俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
23 / 354
第1章『俺の召喚獣だけレベルアップする/雪ん子の章』

第23話 さすらいの幽鬼(3)

しおりを挟む
「----さぁ、蹂躙の時間だ」

 俺の指示と共に、大量のスケルトン達が3体しかいない敵スケルトンめがけて突っ込んでいく。
 彼らは【優しい木こりの鞭】の力によって、全員が俺の能力の一部を加味されている。

 ガチガチの戦闘職ではない、【召喚士】の俺の身体能力は、さほど高くないだろう。
 だがしかし、スケルトンとは、元々、《骸骨がなんらかの力によって動き出すようになった》という体の召喚獣であり、その身体は硬くないし、動きもさほど速い訳じゃない。
 そんなスケルトン達が多少なりとも、攻撃力や防御力、さらには素早さなどが上がるとどうなるだろうか。

 今のスケルトン達は、劣化版の強化服パワードスーツを着こんだような状態だ。
 より力強く、より素早く、我がスケルトン陣営の行動は素晴らしかった。
 相手のサイドキック・スケルトン達はそれぞれの得物を構えて対応するも、明らかに劣勢であった。

 短刀持ちの敵スケルトンは1体程度ならば倒せてるが、その後ろから来る10数体のスケルトン達相手は防ぎきれないみたいだ。
 同じ理由で弓持ちの敵スケルトンも、それから大楯と大剣の2つ持ちの敵スケルトンの方も、明らかにこちらの方が上手くいってる。

「(やられてるのは10体もないし、あまりに戦力を過剰に用意しすぎたか? まぁ、本命はコイツラじゃないから、良いか)」

 続いて、本命の幽鬼退治に戦力を回そうかと考えていると、スケルトン達の一団が吹っ飛ぶ。
 幽鬼の攻撃かと思っていると、吹っ飛んだスケルトンの中には凍った状態で吹っ飛んだのもいる。

「どうやら、幽鬼と雪ん子の戦いの余波で吹っ飛んでるみたいだな」

 2人の戦いはスケルトン達が多すぎたからか、全然見えないのだが、かなり激しいみたいである。

「よしっ! 他のスケルトン達も、2人の戦いに行って来い!」

 【優しい木こりの鞭】で叩いてそう命令すると、俺の指示と補助効果を受けたスケルトン軍団はそのまま雪ん子達との戦いに参戦していった。

 大量のスケルトン達を突入した目的は、あくまでも攪乱だ。
 幽鬼が大量のスケルトン達に混乱しているところで、雪ん子が一撃を加えられるチャンスを増やすのが目的だ。
 雪ん子に誤って当ててしまう可能性もあるが、それくらいのフレンドリーファイア(※1)は勘弁してもらいたい。
 なにせ、雪ん子だって、うちのスケルトンの一群を凍らせているしな。

「まぁ、全員って訳じゃないが、なっ!」

 俺はくるりと、自分の背後に向かって【優しい木こりの鞭】を振るう。
 後ろへと振られた鞭は、そのままぺちんっと、何かに跳ね除けられて手元に戻ってくる。

《ギャアアー!》
「やっぱり生きてたか、サイドキック・スケルトン」

 俺はすぐさま周囲にいた味方スケルトンに鞭を与えて、サイドキック・スケルトンの討伐を指示する。

 スケルトンを初めとする屍鬼系の魔物や召喚獣は、体力が低いが、その分再生能力が高い。
 浄化能力などでない限り、スケルトンを完全に倒すことは不可能だ。
 倒したはずのサイドキック・スケルトンが復活したのはそういう理由だが、それはつまり俺のスケルトン達も同様って意味だ。

「サイドキック・スケルトンが何度復活しても構わない。俺のスケルトン軍団も、復活しても文句を言うなよ?」

 サイドキック・スケルトンを倒すには、恐らく浄化能力ではなく、あいつらの主たる幽鬼タケシ・ハザマを倒せば、彼らも消えるだろう。
 俺の役目は、サイドキック・スケルトンを足止めし、雪ん子が幽鬼を倒すまで時間を稼ぐ事だけだ。

 それからしばらく、俺のスケルトン軍団が華麗に吹っ飛ぶ姿を眺めていると、メッセージウインドウが俺の勝利を告げた。



 ===== ===== =====
 幽鬼タケシ・ハザマが 倒されました
 ダンジョン介入を 削除します
 限定的結界が解け ダンジョンから 出られるようになりました
 ===== ===== =====



