3 / 24
禁忌の魔妖精
しおりを挟む
魔妖精、それは王国では忌み嫌われる存在だった。
単体では決して強くないが、簡単に呼び出すことができ、数が集まれば強力な力を発揮する存在。
それが魔妖精だ。
その性質は気まぐれで、かつてその存在を活用しようとした魔術師は、多くの被害をだして自滅したこともある。
その被害の跡は今でも残っており、その大きさ故に禁忌として扱われていた。
だからだろう。
私がそのことを告げた瞬間から、明らかにどよめきは大きなものとなっていた。
今までと違い、はっきりとマレシアに対する不審が広場に広まっていることに気づいた私は内心で笑みをこぼす。
これでようやく判決を下せると。
表面上は厳かに、私は告げる。
「マレシア、お前のはたらきは確かに認められる。それでも、これだけのことをしてゆるすことはできない。……よって、お前は国外追放に処す」
瞬間、大きなどよめきがさらに広場を覆う。
そこにあるのは、様々な声だった。
今まで救ってくれたマレシアに対して、こんな処罰はいいのか、という声。
本当なのか、信じられないという声。
だが、何より多いのはこれでは罪が軽いのではないかという声だった。
それに私は思わず笑いだしそうになる。
魔妖精という存在で、簡単に心を変えた民衆達に。
例えそうだとしても、今までマレシアが王国を守ってきたことには変わらないというのに。
とはいえ、その民衆の声に答えるつもりは私にはなかった。
なぜなら、一番都合がいいのがマレシアが責任をむけられる立場でいてくれることなのだから。
ここで追放程度ならマレシアのことだし、素直に受け入れるだろう。
そして、ここまで慈悲深い私が主犯と疑う人間も少なくなるに違いない。
しかし、そんな私の思考をよこからあがった声が乱した。
「私は納得行きません!」
「……っ!」
声の主、カシュアをみて私は思わず顔を歪めそうになる。
最大限マレシアのことを利用できた今、これ以上刺激するのは俺の望むことではなかった。
とはいえ、正義感に駆られた彼女を止められる訳が無く、私は言葉に窮する。
その間にも、カシュアは口を開き叫ぶ。
「どうしてこんなことをしたのですか! 親しい人をどれだけ傷つけるのか、貴女は理解できなかったのですか!」
一瞬、マレシアが反応したらと私の背を嫌な悪寒が走る。
けれど、その私の想像に反してマレシアは何も反応しなかった。
そんなマレシアに、カシュアはさらに言い募る。
「こんなおぞましいものに頼ってまで……」
──今まで虚空を見つめていたマレシアの目に光が宿ったのは、その瞬間だった。
まっすぐな目でカシュアを見抜き、マレシアは首を傾げる。
「おぞましい、貴女そう言いましたか?」
単体では決して強くないが、簡単に呼び出すことができ、数が集まれば強力な力を発揮する存在。
それが魔妖精だ。
その性質は気まぐれで、かつてその存在を活用しようとした魔術師は、多くの被害をだして自滅したこともある。
その被害の跡は今でも残っており、その大きさ故に禁忌として扱われていた。
だからだろう。
私がそのことを告げた瞬間から、明らかにどよめきは大きなものとなっていた。
今までと違い、はっきりとマレシアに対する不審が広場に広まっていることに気づいた私は内心で笑みをこぼす。
これでようやく判決を下せると。
表面上は厳かに、私は告げる。
「マレシア、お前のはたらきは確かに認められる。それでも、これだけのことをしてゆるすことはできない。……よって、お前は国外追放に処す」
瞬間、大きなどよめきがさらに広場を覆う。
そこにあるのは、様々な声だった。
今まで救ってくれたマレシアに対して、こんな処罰はいいのか、という声。
本当なのか、信じられないという声。
だが、何より多いのはこれでは罪が軽いのではないかという声だった。
それに私は思わず笑いだしそうになる。
魔妖精という存在で、簡単に心を変えた民衆達に。
例えそうだとしても、今までマレシアが王国を守ってきたことには変わらないというのに。
とはいえ、その民衆の声に答えるつもりは私にはなかった。
なぜなら、一番都合がいいのがマレシアが責任をむけられる立場でいてくれることなのだから。
ここで追放程度ならマレシアのことだし、素直に受け入れるだろう。
そして、ここまで慈悲深い私が主犯と疑う人間も少なくなるに違いない。
しかし、そんな私の思考をよこからあがった声が乱した。
「私は納得行きません!」
「……っ!」
声の主、カシュアをみて私は思わず顔を歪めそうになる。
最大限マレシアのことを利用できた今、これ以上刺激するのは俺の望むことではなかった。
とはいえ、正義感に駆られた彼女を止められる訳が無く、私は言葉に窮する。
その間にも、カシュアは口を開き叫ぶ。
「どうしてこんなことをしたのですか! 親しい人をどれだけ傷つけるのか、貴女は理解できなかったのですか!」
一瞬、マレシアが反応したらと私の背を嫌な悪寒が走る。
けれど、その私の想像に反してマレシアは何も反応しなかった。
そんなマレシアに、カシュアはさらに言い募る。
「こんなおぞましいものに頼ってまで……」
──今まで虚空を見つめていたマレシアの目に光が宿ったのは、その瞬間だった。
まっすぐな目でカシュアを見抜き、マレシアは首を傾げる。
「おぞましい、貴女そう言いましたか?」
314
あなたにおすすめの小説
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2025年10月25日、外編全17話投稿済み。第二部準備中です。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く
基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」
王太子は女を突き飛ばした。
「その恩も忘れて、お前は何をした!」
突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。
その姿に王太子は更に苛立った。
「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」
「ソル…?」
「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」
王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
魅了から覚めた王太子は婚約者に婚約破棄を突きつける
基本二度寝
恋愛
聖女の力を体現させた男爵令嬢は、国への報告のため、教会の神官と共に王太子殿下と面会した。
「王太子殿下。お初にお目にかかります」
聖女の肩書を得た男爵令嬢には、対面した王太子が魅了魔法にかかっていることを瞬時に見抜いた。
「魅了だって?王族が…?ありえないよ」
男爵令嬢の言葉に取り合わない王太子の目を覚まさせようと、聖魔法で魅了魔法の解術を試みた。
聖女の魔法は正しく行使され、王太子の顔はみるみる怒りの様相に変わっていく。
王太子は婚約者の公爵令嬢を愛していた。
その愛情が、波々注いだカップをひっくり返したように急に空っぽになった。
いや、愛情が消えたというよりも、憎悪が生まれた。
「あの女…っ王族に魅了魔法を!」
「魅了は解けましたか?」
「ああ。感謝する」
王太子はすぐに行動にうつした。
筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。
素顔を知らない
基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。
聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。
ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。
王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。
王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。
国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる