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捨てられた日
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「この、人でなし!」
「魔女!」
そんな怒りの声とともに子供の拳ほどの石が飛んで来て私、ラストの頭に当たる。
そしてそのせいで私の頭が揺れ、何処かが切れたのか流血する。
だけど、もう私はその石に痛みを感じることはなかった。
もう全身が傷だらけで、酷い痛みが先程まで身体を襲っていたが今は熱を全身に感じるだけで痛みは感じられない。
「っ、なんれ……」
ーーー だが、心に感じる痛みは一切変わることはなかった。
私に憎しみの視線を注ぎ、罵りながら石を投げてくる民衆達、彼らは今まで唯一の私の理解者であったはずの存在だった。
そう、リースブルク家に生まれながら聖女の才能を持たず、爪弾きにされて来たこの国の中で唯一。
だから私も民衆などただの捨て駒だとそう笑う貴族達の中にいて、唯一彼らの生活の向上のために必死に動いて来た。
その為に必死にしたくもなかった王子の婚約まで受け入れて必死に頑張って来たのだ。
だが、その結果が今の現状だった。
簡単なことだ。
私は家の思惑を超えて必死に民衆達に尽くして頑張っているつもりだった。
だが、それはただの勘違いでしか無かったのだ。
ただ、私はリースブルク家の掌で踊っていたに過ぎなかったのだ。
リースブルク家は好き勝手に動く私を快くなど思っていなかった。
いや、それ以前に聖女の才能を持たない私を最初から認めていなかったのだ。
そして王国内に突然現れた竜を倒せなかったその責任、その全てを私に押し付けて追放した。
それはあまりにもおかしな話だった。
私は確かに王子の婚約者ではある。
だがそれは本当にただリースブルク家と王家の繋がりを強めるだけで、それ以外の意味は一切なかった。
だが王家は私が聖女の才能さえ持たない癖に驕り高ぶり好き勝手を働き、そのせいで竜を討伐することが出来なかったと王国に発表したのだ。
そんなこと、あり得るわけが無かった。
聖女の才能を持たない時点で貴族社会での私の存在はあってないようなものだった。
そしてそんな私にリースブルク家が手を貸そうとすることなんて無かった。
それどころか、積極的に他家と協力して私を迫害して来て、そんな私に竜の討伐を妨げるようなことなど出来るはずが無かった。
ーーー だが、その全てを民衆達は信じ込んだ。
今まで私が必死に盛り立てていた領内の国民は、王国から貰った僅かな金で私を売った。
そして今まで私の改革のお陰で生活がマシになっていたはずの民衆達もあっさりと掌を返した。
竜という、そんな天災とも称される存在に対して溜まった王国中の不満は全て私へと向けられ、
ーーー 私は最悪の魔女として、国外に追放されることになった。
そしてその結果が、国中の民衆に石を投げられるこの状態だった。
私はその中で涙を流しながら笑う。
何故私は死刑じゃ無かった時に、誰か私のことを庇ってくれたのだと思ったのだろうか?
そんなことあり得るわけが無かったのに。
全ては追放という言い訳で民衆達に私へと不満をぶつける場を作り、全ての不満を私に押し付けようとする王国の企みでしか無かったのに。
私に待っていたのは、最悪の地獄でしか無かったのに………
「あぁぁぁぁあ!」
私があげた悲鳴、だがそれは民衆のあげる怒りの声にあっさりと打ち消されていった……
「魔女!」
そんな怒りの声とともに子供の拳ほどの石が飛んで来て私、ラストの頭に当たる。
そしてそのせいで私の頭が揺れ、何処かが切れたのか流血する。
だけど、もう私はその石に痛みを感じることはなかった。
もう全身が傷だらけで、酷い痛みが先程まで身体を襲っていたが今は熱を全身に感じるだけで痛みは感じられない。
「っ、なんれ……」
ーーー だが、心に感じる痛みは一切変わることはなかった。
私に憎しみの視線を注ぎ、罵りながら石を投げてくる民衆達、彼らは今まで唯一の私の理解者であったはずの存在だった。
そう、リースブルク家に生まれながら聖女の才能を持たず、爪弾きにされて来たこの国の中で唯一。
だから私も民衆などただの捨て駒だとそう笑う貴族達の中にいて、唯一彼らの生活の向上のために必死に動いて来た。
その為に必死にしたくもなかった王子の婚約まで受け入れて必死に頑張って来たのだ。
だが、その結果が今の現状だった。
簡単なことだ。
私は家の思惑を超えて必死に民衆達に尽くして頑張っているつもりだった。
だが、それはただの勘違いでしか無かったのだ。
ただ、私はリースブルク家の掌で踊っていたに過ぎなかったのだ。
リースブルク家は好き勝手に動く私を快くなど思っていなかった。
いや、それ以前に聖女の才能を持たない私を最初から認めていなかったのだ。
そして王国内に突然現れた竜を倒せなかったその責任、その全てを私に押し付けて追放した。
それはあまりにもおかしな話だった。
私は確かに王子の婚約者ではある。
だがそれは本当にただリースブルク家と王家の繋がりを強めるだけで、それ以外の意味は一切なかった。
だが王家は私が聖女の才能さえ持たない癖に驕り高ぶり好き勝手を働き、そのせいで竜を討伐することが出来なかったと王国に発表したのだ。
そんなこと、あり得るわけが無かった。
聖女の才能を持たない時点で貴族社会での私の存在はあってないようなものだった。
そしてそんな私にリースブルク家が手を貸そうとすることなんて無かった。
それどころか、積極的に他家と協力して私を迫害して来て、そんな私に竜の討伐を妨げるようなことなど出来るはずが無かった。
ーーー だが、その全てを民衆達は信じ込んだ。
今まで私が必死に盛り立てていた領内の国民は、王国から貰った僅かな金で私を売った。
そして今まで私の改革のお陰で生活がマシになっていたはずの民衆達もあっさりと掌を返した。
竜という、そんな天災とも称される存在に対して溜まった王国中の不満は全て私へと向けられ、
ーーー 私は最悪の魔女として、国外に追放されることになった。
そしてその結果が、国中の民衆に石を投げられるこの状態だった。
私はその中で涙を流しながら笑う。
何故私は死刑じゃ無かった時に、誰か私のことを庇ってくれたのだと思ったのだろうか?
そんなことあり得るわけが無かったのに。
全ては追放という言い訳で民衆達に私へと不満をぶつける場を作り、全ての不満を私に押し付けようとする王国の企みでしか無かったのに。
私に待っていたのは、最悪の地獄でしか無かったのに………
「あぁぁぁぁあ!」
私があげた悲鳴、だがそれは民衆のあげる怒りの声にあっさりと打ち消されていった……
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