俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第2章『新たな召喚獣、新たな世界/ファイントの章』

第78.5話(リクエスト) とある【着ぐるみ】冒険者の諸事情(2)

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 ※今回の番外編は、ネムぃさんのリクエストによる、他の一般的な冒険者のお話【第2弾】です!!
  本編とは別の場所で起きている事件……くらいの認識でお願いします!!
  カクヨムで《お好み焼き》赤鬼なる、番外短編を書いたので、そのノリと勢いを消さないために書きました!!
  それでは、スタート!!


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 オレの名前は、有賀刀祢。
 神の悪戯か、高火力【剣士】ではなく、【着ぐるみ】などと言う職業になってしまった冒険者である。
 そして、【着ぐるみ】となってしまったせいで、元々組んでいたパーティーを追放されてしまった者である。

 パーティーを追放されたオレは、新たに2人の冒険者とパーティーを組むことにした。
 【吟遊詩人】なのに短刀を使った暗殺術が得意と言う、三日月三言。
 派手な見た目とは裏腹に小心者の、【弓使い】の山田花子。

 既にこの3人で、1か月近く冒険して、最初は慣れなかったが、それなりに安定してきた。
 この前は、Eランクダンジョン《海辺の夜明け》のボスも倒せたし。
 Eランクを軽く片付けられるようになったから、1つ上のダンジョン、Dランクダンジョン《無限の封印遺跡》に向かったのも間違いじゃないんだ。

 ただ、このダンジョンは----オレが前のパーティーで、最後に一緒に冒険してたダンジョンだってだけで。
 2人には、何の問題もないのだ。


 追放されたことに恨みがあるかと言われれば、多少はあるが、そこまで大きくはない。
 元々、剣を使い捨てにする代わりに、高火力を発揮できるという強みがあるからこそ、俺はそのパーティーに所属させてもらったのだから。

 前のパーティーは前衛を俺と【騎士】、後衛を【魔法使い】と【忍者】という、パーティーでやっていた。
 【騎士】の彼女が敵を倒していき、ボスや強敵の際は俺の剣消費前提の瞬発的高火力攻撃をする。
 【魔法使い】は指示を出しながら、適宜、得意属性たる土属性の魔法を放つ。
 【忍者】は短刀と手裏剣で、全体的な底上げをする、と言う編成だった。

 まぁ、簡単に言えば、俺と言う高火力がなくても良い、バランスが取れたパーティー。
 俺は強敵専門の、パーティーの切札的な役目だったし、瞬発的高火力を失った俺はお払い箱が相当だ。
 俺が居なくても、あのパーティーなら無理さえしなければ、普通に戦えるしな。

「(----まっ、気にしてないけど。ほんと、全然。これっぽっちも。
 うん、本当に。全然、まったく)」

 そうだよ、俺のモットーは、座右の銘は、【人生万事塞翁が馬】!!
 良い事も悪い事も、後になって見ないことには分からない。
 だから悩むなんて勿体ないという、安易に喜んだり悩むなんて、バカらしいっていう----。

「あのさ」

 と、オレが自分をそうやって励ましていると、いつの間にか、三言がオレの前に立っていた。
 最初にあったあの時と同じく、つまらなさそうな雰囲気で。
 彼女は短刀をオレの心臓にいつだって突き刺せるような形で、オレに問いかける。

「さっきから、なに?」

 ざっくりとした問いだった。

「なにって、なんかオレ、した?」
「いや……なんていうか、花子を見捨てて、先行ってるじゃん」

 「後ろ見てみ」と言うので、振り返ると、そこには岩陰に隠れながらもゆっくりこちらへ近付くパーティーメンバーの姿が。

「(----しまった!!)」

 【着ぐるみ】という職業になったが、オレが戦士などの近接系統の職業であるのは変わらない。
 対して、【弓使い】の山田花子は遠距離系統----つまりは後ろからの攻撃を主に行う職業。
 同じオーラ系統ではあるのだが、彼女とオレとでは、オレの方が身体能力は高い。

