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【51】
アウローラの知るアストリウスとは、懐深く貴族らしい鷹揚さに気さくなユーモアを持ち合わせた、年上であるがチャーミングで、けれども到底越えられない山のように大きくて尊敬を抱かせる。
だから、当然ながら、こんなアストリウスは知らない。
「力を抜いて、ほら、息を楽にするんだ。」
まだ固く青い身体を容易く暴いた鬼畜な夫。
それに声も出せぬまま、無理矢理息を吐いて痛みを逃した。
「私は晴れ男なんだ。」
自慢気にアストリウスが言った通り、婚礼の日は抜けるような青空が広がっていた。
母が用意した婚礼衣装とは、その昔、父との婚姻式で母が袖を通したドレスであった。
どれほど大切に保管していたのだろう。二十年近くも経つのに染み一つ無い美しい状態であるのを、母はアウローラに合わせてそこに真珠を縫い足した。
アストリウスを通して入手したという粒ぞろいの南洋真珠は、乳白色の照りとオーロラの虹彩が美しく、試着をした姿を見たアストリウスは、君は真の『オーロラ姫』であったのだな、と嘆息を漏らした。
青い空の下、エクリュ色の婚礼衣装を身に纏い、長いトレーンを引きながら一歩一歩と歩みを進めるアウローラは、淡い光を放つ発光体の様に見えた。
姿が良く似た母娘は、身体の寸法まで寸分違わなかった。アウローラの姿に父は「リズを見ているようだ。美しいよ。」と褒めてくれた。
神父の前でお決まりの長~い誓いのキスをして、祝福の言葉に埋もれながら漸く夫婦の部屋に退避したつもりが、そこは新たなダンジョンが開かれた、修羅の世界であった。
「ふっ..」
「大丈夫だ、アウローラ。掴まって。」
言われずとも、必死にアストリウスにしがみつく。そうでなければ揺さぶりに目眩を起こしてしまいそうになる。
あんなに甘く蕩かして、溶けて無くなるほどに甘やかな快楽を教えておいて、次の瞬間にはアウローラを寝台に縫い留める勢いで攻め抜かれる。
「ふ、ぅっ、」
苦しいの一言も言えないほど、甘く甘く溶かされ揺らされ泣かされる。
「はっ、可愛いなっ」
アウローラの何処がそれほど可愛いと思うのか、アストリウスは、ことの始めから終わりまで可愛い可愛いと連発した。
自分でも知らない秘所を晒されて、アストリウスの方が余程アウローラの身体を我が身の様に知り尽くしているのも憎らしい。
憎くて甘くて愛おしい、アウローラの最愛の夫。
「アウローラ」
艶事の最中に名を呼ばれる自分の名が、これほど甘美な響きであるのを初めて知った。
「アストリウス様、」
貴方にもこの気持ちが伝わるかしら。
湿った黒髪が乱れている。青い瞳の眦が紅く染まって見えている。
痩せた自分に欲を覚える夫など、この世の中で貴方くらいだと、この気持ちを伝えたくてアウローラアストリウスの首に腕を回した。
耳元に唇を寄せて「愛してるわ」、掠れた吐息で囁いた。
夜が明ける。
窓から暁に燃えて紅く染まる空が見えている。
二人で迎える初めての朝。妻となった初めての朝は、泣きたいほど幸福な痛みと倦怠の意味を教えてくれた。
何処かから一番鶏の鶏鳴が聴こえた。
フェイラー侯爵夫人アウローラが迎えた、幸福な朝の始まりを告げた。
初夏を迎えた朝であった。
「兄上が再婚するらしい。」
朝餉の後に、フランクから受け取った文に目を通しながらアストリウスが言った。
「私達の婚礼を待っていたのだろう。」
義兄の後遺症は随分癒えて、最近では、ゆっくりであれば松葉杖が無くとも歩行が出来るほど回復していた。
「ふうん。」
「どうなさったの?」
「いや、随分大掛かりに手を回したと思ってね。兄上らしい。」
「どういう事?」
「ん?兄上には元々心を寄せた女性がいたのさ。」
「えっ、それはいつのお話しなの?」
「学生時代からだよ。だが、一門の総意を得られなかった。嫡男には添わせられない令嬢であると云う理由で。」
「どちらのご令嬢でいらっしゃったの?」
「家はもう無いよ。没落した、彼女の在学中に。せめて婚姻した後であったなら、引き離される事も無かったろうに。」
「ではご令嬢は平民になってしまわれたの?」
「ああ。知人の貴族家で侍女として勤めていたそうだ。ご両親は没落後間もなく鬼籍に入っている。彼女の兄が既に文官として出仕していて、その縁で奉公に出たようだ。」
「お義兄様は彼女をお忘れになっていなかったのね。」
「忘れなかったんじゃないよ、アウローラ。」
「え?」
「続いていたのさ。」
「でも、お義兄様は婚姻なさって..真逆、お義兄様、初めから...。その、お子を得なかったのは、もしや、」
「兄上が服薬でもしてたのではないかな。どうあってもシャルロッテ嬢との間に子が出来ぬ様に。」
