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冒険者ギルド受付嬢 メアト・バトラの日常
メアトの両親 後編
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「俺達今この街に来たばかりの冒険者なんだ。ねえ、ギルドまで案内してくれない?」
うわぁ、あからさまですね。この通りにいるということはギルドを素通りしたってことです。ギルドを見逃すはずがありません。
「ギルドでしたら向こうの道を戻れば見えますよ?」
彼らに指差して道を示してからチラリと両親の方に目をやりました。……私の状況に気づいてしまったようです。
「そんなこと言わずに案内してくれないかな~? 俺達だけじゃ分からないよ。ね?」
「クヒヒヒ」
「お前ら、何やってんだ!」
カレットが戻ってきました。あ、うちの両親の方に目をやった。カレットも気づいたみたいです。
「何だ、お前? 何? この子の彼氏気取り? ウケる~」
「邪魔だから帰れよ。クヒヒ」
「危ないからさっさとメアトから離れろ! バカ!」
「ああん? 何? お前が俺とやろうっての? 俺、Cランクの冒険者だぞ? ギルドからももうすぐBランクって言われてるんだぜ? お前なんかが相手になるわけないだろう?」
多分、嘘ですね。私だってギルドの受付嬢です。この人がそこまで強くないのは分かります。これだったらヒビキ様の方が大分マシです。
「Cランクなんて相手になるか! さっさとここを去れ! お前らのために言ってるんだ!」
「……躾のなってないガキだ。いいぜ、潰してやるよ」
「クヒヒ、バカなガキだな。現実って奴を教えてやるよ」
「あの、相手にならないのはカレットではなくて……うちの両親なんですけど」
「妙技『爆裂正拳突き』!」
「……は? ごぼおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「クヒヒ……ヒ?」
長髪の男は我が母の拳で彼方へ吹き飛んでいきました。
「嵐魔法『マイクロトルネード』!」
「クヒ? ヒ、ヒグ、ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアア!」
短髪の男は極小の竜巻によって彼方へ飛ばされてしまいました。幸い、長髪の男と同じ方向に飛んでいったので合流できるのではないかと。
「「大丈夫だった!? メアト(ちゃん)!」」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
特に何事もなかったことが分かり2人は安堵の息を吐きました。
「……だから言ったのに」
呆れ顔で空の彼方を見るカレットに私は苦笑しました。
「うわー、あの冒険者メアトちゃんに手を出したの? アホじゃね?」
「バトラさんちの子に手をだそうなんて命知らずっていうか、バカ?」
「メアトちゃんは可愛いけど、あの両親がいるとなぁ」
「……カレット君、頑張って」
私の両親は結婚前は同じ仕事をしていました。
何の仕事をしていたって? 勿論、冒険者です。それも2人そろってAランク。
母は武闘家で、父は風術士という風専門の魔導士です。
母の妊娠を機に両親は結婚し、お互いに離れたくないからとこの街で定職につきました。大きくなって元Aランク冒険者だと聞いた時は『何やってんの!?』と心の中で叫んだものです。
まあ、私達家族のためなので絶対に口にはしませんが。
うわぁ、あからさまですね。この通りにいるということはギルドを素通りしたってことです。ギルドを見逃すはずがありません。
「ギルドでしたら向こうの道を戻れば見えますよ?」
彼らに指差して道を示してからチラリと両親の方に目をやりました。……私の状況に気づいてしまったようです。
「そんなこと言わずに案内してくれないかな~? 俺達だけじゃ分からないよ。ね?」
「クヒヒヒ」
「お前ら、何やってんだ!」
カレットが戻ってきました。あ、うちの両親の方に目をやった。カレットも気づいたみたいです。
「何だ、お前? 何? この子の彼氏気取り? ウケる~」
「邪魔だから帰れよ。クヒヒ」
「危ないからさっさとメアトから離れろ! バカ!」
「ああん? 何? お前が俺とやろうっての? 俺、Cランクの冒険者だぞ? ギルドからももうすぐBランクって言われてるんだぜ? お前なんかが相手になるわけないだろう?」
多分、嘘ですね。私だってギルドの受付嬢です。この人がそこまで強くないのは分かります。これだったらヒビキ様の方が大分マシです。
「Cランクなんて相手になるか! さっさとここを去れ! お前らのために言ってるんだ!」
「……躾のなってないガキだ。いいぜ、潰してやるよ」
「クヒヒ、バカなガキだな。現実って奴を教えてやるよ」
「あの、相手にならないのはカレットではなくて……うちの両親なんですけど」
「妙技『爆裂正拳突き』!」
「……は? ごぼおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「クヒヒ……ヒ?」
長髪の男は我が母の拳で彼方へ吹き飛んでいきました。
「嵐魔法『マイクロトルネード』!」
「クヒ? ヒ、ヒグ、ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアア!」
短髪の男は極小の竜巻によって彼方へ飛ばされてしまいました。幸い、長髪の男と同じ方向に飛んでいったので合流できるのではないかと。
「「大丈夫だった!? メアト(ちゃん)!」」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
特に何事もなかったことが分かり2人は安堵の息を吐きました。
「……だから言ったのに」
呆れ顔で空の彼方を見るカレットに私は苦笑しました。
「うわー、あの冒険者メアトちゃんに手を出したの? アホじゃね?」
「バトラさんちの子に手をだそうなんて命知らずっていうか、バカ?」
「メアトちゃんは可愛いけど、あの両親がいるとなぁ」
「……カレット君、頑張って」
私の両親は結婚前は同じ仕事をしていました。
何の仕事をしていたって? 勿論、冒険者です。それも2人そろってAランク。
母は武闘家で、父は風術士という風専門の魔導士です。
母の妊娠を機に両親は結婚し、お互いに離れたくないからとこの街で定職につきました。大きくなって元Aランク冒険者だと聞いた時は『何やってんの!?』と心の中で叫んだものです。
まあ、私達家族のためなので絶対に口にはしませんが。
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