CREATED WORLD

猫手水晶

文字の大きさ
上 下
21 / 41
第3話

第3話 出発 (4)

しおりを挟む
CREATED WORLD

第3話 出発

 私はただひたすら歩き続けていた。

 ミサが謎の集団に捕まってからどれほど経ったのだろうか。

 早く、ミサが乗せられた車の向かった方向に向かわなければ。

 ミサを助けなければ。

 激しい空腹感と、工場の大地が吐く汚いガスの影響で、気分は最悪だった。

 だけど、私はあきらめない!

 うつろにふらふら歩きながらも、私はずっとそんな事を考えていた。

 すると、急に前が見えなくなった。

 これは工場の屋根なのかな?さっきまでこの上を歩いていたのに、今はそれが目の前にある。

 私はよくわからなくなった。


ーーーーーーーーーーーーー


 「おっ起きたかーっ、オレはイリーアっつー女だ、よろしくなーっ。」

 私が目を覚ますと、一人の女性が私に声をかけていた。



 言葉遣いと「オレ」という一人称とは裏腹に、小柄でジト目であり、髪は黒だが毛先が紫に染まっている。

声が高く、けだるい感じでゆっくりと話しているが、少し威圧感もある、不思議だが、かわいらしい女性だった。

 彼女と自分と同じ、白と黒の縞模様の服を着ていた。

 周りを見渡すと閉鎖的な壁に囲まれていて、正面には通路があったが、鉄格子が私の行く手を阻むように立ち塞がっていた。

 後ろを向くと少し少し見上げる位の位置に小さな鉄格子の窓があり、その下には小さな机といすがあり、向かいにある2つのベッドの間に挟まるような形で置いてあった。

 そうか、私は捕まり、その後眠らされてここに囚われてしまったのか。

 私は今こうして彼女と同じ服を着ているし、この空間に存在しているという事実がただ、いまここに存在しているのだから。

 小さな鉄格子の窓からは、太陽の代わりに灯された人工の明かりの色が、薄い黄色からオレンジ色に変わっていった。

 今は夕方なのだとわかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

優しい先輩に溺愛されるはずがめちゃくちゃにされた話

恋愛 / 完結 24h.ポイント:269pt お気に入り:61

公爵閣下のご息女は、華麗に変身する

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:601

ささやかな余白

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

残念勇者R 〜残念な勇者が若返り再び異世界を救う!?〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:2

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:12

ブラウンは魔法研究員に仕返ししたい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:46

閻魔大王の判決

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

お姫様になってもいいですか?

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:28

慈愛の聖女と聖玉の守護者【R18】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:20

処理中です...