ゴーイングマイウェイなマッド・アルケミストは救世の旅に出る。〜幼馴染が召喚勇者? 知らんなぁ〜

邪神ミケネコタマス

文字の大きさ
5 / 16

第4話

しおりを挟む
 隼人は取り敢えず、踊るゴーレムを座らせた。それからしゃがみこんで賢者の石生成の魔法陣を多重で展開。必要分の賢者の石を確保し、それらをひとつずつ必要な素材へ変換。全てが必要素材に変わったところで、その素材を使って身体の為のパーツを作成。山のように積まれた素材が全て機械じみたパーツに姿を変えると、それを使って身体を組み立てていく。出来上がったのは、言ってしまえば外骨格と機械の内臓だ。人間らしさなど欠けらも無い。それもその筈。隼人には芸術のセンスは無かった。

 先ずは機械の内臓を自分の骨の身体に組み込んで、それから縦に割れた人形のような見た目の外骨格の中に寝転ぶ。魔力を操って外骨格を作動させれば、左右に開いていた外骨格が閉じて隼人の骨の身体を格納した。心臓の位置にある、賢者の石を使ったジェネレーターが作動。高純度の液体魔力が全身の魔力線を伝って各部に供給される。艶消しを施された青紫色の鎧の各部に光が灯り、隼人は脚部の浮遊装置を使って逆再生のように起き上がった。猛禽類を模した兜の目に、赤い光が宿る。

「おぉ~!!」

 隼人は子供のような感嘆を漏らし、全身を観察した。青紫色の全身鎧は至る所に猛禽類の意匠が施され、全体的に細身で流線形。首筋から冷却用の布が2本伸びている。最も特徴的なのは兜のバイザーだろう。隼の顔を模したそれは、赤く光る両目も相まって今にも動き出しそうだ。

「どうよ!?」

 興奮した隼人はゴーレムに問うが、ゴーレムはぬぼーっとした顔で隼人を見つめるだけだった。それを見て一気に冷めた隼人は、しかしふと思い付く。

「そうだ。メイドさんを作ろう。でもどうせ作るならふわふわスベスベな生きたメイドさんが良いよなぁ。でも話が通じるくらい賢いゴーレムっていうとどうしてもアンデッド寄りだし...。成人女性の思考を賢者の石で作るとか無理だし...。とはいえ奴隷とかの他人はちょっと...」

 隼人は部屋をグルグル歩き回りながら思考の海に沈んでいく。それをゴーレムはぬぼーっとした顔で追う。

「うーん。魂は賢者の石で作れない事も無いけど、作ったところで赤ちゃんだからなぁ。人生経験はつまるところ記憶だから、記憶をコピーすると同じ人間が2人居る事に...?」

 隼人は本棚に手を伸ばし、次々開いては閉じて棚に戻していく。鎧の身体に搭載した動体視力で速読を行い、錬金術の知識を再確認しているのだ。

「なにかこう...最初からある程度知能があって、元になる人間が居なくて、生きた身体に入れても問題無く動いて、出来れば賢者の石で生成出来て...」

 隼人の手が止まる。そして食い入るようにページを見つめ、それから静かに本を閉じて元に戻すと手を打った。

「居たなぁ。ホムンクルスとか。錬金術だもんなぁ。そりゃ居るよなぁ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...