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第7話 香川 幸也の尻尾切りⅠ
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香川 幸也は、3人の中では最もまっとうな生活を送っていた。
大学を卒業し、一流企業に就職。既に結婚もしており、娘も一人儲けている。
あんな過去を持ちながらも、彼は公私共に充実した生活を手に入れていた。
23時ごろ、雨の中、香川は自宅へと帰宅する。
嫁と娘は海外旅行に今日向かった。香川は仕事が立て込んでおり、急遽キャンセルすることとなり、今夜はこの家に1人である。
食事は外で済まし、明日に向けてゆっくりと休もうと考えながら家の前までたどり着く。
すると、玄関の前に見覚えのない女がずぶ濡れになりながら立ち尽くしていた。
「あら、お仕事ご苦労様。随分と遅いんだね」
「……どちら様でしょうか」
若い女だった。香川と同じくらいの年齢だが、随分と落ち着いた印象の女。
「それに、奥さんとお子さんは出掛けているのかな? 随分と寂しい夜だね」
「……用が無いのなら、お引き取りいただけますか? 警察を呼びますよ」
女の言葉に香川は耳を貸さなかった。
面倒事は御免だ。こういう輩は相手をせずさっさと警察に引き渡してしまおう。
そう思い、香川が携帯電話を取り出した瞬間、女が口を開く。
「用ならちゃんとあるよ。娘の父親を捜しているの」
「はい? 逸れたのならそれこそ交番にでも行ったらどうです。警察くらい呼んで差し上げますよ」
香川は再び携帯電話を開き、警察を呼ぼうとする。
「その必要はないよ。だって父親はあなたたち3人の中の誰かだもの」
香川の手から、携帯電話が滑り落ちた。
「……一体、何を仰っているのやら」
「忘れた? あなたが10年前に犯した罪を。藤倉 唯を強姦した挙句に妊娠させ、そしてあなたたちは逃げた。『蜥蜴の尻尾切り』みたいにね」
唯の言葉に、香川は一瞬、動揺したが、再び落ち着きを取り戻し、落とした携帯電話を拾い上げる。
「知りませんね。これ以上何か言うのなら本当に警察を……」
「……奥さんと娘さん、今頃は飛行機で空の上だと思ってる? 違うよ、彼女たちは飛行機になんて乗っていない。どこへ行ったと思う?」
「なんだと?」
香川の表情が一変した。
嫁と娘の旅行の事を言いふらした覚えもない。なぜ、この女がそれを知っている?
「雨も強くなってきた。とりあえずこの豪邸の中に入れてくれない?」
嫌な予感がした。
唯をこのまま帰せば、何か取り返しのつかない事が起きる……そんな不安もあってか、香川は唯を家に入れた。
大学を卒業し、一流企業に就職。既に結婚もしており、娘も一人儲けている。
あんな過去を持ちながらも、彼は公私共に充実した生活を手に入れていた。
23時ごろ、雨の中、香川は自宅へと帰宅する。
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食事は外で済まし、明日に向けてゆっくりと休もうと考えながら家の前までたどり着く。
すると、玄関の前に見覚えのない女がずぶ濡れになりながら立ち尽くしていた。
「あら、お仕事ご苦労様。随分と遅いんだね」
「……どちら様でしょうか」
若い女だった。香川と同じくらいの年齢だが、随分と落ち着いた印象の女。
「それに、奥さんとお子さんは出掛けているのかな? 随分と寂しい夜だね」
「……用が無いのなら、お引き取りいただけますか? 警察を呼びますよ」
女の言葉に香川は耳を貸さなかった。
面倒事は御免だ。こういう輩は相手をせずさっさと警察に引き渡してしまおう。
そう思い、香川が携帯電話を取り出した瞬間、女が口を開く。
「用ならちゃんとあるよ。娘の父親を捜しているの」
「はい? 逸れたのならそれこそ交番にでも行ったらどうです。警察くらい呼んで差し上げますよ」
香川は再び携帯電話を開き、警察を呼ぼうとする。
「その必要はないよ。だって父親はあなたたち3人の中の誰かだもの」
香川の手から、携帯電話が滑り落ちた。
「……一体、何を仰っているのやら」
「忘れた? あなたが10年前に犯した罪を。藤倉 唯を強姦した挙句に妊娠させ、そしてあなたたちは逃げた。『蜥蜴の尻尾切り』みたいにね」
唯の言葉に、香川は一瞬、動揺したが、再び落ち着きを取り戻し、落とした携帯電話を拾い上げる。
「知りませんね。これ以上何か言うのなら本当に警察を……」
「……奥さんと娘さん、今頃は飛行機で空の上だと思ってる? 違うよ、彼女たちは飛行機になんて乗っていない。どこへ行ったと思う?」
「なんだと?」
香川の表情が一変した。
嫁と娘の旅行の事を言いふらした覚えもない。なぜ、この女がそれを知っている?
「雨も強くなってきた。とりあえずこの豪邸の中に入れてくれない?」
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