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第三十八章
一晩中降り続いた雨は、明け方に漸く降り止んだ。目に痛いほど眩しい朝日を浴びて、あの豪雨と雷は一体何だったのかとクローディアは思った。
フォーウッド伯爵家に落雷と火災があったのは直ぐに貴族らに伝わって、驚くほど多くの家々が見舞いや援助を申し出てくれた。
乳飲み子までいるからと、見舞いの品に産着が多く含まれているのを見たときには、普段社交場に出ていないにも関わらず、こんな細やかな支援や心遣いを贈ってくれた貴族たちに、クローディアは感謝の涙が滲んだ。
クローディアの中では、もう邸は半焼したのではと思った火災であったが、損傷はそこまで酷くはなかった。
大木が突き破った箇所は邸宅の居住区に当たり、執務室や書庫といった重要書類が保管されるような部屋は反対のエリアだったのも不幸中の幸いであった。
怪我人も無し。厩舎はバリオスが破壊した以外、馬は全員無事だった。
アンネマリーもフランシスも、明け方にはローレンスの執務室で毛布に包まり眠っていた。
赤児のフランシスが、なぜあれほど平常心を保っていたのか、クローディアにはわからない。耳が悪いわけでも目が見えないわけでもない。ローレンスに高い高いをされて、きゃっきゃと笑うほど元気であった。
アンネマリーが雨や雷にトラウマを抱かなければよいと心配になったが、数日様子を見ても彼女もまたいつものアンネマリーそのものだった。
一番驚いたのは。
「姉上」
「おはよう、ロナルド。今日はまた一段と早いわね」
生家の父が、王都外れに所有する別邸を貸してくれたことだった。
夜が明けて邸宅の被害が明らかになる頃、バークリー伯爵家から父の侍従が訪れ支援を申し出てくれた。
初めは本邸に招かれたのだが、アンネマリーやフランシスもいることだしとクローディアが悩んだところで、
「では別邸を提供させて頂きます」
そう言って、話は決まったとばかりに侍従は帰ってしまった。
別邸はフォーウッド伯爵邸からそれほど離れていない場所にある。
絶縁状態の父からの援助に、実のところクローディアは警戒感を抱いていた。別に言うなら、素直になれずにいた。
「君たちだけでも避難するんだ」
「ですが……」
ローレンスは邸宅の改修や軍馬関係の仕事があるから、伯爵邸から離れるわけにはいかない。邸宅の半分は無傷であったから、不便はあっても寝起きはできる。
「メイドと侍女も連れて行くといい。通いの者はこちらに残せばよい」
「ですが……」
「心配いらない。何かあったら直ぐに使いを寄越してくれ。私も毎日行くから」
伯爵家と別邸は健脚なら徒歩でも通える距離にある。馬車や馬ならそれほど時間を要しない。
「でも……」
珍しくゴネるクローディアに、ローレンスは言った。
「お父上に甘えることも孝行だ」
「……」
素直になれないクローディア。それをローレンスはやんわり窘めた。
「でも、旦那様。私……私、旦那様がお側にいないと淋しいわ」
その言葉は想定外で、ローレンスは陥落した。傍目でわかるほどデレた。大丈夫だろうか旦那様、と使用人たちが心配するくらいには、わかりやすくでれぇ~となった。
結局、クローディアは父に甘えることにした。義母からも文や見舞いが届けられて、アンネマリーやフランシスの着替えまで送ってこられて、トドメはリリベットがアンネマリーを心配しているとまであったから、好意に甘えて別邸に移った。
それから毎朝なぜなのか、生家からロナルドがやってくる。勿論、リリベットも一緒なのだが、子供が外出するには明らかに早い時間に別邸を訪れる。
そうして半日ほどアンネマリーやフランシスと過ごしてから、侍女と護衛に促されて帰るのである。
「アンネマリー。罪な女ね」
「つみ?なんの?」
「……敢えて言うなら、存在、かしら」
「?」
「よいのよ、深く考えずとも。貴女は変わらず貴女でいてね」
訳のわからないことを言うクローディアに、アンネマリーは不可解という顔をしたが、侍女らも同じようなことを考えていたから、誰もなにも説明することはなかった。
伯爵家の補修工事が終わって、愈々戻ろうとする頃になって、クローディアは生家の父を訪ねた。
一応、お礼を述べなければ夫に恥をかかせてしまう。
意外だったのは、父はいつもと変わらぬ顔でクローディアを迎えたことだった。以前、生意気な口上をぶちまけたクローディアに、相変わらず面白味のない顔を向けた。
だが、
「嫡男をこちらへ」
「それはフランシスのことで?」
「他に誰がいる」
父はフランシスに会うことを望んだ。
「泣かせないで下さいませ」
