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【65】最終話
ある年の夏の初めの事である。
東の空が朝焼けに染まる頃、王太子妃が出産を迎えた。
昇る太陽に伴われてお生まれになったのは、男の御子であった。
流石はアンネマリー妃。何処までも王家の役割を果たしてその頂点に君臨する。
フランシス王太子殿下の国王陛下即位を三年後に控えて、期待に違う事なく次代の王子を生み出す奇跡。
先に女児を出産していたパトリシアが、予定通りに王子殿下の乳母となった。
フランシス王太子殿下とアンネマリー王太子妃。
二人並んで王子を披露する神々しい姿は、国民に希望を齎した。
アリアドネもまた、そんな二人の姿に絶賛感涙中である。
「アリアドネ。殿下達はこの後お下がりになる。君もそろそろ控えの間に戻ろう。身体を冷やしてはいけない。」
季節は初夏である。寧ろ暑い位であるのを、何処までも過保護な夫は妻を気遣い甘やかす。
何れ程かと言えば、生まれた王子を国民に披露する場であるのに、この夫、主君の側を離れて袖の方に控える妻ばかりを気に掛けている。
そんなだから、近衛騎士まで気が散って多大な迷惑を掛けている。
数年前の夫を知る人が見たなら、心底驚く姿かも知れない。
ハデスは甘い。妻に甘い。甘党の夫とは妻に甘いものなのか。
アリアドネは昨日懐妊が分かったばかりである。懐妊を知る直前には、ハデスと参加した夜会で得意のダンスを披露したくらいは気力も体力も満ち満ちて、一言で言うなら頗る健康である。
「大丈夫です、ハデス様。アンネマリー様のお姿を目に焼き付けておこうと。」
「あんなのはいつでも見られる。」
「それは、」
「お子はこれからも幾人もお生まれになる。」
「えっと、」
「殿下は大層張り切っておられる。そのうちポロのチームが2つは「ハ、ハデス様、分かりました。もう結構です。」
夫の不敬を止めるのは、妻の大事な務めである。
「名を考えねば。」
「まだ早いのでは、」
「そんな事は無い。そうだ、君のつまらない友人がいるじゃないか。」
「それは、もしやロジャー様のことで?」
「ああ、そんな名であったか。」
「貴方とはご学友でいらっしゃいますが。」
「彼は言語学者であったか。」
「...いえ、考古学者ですわ。古代文明の研究を。」
「ふうん。」
ロジャーは古の文明研究を帝国にて学び、現在はその分野においては王国内での第一人者として活躍している。
そんなロジャーをハデスが知らぬ筈が無い。
ロジャーは考古学者であるが、平素は大学で教鞭を振るいながら、ちょっと長い休みがあれば細君を伴って大陸の遺跡探窟に出掛けている。
『アリアドネって、神話の姫君の名だよね。恋人を糸玉で救った。』
学園生時代に、そう教えてくれたのはロジャーであった。
ハデスは、そんなロジャーをどことなーく目の敵にしていて、されども二人の交流を禁ずる訳でもなく、嫌々ながら見逃している風であった。
数日後、ハデスは徐ろにアリアドネに伝えた。
「今日、王城で奴に会った。」
「...。奴とは、」
「あの変わり者の学者だ。」
「貴方のご学友でもあるロジャー様でしょうか。」
「それだ。」
「...。それで、何をお話しなさったので?」
「他愛もないことだ。ああ、そうだ。名を決めた。」
「この子の?」
「男児ならハリソン、女児ならアリシアと。」
「まあ。」
「良い名だろう。」
「アリアドネ。私は自分の名がどうにも好きになれそうに無い。まだテセウスの方がマシに思える。」
「まあ。」
「こんな冥府の王の名などではなくて。」
「貴方は私の愛する夫です。」
「...」
「最愛の夫、ハデス様です。」
妻に煽てられて分かりやすく目元が赤く染まるのは、何年経っても相変わらぬことである。
はっは~ん、とアリアドネは思う。
