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第6章『ファイントは常に地獄に居る/覚醒ファイントの章』
第198話 赤坂帆波は、暗躍する(2)
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「----さて、これでとりあえずは、自衛隊の犠牲者は出ないでしょう」
ふぅ~、と防衛大臣の崎森衛との会談を終えた赤坂帆波は、建物の外まで出て来てようやく一息吐く。
そして、"パフォーマンス用に"そのままにしておいた、異形のような悪魔の右腕を、元の人間の右腕に直す。
「うん、やっぱり人の手の方がしっくり来るわね」
悪魔の力を借りると、強力な悪魔の身体を使うことが出来る代わりに、悪魔に身体の部位を奪われてしまう。
悪魔の右腕を借り受ければ永遠に人間の時の右腕は悪魔の物となり、悪魔の両足を借りれば永遠に両脚は悪魔の元から返ってこない。
悪魔の身体を借りれば、人間の身体が奪われる。
それが悪魔の力を契約すれば強力な力を得られるのに、皆が悪魔と契約しない理由なのである。
実を言うと、【邪霊契約】の副作用で、悪魔の右腕のままになっている、と崎森衛には説明していた。
……なのだが、実際はそんな副作用なんて、"存在しない"。
赤坂帆波は悪魔の力を使った、しかしながら悪魔と直接取引したわけではない。
悪魔と契約を結ぶという、契約書を通して、彼女は悪魔の力を無理やり借り受けているのだ。
よって、悪魔の力をどう使うかも契約書を管理している赤坂帆波の自由なので、副作用である悪魔に身体を奪われるというリスクもない。
さっきまで悪魔の手にしていたのは、単なる女子高生姿では、迫力にかけると思ったから。
あの地獄のような空間は、自衛隊でも、ましてやレベルⅩクラスの赤坂帆波ですら入ってはいけない場所。
故に、単なる冗談で済まされたくないための、演出なのであった。
「いやぁ~! 流石だな、マイハニー! 痺れたぜ!」
「誰がマイハニーですか、誰が」
いつの間にか現れ、しれっと赤坂帆波の肩に手を回す空海大地。
それを、ゴミでも触るかのように嫌そうに、赤坂帆波は手を払いのけた。
「良いですか、空海大地くん。君と私は単なる元勇者という境遇が似てるだけの、単なる知り合いです。恋人でもなければ、夫婦でもありませんので」
「そうですよ、空海大地! "マスター"は我々、【三大堕落】の物なんですから!!」
ぷんぷんっと、怒りながら背中の煙突から黒煙をまき散らすビーワンちゃん。
「大丈夫でしたか、"マスター"? こんな奴、私の召喚銃で、勇者なんか倒しちゃいますちゃん、ですよ!」
「……ビーワンちゃん。なんで、ここに居るの?」
じとーっと、ビーワンちゃんを睨みつける赤坂帆波。
「君には、【どん底】担当として、重要な任務を与えたはずだけど?」
「----!? しっ、しかしながら! 私はまだまだ新参者で、甘えん坊の幼女ちゃん、なんですよ!?」
ぐぐいっと、ビーワンちゃんは赤坂帆波の懐に、その頭をぐりぐりと突っ込む。
「ビーワンちゃんとしては、"マスター"の温もりをもっと感じていたいというか!」
「……後で、思いっきり褒めてあげる」
「ビーワンちゃんは、"マスター"の言う事を何でも聞くちゃん、です! なので、早速お仕事を頑張りま~す!!」
ぴゅーっ!!
