転生したら従者になった話

涼音

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やっと、シアン様が節目の5歳となった。
5歳の誕生日を迎えたら王都の学園に通う事になる。
俺の場合は、特例でってわけでは無いけど、年齢が近い主人がいる従者なら良くあるらしい。
つまり、シアン様と一緒に入学する事になっている。

前世で言うと、10歳になるまでは初等部に通い、そっから8年間は中等部と高等部の混合である。
初等部で行う魔力測定は測定でしか無く、初等部を卒業のち、それを加味した進路に進む。
この世界の成人は18な為、成人までわずかな期間しか無い。
それまでに王族貴族は婚約者を見つけ、一般人は就職先を見つけなくてはならない。
俺は一生シアン様の従者の予定だから安泰っちゃ安泰だが。



父と陛下に今日は自由にして良いと許可を貰ったので、滅多に人がいない裏庭の大樹がある俺の気に入りの場所で月見をしている。
今はシアン様のことで手一杯であまり来てなかったが、下積み時期の休憩時間には良く此処でギターを弾いていた。
今は夜という事もあり、昼間の灼熱がウソの様に涼しい。というか寧ろ寒い



「今日は満月が二つか」


満月が二つ出たら、この国の創造主と言われているイスファレンと言う女神の祝福があると言われている。
月二つ出るのは珍しく無い。しかし、満月二つはそうそうあるわけじゃ無い。
そう言われると、神を信じない俺でも何かしらあるのでは無いかと思ってしまう。
異世界転生した時点で神の何かしらの力が働いているだろうと少しだけ思ってやる事にした。




僅かに肌寒い空気を感じつつ月を眺めていると、左横で草が踏まれる音がした
音に釣られ、左を見ると少し吊り目な目を大きく開いて俺を見ている、シアン様と同じくらいの歳の少年がいた


月の光で白く見えるが水色だろうと思われる髪、夜でもはっきりと分かる真紅の目
それらの特徴がある貴族もしくは王族を脳内図鑑から探す



すると、ある一つの一族が浮かんだ


「お初にお目にかかります、アシェル殿下」

俺は立ち上がり、胸に手を当てて深々と頭を下げた
目の前の方はアシェル・ディア・フィリミア様。
俺らが後に通う学園がある王都、フィリミア国の第二王子である。
歳はシアン様と同い歳で、シアン様と同期でシャイレン学園初等部に入学すると風の噂で聞いている。



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