四季恋歌───シキレンカ───

朝霧一樹

文字の大きさ
2 / 6

──残暑・アイ────

しおりを挟む
夕暮れが降りてくる。




昼の熱を薄めるように、淡い影が伸びていく。





その時、僕らの声は重なった。





長く、細く、胸を締めつける調べ。






人は「物悲しい」と呼ぶその響きを、
君はただ微笑んで受け止めてくれた。




 

「寂しい音色ね」






そう言った君の横顔が、夕焼けに赤く染まっていく。






けれど僕には、君の声と重なるこの響きこそ、
愛の証に思えたのだ。






足元には彼岸花が咲き誇っていた。






燃えるように立ち並び、しかしどこか冷たく揺れている。






まるで、僕らの行く末を見守る境界の灯火のように。






恋は長く続かない。





やがて訪れる夜の深みに、僕らは消えていく。





それでもいい。






命の最後まで、君と声を重ね合えたのなら。






──夏の終わり。






誰もいなくなった宵に響くのは、
二つのひぐらしの声だけだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

処理中です...