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第29話
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「わ、わわっ!本当になんなんですか!」
私に強引に連れられことに対して、幼馴染であるサーレはいつものことだと諦めてなされるがままになったが、アナの方は喚くことをやめようとはしなかった。
まあ、鎧の首の部分を掴まれ引きずられていれば誰でもそんな反応になるかもしれないが。
「だから離して………え?」
「っ!あれは……」
けれども、喫茶店が見えてきた瞬間サーレとアナは抵抗することさえ忘れ、呆然とすることになった。
恐らく2人は私がこの森の中にいるのは追っ手から身を隠すためだろうと考えていたに違いない。
だからこそ、まさかの喫茶店の登場に驚きが隠せないだろう。
そして、そんな2人の様子を見て私は口元に笑みを浮かべて口を開く。
「ようこそ。私の喫茶店へ」
「………え?」
◇◆◇
「……なるほど、そういうことでしたか」
「本当に可愛いなぁ……こっちにちょっとでも寄ってくれないかな……」
「む、むぅ……」
喫茶店をお披露目してから数十分程度が過ぎた頃、ここまでの経緯を話したことでようやく落ち着いてくれたサーレとアナは大人しく椅子に座ってくれていた。
……まあ、アナの場合は熱っぽい目で精霊達を見つめているので、大人しくと言っていいのかはわからないが。
恥ずかしがり屋の精霊達は、アナの視線にこたえたのか私に助けを求めるような視線を送ってくるのだから。
「アナ、この子達は恥ずかしがり屋だからもう少し遠慮してあげて」
「えー!」
その精霊達の視線に私は苦笑いを浮かべながらアナに軽く注意をする。
もちろん、その際もボウルをかき混ぜる手は止めずにだが。
アナは私の注意に不本意げな声を上げたが、それでも諦めたように精霊から目を離した。
「……何で私には懐いてくれないんだろう」
……すごく未練たらたらではあったが。
そしてそんなアナの様子にサーレは苦笑しながら口を開いた。
「まあ、私達の前から姿を消さないでくれるのだから普通に考えたらいい方だと思うわよ。ほら、最初喫茶店に入ってきたときだって凄い反応されたでしょ?」
そう、こんな風にサーレとアナが落ち着いて座るまでに長い時間がかかったのは、精霊達が大慌てだったことも理由の一つだったのだ。
私は騎士が近づいてくると聞いた瞬間、精霊達に喫茶店に隠れているように言ったのだが、いざ喫茶店を開けてみると、そこにはスプーンとフォークで武装した精霊達の姿があったのだ。
……普通、精霊達は魔術を巧みを扱えるので武器など必要ではないのだが、私が精霊達を残して出て行ったせいで、パニックに陥た精霊達は、反射的にそれぞれフォーク等で武装していたらしい。
そして、そこまで追い詰められていた精霊達を落ち着かせるには十数分の時間と、私の持っていた砂糖で作った簡単な飴が必要となったのだった……
まあ、そんなこんなで落ち着い後も精霊達はサーレとアナに警戒心は抱いてるのだが、はじめに比べれば大分マシではあった。
「うぅ……」
そしてそれを理解しているのか、アナも渋々精霊達と戯れることを諦めようとする。
「マーセリア様も同じ条件のはずなのに、何故か凄く精霊に好かれているけどね」
「何で何ですかぁあ!」
「えぇぇえ!?サーレ、何で余計なことを言ったの!?」
「そうですか?私はただきになることを言っただけですけどもぉ?」
「サーレ!」
「そんなことよりもマーセリア様、何でそんなに精霊に懐かれているんですかぁ!」
……けれども、サーレの余計な一言でのせいでアナの矛先は私へと変更することになった。
私に強引に連れられことに対して、幼馴染であるサーレはいつものことだと諦めてなされるがままになったが、アナの方は喚くことをやめようとはしなかった。
まあ、鎧の首の部分を掴まれ引きずられていれば誰でもそんな反応になるかもしれないが。
「だから離して………え?」
「っ!あれは……」
けれども、喫茶店が見えてきた瞬間サーレとアナは抵抗することさえ忘れ、呆然とすることになった。
恐らく2人は私がこの森の中にいるのは追っ手から身を隠すためだろうと考えていたに違いない。
だからこそ、まさかの喫茶店の登場に驚きが隠せないだろう。
そして、そんな2人の様子を見て私は口元に笑みを浮かべて口を開く。
「ようこそ。私の喫茶店へ」
「………え?」
◇◆◇
「……なるほど、そういうことでしたか」
「本当に可愛いなぁ……こっちにちょっとでも寄ってくれないかな……」
「む、むぅ……」
喫茶店をお披露目してから数十分程度が過ぎた頃、ここまでの経緯を話したことでようやく落ち着いてくれたサーレとアナは大人しく椅子に座ってくれていた。
……まあ、アナの場合は熱っぽい目で精霊達を見つめているので、大人しくと言っていいのかはわからないが。
恥ずかしがり屋の精霊達は、アナの視線にこたえたのか私に助けを求めるような視線を送ってくるのだから。
「アナ、この子達は恥ずかしがり屋だからもう少し遠慮してあげて」
「えー!」
その精霊達の視線に私は苦笑いを浮かべながらアナに軽く注意をする。
もちろん、その際もボウルをかき混ぜる手は止めずにだが。
アナは私の注意に不本意げな声を上げたが、それでも諦めたように精霊から目を離した。
「……何で私には懐いてくれないんだろう」
……すごく未練たらたらではあったが。
そしてそんなアナの様子にサーレは苦笑しながら口を開いた。
「まあ、私達の前から姿を消さないでくれるのだから普通に考えたらいい方だと思うわよ。ほら、最初喫茶店に入ってきたときだって凄い反応されたでしょ?」
そう、こんな風にサーレとアナが落ち着いて座るまでに長い時間がかかったのは、精霊達が大慌てだったことも理由の一つだったのだ。
私は騎士が近づいてくると聞いた瞬間、精霊達に喫茶店に隠れているように言ったのだが、いざ喫茶店を開けてみると、そこにはスプーンとフォークで武装した精霊達の姿があったのだ。
……普通、精霊達は魔術を巧みを扱えるので武器など必要ではないのだが、私が精霊達を残して出て行ったせいで、パニックに陥た精霊達は、反射的にそれぞれフォーク等で武装していたらしい。
そして、そこまで追い詰められていた精霊達を落ち着かせるには十数分の時間と、私の持っていた砂糖で作った簡単な飴が必要となったのだった……
まあ、そんなこんなで落ち着い後も精霊達はサーレとアナに警戒心は抱いてるのだが、はじめに比べれば大分マシではあった。
「うぅ……」
そしてそれを理解しているのか、アナも渋々精霊達と戯れることを諦めようとする。
「マーセリア様も同じ条件のはずなのに、何故か凄く精霊に好かれているけどね」
「何で何ですかぁあ!」
「えぇぇえ!?サーレ、何で余計なことを言ったの!?」
「そうですか?私はただきになることを言っただけですけどもぉ?」
「サーレ!」
「そんなことよりもマーセリア様、何でそんなに精霊に懐かれているんですかぁ!」
……けれども、サーレの余計な一言でのせいでアナの矛先は私へと変更することになった。
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