと思っていた。
ハードボイルドってなんだろう、とプラトは思っていた。
☆
======
・クエスト
ワンベート湖が干上がってしまい、湖の魚が獲れずに困っています
湖では盗賊達が占領しており、その盗賊達が湖を干上がらせているのです
お願いです、どうかその盗賊達を倒して湖をお救いください
======
ベートシャンのギルドへと辿り着くと、俺の眼にそのクエストが映り込んでいた。
いや、無理矢理にでも映りこむように配置しているみたいである。
ギルドでも端の方に座っているのにもかかわらず、俺達の眼にクエストの内容がしっかりと映りこんでいる事からも、それがひしひしと伝わってくる。
「ワンベート湖を干上がらせた盗賊達、か。
どんな事をすれば、盗賊達なんかが湖を干上がらせる事が出来るんだか」
その盗賊達は魔術師か、なにか、なのか?
盗賊と言えば、森で商人を襲ったり、貴族の馬車を襲ったり――――って、俺の頭の中での盗賊のイメージ、人を襲ってばかりだな。
まぁ、大抵の人のイメージってこんなもんだろう。けれども、湖の、それも小さいとはいえ村の一大産業となっている湖の水を干上がらせるほどの実力を持つ盗賊ってなんだろう?
流石に1人で、湖の水を全部なくせるほどではないにしろ、相当の実力があるのは確かだ。
「――――怪しいな」
「えっと、どうします? ご主人様? なんだかこの依頼、【緊急】の印がついてますが?」
【緊急】のマークがつけられているということは、それだけ早めに解決して欲しいという目的があるのだろう。
――――村の一大産業を担っている湖を、早く取り戻したいのだろう。
「で、でも、ご主人様? このクエスト、絶対に難しいですよね?」
「だな、報酬も良いし」
報酬も高い。
受けられる条件も緩い。
――――だが、誰も受けない。
それはやはり、"大きな湖を干上がらせるほどの力を持つ盗賊"を恐れているからだ。
「盗賊がどんな攻撃手段を使って来るか、分かっていない。
分かっているのは、湖を干上がらせるほどの力を持っている、だ」
もしかしたら、湖の水を見えなくしているだけかもしれない。
もしかしたら、湖の水を別の場所に移動しているのかもしれない。
もしかしたら、それ以上の力を持っているのかもしれない。
――――相手の力量が分からない以上、うかつに手出しできないだろう。
「さて、っと。プラト、さっさとそのエールを飲んで支度するぞ」
「えっ、ご主人様? 今、ギルドに入って一息ついた所なん、ですけど……。後、これは酒ではなく、ただの果実汁、なんですけど」
「ふっ、これは確かにただの果実汁にしか見えないのかも知れない。
――――けれども、俺の中では常に、泡が弾ける酒が浮かんでいる」
そう、ハードボイルドな男が飲む飲み物と言えば、酒に決まっている。誰が決めたかは知らないが、少なくとも俺はそう決めている。
そして――――ハードボイルドな男ってのは、こういう事もする。
「――――女の依頼を拭い去る、それがハードボイルドってやつだ」
依頼人の名前は、"テイカ・アンダーソン"。
この湖の惨状に対し涙して、どうにかしたいと悩んでいる女である。
「女の依頼ならば、俺の方から解決に赴くさ。
――――それが、ハードボイルドな男の生き方、ってやつだ」
――――いや、自分達から出て行った。
流石に宿屋の庭を半壊させてしまっては、この街にいることは出来ないだろう。
まぁ、庭の方は【吸収】で飛び散った地面を身体に入れて、それを【放出】することで直しておいたが。
と言うのが、俺なりのケジメ、ってやつだ。
「……ごめんなさい、ご主人様」
しゅん、とした様子で、プラトは縮こまってしまっていた。
まぁ、俺が悪いのだ。まさかあれほどの銃の勢いが、出て来るとは思っていなかったからだ。
(彼女のの戦闘力は予め、最初に《ファイアーアルフレッド》を渡した際に把握していたつもりだが、まさかあれほどの威力が出るとは思いもしなかった。
…この短期間の間にレベル的な成長があるとは思わない、だったら心情的な面、か?)
