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第三章
やるしかない!
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「…1つ聞くぞ、クラリスはどこだ」
俺は真剣にリュークを見据え、そう聞いた。
「さあ、どこだろうね?僕に勝ったら教えてあげるよ」
それに対してリュークはふざけたような口調で言ってくる。
俺はそんな態度にいっそう警戒心を強め、腰からナイフを取り出した。
「おぉ、いい顔になったねぇ…それじゃ行くよ?」
その台詞を境に、俺はナイフを構える。
(魔法はどこからくる?上か?下か?)
「どこを見ているんだい?」
そう警戒していた刹那、突然リュークが目の前に現れた。
「…なっ!?」
そんな突然のことに俺は反射的に後ろへ下がった。
「うん、なかなか良い反射神経してるね、昔なにかやってたのかい?」
そう言って楽しそうに聞いてくる。確か昔、『刹那の見切り』なんて反射神経のいるゲームを意地でも全クリしようとして反射神経鍛えられた気がする。あの頃は音が鳴った瞬間Aボタンを押せていた。…関係ないか。
「お前、魔法士じゃなかったのか…?」
とりあえず気になったのはそこだ。クラリスの話を聞いてる限り、魔法士だと思っていた。だが今のを見るとそれは違う気がしてくる。
「いや、僕はただの魔法士だよ?」
「…じゃあ今の瞬間移動はなんだ」
「ああ、今のは少し手前の空間を捻じ曲げて瞬間移動のようなことをしただけさ」
…なんだそれ。空間を曲げる魔法とかチートじゃねえか。瞬間移動とかされて勝てるわけねぇだろ。
「『チートじゃねえかそれ』って顔してるね。ふふっ、安心してよ、これ結構魔力使うし、効果範囲も2,3メートルくらいだからあんまり使うつもりはないよ」
「…それは俺を油断させる作戦か?」
「そんなわけないよ、弱い君を油断させる必要なんてどこにもないでしょ?」
「それはそうだが…」
俺はリュークの言動に違和感を感じていた。
クラリスをさらって、邪魔者の俺を消しておく、というのは普通に考えられることだ。でもアイツはうっかり死んでしまった俺を生き返らせ、遊ぶとか言っている。自分の能力まで制限をかけて。本当に意味がわからない。アイツの目的はなんだ?
俺はそんなことを考えつつ、相手の攻撃を避けていた。
「ほらほら、もっと早く避けないと。当たっちゃうよ?」
しかもギリギリ俺が避けれるくらいに攻撃を打ってきてる。なんなんだ?本当にアイツは俺で遊んでるだけなのか?
「君も攻撃してこないと僕にはかてないよ?」
そう言ってリュークは愉快に笑いながら魔法を打ってくる。
アイツは油断してて隙もある。そこを突けばいけるはずだ!
そう思って相手を見ながら攻撃を避け、隙を見計らっていたー
が、俺の避けた攻撃が地面に当たり、脆くなっていたのかわからないが、突然地面が崩れてしまった。
「う、うぉあ!?」
俺はその穴に落ちていってしまった。
○●○
「いてて、…なんとか生きてるか」
俺は体を見回し、手を握って感覚があることを確認する。
うん、大丈夫、そこまでダメージは食らってないみたいだ。
「それにしても、なんだここは?」
俺はあたりを見渡してみる。落ちたのは5mくらいだろうか。下にも光は届いていて、道が続いていた。
教会の地下に道?奥に何かあるのか?
「おーい、生きてるかーい?」
そう考えていると、上から声が聞こえてきた。リュークの声だ。ずっとここにいるのは危ないな。
俺はあたりを見渡して、どこに逃げるか考えた。
そしてその数分後、
「さーて、どこにいるかな…ってこんなところに道が…」
リュークは音を立てずに地下に降りた。おそらく風の魔法でも使って衝撃を緩めたのだろう。
「こっちにいるのかな?」
そう言ってふふっ、と笑い、道を歩いていく。
「そっちじゃねえよ、バカヤロウ!」
そう叫んで俺は瓦礫の中からナイフを右手に構え、飛び出した。
「…なっ!?瓦礫の下から!?」
リュークは油断していたのか、反応が遅れる。
(もらった!)