ハデスはばったりロジャーに会ったのでは無いだろう。ロジャーの登城を目敏く見つけて、ハデスから接触したに違い無い。
そうして、アリアドネの名の由来となった神話について、ロジャーに確かめたのだろう。
高々神話の話である。けれども、ハデスはアリアドネにも自身にも神話の神の名を付けられた意味を、専門家の口から確かめたかったのではあるまいか。
そこでハデスは、そのアリアドネの恋人がとんでもない恩知らずであったのを知ったのだろう。神話の話であるのに、どうにもお気に召さないポイントがあるらしい。
「君は神話でも現実でも、私を迷路から救ってくれた。」
ハデスは思う。
神話の恥知らずの腹立たしいこと。
私は眠る身重の恋人を置き去りになどしない。君の事は誰にも渡さない。当然、奪われたりもしない。ディオニュソスなど言語道断。アルテミスの弓矢からも護ろう。
冥府の王らしく、地獄の底まで連れ込んで君を愛すると神に誓える。
あの変人学者が言った通りだ。神話の通りだ、私の道標。
神話のテセウスは、アリアドネに助けられ迷路を抜けてミノタウロスを倒した。彼女への恩も愛も忘れて身重のアリアドネを捨てたのはテセウスである。
そして傷心のアリアドネはディオニュソスに慰められて彼の妻となる。ディオニュソスの子を幾人も産む。
それはあの夢の中で、ハデスとの婚約を破棄したアリアドネが、ロジャーに勇気をもらって帝国へ渡ってしまう姿と重なって見えた。
まるでその先にはロジャーとの未来があって、ロジャーとの子を幾人も生むのだと。
何やら可怪しな方向から神話に足を踏み入れたらしい夫を見て、アリアドネは言う。
「ハデス様。私は貴方の為に貴方の子を生むのです。幾人もは無理だけれ「無理のない範囲で幾人も生んでくれ。」
「ではハデス様。悪阻の間も眠っている内も、置き去りにしないと誓って下さいませ。
地獄の底まで連れて行ってくれるのだと、どうか約束して下さい。貴方と住まう地獄なら、地獄の底の夜空で冥府の星を眺めて愉しむわ。」
ハデスとアリアドネの間には、幾人ほどではないけれど、二人の子が授かった。
最初の子は女児であった。ハデスの言う通りアリシアと名付けられた。
次に男児が生まれた時には、自動的にハリソンと名付けられた。
年子で生まれた二人は、良く似た姉弟であった。両親の濡羽色の髪をそのままに、深緑の瞳が深海の様に美しいとアリアドネは思った。
義母の願いでハリソンは、七歳までを髪を伸ばして育てられた。長い髪をリボンで結うと、二人はまるで姉妹に見えた。
愛しいアリーとハリー。
その頃には、アリアドネは思い出していた。
幼い頃にスキップを教えてくれた可愛いお友達ハリー。貴方だったのね、ハデス。
ハリソンを生んで初めて知ったハデスの幼少期。女の子として育てられたハデスの身の上。義母が最愛の息子に冥府の王と名付けた理由。
地獄の申し子ならば、流石の女神も今度は命を奪うまい。義母はその名に願いを託した。
漆黒の宵闇から生まれたハデス。愛する人を迷路から導き出したアリアドネ。
神々の世界から名を授かった二人であったから、運命の女神はほんの少し悪戯を仕掛けたのだろうか。
夏の終わりに見た夢。
アリアドネとハデスが見た長い夢。
二人は生涯、互いの夢の話を打ち明けることはなかった。同じ日に熱を出し同じ様に魘されて、そうして二人、同じく長い夢を見た。
それは互いの胸の内に仕舞っておいた。そんな過ぎた過去よりも、新たな日々は続く。
新たな毎日を生きるのに忙しかった。
子が生まれ、子が育ち、愛する人々と生きる未来は賑やかで、遠い昔の夢の話はいつの間にやら忘れてしまった。
ただ、子供達には、柔らか心で愛する人を愛してほしいと願って育てた。二人はそんなふうに育ってくれた。
あの夢は女神の救いだったのか、未来を生きるアリアドネが夢の世界で教えたのか。
真の事は神々だけが知る、アリアドネとハデスが見た長い夢の話である。