根性論、みたいに言われるかもしれないが、この世界だと割とある事みたいだ。
スキルや魔法ってのはイメージが重要みたいで、イメージががっしりと固まって前しか見えない状況だと能力の本質が発揮できない。
「(実際、俺の【吸収】の能力も、病気をも対象に加えるということもできるようになったし)」
本来、俺の能力では病気を【吸収】するだなんて出来ないはずである。
スキルを作った神、それに近しい何者かは本来、そういう使い方は予期していないはずだろう。
けれども、俺は「出来る」と思った。だからこそ、出来た。
「プラトの心情が前向きになったからこそ、威力も上がったのか?」
「――――?」
「いーや、なんでもない。それよりも気にする事はない。
"ダンディーな男は、住む場所を選ばない。そして過去を振り返らない"ってヤツだ」
今、俺とプラトの2人は湖の村ベートシャンへと向かっている。
ベートシャンでは大きな湖ワンベートというほとりに作られた、漁業で有名な村らしく、そこでは上手い魚と、陽気な女達が多いらしい。
「美味い料理と、良い女達。
――――それさえあれば、俺は満足だ。そう、それがハードボイルドって奴だ」
キラッ、と決めつけて笑顔を見せつける。
ふっ、と俺は決まったと思っていた。
ハードボイルドってなんだろう、とプラトは思っていた。
☆
======
・クエスト
ワンベート湖が干上がってしまい、湖の魚が獲れずに困っています
湖では盗賊達が占領しており、その盗賊達が湖を干上がらせているのです
お願いです、どうかその盗賊達を倒して湖をお救いください
======
ベートシャンのギルドへと辿り着くと、俺の眼にそのクエストが映り込んでいた。
いや、無理矢理にでも映りこむように配置しているみたいである。
ギルドでも端の方に座っているのにもかかわらず、俺達の眼にクエストの内容がしっかりと映りこんでいる事からも、それがひしひしと伝わってくる。
「ワンベート湖を干上がらせた盗賊達、か。
どんな事をすれば、盗賊達なんかが湖を干上がらせる事が出来るんだか」
その盗賊達は魔術師か、なにか、なのか?
盗賊と言えば、森で商人を襲ったり、貴族の馬車を襲ったり――――って、俺の頭の中での盗賊のイメージ、人を襲ってばかりだな。
まぁ、大抵の人のイメージってこんなもんだろう。けれども、湖の、それも小さいとはいえ村の一大産業となっている湖の水を干上がらせるほどの実力を持つ盗賊ってなんだろう?
流石に1人で、湖の水を全部なくせるほどではないにしろ、相当の実力があるのは確かだ。
「――――怪しいな」
「えっと、どうします? ご主人様? なんだかこの依頼、【緊急】の印がついてますが?」
【緊急】のマークがつけられているということは、それだけ早めに解決して欲しいという目的があるのだろう。
――――村の一大産業を担っている湖を、早く取り戻したいのだろう。
「で、でも、ご主人様? このクエスト、絶対に難しいですよね?」
「だな、報酬も良いし」
報酬も高い。
受けられる条件も緩い。
――――だが、誰も受けない。
それはやはり、"大きな湖を干上がらせるほどの力を持つ盗賊"を恐れているからだ。
「盗賊がどんな攻撃手段を使って来るか、分かっていない。
分かっているのは、湖を干上がらせるほどの力を持っている、だ」
もしかしたら、湖の水を見えなくしているだけかもしれない。
もしかしたら、湖の水を別の場所に移動しているのかもしれない。
もしかしたら、それ以上の力を持っているのかもしれない。
――――相手の力量が分からない以上、うかつに手出しできないだろう。
「さて、っと。プラト、さっさとそのエールを飲んで支度するぞ」
「えっ、ご主人様? 今、ギルドに入って一息ついた所なん、ですけど……。後、これは酒ではなく、ただの果実汁、なんですけど」
「ふっ、これは確かにただの果実汁にしか見えないのかも知れない。
――――けれども、俺の中では常に、泡が弾ける酒が浮かんでいる」
そう、ハードボイルドな男が飲む飲み物と言えば、酒に決まっている。誰が決めたかは知らないが、少なくとも俺はそう決めている。
そして――――ハードボイルドな男ってのは、こういう事もする。
「――――女の依頼を拭い去る、それがハードボイルドってやつだ」
依頼人の名前は、"テイカ・アンダーソン"。
この湖の惨状に対し涙して、どうにかしたいと悩んでいる女である。
「女の依頼ならば、俺の方から解決に赴くさ。
――――それが、ハードボイルドな男の生き方、ってやつだ」
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