俺はそう確信して、リュークの首を切ろうとした。
ーが、自分の右手がリュークの首に届く手前で止まってしまう。
「あ…れ?」
魔法をくらった様子もない。自然と、手が止まった。
(おい、もしかして俺、人殺すのが怖いとか思ってんじゃねぇだろうな!?)
俺は右手に力を込めるが、動く気配はない。むしろ震えが増していく。
「あれ?どうしたのかなぁその顔!もしかして人殺すのが怖いとか思っちゃってるの?」
(くそ、動けっ、動けよ!アイツを倒せるチャンスなんてもうないかもしれねぇんだぞ!?)
俺はそう強く念じるが、やはり右手が動く気配はない。自然と顔にも焦りが増してきた。
「あはは!いいねぇ、その顔!それだよ、そうゆうのが見たかったんだよ!」
リュークはよっぽど愉快なのか、テンションがどんどん上がっていっている。
「惜しかったねぇ、もう少しで届いたのに」
リュークは今まで以上に歪めた笑みを見せた。
「くっそぉぉぉ!!」
俺はリュークから間を取り、続いていた道へと逃げていった。
「なんだ、鬼ごっこかい?いいねぇ、それも面白そうだ」
そう言ってリュークも俺が走っていった方へ走っていった。
○●○
(くそっ、くそっ、くそっ!失敗した!あれで殺せるはずだったのに!)
俺は歯が折れるんじゃないかと思うくらいに噛み締め、とにかくリュークから逃げていた。
「な、行き止まり…?」
だがいつまでも逃げ続けることもできない。行き止まりで、俺は退路を断たれてしまった。
そして、カツン、カツンと足音が聞こえてくる。
(ヤバイ、どうする!?逃げ道も倒す方法もないぞ!?)
カツン、カツンと足音が近づいてくる。
(くそ、何か使えるアイテムはないのか!?)
俺はくまなく探ってみる。見つかったのはハイエルが渡してきた謎の草。使えるかはわからないがないよりはマシだ。
「あれ、もう鬼ごっこは終わりかな?」
そう言って歩み寄ってきたリュークの足元に向かって、瓶に入った謎の草を投げつけた。
「うっ、くさっ!?」
すると瓶が割れて中から鼻がもげるほどの臭気が漂ってきた。俺も結構(精神的)ダメージをくらったが、そのおかげで隙が生まれ、その間に逃げていった。
ふぅ、なんとかうまくいった。しかし相当臭かったな、あれもう兵器だろ。
俺はそんなことを考えつつ、俺は来た道とは違う方向へ走っていった。
よし、これでどこか上に上がれるような場所を探さないとな。
ーそして20分後
「…嘘だろ」
上に上がる道を見つけることは出来ず、行き止まりのところに来てしまった。
さっきみたいに切り抜ける方法はもうないし、これはもう万策尽きたということなのだろうか。
(くそ、何か、何かないのか?)
俺は周りを見渡してみると、箱を1つ発見した。
「これは一体なんだ?」
俺はとりあえずその箱を開けてみると、中には青々とした葉が一枚入っていた。
「薬草?それとも何か別のアイテムか?」
俺には全くなんなのかわからない。箱に入ってたのが武器だったらなぁ。いや、せめて鑑定スキルとかが使えたらなぁ…。
「なんでそういうのないんだよ!鑑定!」
そうムキになって俺は草に向かって『鑑定』と唱えてみる。
『スキル"鑑定"の使用条件成立、鑑定開始します』のないこえが流れてきて、草の上にアイコンが表示された。
『不死の森のハーブ』
・不死の森の泉に生えるハーブ。泉が枯れて以降、採取不可
・直前、直後に食べたものの効果を20倍に高める。
「…俺にも、鑑定が使えた?」
俺は一瞬ポカンとしてしまうが、気を取り直し、表示された画面を見る。
「…このアイテム結構チートな能力してねぇか?」
俺は教会の地下でチートアイテムを手に入れた。
俺は真剣にリュークを見据え、そう聞いた。
「さあ、どこだろうね?僕に勝ったら教えてあげるよ」
それに対してリュークはふざけたような口調で言ってくる。
俺はそんな態度にいっそう警戒心を強め、腰からナイフを取り出した。
「おぉ、いい顔になったねぇ…それじゃ行くよ?」
その台詞を境に、俺はナイフを構える。
(魔法はどこからくる?上か?下か?)
