鬼畜の城-昭和残酷惨劇録-

柘榴

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第18話 決別

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 そして、あれは日が昇る前の朝方。池田がまだいびきをかいて呑気に眠っているのを見計らって、私は行動を起こしました。 
 私の心を蝕む、脅威と決別し、再び心を殺すためです。

 私は纏っていた着物を脱ぎ捨て、下着姿で寝ている池田の布団へ潜りこみました。
 そして、私は池田の下半身を撫で回しながら口づけをします。
「……ん、なんや恵子。まだ明け方やぞ……もう少し寝かせろや」
「……寂しかったの」
「はぁ? 何言うてんねんお前……寝ぼけとんのかお前」
 そう言いながらも、池田は私の胸を強引に掴んできました。そして、唇も同時に塞いできます。
 吐き気を覚えながらも、ぐっと堪えました。私は伺っていたのです、池田と言う、私の心を蝕む幻影を振り払うための機会を。
「悪事を沢山こなして、お金を得て、私の存在価値を維持しないと……私も池田さんに半端者として捨てられて、咲みたいな死に方しかできないんじゃないかと思って……だから、後先考えずに鷲尾さんの仕事片っ端から受けたりしたの……不安で、不安で」
 私は声を枯らしながら迫真の演技で池田に訴えかけました。
 池田は変わらず、私の身体を無造作に嘗め回していました。
「恵子……いきなりどないしたんや。お前は相棒として十分やっとる、立派な悪党や。これからも、世の中の屑共殺して金に換えていこうや、な?」
 池田は私の身体を弄びながら言います。この時、池田は完全に私に対しての警戒を怠っていました。
 常に他人を疑い、裏切りに敏感になれというのが『完璧な悪』を目指す池田の教えでした。けれど、当時の池田は完全に私を疑う気持ちも、裏切りを警戒する素振りも持ち合わせていなかったのです。
「私にとって、池田さんはもう相棒以上……家族だよ。人殺しと死体バラしでしか繋がれないけど……それでも、家族なの」
 池田の胸元に顔を埋め、小さく呟きます。
「恵子……お前。儂やって、お前はもう……ただの仕事の、利用し合うだけの相棒やない……お前は、恵子……もう、家族や」
 それに対し、池田は私をやさしく抱きしめました。それは性的な意味合いと言うより、父が娘を抱きしめるような、そんな温かい抱きしめ方でした。

「そう……だから、だから……駄目なの。あなたがいたら、駄目なの」

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