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第3話
第3話 出発 (18)
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シャワーの時間が終わると、女看守は顔をシャワー室のドアを開け、囚人達に脱衣室に戻るよう命じた。
本当に夢のような時間だった。
シャワーを浴びたのなんて久しぶりだったし、これから先もシャワーを浴びれる時なんてそう来ないだろう。
私達のいる「人工の新天地」では、シャワーを浴びれる程の水すらも貴重なものになってしまい、その多くが飲料水で飲みきってしまう。
これまでの疲れが一気にお湯で流れていき、湯の温かさに身をまかせるのは、最高だった。
私達は体を拭き、囚人服を着直した。
さすがにこの世界では水は貴重なものなので、洗濯して清潔な囚人服に着替えられるのは、3日に1度らしい。
だが、3日に1度こんなに大勢の囚人の服を洗濯できる水を確保できる時点ですごいのだ。
イリーアの話によると、この監獄に入るために略奪を働く者もいるらしい。
外に出ることが許されない以外のことに関しては、この監獄はシャバよりも優れているのだ。
だが、その待遇には裏がある事も私は知っている。
もうすぐここの囚人達は戦場に駆り出されるのだ。
兵士として戦わせられ、生還してもまたここに戻されてしまう。
だが、ここの囚人がそれを知らない風でいるのも、生還した囚人に看守が口止めをしているからなのだろう。
いや、もしかすると、戦場から生還する囚人自体少ない、という事もありえる。
私達は服を着たあと、再び看守によるボディチェックを済ませ、点呼を済ませた後に自分達の檻に戻された。
「まもなく消灯時間です...就寝の準備をし、各自就寝するようお願いします...」
女看守がそう言って檻の鍵を閉めた。
彼女がイリーアに対して敬語だったのは、無法者のリーダーであるイリーアに対して逆らうことのできない立場だったからなのだろう。
私は硬いベッドの上で横になり、2段ベッドの下の段にいるイリーアに話しかけた。
「イリーア、この脱獄作戦、必ず成功させよう。イリーアの事は私が守る。」
私はイリーアの事を救いたい。
彼女は無法者のチームのトップだが、人の事を思いやる事のできる優しい女性だ。
「バーカ、お前に守られる筋合いなんてねーよー。オレは一人で自分の身くらい守れるぜー。それよりミサは自分の心配をするんだなー。」
イリーアは言っていることとは裏腹に嬉しそうな口調で話していた。
そうして、私達は眠りについた。
私はイリーアにこれ以上辛いニュースは聞かせたくなかったので、今日はまだ具体的な事は話さないでおいた。今日は、味方が逝ってしまったり、私が他のチームの者に襲われてしまったり、本当に大変な1日だったし、イリーアにとってもとても辛い一日だっただろう。なので彼女に伝えるのは明日でもいいだろうと思った。
だが、私は確かにこれから、囚人達が戦場に行かされる事を知らされている。
だが、それはいつなのかはわからない。
明日の事かもしれないし、ずっと先の事かもしれない。
私は、明日、必ずその事を仲間達に伝えようと心の中で誓った。
鉄格子の窓から光が差し、私達は目を覚ました。
「イリーア、今日は話がある。すまないが朝食の時間みんなに話していいか?」
「いいぜー。」
イリーアは、私の顔を見て、それを察してか、それだけ応えて後は何も言わなかった。
私の目にその彼女の姿は、とても頼もしく、格好よく見えた
「起床の時間だ、これから朝食の時間なので、私についてくるように。」
それから間もなく、看守がそう言って、牢屋の戸を開けた。
点呼を済ませ、食堂に向かい、なるべく見張りの看守から離れた席に仲間達を連れた。
私は緊張感の漂うなか、口を開いた。
「私達はこれから、戦場に赴くことになるだろう。」
その事を聞いたイリーアとドクディス、フィシャの3人は言葉を失ったまま驚いていたが、ただ一人、不思議とリディグは落ち着いたままであった。