素直になれないクローディアが可愛げのないことを言ったのにも、父は気にする風でもなかった。
フランシスは、青い瞳で父を見て、それからキョロキョロと興味のある方向に顔を向けている。
「こちらへ」
驚いたことに、父はフランシスを抱き上げた。そんな姿を見るのは末の異母妹が幼児の頃以来だった。
「ふむ」
祖父を見つめるフランシスに、父はなにを思ったのか、
「ばあ」
え?何今の。
クローディアは驚いた。父はもしや、フランシスをあやしたのか。
「いない、いない、ばあ」
「ぶほっ」
父のあやしにうっかり吹き出してしまった。父の侍従も笑いを噛み殺しているから、クローディアは悪くない。
「骨が太いな。丈夫に育つだろう」
終いには、どこの預言者かというようなことを言われた。
フランシスが縁を取り持ってか、被災がきっかけとなってか、クローディアと父の冷戦は幕を閉じた。
改修の済んだフォーウッド伯爵家邸には、リリベットとロナルドが頻繁に訪ねて来るようになり、彼らとの交流は、間もなく社交界に足を踏み入れるアンネマリーにとっても心強いことだと思った。
「見違えましたね」
「気に入ったか?」
「ええ、まあ……」
改修された邸宅に戻って、クローディアは部屋を案内されながら困惑を深めた。
「ここがアンネマリーの部屋だ。向かいはフランシス、それから……」
それからと言って、ローレンスは次の部屋、更に次の部屋と、クローディアを案内する。部屋の全てが「子供部屋」で、ローレンスは今のところ第四子まで軽く想定しているようだった。
改修された邸宅の二階、その半分が子供部屋だった。
子供というなら、メアリーが身籠った。
メアリーとは、ローレンスの侍従の馬である。牝馬であるが身体が大きく脚が強い。
「いつ種付けを?」
「してない」
「え?だって今……」
身籠ったということは、種付けをしたということだろう。
「嵐の夜に」
「嵐の夜に?」
「睦んだらしい」
「は?誰と?……真逆」
あの夜、厩舎から逃亡を図った馬は、バリオス一頭だけだった。みんな興奮はしていたが、厩舎の中に揃っていた。
「そんなこと……」
「あいつは火事に怯えたんじゃない。隙を窺っていたんだ。メアリーを狙っていた」
「ええ?そんな真逆ぁ、って、本当に?」
「あいつは知能犯だ」
確して、メアリーはその後元気な仔馬を産んだ。
漆黒の鬣に誰もが思い当たった。十中十、バリオスの子であろう艷やかな黒い毛の仔馬は、フランシスに贈られた。
フォーウッド伯爵家に落雷と火災があったのは直ぐに貴族らに伝わって、驚くほど多くの家々が見舞いや援助を申し出てくれた。
乳飲み子までいるからと、見舞いの品に産着が多く含まれているのを見たときには、普段社交場に出ていないにも関わらず、こんな細やかな支援や心遣いを贈ってくれた貴族たちに、クローディアは感謝の涙が滲んだ。
クローディアの中では、もう邸は半焼したのではと思った火災であったが、損傷はそこまで酷くはなかった。
大木が突き破った箇所は邸宅の居住区に当たり、執務室や書庫といった重要書類が保管されるような部屋は反対のエリアだったのも不幸中の幸いであった。
怪我人も無し。厩舎はバリオスが破壊した以外、馬は全員無事だった。
アンネマリーもフランシスも、明け方にはローレンスの執務室で毛布に包まり眠っていた。
赤児のフランシスが、なぜあれほど平常心を保っていたのか、クローディアにはわからない。耳が悪いわけでも目が見えないわけでもない。ローレンスに高い高いをされて、きゃっきゃと笑うほど元気であった。
アンネマリーが雨や雷にトラウマを抱かなければよいと心配になったが、数日様子を見ても彼女もまたいつものアンネマリーそのものだった。
一番驚いたのは。
「姉上」
「おはよう、ロナルド。今日はまた一段と早いわね」
生家の父が、王都外れに所有する別邸を貸してくれたことだった。
夜が明けて邸宅の被害が明らかになる頃、バークリー伯爵家から父の侍従が訪れ支援を申し出てくれた。
初めは本邸に招かれたのだが、アンネマリーやフランシスもいることだしとクローディアが悩んだところで、
「では別邸を提供させて頂きます」
そう言って、話は決まったとばかりに侍従は帰ってしまった。
別邸はフォーウッド伯爵邸からそれほど離れていない場所にある。
絶縁状態の父からの援助に、実のところクローディアは警戒感を抱いていた。別に言うなら、素直になれずにいた。
「君たちだけでも避難するんだ」
「ですが……」
ローレンスは邸宅の改修や軍馬関係の仕事があるから、伯爵邸から離れるわけにはいかない。邸宅の半分は無傷であったから、不便はあっても寝起きはできる。