「それでは、」
「兄上も、シャルロッテ嬢をある意味欺いていたと言う事かな。」
「流行り病は偽りだと?」
「それは本当の事だよ。足に後遺症が遺ったのも。だが、男性機能が不全かどうかは私にも解らない。兄上は、初めから当主を望んではいなかった。彼女との人生を選んでいた。父から爵位を譲られるのが遅かったのは、兄上がそれを固辞していたからだろう。きっと、私に譲る機会を探していたのではないかな。そうして何れ、自身に子種が無いとでも理由を付けて後継を降りるつもりだったのではないかと思う。」
「それは、お義父様方は御存知なの?」
「父は見掛けはじゃが芋だが、見た目通りの好々爺ではないんだよ。骨の髄まで生まれながらの貴族だ。誤魔化しなんて効かないよ。事の行く末は、全ては私に掛かっていた。正確には、私と君に。」
「私?」
「そう。私と君が後継として一族を束ねる力を示せるか。そうなったら兄上は解放される。」
「それは...」
「君は立派に役目を果たして見せた。父の思惑以上だったろう。王族とも筆頭公爵家とも渡り合える。有能で勤勉で貴族の役割を理解して、そうして私を虜にした。
アウローラ、君は我が家に望まれて迎えられた妻なんだ。君が私を一目惚れさせたのは、神の采配だとしか思えない。私は当主なんて望んでいなかったが、君を得られた人生には感謝している。これなら当主業も悪くないと思っている。」
「...アストリウス様、お二人はお幸せになれるのね?」
「うん。私に代わって領地の差配を担ってくれるそうだ。心強いね、これで私は君との蜜月に集中出来るということだ。楽しみだな。」
朝から淫らな空気を醸し出した夫には、気が付かないことにした。
人は見掛けで判断してはならないものだ。にこにこと人好きのする笑みの義父を思い浮かべた。
アウローラは義父の思考が理解出来た。非道とか非情とかではなくて、貴族とはそう云う生き物であるのを、次期当主として育てられたアウローラは、すっかり理解が出来てしまった。そうしてそんな貴族社会を泳ぐのに、怯む気持ちはこれっぽっちも起こらなかった。
全ては家門の為に。アストリウスが自身の人生の青写真を捨ててまで守る決意をしたのなら、アウローラは彼を支えて行くだけである。大海原に帆を上げ船出するように、彼と共にこの世界で生きて行く。
アウローラの婚姻とは、誰でもない、アストリウスに望まれた婚姻なのだから。
完
❋本編はこれにて完結となります。
以後、番外編がございます。引き続きお楽しみ下さいませ!
だから、当然ながら、こんなアストリウスは知らない。
「力を抜いて、ほら、息を楽にするんだ。」
まだ固く青い身体を容易く暴いた鬼畜な夫。
それに声も出せぬまま、無理矢理息を吐いて痛みを逃した。
「私は晴れ男なんだ。」
自慢気にアストリウスが言った通り、婚礼の日は抜けるような青空が広がっていた。
母が用意した婚礼衣装とは、その昔、父との婚姻式で母が袖を通したドレスであった。
どれほど大切に保管していたのだろう。二十年近くも経つのに染み一つ無い美しい状態であるのを、母はアウローラに合わせてそこに真珠を縫い足した。
アストリウスを通して入手したという粒ぞろいの南洋真珠は、乳白色の照りとオーロラの虹彩が美しく、試着をした姿を見たアストリウスは、君は真の『オーロラ姫』であったのだな、と嘆息を漏らした。
青い空の下、エクリュ色の婚礼衣装を身に纏い、長いトレーンを引きながら一歩一歩と歩みを進めるアウローラは、淡い光を放つ発光体の様に見えた。
姿が良く似た母娘は、身体の寸法まで寸分違わなかった。アウローラの姿に父は「リズを見ているようだ。美しいよ。」と褒めてくれた。
神父の前でお決まりの長~い誓いのキスをして、祝福の言葉に埋もれながら漸く夫婦の部屋に退避したつもりが、そこは新たなダンジョンが開かれた、修羅の世界であった。
「ふっ..」
「大丈夫だ、アウローラ。掴まって。」
言われずとも、必死にアストリウスにしがみつく。そうでなければ揺さぶりに目眩を起こしてしまいそうになる。
あんなに甘く蕩かして、溶けて無くなるほどに甘やかな快楽を教えておいて、次の瞬間にはアウローラを寝台に縫い留める勢いで攻め抜かれる。
「ふ、ぅっ、」
苦しいの一言も言えないほど、甘く甘く溶かされ揺らされ泣かされる。
「はっ、可愛いなっ」
アウローラの何処がそれほど可愛いと思うのか、アストリウスは、ことの始めから終わりまで可愛い可愛いと連発した。
自分でも知らない秘所を晒されて、アストリウスの方が余程アウローラの身体を我が身の様に知り尽くしているのも憎らしい。
憎くて甘くて愛おしい、アウローラの最愛の夫。
「アウローラ」
