転生したら従者になった話

涼音

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「僕のことを知っているのですか?」

その愛らしい顔をコテンを横に倒した

「勿論でございます。紹介が遅れました。私、この国の第三王子シアン・ディー・フレシア様の従者を勤めさせて頂いておりますユーラス・シュリアンで御座います。以後お見知りおき下さいませ」

「そうだったんですね。確かに、此度の主役であるシアン様のエスコートをされていた方のようだ。あまりに美しかったので、周りはあなたの存在が気になっていたようですよ」

従者でしたか。とニコッと笑いながら言った
もしかして、シアン様より俺のが目立っていた?いやそんなバカな事あってたまるか
それよりもこの王子、従者もつけずにこんなトコふらついてて良いのだろうか
いくら城の庭だからと言って、危険じゃないわけがない

「アシェル殿下、お付きの方はどうされたんですか?」
「あぁ。僕の従者は僕の分身を護衛してますよ」

ふぁっ?!

「分身とは幻術魔法ですか?」
「はいっ!」

いや、元気よく「はいっ!」じゃないよ
何軽々しくとんでも無いこと言ってるんだこの人

分身魔法基幻術魔法は、光若しくは闇と霧の複合魔法
まあ霧自体も水と光の複合魔法なのだが
遠距離操作は勿論、人を模すなら人体の動き方などを理解しなければならなく勿論、下手な使い手だと存在が歪んでしまい素人にもすぐにバレてしまう。結構な高等技術と言えるだろう
それもこんな人が大量にいる場所で幻術を使うなど、全ての人間に見えるように効果を掛けなければ意味がない

従者にそれがバレているのであれば多分会場に引き摺られてるだろう。と言うことは、バレていない。
つまり、この可愛い王子様はとんでもない魔術師と言える。
たかが5歳でそんな高等魔術を……。
それを考え、俺は軽く眩暈がした


「あ、でも、僕が得意な魔法はこれくらいなんですけどね。他はてんで駄目です。たまたま前に上手く出来たから技術を上げようとしてる所です」

俺が考えている事が分かったのか、少し困ったように人差し指で頭を掻きながら言った
生まれながらの天才か努力の天才かどちらだろうと思ったが、ただの天才だったようだ

末恐ろしや………。

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