「思ったよりも、呆気なかったな」

 なんというか、戦ったという実感がまるでない。
 大量の軍隊を指揮し、気付いたら標的を倒していたという感じである。

 きっと、世界中で戦争の火種がなかなか消えないのは、こういう事なのだろう。
 ボタンを1回押したら勝手に戦争が始まって、気付いたら作戦終了って言うね。
 ----あんまりのお手軽っぷりに、もう一度やりたいくらいだよ。

「さて、それじゃあこのスケルトン軍団はどうしようか」

 俺はそう言って、フロアを埋め尽くさんばかりに広がるスケルトン軍団の処遇を考える。
 ボス戦はこれで良いが、流石にこの大人数での行軍は無理だろう。
 ダンジョンで、パーティーメンバーが4人編成が多いのも、あまり大人数だと戦いだけじゃない、行軍に影響が出るからだし。

「送還……はメリットがないな。確実に何体かはやられているだろうし」

 軍団レギオン形式で召喚する事の最大の欠点は、これだ。
 1体でもやられてしまっている場合、送還できても魔力が回収できないのだ。
 送還は召喚獣を送り返すことで魔力を回収するスキルなのに、魔力が回収できないのなら意味がないからな。

「かと言って、スケルトンは倒されはするけれども、完全に倒すことが出来ないという厄介な性質があるしね。どうやって消そうかな?」

 まぁ、最終的な結論としては、魔力の回収を諦めての送還、ってな具合になるとは思うんだけれどもね。

「さて、それじゃあ早速----」

 送還を開始しようとしたのだが、俺は目の前がすっきりしていることに気付いた。
 目の前に映るのは、草木ばかり……つまりは、スケルトンが一切見えない、《木こりが暮らす水辺》の風景そのもの。

 フロアを埋め尽くしていた、あの白いスケルトン軍団の姿は1体も見えなかったのである。

 代わりに居たのは----骨の欠片を踏んづける、黒い着物の幼女。

 愛らしい顔ながら、その顔は愉悦といった悪どい表情を浮かべており。
 両手足は黒く禍々しい手袋をしており、背中にはひらひらとたなびかせる黒いマントをつけていた。


 ===== ===== =====
 警告!! 警告!!
 召喚獣が ルトナウムに 干渉を 受けています
 雪ん子は 強力な人の悪意を 持っております
 ルトナウムによる 変異が 開始されました

 雪ん子は 《悪の手先》雪ん子に 変異しました


 【《悪の手先》雪ん子】 レベル;Ⅱ+11 
 個体レベル;11
 装備職業;悪の剣士
 攻撃力;F+11
 属性攻撃力;E+2
 防御力;F+11
 素早さ;F+12
 賢さ;D+26

 固有スキル;【氷結の申し子】;全ての攻撃に対し、氷属性を付与する
      ;【悪の申し子】;全ての攻撃に対し、悪属性を付与する

 後天スキル;【剣技】;剣などの武器を持つ時、強力な技を発動する
      ;【嗜虐性】;相手を痛がらせるほど、ステータスが上昇する
      ;【殺意の目】;敵の弱点を瞬時に見抜くが、殺人衝動が起きるようになる


 なお、召喚士のレベルよりも 召喚獣のレベルが高いため 制限を解除します
 殺される可能性が あります
 注意して ください
 ===== ===== =====



「雪ん子……?」

 それは、俺が知ってる雪ん子と服が違っていた。
 それはまるで、課金ゲームをやっていた時に見た、期間限定衣装(※2)に身を包んで、能力が上昇、変化するのと良く似ていた。
 そして、一番の違いは----

「《アァ……主……。殺サセテ、モットいっぱい殺サセテっ!
 ソレガだめナラ、主を殺サセテよッ!》」

 雪ん子が俺に、殺意を向けているところである。





(※1)フレンドリーファイア
 戦闘時に誤って、味方に攻撃してしまう事。意図的、無意識的のどちらであろうと、味方に傷を与えてしまった場合、これに該当する
 武器やスキルのほとんどは最初からフレンドリーファイアが起きないように設定されてるが、これを解除した武器やスキルの方が威力が高いモノが多い

(※2)期間限定衣装
 アプリゲームなどで見られる、通常のキャラの衣装とは違う、特定の季節や行事などに合わせた特別な衣装のこと。衣装を変える事でレア度レアリティーや特殊能力などの上昇や変更などが見られる
 水着や浴衣、ハロウィンなどのコスプレなど、種類も色々ある
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

処理中です...