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第231話 ススリアとソラ【決戦の大格闘配信】(4)
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「冷えた身体が温まり始まりました」
ソラがそう言うように、彼女の身体を覆っていた冷気は、今や赤い熱気へと変わっていた。
彼女が纏っている魔法魔道具【整う身体】が、次の段階へと進んだという意味なのだろう。
「それでは、攻撃を一段、上げさせていただきます」
----しゅっ!!
「(速っ----?!)」
ソラの速さは、先程よりも明らかに速くなっていた。例えるならば"カタツムリの足"と"人間の足"、比べる間でもない段違いの足の速さである。以前の速度ですら、超人級だったのにも関わらず、どこまで速くなるのだか。
「(攻撃力はさほど上がってはいないようだけど、そもそも彼女の破壊力は凄まじかったから、些細な問題だろう)」
未だに、防いだ両腕が痺れているよ。どれだけ馬鹿力なんだか。
超高速のスピード、絶大なる破壊力、そしてこっちが力を込めてようやく破れるかどうかという筋肉の鎧。
アマゾネス、厄介すぎるでしょう。
あー、こりゃあ負けた方が速いかもしれない。
そもそも私は、ただ巻き込まれただけ。
ドラスト商会のために身体張る筋合いもないし、そもそも戦いが終わるまで【競争会場】が続くんだったら、ここで私が潔く負けて、【競争会場】を終わらせるという選択もある。
「でも負けたら、自分の良い所をアイテムとして奪われるでしたか」
私の場合、それは恐らく【前世の記憶】でしょうね。
私が錬金術師として評価されているのって、大体がこの記憶から再現して生み出した魔道具のおかげですし。
魔法状態の【競争会場】では、戦闘にかかった時間分、相手を模した藁人形を獲得できるという仕様だった。そしてその藁人形を痛めつける事で、負けた相手を痛めつけられるという仕様だった。
その仕様が、魔法魔道具化された今、どういう仕様になっているかは分からない。私達が相手を倒して獲得した【健脚】や【毒耐性(EX)】などの"相手の長所"が、もしかすると実体化したまま永遠に戻らないという仕様になっている可能性もある。
あーもう、戦う前にその辺どうなってるのか聞いておけば良かった!
「もう! 迂闊に負けられないじゃないですか!」
私はそう言って、身体全体に【オーラ】を流し込む。
先程までは身体を覆っていただけの【オーラ】を、皮膚に、血液に、細胞に、余すことなく注ぎ込む。そうする事で、【オーラ】の力によって、私の身体が徐々に変わって行く。
身体は分厚い鋼鉄の皮膚で覆われ、腕や足もソラに勝るほどの強靭な筋肉がついていた。
さらに、鋼鉄の皮膚が真っ赤に輝き、身体の真ん中には無限大を意味する、あのマークが刻み込まれていた。
そして、顔の周りには、獅子を思わせるタテガミが付いていた。
「名付けて、【伝説獅子変身】! これで倒させて貰いましょう!」
これは、身体全体に【オーラ】を注ぎ込む事によって、身体そのものを変化させる技。
細胞1つ1つを【オーラ】によって、私の身体をライオンの獣人族へと変えた。ライオンの獣人族にしたのは、かの獣人族の姿になるのがこの対決では合っていると思ったから。
ライオンの獣人族は、その猛獣としての獰猛さ、そして立派なタテガミを備えた威風堂々とした姿から、かつてこう呼ばれていた。
----獣人の王、と。
「姿を変えたところで、その程度っ!!」
ソラはそう言って、私に向かって突っ込んできた。
それはいままで見せてきた速度の何倍も速く、そして鋭い一撃であった。
----がしっ!!
しかし、それは王には通じなかった。
「なっ……!?」
「悪いな、ソラさんよ。この姿、加減が出来ないから」
----しっかり、受け身を取ってね。
私はそう強く思いを込めて、高速で突っ込んできたソラを、地面へと叩きつけるのであった。
「かはっ……!?」
血反吐を吐いたソラに対して、私はガシッと彼女の腕の部分を掴む。
「【見通す蛇の眼】、彼女の身体の魔法魔道具の位置を特定せよ」
『命令受諾。位置、鑑定』
【見通す蛇の眼】の力により、彼女がつけている【整う身体】の位置を特定する。そして、特定した【整う身体】を、強引にもう片方の腕で引きちぎった。
「これで、もう体の調子は整えられないぞ」
「……いえ、十分温まりました!」
彼女はそう言って、私の身体に蹴りを叩きこむ。
「----?!」
「残念ながら、それではダメージにならないんですよ」
と、ソラのアマゾネスとしての全力の蹴りを受けても、無傷な腹を見せながら、私はそう言うのであった。
(※)【伝説獅子変身】
ススリアが、全身の血液や細胞に対して、【オーラ】を注ぎ込んで、自らの身体を錬金術によって強引に変化した姿。獣人の王と呼ばれた、古のライオンの獣人族の身体へと自らを変質している
アマゾネスであるソラ・ハンドラを倒すために、ススリアが「百獣の王ライオン」という前世の知識から、ライオンの獣人族の姿へとなった
一説には「傲慢」の象徴的動物ともされたライオンの獣人族となる事で、相手を一方的に蹂躙する圧倒的な上位種としての身体能力を手に入れ、さらには硬すぎる鋼鉄の皮膚により、下等な愚民たちの攻撃を寄せ付けないような、頑丈すぎる身体となる
注ぎ込まれた【オーラ】は、彼女の身体の中心にある【∞】の中でぐるぐると回転し続けながら、強引に変化したこのススリアの姿を維持し続けている
ソラがそう言うように、彼女の身体を覆っていた冷気は、今や赤い熱気へと変わっていた。
彼女が纏っている魔法魔道具【整う身体】が、次の段階へと進んだという意味なのだろう。
「それでは、攻撃を一段、上げさせていただきます」
----しゅっ!!