 だから、オレが先に先にと言ってしまったせいで、このような距離が出来てしまったのだろう。
 
「花子はさ、そりゃあ【弓使い】で後ろから攻撃するし、本人の性格的な面もあるから前に前に来るタイプじゃないけど」
「それは……この1か月で、身に染みて分かってる」

 山田花子----彼女が冒険者として活動する理由は、命題だ。
 《弓の集中力が上がる代わりに、見た目が派手になる》という、地味で目立たないを信条として生きてきた、小心者の彼女にとっては、この命題は絶望通告に等しかったのだそうだ。

 だからこそ、冒険者として活動して、この命題を変える事が出来るアイテムを見つける。
 これが、山田花子が冒険者として戦う理由なのだそうだ。

「なに、いつもだったらこんなに先に行かないじゃん? 焦ってんの?」
「かも、しれないな」

 いつもだったら、彼女の心情や性格を考慮して、ある程度、テンポを落としてダンジョン攻略をしている。
 いくら後ろから攻撃する【弓使い】と言っても、下がりすぎも良くないしな。

「すまない、ちょっとこのダンジョンに気を取られていた」
「いや、うちに謝られても」
「確かに、そうだな……すまない、花子!!」

 大きな声で謝るように言うと、後ろの方から


「ぜんぜぇん、だいじょうぶでしゅぅぅぅぅぅ!!」


 などという返答が帰ってきた。

「三言、気付かせてくれて、ありが……」
「…………」

 三言にもお礼を言おうとするのだが、彼女は言いたい事は言ったとばかりに、ヘッドフォンを耳に当てて、こちらの声をシャットアウトしてしまう。
 まるで、オレの声なんか聴きたくないとでも言わんばかりである。

「(そう言えば、なんで三言が冒険者になってるのかは聞いたことがなかった)」

 オレの、苦学生なりの貧乏脱却術。
 山田花子の、小心者なりの命題撤回術。

 オレと花子が、冒険者として頑張る理由はそうやって話してきたつもりだが----


 ----三日月三言、常にダンジョン内でヘッドフォンをしている、歌わない【吟遊詩人】。
 彼女は、なんでダンジョンに潜っているのだろう?


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 オレ達のパーティーは、Dランクダンジョン《無限の封印遺跡》をどんどん進んで行った。
 前のパーティーで進んだ時よりも、ダンジョンの攻略スピードは速かったと思う。
 まぁ、以前のパーティーはバランスが取れたパーティーであって、三言と花子との今のパーティーは、簡単に言えば攻撃特化パーティーだしな。



「----ピピピピッ!!」

 ダンジョンを進んで行くと、いきなり一つ目の機械兵が数十体現れる。
 この《無限の封印遺跡》を徘徊する、一般的な魔物----《機械兵士マシンソルジャー》である。


 ===== ===== =====
 【機械兵士マシンソルジャー】 レベル;Ⅱ
 太古の世界に生み出された、機械兵の魔物。遺跡型のダンジョンで多く見られる魔物であり、一部分が破壊されても他の機械兵士と挿げ替えるために、簡易的な設計思想により作られている
 目の多さによって対応できる情報量が決定されており、目が多いほど強いとされている
 ===== ===== =====


「おっ、らぁぁぁぁ!! 《怪力》発動!!」

 出てきた一つ目の機械兵士に対し、アングリーベアーの着ぐるみを着たオレが、《怪力》の力と共に殴り掛かる。
 長引くと周囲の、無事だった部品パーツを取り込んで復活してしまうから、出来る限り多くの部品を巻き込むように考えながら、オレは殴っていた。

「ンゴーッ!」

 ボス魔物であるアングリーベアー由来の《怪力》で思いっきり殴られ、機械兵は吹っ飛ばされる。

「秒で黙らすし」
「ンゴーッ!」

 三言は背中を丸め、出来る限り体勢を低く屈みながら、鋭くナイフで斬りかかる。
 単純な設計思想のため、機械兵士は地面スレスレから攻撃する三言に対処が追いついてないようである。
 そのまま、弱点である一つ目の部分に、ナイフを叩きこんで倒して行く。

 完全に戦い方が、一撃離脱の【暗殺者】にしか見えんのだが……。

「……ほっ! ひぃぃぃぃ! ごめんなさぁぁぁぁいいいいい!!」
「ンゴーッ!」

 花子は後ろの方から弓を放って、後ろの方で魔法を発動しようとしていたり、弓を使って援護しようとする、二つ目の機械兵士達の頭を、クリティカルヒットさせて撃ち落としていた。
 相手から魔法や弓矢の攻撃が来るが、花子は謝罪とヘンテコな踊りと共に、全て避けていた。
 攻撃しながら、避ける事が出来るなんて、本当に凄い【弓使い】である。

「来ないでぇぇぇぇ!! 勧誘は勘弁でしゅぅぅぅぅ!! 新聞はもう五社取ってるのでぇぇぇぇ!!」
「……マジ受ける」
「「ンゴーッ!!」」

 順調に機械兵を倒してくれている、頼りになる2人。
 ……まぁ、若干、キャラが強すぎる気がするけど。

 ともかく、オレ達は順調にダンジョン攻略を進めていくのであった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 そうして、前のパーティーの時の半分の時間で、オレ達はボスの間へと辿り着いていた。

「グォォォォンンンン!!」

 ボスの間に居たのは、四ツ目の機械兵……《機械兵長》である。
 オレ達の10倍はあろうかというくらい、巨大な槍持ち兵士長は、そのままこちらへと向かってきた。


 ===== ===== =====
 【機械兵長マシンキャプテン】 レベル;Ⅱ 《無限の封印遺跡》ボス魔物
 太古の世界に生み出された、機械の兵士長。多くの機械兵を引き要らせるため、他の機械兵よりも巨体となるように作られており、なおかつ四つの目で機械兵を的確に率いる
 目の多さによって対応できる情報量が決定されており、目が多いほど強いとされている
 ===== ===== =====


 四ツ目の巨大な機械兵長は、「キキキ……」と不気味な機械音と共に、槍を振り上げてきた。

「----《換装・彷徨う騎士団長》! そして、《大盾シールド》!!」

 俺はそれを防ぐために、自分の着ぐるみを《彷徨う騎士団長》というボス魔物の物に変える。
 コイツは、卓越した剣術だけでなく、相手の攻撃を防ぐ大楯が特徴の魔物だった。
 オレはそんな魔物の、盾による攻撃を使って、2人のダメージを防ぐ。

 ----ズキンッ!!
「くそっ、盾が……!!」

 攻撃は防ぎ切ったが、盾には大きな亀裂が入り、もう使えそうにない。
 そう思った瞬間には、盾はオレの手から勝手に離れ、そのまま霧のように消えていく。

 これこそが、【着ぐるみ】の職業の弱点だ。
 ある程度のダメージは着ていない時に修復してくれるのだが、今回の盾のように完全に使い物にならない状態まで破壊されると、このように消滅してしまうのである。

 ボス魔物以外からもドロップがあるのなら、ストックも増やせるが----オレには出来ないしな。
 もうオレの着替えられる【着ぐるみ】の中に、アイツの攻撃を止められるような着ぐるみはない。

 となると、後は、あれしかあるまい。

「こうなったら、高火力で行くしかないな、2人とも!!」

「うっ、うんっ!! 私、頑張るっ!!」
「……当然」

 全身全霊で、防御無視で、ボス魔物を倒すっ!!

 高火力パーティー、オレらの力!
 見てろよ、機械兵長!!



 ……そうやって戦いに集中しているオレらは、気付かなかった。
 機械兵長の中で、それを楽しそうに見ている冒険者が居るなんて。

「……へぇ、楽しそう。#興味津々 #会いに行きたい #驚くかな?」

 そう、佐鳥愛理の仲間の1人----オレ達の前に立ち塞がる事となる、あの女とちょうど出会う前の話である。
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