拳銃スキルで異世界探訪~銃スキルは優秀、ただし使用者も優秀とは限らない~

摂政

文字の大きさ
7 / 21

情報収集こそ探偵の本質! ハードボイルドに!

しおりを挟む
 ハードボイルドの代表格たる仕事。
 俺がそれを選ぶとするならば、やはり"探偵"であろう。

 難しい事件も手がかりをさっさと見つけ出し、どんな複雑な謎も探偵の前ではすぐさま答えを導き出される。それが探偵、ってやつだ。

「探偵の基本は、情報収集。どんな難しい事件だって、まずは情報を集めなければ解決できない。
 ――――いくぞ、プラト。クエスト解決のために、地道ながらも重要な作業だ」

「……あっ、あのご主人様? その格好、なん、ですか?」

 ――――格好? あぁ、この素敵な格好の事だろうか?
 茶色いコートと、頭には深めの帽子。黒いサングラスに、マスクをつけて――――どう考えても、危ないやつのかっこ……いや、カッコいい探偵の姿である。
 客観的に見たら危なそうな感じがするかもしれないが、主観で見るとこれ以上カッコいい探偵の姿はない。
 ビバ、主観! 主観最高!

「――――よし、まずは情報収集だ。あのクエストを達成するためには、俺達は知らなきゃいけない事が多すぎる」

「……分かりました。とりあえず、なにを聞くんですか?」

「重要なのは、4つだな」

 1つ目は人数。正確な人数は分からなくても良いが、ある程度の人数が分かってないと俺達のようなタイプの冒険者は辛い。なにせ、弾数とかあるしな。一応、【再装填】で作れるとは言っても、戦闘中に悠長に銃弾作りを見逃すような相手とも思えない。なので、人数は聞いておくべきだ。
 2つ目は大きさ。"盗賊"と聞くと、普通は"人間の"というのが頭につくのかもしれないが、ここは異世界。色々な人種が居る中では、身の丈5倍以上の巨人だったり、空を自由に飛ぶ翼人だったりするかもしれない。と言う訳で、その辺は重要だ。大きさ、というよりかは、人種、と言い換えるべきかもしれないが。
 3つ目は武器。これはまぁ、相手にもよるが、銃を使うのか、剣を使うのか、あるいは蹴りを使うのか――――そう言った事は聞いておくべきだろう。相手との戦いの間合いの取り方にも影響して来るし。

「そして、4つ目。恐らく、これが一番重要となって来る。
 ――――そう、相手がハードボイルドであるかどうかという……」

「えっと、えっと、私、調べてきますね!」

 俺が言い切る前に、プラトはそそくさと村の中に走っていった。
 ……最後のこれが、一番重要だと言うのに、プラトは分かっていない。相手がハードボイルドであるかどうかというのは、この世界で最も重要視すべき事項だというのに。

 さて、俺もしっかり調べるとするか。
 この格好なら、探偵らしくっ! スマートに聞き込みが出来るに違いない! (確信)!



 ――――おかしい、何故かは分からんが情報収集が上手く言ってない気がする。
 今、俺が手に入れた情報は以下の通りだ。

・人数…恐らく、1人。
・大きさ…筋肉質の盗賊野郎。恐らく、人間。
・武器…恐らく、肉体での攻撃。
・ハードボイルドかどうか…分からない

「おかしい、こんなはずじゃなかったのに」

 テレビとかだとあれだぞ、こんな格好の探偵がさらーっと聞き込みするだけで、隠されていた財産の隠し場所やら、ドロドロの愛憎溢れる浮気の証拠やらを、まるで手に取るように分かるというのに。
 現実とドラマとでは違うという事か、いや、そうじゃないはずだ。

「そうか、大切な事を忘れていたんだ」

 良く分かった、いや、今までが間違っていたんだ。
 俺の方法は相手が話す内容に聞き耳を立てたり、それから質問して聞いていたりと、ごくありふれた方法。
 しかし、それが間違っていたんだ。
 確かに現代日本の探偵ならそれですんなりと解決したのかも知れない。だが、ここは異世界だ。

 現代には現代の、そして異世界には異世界のやり方がある。

 何もかも同じでは、すんなりといくはずがない。

「そうと決まれば、早速やり直しだ」

 俺はそう思い返し、再び情報収集に戻ろうとして――――

「たっ、ただいま戻りましたっ!」

 何故だか、めちゃくちゃ頑張って走って来ました感満載の、プラトに呼び止められる。

「ご主人様っ! プラトが完璧に、情報を収集してきましたので、早速ご報告させていただきますっ!
 ご主人様は、情報収集にいかなくて、けっこうですっ!」

「そう、か。そうかっ、やるな、プラト!」

 と、俺は情報収集に必須の""をしまう。
 そう、俺と言えば銃! 銃と言えば俺!
 それを探偵だからと使わないでいたのが間違いだった、とそう思い直して今からいこうとしていたのだが、プラトが頑張ったおかげで必要と無くなって良かった。

