拳銃スキルで異世界探訪~銃スキルは優秀、ただし使用者も優秀とは限らない~

摂政

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盗賊は集う、トリプルフェイスとウルと名乗る

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 ‐‐‐‐盗賊ポチが死んだ。
 
 その情報は盗賊達の間で広く知れ渡った。
 ポチという名前こそ、どこかの子供がペットの動物につける名前みたいだが、その実力は本物であった。
 鍵開けや盗みの美しさとか、そういった技術的な面で優れているという所はなかったのだが、彼のその戦闘力と言うのはかねてから有名だった。
 そしてもう1つ、ポチの名が有名になった理由としては彼の仲間の存在もあった。

 実行リーダーにしてチームの中心。雷のように現れてすばやく去っていく、別名【雷雲盗賊】ことウル。
 作戦参謀。全ての状況を味方にして盗みを成功させる、別名【盗賊成功者】ことトリプルフェイス。
 見張り役。どんな相手でも必ず止めて盗みを手助けする、別名【盗みの高き壁】ことポチ。
 彼ら3人集まって盗賊3人衆、と言えばこの界隈では有名な話だ。

 盗賊による、盗賊のための、盗賊しか入れない、非合法な反営利組織。その名も盗賊ギルド。
 盗みの鮮やかさや、稼ぎ出した金額などで優劣を決めているこの盗賊ギルドにおいて、尊敬と敬意‐‐‐‐それだけの盗みをやってのけているという素晴らしさを称えて、彼ら3人は誇り高き名を貰っている。
 その3人のうちの1人、単なる見張り役とは言え、その一角が崩れたのだ。
 盗賊達の間で動揺が起こるのも当然だろう。


「‐‐‐‐ポチが死んだようです」
「そうか、ならばしかた、あるまい。2人、でやるか」

 けれども、その仲間であるウルとトリプルフェイスの2人は、ただ静かに、冷静に、情報として受け止めていた。他の盗賊達に動揺があったにも関わらず、一番動揺がありそうな仲間達からはなにもなかった。
 それは彼の実力を確かに理解しているとか、死んでも仲間との絆は永遠だとか、そう言った事情は何1つなく、ただ単に情報として受け入れてるだけだ。
 薄情かと思われるかもしれないが、それが盗賊なのだから仕方あるまい。

「しかし、ポチがいないと作戦の幅が減るのでその辺りは残念ですね」

 そう言うのは、盗賊3人衆の1人であるトリプルフェイス。
 全体的に細身で、痩せ細っており、骸骨のような男。背中にはなにかが大量に詰まったバックを背負っており、フードも被っているから、まるで死神のようである。

「しかた、あるまい。われわれ、盗賊。いつ死ぬ、分からない身」

 とぎれとぎれにそう語るのは、盗賊3人衆のリーダー格であるウル。
 トリプルフェイスとは対照的に、こちらは全身がもふもふとした毛で覆われており、着ぐるみかなにかを被っているかのような印象を受ける。毛で隠れてはいるが、所々に見える肌からはしっかりと鍛え抜かれた男の健康的な筋肉が垣間見えていた。

「いえいえ、これから起こすのは大事な戦。そう、盗賊にとっては盗みこそが冒険であり、戦なのです。
 戦では火刑や水攻め、兵糧攻めなど様々な手段を講じて、相手を叩きのめしますよね? 盗みだってそうです、色々と手段があった方が良いに決まっています。なので、ここでポチがいなくなったのは正直問題かと……」

「作戦、に、変わりない」

 そう断言するウルに、トリプルフェイスはため息を吐く。

「第2、第3……そう言った策があった方がより良いに決まってるんですがね。仕方ありませんか。
 ならば当初の予定通り、行きますが問題はありませんか? リーダー?」

 コクリと、頷くウル。それを見て、トリプルフェイスは了承してくれたので早速とばかりに、ウルの前に紙を広げる。

「良いですか、ウル様。もう1度、確認させていただきましょう。
 今回のターゲットは、貴族……それも裏組織と関係のあるような、色々ときな臭い噂のある貴族です。ターゲットの家には大量の金銭、そして例の"アレ"もあると思います。
 本来はポチと合流して、色々と目立つポチに引き付けて貰っている間に2人で盗む手はずでしたが、ポチが居ない以上は私がその役目を全うするしかありませんね。やはり」

「それで、いこう」

「了解しました、それでは手はず通りで」

 そして、ウルとトリプルフェイスの2人は、アジトから出ていく。
 ウルの手には虎の牙、トリプルフェイスの手には猿の尻尾と、それぞれケタガキ十二神のうちの1柱を思わせる刻印が刻まれていた。
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