1 / 3
【1】
しおりを挟む
金髪眼鏡。
フレデリックに初めて会った時にそう思った。
金髪、眼鏡、萌え。
イーディスは金髪が好物だ。眼鏡は更に大好物だ。目の前に座った兄の友人が金髪な上に眼鏡男子だった事に、イーディスは歓喜した。歓喜のあまり心の中で連続前転をした。
普段は唐変木で木偶の坊な兄を見上げる。
兄、グッジョブ。
「妹のイーディスだ」
前言撤回。もっとまともな紹介をしろ。
「妹のイーディスです」
いや自分。もっとまともな紹介をしろ。
そんな阿呆な兄妹をどう思うのかフレデリックは、
「友人のフレデリックです」
と、もっとまともな紹介が出来ないのかねと思う自己紹介をした。
イーディスが眼鏡男子好きなのには理由がある。
幼い頃に亡くなった父が眼鏡男子だった。父親が大好きだったイーディスは、雛鳥が刷り込みをされる様に、大好き=眼鏡男子になった。金髪好きは絵本で読んだ憧れの王子様が金髪だからだろう。
真っ赤な髪の兄と違って母親譲りのブルネットのイーディス。日の光を受けて赤々と燃える様な兄の赤髪が目に痛くて、思わずフレデリックを見た。金髪、眼鏡、萌え。
そんなこんなでイーディスはフレデリックと知り合った。そういう理由でフレデリックに恋をした。
どういう理由かは不明だが、恋とはある日突然降って来る。
ひと目会ったその日から、恋の花は満開だった。
イーディスは子爵家の子女である。母は子爵家の当主で、入婿であった父が亡くなった後、年下の貴族令息を婿に迎え入れた。
義父は悪い男ではないが少しばかりウザかった。
「見たよ、イーディス。君が恋に堕ちるとこ」
「へえ」
「父親にその言い様は頂けないね」
「何処が父親よ。去年まで私の隣りの席に座っていたくせに」
義父のヘスターは、イーディスの学園時代の同級生だ。どうして母はこんな若いツバメに手を付けたのか。態々十八も年下の男爵家の味噌っカスに手を付けなくても。
ヘスターもヘスターだ。態々十八も年上の女子爵に一目惚れなんてしなくても。
母は幼い頃から厳しい当主教育を受けて、貴族学園には入らずに学者紛いの教師達から教えを受けて学んだ後に、十五で父と婚姻を結んだ。
イーディスが八歳の年に父が亡くなり、それから十年、兄とイーディスを育てながら子爵家当主として孤軍奮闘して来た女傑である。
艶々のブルネットの髪に濃い翡翠の瞳。イーディスの髪色は母譲りである。すっきりと背筋が伸びて知的で強くて優しくて、兎に角、完全無欠な母の初恋がヘスターだった。
なんだそれ。父があまりに不憫。
政略結婚の父を母は「それなりに」愛していたと宣った。
イーディスの貴族学園の卒業式に参席して、母はイーディスの同級生であったヘスターに恋をした。
面倒だったのは、そのヘスターもまた、ひと目会ったその時にイーディスの母と恋に堕ちたのだった。
「君には幸せになって欲しいんだ。なにせロレインの娘なのだから」
どの口が言う。この世の春を謳歌して絶賛ラブラブ中なヘスターの言葉はイーディスの胸に響かない。
「眼鏡男子、好きなんだろう?金髪、好きなんだろう?」
胡散臭いペテン師の様な台詞を吐くヘスターを睨み付ける。顔だけは綺麗な顔をしやがって、自慢の母を堕としてしまった美丈夫め。あれ?これって褒め言葉ではないか?
何処に弱点があるのだろう。目の前の同い年の義父を、イーディスは目を糸の様に細めて眺めた。
フレデリックに初めて会った時にそう思った。
金髪、眼鏡、萌え。
イーディスは金髪が好物だ。眼鏡は更に大好物だ。目の前に座った兄の友人が金髪な上に眼鏡男子だった事に、イーディスは歓喜した。歓喜のあまり心の中で連続前転をした。
普段は唐変木で木偶の坊な兄を見上げる。
兄、グッジョブ。
「妹のイーディスだ」
前言撤回。もっとまともな紹介をしろ。
「妹のイーディスです」
いや自分。もっとまともな紹介をしろ。
そんな阿呆な兄妹をどう思うのかフレデリックは、
「友人のフレデリックです」
と、もっとまともな紹介が出来ないのかねと思う自己紹介をした。
イーディスが眼鏡男子好きなのには理由がある。
幼い頃に亡くなった父が眼鏡男子だった。父親が大好きだったイーディスは、雛鳥が刷り込みをされる様に、大好き=眼鏡男子になった。金髪好きは絵本で読んだ憧れの王子様が金髪だからだろう。
真っ赤な髪の兄と違って母親譲りのブルネットのイーディス。日の光を受けて赤々と燃える様な兄の赤髪が目に痛くて、思わずフレデリックを見た。金髪、眼鏡、萌え。
そんなこんなでイーディスはフレデリックと知り合った。そういう理由でフレデリックに恋をした。
どういう理由かは不明だが、恋とはある日突然降って来る。
ひと目会ったその日から、恋の花は満開だった。
イーディスは子爵家の子女である。母は子爵家の当主で、入婿であった父が亡くなった後、年下の貴族令息を婿に迎え入れた。
義父は悪い男ではないが少しばかりウザかった。
「見たよ、イーディス。君が恋に堕ちるとこ」
「へえ」
「父親にその言い様は頂けないね」
「何処が父親よ。去年まで私の隣りの席に座っていたくせに」
義父のヘスターは、イーディスの学園時代の同級生だ。どうして母はこんな若いツバメに手を付けたのか。態々十八も年下の男爵家の味噌っカスに手を付けなくても。
ヘスターもヘスターだ。態々十八も年上の女子爵に一目惚れなんてしなくても。
母は幼い頃から厳しい当主教育を受けて、貴族学園には入らずに学者紛いの教師達から教えを受けて学んだ後に、十五で父と婚姻を結んだ。
イーディスが八歳の年に父が亡くなり、それから十年、兄とイーディスを育てながら子爵家当主として孤軍奮闘して来た女傑である。
艶々のブルネットの髪に濃い翡翠の瞳。イーディスの髪色は母譲りである。すっきりと背筋が伸びて知的で強くて優しくて、兎に角、完全無欠な母の初恋がヘスターだった。
なんだそれ。父があまりに不憫。
政略結婚の父を母は「それなりに」愛していたと宣った。
イーディスの貴族学園の卒業式に参席して、母はイーディスの同級生であったヘスターに恋をした。
面倒だったのは、そのヘスターもまた、ひと目会ったその時にイーディスの母と恋に堕ちたのだった。
「君には幸せになって欲しいんだ。なにせロレインの娘なのだから」
どの口が言う。この世の春を謳歌して絶賛ラブラブ中なヘスターの言葉はイーディスの胸に響かない。
「眼鏡男子、好きなんだろう?金髪、好きなんだろう?」
胡散臭いペテン師の様な台詞を吐くヘスターを睨み付ける。顔だけは綺麗な顔をしやがって、自慢の母を堕としてしまった美丈夫め。あれ?これって褒め言葉ではないか?
何処に弱点があるのだろう。目の前の同い年の義父を、イーディスは目を糸の様に細めて眺めた。
1,578
あなたにおすすめの小説
【完結】ハーレム構成員とその婚約者
里音
恋愛
わたくしには見目麗しい人気者の婚約者がいます。
彼は婚約者のわたくしに素っ気ない態度です。
そんな彼が途中編入の令嬢を生徒会としてお世話することになりました。
異例の事でその彼女のお世話をしている生徒会は彼女の美貌もあいまって見るからに彼女のハーレム構成員のようだと噂されています。
わたくしの婚約者様も彼女に惹かれているのかもしれません。最近お二人で行動する事も多いのですから。
婚約者が彼女のハーレム構成員だと言われたり、彼は彼女に夢中だと噂されたり、2人っきりなのを遠くから見て嫉妬はするし傷つきはします。でもわたくしは彼が大好きなのです。彼をこんな醜い感情で煩わせたくありません。
なのでわたくしはいつものように笑顔で「お会いできて嬉しいです。」と伝えています。
周りには憐れな、ハーレム構成員の婚約者だと思われていようとも。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
話の一コマを切り取るような形にしたかったのですが、終わりがモヤモヤと…力不足です。
コメントは賛否両論受け付けますがメンタル弱いのでお返事はできないかもしれません。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
侯爵令嬢ソフィアの結婚
今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない
そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる
美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ
その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた
結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて…
表紙はかなさんです✨
ありがとうございます😊
2024.07.05
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
【完結】深く青く消えゆく
ここ
恋愛
ミッシェルは騎士を目指している。魔法が得意なため、魔法騎士が第一希望だ。日々父親に男らしくあれ、と鍛えられている。ミッシェルは真っ青な長い髪をしていて、顔立ちはかなり可愛らしい。背も高くない。そのことをからかわれることもある。そういうときは親友レオが助けてくれる。ミッシェルは親友の彼が大好きだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる