俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
35 / 354
第1章『俺の召喚獣だけレベルアップする/雪ん子の章』

第35話 岡本・S・太郎(1)

しおりを挟む
「行くぜぇぇぇぇ!!! 大爆発エクスプロージョンだぜぇぇぇぇぇぇ!!!」

 ----どっかぁぁぁぁぁぁぁんんんんんんっっっ!!!

 いきなりの爆風に、俺は慌てて目を閉じていた。
 
 目を開けると、そこでは俺の召喚獣達と、岡本・S・太郎の戦いが繰り広げられていた。



 岡本・S・太郎がばくだんいわを放り投げると、彼の足元にある蜃がパカッと口を開けて、大量の水蒸気を吐き出す。
 大量の水蒸気は放り投げられていたばくだんいわを押し出し、そのまま雪ん子とファイントの前で爆発する。

「『無駄、デス!』」

 雪ん子は剣で床を切り上げ、それを自身の凍らせる能力で壁としていた。
 それによって、ばくだんいわの爆風から、爆破の衝撃から身を守っていた。

「そしてこちらは、お返しの【ハリケーン=ブレード】!」

 そして、爆破から身を守ってくれた壁の上へと立ったファイントは、そのまま青魔法を発動。
 プロペラを回して『竜巻を生み出す』スキルと、気絶効果を与えた武器で『相手を殴る』スキルを組み合わせて、『相手を殴る』『竜巻を生み出す』スキルとして、放った。

 それはまさに暴力の嵐であった。
 殴る拳の形のまま、竜巻はグルグルと回転しながら威力を上げつつ、岡本・S・太郎の方へと向かっていた。

「ばくだんいわ、Go!」

 彼は手元に残していた方のばくだんいわを爆破させると、その爆風で自分を吹き飛ばし、同時に暴力の嵐たるファイントの青魔法の威力も弱めていた。
 爆発をもろに食らっていると思うが、恐らくは蜃が大量に霧を吐き出す際の反作用で、ほとんどダメージにはなってないだろう。

「(2匹のばくだんいわを一方は攻撃用、もう一方は防御用にと振り分けているのか)」

 ばくだんいわは、爆発する岩の召喚獣。
 爆破は彼らにとっては呼吸のようなもので、【剣士】が剣を振って技を出すのと同じように、【魔法使い】が魔法を放つのと同じように。
 ばくだんいわにとって、爆発は、ただのスキルでしかなく、爆発では死なない。

 その爆発を攻撃と防御に分け、対戦しているのか。

「(上手い手だ、真似したくなるくらいの)」

 だが、それが通じるのは、相手が同じレベルの召喚獣しか使えない場合だろう。

「《まだマダぁ!》」
「え? 爆発しか能がないんですか? そーんなので、この私達の最強召喚獣タッグに、敵うとでも~?」

 俺の召喚獣は、ほとんどダメージを喰らってない様子だった。
 雪ん子はレベルⅡ、そしてファイントはレベルⅠとは言っても、聖霊型召喚獣なる特殊な召喚でしか出せないレア召喚獣。
 相手がただの召喚獣である限り、こちらの勝ちは目に見えていた。

「(----だが、こんなのがチャンピオンの戦術なのか?)」

 3回戦の相手として出てくるという事は、この戦術でランクⅠ召喚獣大会を突破しているという事。
 正直言って、この戦術で突破で来たとは思えない。
 俺のようにレベルが高い以外にも、例えば防御力だけが異常に高い召喚獣を1体置けば、コイツの戦術はまるで役に立たない。

 チャンピオンだから、なにか特別な構成で来るかと思えばただの爆発厨パーティーだし。
 蜃を出してきたときにはなにをするのかと思えば、やってる事は霧ではなく、水蒸気を出すホバーボードのように逃げ回るだけ。

 大人気のポ〇モンと同じく、レベルさえ十分上げとけば、ごり押しできるだけか。



「《ぐふっ……?》」

 しかしその油断は、雪ん子が吐血したことにより、崩れ去った。

「雪ん子?!」

「いやーぐふっ! 攻撃はぜんぜーんぐふぐふっ食らってないし、ド〇クエ風に言うなれば"こうげきが はずれた"か、もしくは"0 ぽいんとの だめーじを うけた"だと思うんですがぐぶっ!!!」

 と、雪ん子だけではなく、ファイントの方まで吐血しだした。
 しかもファイントの方が吐血量が多い、恐らくはレベル差的な問題だとは思うが。

「(こいつ、一体何をした?)」

 いや、何をしたかはもう分かってる。

 -----爆発だ。

 コイツがしているのは爆発するか、水蒸気の霧で逃げるかの2択くらいだ。
 それ以外にはアイテムを使っている様子もなく、蜃に幻の霧を出させたりと別の行動を起こしている様子もない。

 ただばくだんいわを爆発させまくり、蜃で逃げ惑っていると、俺の主戦力の2体の召喚獣がやられていた。
 それもダメージなんて喰らえないくらいの、レベル差という壁があるにも関わらず、だ。

「なるほど、この方法こそが岡本・S・太郎の戦い方って訳ね。確かに強力だわ」

 何をしているかはまだ見当も付かないが、それでも恐らくはこの戦術で岡本・S・太郎は優勝したのだろうと言うことは分かった。

「その戦術……俺も理論さえ分かれば、使いたいくらいだ。
 ----だから、見抜かせてもらおう」

「芸術は、大爆発! 大爆発こそ、芸術だぁぁぁぁぁ!!!
 【召喚士】とは、召喚で終わりじゃねぇ! 作戦こそ、戦術を生み出してこそ、対策が完了してこそ、召喚獣を輝かせてこそ、最高の芸術だぁぁぁぁ!!!」

 ……聞いちゃいねぇ。
 まぁ、相手は本人ではなく、ただダンジョンが作った幻影に過ぎない。
 戦い方や台詞は真似できても、本人じゃないからな。

 だが、"召喚で終わりじゃない"って言葉だけは、気に入った。

「【召喚士】は召喚したら終わりじゃないんだな。召喚獣がこういう状況の時、どうすれば良いかを考えるのが、もっとも重要な事だと理解したぜ」

 今まで俺は、そう思っていた。
 準備さえしっかりと出来ていれば、後は蓋を開けてどうなるかを確かめるだけ。
 召喚獣を強化魔法バフとかで強化できない、ただ召喚するだけの【召喚士】にはこれくらいしか出来ないと思っていた。

 だが違うようだ。

 本当は、【召喚士】とは、相手が意味不明な攻撃をした際に、どういう指示を出せば対処できるかを考えるのが、役割だ。
 俺はこの戦いで、岡本・S・太郎の意味不明な攻撃で、そう理解した。

「流石は、【召喚士】の先輩だ。勉強になるぜ」

 じゃあ、これからは俺のターンだ。

 岡本・S・太郎、お前がどうやって俺の召喚獣に攻撃したのか、解明させてもらおうじゃないか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。 で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか? 異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕! 異世界帰りのハーレム王 朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...