「どこを見ているんだい?」
そう警戒していた刹那、突然リュークが目の前に現れた。
「…なっ!?」
そんな突然のことに俺は反射的に後ろへ下がった。
「うん、なかなか良い反射神経してるね、昔なにかやってたのかい?」
そう言って楽しそうに聞いてくる。確か昔、『刹那の見切り』なんて反射神経のいるゲームを意地でも全クリしようとして反射神経鍛えられた気がする。あの頃は音が鳴った瞬間Aボタンを押せていた。…関係ないか。
「お前、魔法士じゃなかったのか…?」
とりあえず気になったのはそこだ。クラリスの話を聞いてる限り、魔法士だと思っていた。だが今のを見るとそれは違う気がしてくる。
「いや、僕はただの魔法士だよ?」
「…じゃあ今の瞬間移動はなんだ」
「ああ、今のは少し手前の空間を捻じ曲げて瞬間移動のようなことをしただけさ」
…なんだそれ。空間を曲げる魔法とかチートじゃねえか。瞬間移動とかされて勝てるわけねぇだろ。
「『チートじゃねえかそれ』って顔してるね。ふふっ、安心してよ、これ結構魔力使うし、効果範囲も2,3メートルくらいだからあんまり使うつもりはないよ」
「…それは俺を油断させる作戦か?」
「そんなわけないよ、弱い君を油断させる必要なんてどこにもないでしょ?」
「それはそうだが…」
俺はリュークの言動に違和感を感じていた。
クラリスをさらって、邪魔者の俺を消しておく、というのは普通に考えられることだ。でもアイツはうっかり死んでしまった俺を生き返らせ、遊ぶとか言っている。自分の能力まで制限をかけて。本当に意味がわからない。アイツの目的はなんだ?
俺はそんなことを考えつつ、相手の攻撃を避けていた。
「ほらほら、もっと早く避けないと。当たっちゃうよ?」
しかもギリギリ俺が避けれるくらいに攻撃を打ってきてる。なんなんだ?本当にアイツは俺で遊んでるだけなのか?
「君も攻撃してこないと僕にはかてないよ?」
そう言ってリュークは愉快に笑いながら魔法を打ってくる。
アイツは油断してて隙もある。そこを突けばいけるはずだ!
そう思って相手を見ながら攻撃を避け、隙を見計らっていたー
が、俺の避けた攻撃が地面に当たり、脆くなっていたのかわからないが、突然地面が崩れてしまった。
「う、うぉあ!?」
俺はその穴に落ちていってしまった。
○●○
「いてて、…なんとか生きてるか」
俺は体を見回し、手を握って感覚があることを確認する。
うん、大丈夫、そこまでダメージは食らってないみたいだ。
「それにしても、なんだここは?」
俺はあたりを見渡してみる。落ちたのは5mくらいだろうか。下にも光は届いていて、道が続いていた。
教会の地下に道?奥に何かあるのか?
「おーい、生きてるかーい?」
そう考えていると、上から声が聞こえてきた。リュークの声だ。ずっとここにいるのは危ないな。
俺はあたりを見渡して、どこに逃げるか考えた。
そしてその数分後、
「さーて、どこにいるかな…ってこんなところに道が…」
リュークは音を立てずに地下に降りた。おそらく風の魔法でも使って衝撃を緩めたのだろう。
「こっちにいるのかな?」
そう言ってふふっ、と笑い、道を歩いていく。
「そっちじゃねえよ、バカヤロウ!」
そう叫んで俺は瓦礫の中からナイフを右手に構え、飛び出した。
「…なっ!?瓦礫の下から!?」
リュークは油断していたのか、反応が遅れる。
(もらった!)