彼はそんな状況であるにも関わらず、微笑んでそう言った。
「逆にチャンスではありませんか。」
本当に夢のような時間だった。
シャワーを浴びたのなんて久しぶりだったし、これから先もシャワーを浴びれる時なんてそう来ないだろう。
私達のいる「人工の新天地」では、シャワーを浴びれる程の水すらも貴重なものになってしまい、その多くが飲料水で飲みきってしまう。
これまでの疲れが一気にお湯で流れていき、湯の温かさに身をまかせるのは、最高だった。
私達は体を拭き、囚人服を着直した。
さすがにこの世界では水は貴重なものなので、洗濯して清潔な囚人服に着替えられるのは、3日に1度らしい。
だが、3日に1度こんなに大勢の囚人の服を洗濯できる水を確保できる時点ですごいのだ。
イリーアの話によると、この監獄に入るために略奪を働く者もいるらしい。
外に出ることが許されない以外のことに関しては、この監獄はシャバよりも優れているのだ。
だが、その待遇には裏がある事も私は知っている。
もうすぐここの囚人達は戦場に駆り出されるのだ。
兵士として戦わせられ、生還してもまたここに戻されてしまう。
だが、ここの囚人がそれを知らない風でいるのも、生還した囚人に看守が口止めをしているからなのだろう。
いや、もしかすると、戦場から生還する囚人自体少ない、という事もありえる。
私達は服を着たあと、再び看守によるボディチェックを済ませ、点呼を済ませた後に自分達の檻に戻された。
「まもなく消灯時間です...就寝の準備をし、各自就寝するようお願いします...」
女看守がそう言って檻の鍵を閉めた。
彼女がイリーアに対して敬語だったのは、無法者のリーダーであるイリーアに対して逆らうことのできない立場だったからなのだろう。
私は硬いベッドの上で横になり、2段ベッドの下の段にいるイリーアに話しかけた。
「イリーア、この脱獄作戦、必ず成功させよう。イリーアの事は私が守る。」
私はイリーアの事を救いたい。
彼女は無法者のチームのトップだが、人の事を思いやる事のできる優しい女性だ。
「バーカ、お前に守られる筋合いなんてねーよー。オレは一人で自分の身くらい守れるぜー。それよりミサは自分の心配をするんだなー。」
イリーアは言っていることとは裏腹に嬉しそうな口調で話していた。
そうして、私達は眠りについた。
私はイリーアにこれ以上辛いニュースは聞かせたくなかったので、今日はまだ具体的な事は話さないでおいた。今日は、味方が逝ってしまったり、私が他のチームの者に襲われてしまったり、本当に大変な1日だったし、イリーアにとってもとても辛い一日だっただろう。なので彼女に伝えるのは明日でもいいだろうと思った。
だが、私は確かにこれから、囚人達が戦場に行かされる事を知らされている。
だが、それはいつなのかはわからない。
明日の事かもしれないし、ずっと先の事かもしれない。
私は、明日、必ずその事を仲間達に伝えようと心の中で誓った。
鉄格子の窓から光が差し、私達は目を覚ました。
「イリーア、今日は話がある。すまないが朝食の時間みんなに話していいか?」
「いいぜー。」
イリーアは、私の顔を見て、それを察してか、それだけ応えて後は何も言わなかった。
私の目にその彼女の姿は、とても頼もしく、格好よく見えた
「起床の時間だ、これから朝食の時間なので、私についてくるように。」
それから間もなく、看守がそう言って、牢屋の戸を開けた。
点呼を済ませ、食堂に向かい、なるべく見張りの看守から離れた席に仲間達を連れた。
私は緊張感の漂うなか、口を開いた。
「私達はこれから、戦場に赴くことになるだろう。」
その事を聞いたイリーアとドクディス、フィシャの3人は言葉を失ったまま驚いていたが、ただ一人、不思議とリディグは落ち着いたままであった。
彼はそんな状況であるにも関わらず、微笑んでそう言った。
「逆にチャンスではありませんか。」
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