「(速っ----?!)」
ソラの速さは、先程よりも明らかに速くなっていた。例えるならば"カタツムリの足"と"人間の足"、比べる間でもない段違いの足の速さである。以前の速度ですら、超人級だったのにも関わらず、どこまで速くなるのだか。
「(攻撃力はさほど上がってはいないようだけど、そもそも彼女の破壊力は凄まじかったから、些細な問題だろう)」
未だに、防いだ両腕が痺れているよ。どれだけ馬鹿力なんだか。
超高速のスピード、絶大なる破壊力、そしてこっちが力を込めてようやく破れるかどうかという筋肉の鎧。
アマゾネス、厄介すぎるでしょう。
あー、こりゃあ負けた方が速いかもしれない。
そもそも私は、ただ巻き込まれただけ。
ドラスト商会のために身体張る筋合いもないし、そもそも戦いが終わるまで【競争会場】が続くんだったら、ここで私が潔く負けて、【競争会場】を終わらせるという選択もある。
「でも負けたら、自分の良い所をアイテムとして奪われるでしたか」
私の場合、それは恐らく【前世の記憶】でしょうね。
私が錬金術師として評価されているのって、大体がこの記憶から再現して生み出した魔道具のおかげですし。
魔法状態の【競争会場】では、戦闘にかかった時間分、相手を模した藁人形を獲得できるという仕様だった。そしてその藁人形を痛めつける事で、負けた相手を痛めつけられるという仕様だった。
その仕様が、魔法魔道具化された今、どういう仕様になっているかは分からない。私達が相手を倒して獲得した【健脚】や【毒耐性(EX)】などの"相手の長所"が、もしかすると実体化したまま永遠に戻らないという仕様になっている可能性もある。
あーもう、戦う前にその辺どうなってるのか聞いておけば良かった!
「もう! 迂闊に負けられないじゃないですか!」
私はそう言って、身体全体に【オーラ】を流し込む。
先程までは身体を覆っていただけの【オーラ】を、皮膚に、血液に、細胞に、余すことなく注ぎ込む。そうする事で、【オーラ】の力によって、私の身体が徐々に変わって行く。
身体は分厚い鋼鉄の皮膚で覆われ、腕や足もソラに勝るほどの強靭な筋肉がついていた。
さらに、鋼鉄の皮膚が真っ赤に輝き、身体の真ん中には無限大を意味する、あのマークが刻み込まれていた。
そして、顔の周りには、獅子を思わせるタテガミが付いていた。
「名付けて、【伝説獅子変身】! これで倒させて貰いましょう!」
これは、身体全体に【オーラ】を注ぎ込む事によって、身体そのものを変化させる技。
細胞1つ1つを【オーラ】によって、私の身体をライオンの獣人族へと変えた。ライオンの獣人族にしたのは、かの獣人族の姿になるのがこの対決では合っていると思ったから。
ライオンの獣人族は、その猛獣としての獰猛さ、そして立派なタテガミを備えた威風堂々とした姿から、かつてこう呼ばれていた。
----獣人の王、と。
「姿を変えたところで、その程度っ!!」
ソラはそう言って、私に向かって突っ込んできた。
それはいままで見せてきた速度の何倍も速く、そして鋭い一撃であった。
----がしっ!!
しかし、それは王には通じなかった。
「なっ……!?」
「悪いな、ソラさんよ。この姿、加減が出来ないから」
----しっかり、受け身を取ってね。
私はそう強く思いを込めて、高速で突っ込んできたソラを、地面へと叩きつけるのであった。
「かはっ……!?」
血反吐を吐いたソラに対して、私はガシッと彼女の腕の部分を掴む。
「【見通す蛇の眼】、彼女の身体の魔法魔道具の位置を特定せよ」
『命令受諾。位置、鑑定』
【見通す蛇の眼】の力により、彼女がつけている【整う身体】の位置を特定する。そして、特定した【整う身体】を、強引にもう片方の腕で引きちぎった。
「これで、もう体の調子は整えられないぞ」
「……いえ、十分温まりました!」
彼女はそう言って、私の身体に蹴りを叩きこむ。
「----?!」
「残念ながら、それではダメージにならないんですよ」
と、ソラのアマゾネスとしての全力の蹴りを受けても、無傷な腹を見せながら、私はそう言うのであった。
(※)【伝説獅子変身】
ススリアが、全身の血液や細胞に対して、【オーラ】を注ぎ込んで、自らの身体を錬金術によって強引に変化した姿。獣人の王と呼ばれた、古のライオンの獣人族の身体へと自らを変質している
アマゾネスであるソラ・ハンドラを倒すために、ススリアが「百獣の王ライオン」という前世の知識から、ライオンの獣人族の姿へとなった
一説には「傲慢」の象徴的動物ともされたライオンの獣人族となる事で、相手を一方的に蹂躙する圧倒的な上位種としての身体能力を手に入れ、さらには硬すぎる鋼鉄の皮膚により、下等な愚民たちの攻撃を寄せ付けないような、頑丈すぎる身体となる
注ぎ込まれた【オーラ】は、彼女の身体の中心にある【∞】の中でぐるぐると回転し続けながら、強引に変化したこのススリアの姿を維持し続けている
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