艶事の最中に名を呼ばれる自分の名が、これほど甘美な響きであるのを初めて知った。
「アストリウス様、」
貴方にもこの気持ちが伝わるかしら。
湿った黒髪が乱れている。青い瞳の眦が紅く染まって見えている。
痩せた自分に欲を覚える夫など、この世の中で貴方くらいだと、この気持ちを伝えたくてアウローラアストリウスの首に腕を回した。
耳元に唇を寄せて「愛してるわ」、掠れた吐息で囁いた。
夜が明ける。
窓から暁に燃えて紅く染まる空が見えている。
二人で迎える初めての朝。妻となった初めての朝は、泣きたいほど幸福な痛みと倦怠の意味を教えてくれた。
何処かから一番鶏の鶏鳴が聴こえた。
フェイラー侯爵夫人アウローラが迎えた、幸福な朝の始まりを告げた。
初夏を迎えた朝であった。
「兄上が再婚するらしい。」
朝餉の後に、フランクから受け取った文に目を通しながらアストリウスが言った。
「私達の婚礼を待っていたのだろう。」
義兄の後遺症は随分癒えて、最近では、ゆっくりであれば松葉杖が無くとも歩行が出来るほど回復していた。
「ふうん。」
「どうなさったの?」
「いや、随分大掛かりに手を回したと思ってね。兄上らしい。」
「どういう事?」
「ん?兄上には元々心を寄せた女性がいたのさ。」
「えっ、それはいつのお話しなの?」
「学生時代からだよ。だが、一門の総意を得られなかった。嫡男には添わせられない令嬢であると云う理由で。」
「どちらのご令嬢でいらっしゃったの?」
「家はもう無いよ。没落した、彼女の在学中に。せめて婚姻した後であったなら、引き離される事も無かったろうに。」
「ではご令嬢は平民になってしまわれたの?」
「ああ。知人の貴族家で侍女として勤めていたそうだ。ご両親は没落後間もなく鬼籍に入っている。彼女の兄が既に文官として出仕していて、その縁で奉公に出たようだ。」
「お義兄様は彼女をお忘れになっていなかったのね。」
「忘れなかったんじゃないよ、アウローラ。」
「え?」
「続いていたのさ。」
「でも、お義兄様は婚姻なさって..真逆、お義兄様、初めから...。その、お子を得なかったのは、もしや、」
「兄上が服薬でもしてたのではないかな。どうあってもシャルロッテ嬢との間に子が出来ぬ様に。」
「それでは、」
「兄上も、シャルロッテ嬢をある意味欺いていたと言う事かな。」
「流行り病は偽りだと?」
「それは本当の事だよ。足に後遺症が遺ったのも。だが、男性機能が不全かどうかは私にも解らない。兄上は、初めから当主を望んではいなかった。彼女との人生を選んでいた。父から爵位を譲られるのが遅かったのは、兄上がそれを固辞していたからだろう。きっと、私に譲る機会を探していたのではないかな。そうして何れ、自身に子種が無いとでも理由を付けて後継を降りるつもりだったのではないかと思う。」
「それは、お義父様方は御存知なの?」
「父は見掛けはじゃが芋だが、見た目通りの好々爺ではないんだよ。骨の髄まで生まれながらの貴族だ。誤魔化しなんて効かないよ。事の行く末は、全ては私に掛かっていた。正確には、私と君に。」
「私?」
「そう。私と君が後継として一族を束ねる力を示せるか。そうなったら兄上は解放される。」
「それは...」
「君は立派に役目を果たして見せた。父の思惑以上だったろう。王族とも筆頭公爵家とも渡り合える。有能で勤勉で貴族の役割を理解して、そうして私を虜にした。
アウローラ、君は我が家に望まれて迎えられた妻なんだ。君が私を一目惚れさせたのは、神の采配だとしか思えない。私は当主なんて望んでいなかったが、君を得られた人生には感謝している。これなら当主業も悪くないと思っている。」
「...アストリウス様、お二人はお幸せになれるのね?」
「うん。私に代わって領地の差配を担ってくれるそうだ。心強いね、これで私は君との蜜月に集中出来るということだ。楽しみだな。」
朝から淫らな空気を醸し出した夫には、気が付かないことにした。
人は見掛けで判断してはならないものだ。にこにこと人好きのする笑みの義父を思い浮かべた。
アウローラは義父の思考が理解出来た。非道とか非情とかではなくて、貴族とはそう云う生き物であるのを、次期当主として育てられたアウローラは、すっかり理解が出来てしまった。そうしてそんな貴族社会を泳ぐのに、怯む気持ちはこれっぽっちも起こらなかった。
全ては家門の為に。アストリウスが自身の人生の青写真を捨ててまで守る決意をしたのなら、アウローラは彼を支えて行くだけである。大海原に帆を上げ船出するように、彼と共にこの世界で生きて行く。
アウローラの婚姻とは、誰でもない、アストリウスに望まれた婚姻なのだから。
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