完
東の空が朝焼けに染まる頃、王太子妃が出産を迎えた。
昇る太陽に伴われてお生まれになったのは、男の御子であった。
流石はアンネマリー妃。何処までも王家の役割を果たしてその頂点に君臨する。
フランシス王太子殿下の国王陛下即位を三年後に控えて、期待に違う事なく次代の王子を生み出す奇跡。
先に女児を出産していたパトリシアが、予定通りに王子殿下の乳母となった。
フランシス王太子殿下とアンネマリー王太子妃。
二人並んで王子を披露する神々しい姿は、国民に希望を齎した。
アリアドネもまた、そんな二人の姿に絶賛感涙中である。
「アリアドネ。殿下達はこの後お下がりになる。君もそろそろ控えの間に戻ろう。身体を冷やしてはいけない。」
季節は初夏である。寧ろ暑い位であるのを、何処までも過保護な夫は妻を気遣い甘やかす。
何れ程かと言えば、生まれた王子を国民に披露する場であるのに、この夫、主君の側を離れて袖の方に控える妻ばかりを気に掛けている。
そんなだから、近衛騎士まで気が散って多大な迷惑を掛けている。
数年前の夫を知る人が見たなら、心底驚く姿かも知れない。
ハデスは甘い。妻に甘い。甘党の夫とは妻に甘いものなのか。
アリアドネは昨日懐妊が分かったばかりである。懐妊を知る直前には、ハデスと参加した夜会で得意のダンスを披露したくらいは気力も体力も満ち満ちて、一言で言うなら頗る健康である。
「大丈夫です、ハデス様。アンネマリー様のお姿を目に焼き付けておこうと。」
「あんなのはいつでも見られる。」
「それは、」
「お子はこれからも幾人もお生まれになる。」
「えっと、」
「殿下は大層張り切っておられる。そのうちポロのチームが2つは「ハ、ハデス様、分かりました。もう結構です。」
夫の不敬を止めるのは、妻の大事な務めである。
「名を考えねば。」
「まだ早いのでは、」
「そんな事は無い。そうだ、君のつまらない友人がいるじゃないか。」
「それは、もしやロジャー様のことで?」
「ああ、そんな名であったか。」
「貴方とはご学友でいらっしゃいますが。」
「彼は言語学者であったか。」
「...いえ、考古学者ですわ。古代文明の研究を。」
「ふうん。」
ロジャーは古の文明研究を帝国にて学び、現在はその分野においては王国内での第一人者として活躍している。
そんなロジャーをハデスが知らぬ筈が無い。
ロジャーは考古学者であるが、平素は大学で教鞭を振るいながら、ちょっと長い休みがあれば細君を伴って大陸の遺跡探窟に出掛けている。
『アリアドネって、神話の姫君の名だよね。恋人を糸玉で救った。』
学園生時代に、そう教えてくれたのはロジャーであった。
ハデスは、そんなロジャーをどことなーく目の敵にしていて、されども二人の交流を禁ずる訳でもなく、嫌々ながら見逃している風であった。
数日後、ハデスは徐ろにアリアドネに伝えた。
「今日、王城で奴に会った。」
「...。奴とは、」
「あの変わり者の学者だ。」
「貴方のご学友でもあるロジャー様でしょうか。」
「それだ。」
「...。それで、何をお話しなさったので?」
「他愛もないことだ。ああ、そうだ。名を決めた。」
「この子の?」
「男児ならハリソン、女児ならアリシアと。」
「まあ。」
「良い名だろう。」
「アリアドネ。私は自分の名がどうにも好きになれそうに無い。まだテセウスの方がマシに思える。」
「まあ。」
「こんな冥府の王の名などではなくて。」
「貴方は私の愛する夫です。」
「...」
「最愛の夫、ハデス様です。」
妻に煽てられて分かりやすく目元が赤く染まるのは、何年経っても相変わらぬことである。
はっは~ん、とアリアドネは思う。
ハデスはばったりロジャーに会ったのでは無いだろう。ロジャーの登城を目敏く見つけて、ハデスから接触したに違い無い。
そうして、アリアドネの名の由来となった神話について、ロジャーに確かめたのだろう。
