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第3話
第3話 出発 (3)
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CREATED WORLD
第3話 出発
「降伏しない場合、私達はあなたの生死を問わずとも確保致します。」
そう言って左から車が近づき、銃弾を放った。
しかし私はその前にその車を撒く為にスピードを上げたので、後ろの座席の窓を貫き、運転席にいる私と助手席にいるカンフィナに被害が及ぶ事はなかった。
一本道の出口から、空の見える、開けた場所に出た。
そこは工場の屋根の大地より一層の高さ分低い、渓谷の浅い地点のようになっていた。
しかしそこは一本道になっていて、左は工場の壁、右は崖になっていた。
また、右側の道を抜けた先は細いパイプがあり、それに点検用通路がのっかっていて、車一台がやっと通れる位の広さしかなく、その下は渓谷の底になっていた。
その先にはパイプが上に曲がり、行き止まりになっていた。
彼らを止めねば。
無法者の車は、私達より少し遅れて外に出てきた。
「今すぐ止まれ!」
彼らには伝わっていない。
「駄目だ、通信できる時間を過ぎてしまっている。カンフィナ、私の事は気にしなくていいから、なるべく窓より姿勢を低くして、通信電池を取ってくれ。」
私は窓から消耗した通信電池を投げ捨てた。
コルートの街の外では一定時間しか通話できず、それより長い時間通話し続けるには、予備の通信電池を持って行く必要があった。
また、その電池は、立方体に例えると、一辺の長さが30センチメートル程もある巨大なもので、当然助手席の前にあるグローブボックスには、入りきるものではなかった。
普通に車内を移動すると、射線上にあたってしまうから、窓より姿勢を低くする必要があった。
カンフィナは慎重かつ迅速に車の後部座席に移動していった。
すると、突然左から銃弾が放たれ、急いでかがんだ。
カンフィナは後ろのトランクから急いで通信電池をあさり、取り出して言った。
「ミサ、あったよ!これ使って!」
カンフィナは急いでそれを私に手渡した。
しかし、私達の思っていた以上に、時は無慈悲なものだった。
無法者の車がパイプの曲がった所に衝突し、激しい爆炎をあげた。
爆発の後の振動の中、私は見た。
いつの間に左にあった私を指名手配しているという者の車が、私の車の行く手を阻むように、私の車に対して横、つまり垂直に止めてあった。
私は急ブレーキで車を止めるしかなかった。
私達は猛スピードで車を運転していたはずなのに、なぜそれを上回るスピードで追い抜き、このような形で車を止める事ができたのだろうか。
街の外は危険で、遠出をしないので、車もあまり燃費のよいものは残されていない。
ずっと時速100キロメートルで走ると、一番近くの街につくかどうかすら怪しいのに、先程は無法者と交渉するため、時速150キロメートルを超えるスピードで走っていた。
彼らは瞬間的にそれを遙かに超える速さで走り、しかもそのスピードから急ブレーキで、車三台が並んで通る程の広さの空間で、私達の車と垂直に車を止めたのだ。
普通なら、そんな事をしようとしたら、たちまち崖の下に落ちてしまうか、左の工場の壁に激しく衝突してしまうだろう。
私は恐ろしく思い、何も考えられなくなってしまった。
第3話 出発
「降伏しない場合、私達はあなたの生死を問わずとも確保致します。」
そう言って左から車が近づき、銃弾を放った。
しかし私はその前にその車を撒く為にスピードを上げたので、後ろの座席の窓を貫き、運転席にいる私と助手席にいるカンフィナに被害が及ぶ事はなかった。
一本道の出口から、空の見える、開けた場所に出た。
そこは工場の屋根の大地より一層の高さ分低い、渓谷の浅い地点のようになっていた。
しかしそこは一本道になっていて、左は工場の壁、右は崖になっていた。
また、右側の道を抜けた先は細いパイプがあり、それに点検用通路がのっかっていて、車一台がやっと通れる位の広さしかなく、その下は渓谷の底になっていた。
その先にはパイプが上に曲がり、行き止まりになっていた。
彼らを止めねば。
無法者の車は、私達より少し遅れて外に出てきた。
「今すぐ止まれ!」
彼らには伝わっていない。
「駄目だ、通信できる時間を過ぎてしまっている。カンフィナ、私の事は気にしなくていいから、なるべく窓より姿勢を低くして、通信電池を取ってくれ。」
私は窓から消耗した通信電池を投げ捨てた。
コルートの街の外では一定時間しか通話できず、それより長い時間通話し続けるには、予備の通信電池を持って行く必要があった。
また、その電池は、立方体に例えると、一辺の長さが30センチメートル程もある巨大なもので、当然助手席の前にあるグローブボックスには、入りきるものではなかった。
普通に車内を移動すると、射線上にあたってしまうから、窓より姿勢を低くする必要があった。
カンフィナは慎重かつ迅速に車の後部座席に移動していった。
すると、突然左から銃弾が放たれ、急いでかがんだ。
カンフィナは後ろのトランクから急いで通信電池をあさり、取り出して言った。
「ミサ、あったよ!これ使って!」
カンフィナは急いでそれを私に手渡した。
しかし、私達の思っていた以上に、時は無慈悲なものだった。
無法者の車がパイプの曲がった所に衝突し、激しい爆炎をあげた。
爆発の後の振動の中、私は見た。
いつの間に左にあった私を指名手配しているという者の車が、私の車の行く手を阻むように、私の車に対して横、つまり垂直に止めてあった。
私は急ブレーキで車を止めるしかなかった。
私達は猛スピードで車を運転していたはずなのに、なぜそれを上回るスピードで追い抜き、このような形で車を止める事ができたのだろうか。
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ずっと時速100キロメートルで走ると、一番近くの街につくかどうかすら怪しいのに、先程は無法者と交渉するため、時速150キロメートルを超えるスピードで走っていた。
彼らは瞬間的にそれを遙かに超える速さで走り、しかもそのスピードから急ブレーキで、車三台が並んで通る程の広さの空間で、私達の車と垂直に車を止めたのだ。
普通なら、そんな事をしようとしたら、たちまち崖の下に落ちてしまうか、左の工場の壁に激しく衝突してしまうだろう。
私は恐ろしく思い、何も考えられなくなってしまった。
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