―RUBER異譚― 金色の貴方

桃井すもも

文字の大きさ
3 / 3

【3】

しおりを挟む
唐変木の朴念仁である兄の友人、金髪眼鏡男子フレデリックは、見目ばかりはキラキラと麗しいのに腹の中は真っ黒だった。

幼い頃に子供同士の茶会で見かけた、チョコレート色の髪の女の子。フレデリックはひと目で女の子を好きになった。なにせフレデリックはチョコレートが大好きで、チョコレート色の女の子を食べちゃいたいと思ったのだ。

側に赤髪のガタイの良い男児が立っていて、ガタイが大きいクセに影が薄くてうっかり忘れた。

貴族学園で同級になった赤髪の朴念仁、もといジェフリーが彼女の兄だと知ったのは皮肉な事に卒業式のことだった。

見忘れる訳が無い。食べちゃいたくなるチョコレート。チョコレート令嬢イーディスを、フレデリックはジェフリーの陰から穴が空くほど眺めたのだ。


案外ガードが硬かったのはジェフリーで、遊び半分で妹に近付いてもらっては困ると、イーディスに会わせろと強請るジェフリーを跳ね除けた。

跳ね除けられること三年。
三年の内にイーディスは益々キュートになっちゃったじゃないか。
どうしてくれる、可愛いイーディスがどんどん可憐なイーディスになるのを、フレデリックはいつもジェフリーの陰から見つめる事しか出来なかった。

妹を守る為なら狂犬にもなるジェフリーが、近衛騎士を志望しているのを知って悪の誘いを仕掛けた。

フレデリックの父は近衛騎士団の団長で、騎士として類まれな資質を持つジェフリーを、父は予てより密かに狙っていた。彼が嫡男であるところから無理強いは避けていたのだが、そこへフレデリックはキューピットよろしく二人を引き合わせた。

斯くしてジェフリーは近衛騎士団に入団して、フレデリックはイーディスに会うことを許された。

烟る金の髪に澄んだサファイアの瞳。そこに必須アイテム伊達眼鏡を掛けてイーディスに会えば、眼鏡にイチコロのイーディスは見事に手の上に堕ちて来た。

もう離さないよ、僕のチョコレート。甘々の君を甘く甘く蕩かして僕の形に変えてあげる。


こうしてイーディスは、若干サイコパスなエセ眼鏡男子にコロッと騙された。騙されたけれど幸せだった。
フレデリックに見出されてフレデリックの妻となって姓名を変えて、あの黒縁眼鏡が伊達眼鏡だと知ってからも、バレているのを気付かずに眼鏡を掛けるフレデリックを心から愛した。

イーディスの為だけに、両目視力2.0のフレデリックが生涯伊達眼鏡を掛け続けたのを、甘く蕩かされながら幸せだと思うのだった。


空に耀く一番星のフレデリックに見出された、名も無い星のお話しである。


しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【完結】ハーレム構成員とその婚約者

里音
恋愛
わたくしには見目麗しい人気者の婚約者がいます。 彼は婚約者のわたくしに素っ気ない態度です。 そんな彼が途中編入の令嬢を生徒会としてお世話することになりました。 異例の事でその彼女のお世話をしている生徒会は彼女の美貌もあいまって見るからに彼女のハーレム構成員のようだと噂されています。 わたくしの婚約者様も彼女に惹かれているのかもしれません。最近お二人で行動する事も多いのですから。 婚約者が彼女のハーレム構成員だと言われたり、彼は彼女に夢中だと噂されたり、2人っきりなのを遠くから見て嫉妬はするし傷つきはします。でもわたくしは彼が大好きなのです。彼をこんな醜い感情で煩わせたくありません。 なのでわたくしはいつものように笑顔で「お会いできて嬉しいです。」と伝えています。 周りには憐れな、ハーレム構成員の婚約者だと思われていようとも。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 話の一コマを切り取るような形にしたかったのですが、終わりがモヤモヤと…力不足です。 コメントは賛否両論受け付けますがメンタル弱いのでお返事はできないかもしれません。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

侯爵令嬢ソフィアの結婚

今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる 美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた 結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて… 表紙はかなさんです✨ ありがとうございます😊 2024.07.05

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

処理中です...