高々神話の話である。けれども、ハデスはアリアドネにも自身にも神話の神の名を付けられた意味を、専門家の口から確かめたかったのではあるまいか。
そこでハデスは、そのアリアドネの恋人がとんでもない恩知らずであったのを知ったのだろう。神話の話であるのに、どうにもお気に召さないポイントがあるらしい。
「君は神話でも現実でも、私を迷路から救ってくれた。」
ハデスは思う。
神話の恥知らずの腹立たしいこと。
私は眠る身重の恋人を置き去りになどしない。君の事は誰にも渡さない。当然、奪われたりもしない。ディオニュソスなど言語道断。アルテミスの弓矢からも護ろう。
冥府の王らしく、地獄の底まで連れ込んで君を愛すると神に誓える。
あの変人学者が言った通りだ。神話の通りだ、私の道標。
神話のテセウスは、アリアドネに助けられ迷路を抜けてミノタウロスを倒した。彼女への恩も愛も忘れて身重のアリアドネを捨てたのはテセウスである。
そして傷心のアリアドネはディオニュソスに慰められて彼の妻となる。ディオニュソスの子を幾人も産む。
それはあの夢の中で、ハデスとの婚約を破棄したアリアドネが、ロジャーに勇気をもらって帝国へ渡ってしまう姿と重なって見えた。
まるでその先にはロジャーとの未来があって、ロジャーとの子を幾人も生むのだと。
何やら可怪しな方向から神話に足を踏み入れたらしい夫を見て、アリアドネは言う。
「ハデス様。私は貴方の為に貴方の子を生むのです。幾人もは無理だけれ「無理のない範囲で幾人も生んでくれ。」
「ではハデス様。悪阻の間も眠っている内も、置き去りにしないと誓って下さいませ。
地獄の底まで連れて行ってくれるのだと、どうか約束して下さい。貴方と住まう地獄なら、地獄の底の夜空で冥府の星を眺めて愉しむわ。」
ハデスとアリアドネの間には、幾人ほどではないけれど、二人の子が授かった。
最初の子は女児であった。ハデスの言う通りアリシアと名付けられた。
次に男児が生まれた時には、自動的にハリソンと名付けられた。
年子で生まれた二人は、良く似た姉弟であった。両親の濡羽色の髪をそのままに、深緑の瞳が深海の様に美しいとアリアドネは思った。
義母の願いでハリソンは、七歳までを髪を伸ばして育てられた。長い髪をリボンで結うと、二人はまるで姉妹に見えた。
愛しいアリーとハリー。
その頃には、アリアドネは思い出していた。
幼い頃にスキップを教えてくれた可愛いお友達ハリー。貴方だったのね、ハデス。
ハリソンを生んで初めて知ったハデスの幼少期。女の子として育てられたハデスの身の上。義母が最愛の息子に冥府の王と名付けた理由。
地獄の申し子ならば、流石の女神も今度は命を奪うまい。義母はその名に願いを託した。
漆黒の宵闇から生まれたハデス。愛する人を迷路から導き出したアリアドネ。
神々の世界から名を授かった二人であったから、運命の女神はほんの少し悪戯を仕掛けたのだろうか。
夏の終わりに見た夢。
アリアドネとハデスが見た長い夢。
二人は生涯、互いの夢の話を打ち明けることはなかった。同じ日に熱を出し同じ様に魘されて、そうして二人、同じく長い夢を見た。
それは互いの胸の内に仕舞っておいた。そんな過ぎた過去よりも、新たな日々は続く。
新たな毎日を生きるのに忙しかった。
子が生まれ、子が育ち、愛する人々と生きる未来は賑やかで、遠い昔の夢の話はいつの間にやら忘れてしまった。
ただ、子供達には、柔らか心で愛する人を愛してほしいと願って育てた。二人はそんなふうに育ってくれた。
あの夢は女神の救いだったのか、未来を生きるアリアドネが夢の世界で教えたのか。
真の事は神々だけが知る、アリアドネとハデスが見た長い夢の話である。
完
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