まるで、風のように、ビーワンちゃんはお仕事とやらに、走り去ってしまった。
「マイハニー、彼女には何を頼んだい?」
「その呼び名、続けるんだね。まったく……」
空海大地が延々と自分を「マイハニー」呼びしているのを突っ込む気にもなれず、赤坂帆波は彼に状況を説明し始める。
ちなみに、こうやって呼び方から懐へと潜り込もうとしていた空海大地。
彼としては、突っ込む気力も失くし、その呼び名を受け入れた彼女の姿に、ガッツポーズを小さく浮かべるのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
----世界は今、サタンのせいで危機的状況にある。
まず最初に、赤坂帆波はそう告げた。
「サタン……? それって、あの地獄に関係する?」
「そう、地獄の主サタン。召喚獣としてはレベルⅨに位置し、この世に存在するだけで世界を地獄へと変えていく、恐ろしい召喚獣だよ」
恐ろしい、恐ろしい、と、赤坂帆波はそう続けた。
「実を言うとね、あの冴島渉という冒険者が気になったのは、サタンが彼の召喚獣としてひょっこり居たからなんだ。しかも、レベルアップなんていう形で、常にこの世界にいる状態でね」
悪魔の力を勝手に借り受ける少女、赤坂帆波は分かっていた。
あの悪天使のファイントの真名が地獄の主サタンであり、真名を解放すれば世界はどういう状況になるのか。
「幸いなことに、サタンは自らの正体を告げるような雰囲気はなかった。だから、私はファイントのままでいるのなら、それが一番良いと考えて、彼女達に協力するように【三大堕落】のメンバーに告げたのだ」
全ては、地獄をこの世に生み出さないために。
結果としては、正月のファイントのせいで、その目論見は崩れ去ったのだけれども。
「じゃあ、あの巨大な、東京ドーム20個分にも及ぶ地獄は、たった1体の召喚獣が生み出してるって事なのか? それも、ただ存在しているだけで」
「そう。魔力を使ってる訳でもなく、人間が当たり前のように呼吸するように、彼女が居るだけで世界は地獄と化していく」
どんどんと、世界は『ただ存在するだけ』の地獄の主サタンによって、地獄と言う死者の世界へと変えられていく。
「防衛大臣さんには『犠牲者は全員助けた』と言ったがね、あれは嘘だよ。私達は取り残された人達を救っただけ。簡単に言えば、地震を受けて生き残った人達は回収できたけど、地震を受けて死んだ人達はその時には無理だった。そういう事。
犠牲者の数はゼロではなく、数十人、あるいは数百人といったくらいかな? まぁ、犠牲者を増やさないようにしたことに関しては、賞賛して欲しいけどね」
「止めないと……!!」と、焦って向かおうとする空海大地。
それに対して、赤坂帆波は「無駄だよ」と、そう即答する。
「仮に一撃必殺の力で、サタンに攻撃出来たとしても、サタンは攻撃を受けた瞬間に、ダメージをなかったことになるように殺害する。そういう概念干渉系統のスキルを持ってるんだよ」
「----はぁっ?! なんだ、そのめちゃくちゃなチートスキルは?!」
「だから、不干渉。サタンになった以上、私達に出来る事はない」
----そして、世界はどんどん地獄へと変わる。
赤坂帆波は、そう予言するかのように言った。
「あの地獄化は、どんどん広がっている。恐らくだけど、10年もしないうちに、日本はあの地獄のような赤黒い世界へと変わるでしょうね。
----そして、あの赤黒い霧は、全てが超強力な瘴気。中に居るだけで、サタンの味方ではない"敵"である私達は、存在ごと消滅するでしょう」
攻撃しようとすれば、そのダメージをなかったことにする概念干渉系統スキルを使い。
だからと言って、放置すれば、全ての者が存在ごと消滅する赤黒い霧に覆われる。
居るだけで、最悪な結果を招く大災厄。
それが、地獄の主サタン。
「そんなの、どう対処すればいいんだよ! 無敵じゃないか!」
「そう----だから、専門メンバーに丸投げする」
と、赤坂帆波はそう告げる。