「メイドと侍女も連れて行くといい。通いの者はこちらに残せばよい」
「ですが……」
「心配いらない。何かあったら直ぐに使いを寄越してくれ。私も毎日行くから」
伯爵家と別邸は健脚なら徒歩でも通える距離にある。馬車や馬ならそれほど時間を要しない。
「でも……」
珍しくゴネるクローディアに、ローレンスは言った。
「お父上に甘えることも孝行だ」
「……」
素直になれないクローディア。それをローレンスはやんわり窘めた。
「でも、旦那様。私……私、旦那様がお側にいないと淋しいわ」
その言葉は想定外で、ローレンスは陥落した。傍目でわかるほどデレた。大丈夫だろうか旦那様、と使用人たちが心配するくらいには、わかりやすくでれぇ~となった。
結局、クローディアは父に甘えることにした。義母からも文や見舞いが届けられて、アンネマリーやフランシスの着替えまで送ってこられて、トドメはリリベットがアンネマリーを心配しているとまであったから、好意に甘えて別邸に移った。
それから毎朝なぜなのか、生家からロナルドがやってくる。勿論、リリベットも一緒なのだが、子供が外出するには明らかに早い時間に別邸を訪れる。
そうして半日ほどアンネマリーやフランシスと過ごしてから、侍女と護衛に促されて帰るのである。
「アンネマリー。罪な女ね」
「つみ?なんの?」
「……敢えて言うなら、存在、かしら」
「?」
「よいのよ、深く考えずとも。貴女は変わらず貴女でいてね」
訳のわからないことを言うクローディアに、アンネマリーは不可解という顔をしたが、侍女らも同じようなことを考えていたから、誰もなにも説明することはなかった。
伯爵家の補修工事が終わって、愈々戻ろうとする頃になって、クローディアは生家の父を訪ねた。
一応、お礼を述べなければ夫に恥をかかせてしまう。
意外だったのは、父はいつもと変わらぬ顔でクローディアを迎えたことだった。以前、生意気な口上をぶちまけたクローディアに、相変わらず面白味のない顔を向けた。
だが、
「嫡男をこちらへ」
「それはフランシスのことで?」
「他に誰がいる」
父はフランシスに会うことを望んだ。
「泣かせないで下さいませ」
素直になれないクローディアが可愛げのないことを言ったのにも、父は気にする風でもなかった。
フランシスは、青い瞳で父を見て、それからキョロキョロと興味のある方向に顔を向けている。
「こちらへ」
驚いたことに、父はフランシスを抱き上げた。そんな姿を見るのは末の異母妹が幼児の頃以来だった。
「ふむ」
祖父を見つめるフランシスに、父はなにを思ったのか、
「ばあ」
え?何今の。
クローディアは驚いた。父はもしや、フランシスをあやしたのか。
「いない、いない、ばあ」
「ぶほっ」
父のあやしにうっかり吹き出してしまった。父の侍従も笑いを噛み殺しているから、クローディアは悪くない。
「骨が太いな。丈夫に育つだろう」
終いには、どこの預言者かというようなことを言われた。
フランシスが縁を取り持ってか、被災がきっかけとなってか、クローディアと父の冷戦は幕を閉じた。
改修の済んだフォーウッド伯爵家邸には、リリベットとロナルドが頻繁に訪ねて来るようになり、彼らとの交流は、間もなく社交界に足を踏み入れるアンネマリーにとっても心強いことだと思った。
「見違えましたね」
「気に入ったか?」
「ええ、まあ……」
改修された邸宅に戻って、クローディアは部屋を案内されながら困惑を深めた。
「ここがアンネマリーの部屋だ。向かいはフランシス、それから……」
それからと言って、ローレンスは次の部屋、更に次の部屋と、クローディアを案内する。部屋の全てが「子供部屋」で、ローレンスは今のところ第四子まで軽く想定しているようだった。
改修された邸宅の二階、その半分が子供部屋だった。
子供というなら、メアリーが身籠った。
メアリーとは、ローレンスの侍従の馬である。牝馬であるが身体が大きく脚が強い。
「いつ種付けを?」
「してない」
「え?だって今……」
身籠ったということは、種付けをしたということだろう。
「嵐の夜に」
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「は?誰と?……真逆」
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「そんなこと……」
「あいつは火事に怯えたんじゃない。隙を窺っていたんだ。メアリーを狙っていた」
「ええ?そんな真逆ぁ、って、本当に?」
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