 なんだか、プラトの様子が変だ。
 まるで「主が変な行動をするのを止められた」とかいう感じの、すっごく安堵したような表情をしているが、気のせいだろう。俺の行動は、全く持って、ハードボイルド! つまりは、普通だからな。
 
「お前が情報収集に長けてるだなんて、これは良いな、うんっ!
 ――――それで、どういう事が分かったんだ?」

 そう聞くと、彼女はメモ帳(のようなもの)を取り出して、ペラペラとめくりはじめる。

「はっ、はいっ! えっと、まず人数なんですが、1人みたいです」

「1人、か。1人で湖の水をなくせるほどの実力者、ということか」

 魔法か、あるいはスキルか。
 どちらにせよ、それだけの実力を持っているという面においては、油断ならない相手である事は確かだろう。なにせ、1人でとなると話が変わって来る。
 これが100人や1000人など、それだけ大規模な奴らなら湖の1つくらいなら、なんとか出来るだろう。魔法がなくても、入れ物なんかに入れて運び出して。
 けれども、1人となると話は別だ。魔法を使う・使わない、スキルを使う・使わない以前に、その作業を1人でやるということだけでも、相当な体力……実力があってしかるべきだろう。

「それで、次に大きさなんですけど――――身長は1m90cm前後の、人族にしては大柄な身体。後、全身日焼けで、良い感じの小麦色になっているみたいです」

「人族。人間、か。
 ちなみにそれは確か、なのか? 人族じゃなくて、別の種族かもしれないぞ」

 身体が大きいという面から見れば、子供の巨人かもしれないし、あるいはなんらかの魔物が擬態しているのかもしれない。
 種族を特定するのってのは、それだけ難しいものなのだから。

 ちなみに、"小麦色の肌"ってのは、少し茶色みがかった、良く日焼けした肌のこと。
 俺のような転生者が広めたらしく、こっちの世界でも同じ言い方をするのかと感心したので良く覚えている。

「えっと、それに関しては――――"間違いない"、みたいです」

「……? だからその決め手を教えて欲しいんだが?」

「その点につきましては後ほど、です。
 それで武器なんですが……格闘主体、というより格闘だけみたいでして」

 なんだかはぐらかされた気分だが、まぁ、彼女なら後できちんと話してくれるだろう。
 格闘主体、となると、相手とは距離をとって戦うべきだな。
 近寄って相手に殴られたり蹴られたりと言った相手の有利な間合いよりも、届かない苦手な間合いを取って戦うのはセオリー、だからな。
 しかし、それが分かっただけでもデカい。うん、相手との戦いでこちらが有利に立てる。

「最後に――――なんで、人間かが分かった事についてなんですが……」

 最後は、"ハードボイルドかどうか"だろうに。
 まぁ、彼女にそれを話そうとした時には、彼女はもう既に調べに走っていたから仕方ないが。

「人間とそれ以外の判別の基準の1つに、ケタガキ十二神というのがあるんです」

「けだかき、じゅうに、しん?」

 プラトは何を言っている? 気高き銃に心が、しんがあるのは当たり前だろう。
 そうでなければ、ここまで惹かれる訳がないのだから。

「十二柱の、人間だけを愛する神々。彼らは私のような獣人、魔族といった種族には加護は一切与えずに、その強力な、世界を根本から変えてしまうような力を、人間だけにしか与えないのです」

 多くの種族が住まうこの世界において、人間達にしか加護を与えない12の神。それがケタガキ十二神。

 あらゆる物を切り裂く斬撃の鼠神、ネウヒ神。
 凍てつく息吹を操る吹雪の牛神、ウアトル神。
 一瞬で放たれる雷撃の虎神、ラノス神。
 星にて運命を変える占術の兎神、サシュミ神。
 古びたモノに命を灯す龍神、リュバッシ神。
 土地に恵みの雨を降らせる蛇神、ヘパーラ神。
 どこにでも届く風を吹かす馬神、ウパタウパタ神。
 万物の歩みを遅くしてしまう羊神、ヒチャナ神。
 芽吹く植物を咲かせる猿神、ルトリー神。
 侵略する炎を燃やす鳥神、リオン神。
 人々を照らす日輪の犬神、ヌウェン神。
 爆ぜる爆弾作りの名手たる猪神、シナムカ神。

 それぞれ個性豊かな、12の神。
 加護を与えた者に、神の姿を模した刺青の痣を与える12の柱。

「湖を占拠するその盗賊にあったそうなのです。
 人間のみの判別と強化がされてる事が分かる、ケタガキ十二神の一柱であるヌウェン神の痣が」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...