「要するに、あの赤黒い霧は全てが瘴気。瘴気はその者の敵には作用するが、"味方"には効果がない。
つまりは、あのサタンを召喚した冴島渉とその召喚獣。彼ら"しか"、この事態は解決できない」
----だから、頑張ってもらうんだよ。
----こちらで、色々とおぜん立てしてね。
赤坂帆波は、ニヤニヤ笑いながら、そう告げるのであった。
(※)悪魔との契約
悪魔との契約は単純で、等価交換である
悪魔の身体の一部を借りる代わりに、それと同じ自身の身体を捧げるという等価交換。例えば足を速くするために悪魔の足を借りるには、自分の足を悪魔へと捧げなければならない
悪魔との契約は時間制限があり、時間が過ぎると悪魔の身体の一部は元に戻り、自分はその身体の一部を永遠に使えなくなる。なにせ、悪魔に捧げたのだから
一方で、【奴隷商人】である赤坂帆波は、悪魔と直接取引せず、間に自分が管理する契約書を通している
なので、自身の身体を捧げても強制的に取り返すことができ、時間制限なく悪魔の身体を使う事が出来る
ふぅ~、と防衛大臣の崎森衛との会談を終えた赤坂帆波は、建物の外まで出て来てようやく一息吐く。
そして、"パフォーマンス用に"そのままにしておいた、異形のような悪魔の右腕を、元の人間の右腕に直す。
「うん、やっぱり人の手の方がしっくり来るわね」
悪魔の力を借りると、強力な悪魔の身体を使うことが出来る代わりに、悪魔に身体の部位を奪われてしまう。
悪魔の右腕を借り受ければ永遠に人間の時の右腕は悪魔の物となり、悪魔の両足を借りれば永遠に両脚は悪魔の元から返ってこない。
悪魔の身体を借りれば、人間の身体が奪われる。
それが悪魔の力を契約すれば強力な力を得られるのに、皆が悪魔と契約しない理由なのである。
実を言うと、【邪霊契約】の副作用で、悪魔の右腕のままになっている、と崎森衛には説明していた。
……なのだが、実際はそんな副作用なんて、"存在しない"。
赤坂帆波は悪魔の力を使った、しかしながら悪魔と直接取引したわけではない。
悪魔と契約を結ぶという、契約書を通して、彼女は悪魔の力を無理やり借り受けているのだ。
よって、悪魔の力をどう使うかも契約書を管理している赤坂帆波の自由なので、副作用である悪魔に身体を奪われるというリスクもない。
さっきまで悪魔の手にしていたのは、単なる女子高生姿では、迫力にかけると思ったから。
あの地獄のような空間は、自衛隊でも、ましてやレベルⅩクラスの赤坂帆波ですら入ってはいけない場所。
故に、単なる冗談で済まされたくないための、演出なのであった。
「いやぁ~! 流石だな、マイハニー! 痺れたぜ!」
「誰がマイハニーですか、誰が」
いつの間にか現れ、しれっと赤坂帆波の肩に手を回す空海大地。
それを、ゴミでも触るかのように嫌そうに、赤坂帆波は手を払いのけた。
「良いですか、空海大地くん。君と私は単なる元勇者という境遇が似てるだけの、単なる知り合いです。恋人でもなければ、夫婦でもありませんので」
「そうですよ、空海大地! "マスター"は我々、【三大堕落】の物なんですから!!」
ぷんぷんっと、怒りながら背中の煙突から黒煙をまき散らすビーワンちゃん。
「大丈夫でしたか、"マスター"? こんな奴、私の召喚銃で、勇者なんか倒しちゃいますちゃん、ですよ!」
「……ビーワンちゃん。なんで、ここに居るの?」
じとーっと、ビーワンちゃんを睨みつける赤坂帆波。
「君には、【どん底】担当として、重要な任務を与えたはずだけど?」
「----!? しっ、しかしながら! 私はまだまだ新参者で、甘えん坊の幼女ちゃん、なんですよ!?」
ぐぐいっと、ビーワンちゃんは赤坂帆波の懐に、その頭をぐりぐりと突っ込む。
「ビーワンちゃんとしては、"マスター"の温もりをもっと感じていたいというか!」
「……後で、思いっきり褒めてあげる」
「ビーワンちゃんは、"マスター"の言う事を何でも聞くちゃん、です! なので、早速お仕事を頑張りま~す!!」
ぴゅーっ!!