俺はそう確信して、リュークの首を切ろうとした。
ーが、自分の右手がリュークの首に届く手前で止まってしまう。
「あ…れ?」
魔法をくらった様子もない。自然と、手が止まった。
(おい、もしかして俺、人殺すのが怖いとか思ってんじゃねぇだろうな!?)
俺は右手に力を込めるが、動く気配はない。むしろ震えが増していく。
「あれ?どうしたのかなぁその顔!もしかして人殺すのが怖いとか思っちゃってるの?」
(くそ、動けっ、動けよ!アイツを倒せるチャンスなんてもうないかもしれねぇんだぞ!?)
俺はそう強く念じるが、やはり右手が動く気配はない。自然と顔にも焦りが増してきた。
「あはは!いいねぇ、その顔!それだよ、そうゆうのが見たかったんだよ!」
リュークはよっぽど愉快なのか、テンションがどんどん上がっていっている。
「惜しかったねぇ、もう少しで届いたのに」
リュークは今まで以上に歪めた笑みを見せた。
「くっそぉぉぉ!!」
俺はリュークから間を取り、続いていた道へと逃げていった。
「なんだ、鬼ごっこかい?いいねぇ、それも面白そうだ」
そう言ってリュークも俺が走っていった方へ走っていった。
○●○
(くそっ、くそっ、くそっ!失敗した!あれで殺せるはずだったのに!)
俺は歯が折れるんじゃないかと思うくらいに噛み締め、とにかくリュークから逃げていた。
「な、行き止まり…?」
だがいつまでも逃げ続けることもできない。行き止まりで、俺は退路を断たれてしまった。
そして、カツン、カツンと足音が聞こえてくる。
(ヤバイ、どうする!?逃げ道も倒す方法もないぞ!?)
カツン、カツンと足音が近づいてくる。
(くそ、何か使えるアイテムはないのか!?)
俺はくまなく探ってみる。見つかったのはハイエルが渡してきた謎の草。使えるかはわからないがないよりはマシだ。
「あれ、もう鬼ごっこは終わりかな?」
そう言って歩み寄ってきたリュークの足元に向かって、瓶に入った謎の草を投げつけた。
「うっ、くさっ!?」
すると瓶が割れて中から鼻がもげるほどの臭気が漂ってきた。俺も結構(精神的)ダメージをくらったが、そのおかげで隙が生まれ、その間に逃げていった。
ふぅ、なんとかうまくいった。しかし相当臭かったな、あれもう兵器だろ。
俺はそんなことを考えつつ、俺は来た道とは違う方向へ走っていった。
よし、これでどこか上に上がれるような場所を探さないとな。
ーそして20分後
「…嘘だろ」
上に上がる道を見つけることは出来ず、行き止まりのところに来てしまった。
さっきみたいに切り抜ける方法はもうないし、これはもう万策尽きたということなのだろうか。
(くそ、何か、何かないのか?)
俺は周りを見渡してみると、箱を1つ発見した。
「これは一体なんだ?」
俺はとりあえずその箱を開けてみると、中には青々とした葉が一枚入っていた。
「薬草?それとも何か別のアイテムか?」
俺には全くなんなのかわからない。箱に入ってたのが武器だったらなぁ。いや、せめて鑑定スキルとかが使えたらなぁ…。
「なんでそういうのないんだよ!鑑定!」
そうムキになって俺は草に向かって『鑑定』と唱えてみる。
『スキル"鑑定"の使用条件成立、鑑定開始します』のないこえが流れてきて、草の上にアイコンが表示された。
『不死の森のハーブ』
・不死の森の泉に生えるハーブ。泉が枯れて以降、採取不可
・直前、直後に食べたものの効果を20倍に高める。
「…俺にも、鑑定が使えた?」
俺は一瞬ポカンとしてしまうが、気を取り直し、表示された画面を見る。
「…このアイテム結構チートな能力してねぇか?」
俺は教会の地下でチートアイテムを手に入れた。
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