まるで、風のように、ビーワンちゃんはお仕事とやらに、走り去ってしまった。
「マイハニー、彼女には何を頼んだい?」
「その呼び名、続けるんだね。まったく……」
空海大地が延々と自分を「マイハニー」呼びしているのを突っ込む気にもなれず、赤坂帆波は彼に状況を説明し始める。
ちなみに、こうやって呼び方から懐へと潜り込もうとしていた空海大地。
彼としては、突っ込む気力も失くし、その呼び名を受け入れた彼女の姿に、ガッツポーズを小さく浮かべるのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
----世界は今、サタンのせいで危機的状況にある。
まず最初に、赤坂帆波はそう告げた。
「サタン……? それって、あの地獄に関係する?」
「そう、地獄の主サタン。召喚獣としてはレベルⅨに位置し、この世に存在するだけで世界を地獄へと変えていく、恐ろしい召喚獣だよ」
恐ろしい、恐ろしい、と、赤坂帆波はそう続けた。
「実を言うとね、あの冴島渉という冒険者が気になったのは、サタンが彼の召喚獣としてひょっこり居たからなんだ。しかも、レベルアップなんていう形で、常にこの世界にいる状態でね」
悪魔の力を勝手に借り受ける少女、赤坂帆波は分かっていた。
あの悪天使のファイントの真名が地獄の主サタンであり、真名を解放すれば世界はどういう状況になるのか。
「幸いなことに、サタンは自らの正体を告げるような雰囲気はなかった。だから、私はファイントのままでいるのなら、それが一番良いと考えて、彼女達に協力するように【三大堕落】のメンバーに告げたのだ」
全ては、地獄をこの世に生み出さないために。
結果としては、正月のファイントのせいで、その目論見は崩れ去ったのだけれども。
「じゃあ、あの巨大な、東京ドーム20個分にも及ぶ地獄は、たった1体の召喚獣が生み出してるって事なのか? それも、ただ存在しているだけで」
「そう。魔力を使ってる訳でもなく、人間が当たり前のように呼吸するように、彼女が居るだけで世界は地獄と化していく」
どんどんと、世界は『ただ存在するだけ』の地獄の主サタンによって、地獄と言う死者の世界へと変えられていく。
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犠牲者の数はゼロではなく、数十人、あるいは数百人といったくらいかな? まぁ、犠牲者を増やさないようにしたことに関しては、賞賛して欲しいけどね」
「止めないと……!!」と、焦って向かおうとする空海大地。
それに対して、赤坂帆波は「無駄だよ」と、そう即答する。
「仮に一撃必殺の力で、サタンに攻撃出来たとしても、サタンは攻撃を受けた瞬間に、ダメージをなかったことになるように殺害する。そういう概念干渉系統のスキルを持ってるんだよ」
「----はぁっ?! なんだ、そのめちゃくちゃなチートスキルは?!」
「だから、不干渉。サタンになった以上、私達に出来る事はない」
----そして、世界はどんどん地獄へと変わる。
赤坂帆波は、そう予言するかのように言った。
「あの地獄化は、どんどん広がっている。恐らくだけど、10年もしないうちに、日本はあの地獄のような赤黒い世界へと変わるでしょうね。
----そして、あの赤黒い霧は、全てが超強力な瘴気。中に居るだけで、サタンの味方ではない"敵"である私達は、存在ごと消滅するでしょう」
攻撃しようとすれば、そのダメージをなかったことにする概念干渉系統スキルを使い。
だからと言って、放置すれば、全ての者が存在ごと消滅する赤黒い霧に覆われる。
居るだけで、最悪な結果を招く大災厄。
それが、地獄の主サタン。
「そんなの、どう対処すればいいんだよ! 無敵じゃないか!」
「そう----だから、専門メンバーに丸投げする」
と、赤坂帆波はそう告げる。
「要するに、あの赤黒い霧は全てが瘴気。瘴気はその者の敵には作用するが、"味方"には効果がない。
つまりは、あのサタンを召喚した冴島渉とその召喚獣。彼ら"しか"、この事態は解決できない」
----だから、頑張ってもらうんだよ。
----こちらで、色々とおぜん立てしてね。
赤坂帆波は、ニヤニヤ笑いながら、そう告げるのであった。
(※)悪魔との契約
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悪魔の身体の一部を借りる代わりに、それと同じ自身の身体を捧げるという等価交換。例えば足を速くするために悪魔の足を借りるには、自分の足を悪魔へと捧げなければならない
悪魔との契約は時間制限があり、時間が過ぎると悪魔の身体の一部は元に戻り、自分はその身体の一部を永遠に使えなくなる。なにせ、悪魔に捧げたのだから
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