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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
23:対人戦-4
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「エリィ、よくやった」
「……はい!」
俺がエリィの頭を軽く撫でてやると、嬉しそうな笑顔で頷く。
人間の悪意と欲は底無しだ。エリィは小さい頃にその悪意に触れてトラウマとなったが、今回で多少なりとも克服できたはずだ。
荒療治かもしれないが、こんなチャンスは今までもなかったからな。旅立つ前に少しでも克服できれば、今後の支障も少なくなる。
「よし、んじゃ次だな」
「えっ?」
リングに登って真っ二つにされたディグドを見る。切断面も綺麗だし、これならちゃんと修復もできるだろう。
俺は切られた場所を綺麗にくっつけ、死んでいるディグドに手を当てて精神を集中させる。
膨大な魔力と魔素を集結させ、ディグドを包み込むように魔法を操作。思った通り、これなら蘇生はしやすい。
「リザレクション」
「えっ?」
ディグドの体を包んだ魔力と魔素が光り輝いたかと思えば、先程まで真っ二つだったディグドが綺麗にくっ付き蘇生される。
目を開けて俺の顔を見た瞬間その場から飛び退くように動いたディグドだが、何が起きたのか理解していないのだろう。自分の手足を見ながら固まっている。
「し、師匠……これは……」
「さ、次だ次。エリィ、今度はさっきの魔法なしで戦いなさい」
「えっ? あ、はい」
死後数時間以内なら蘇生はできる。肉体から魂が完全に切断されれば不可能だが、死後数時間までなら魂は浄化されずに残っているものだ。
今後もエリィが殺したとしても、ディグドの心が壊れない限りは蘇生するつもりだ。このまま何度も死にながらエリィの糧となってくれ。
「な、何が起きた? クソ、何しやがった!!」
「ほらエリィ、相手はやる気満々だぞ?」
「……はい!」
それから数日間、ディグドの心が壊れるまでエリィはたっぷりと対人戦を学ぶことが出来た。
◇
「隊長! ヘイムリア隊長!」
「なんだ騒々しい」
B級賞金首を追い詰めたが逃げられた騎士団は、原初の森からひょっこり出てくる可能性に賭けて近場で野営をしつつ見回りを行っていた。
逃した日から数日間経過しており、最近は出てきた痕跡がないかだけを確認するようになっていた。
「ディグドです! 森の入り口にディグドが!」
「何!? 現れたのか!?」
見回りの報告書を書いていたヘイムリアは、ディグドが現れたと聞き立ち上がった。
だが、どうやら報告に来た騎士の様子がおかしい。もしや逃したのかーーそんな思いは次の言葉によって破壊された。
「あ、現れたのですが……首だけです。逃げた人数分、首だけの状態で……」
「は?」
急いで馬に乗り原初の森の入り口へと向かう。すでに何人かの騎士が入り口を警戒するような素振りで待機しており、その目線の先には台座があった。
そしてその台座の上には、氷漬けにされた5人の首が並べてある。
「これは……」
「隊長、これも龍の仕業ですかね……」
「……わからん。とりあえす持ち帰るぞ」
騎士達は氷漬けにされた首を回収すると、原初の森を後に立ち去る。
ヘイムリアは途中で立ち止まり森へと振り返った。
その目線は、森に対しての敬意か畏怖か。本人にしかわからない。
「……はい!」
俺がエリィの頭を軽く撫でてやると、嬉しそうな笑顔で頷く。
人間の悪意と欲は底無しだ。エリィは小さい頃にその悪意に触れてトラウマとなったが、今回で多少なりとも克服できたはずだ。
荒療治かもしれないが、こんなチャンスは今までもなかったからな。旅立つ前に少しでも克服できれば、今後の支障も少なくなる。
「よし、んじゃ次だな」
「えっ?」
リングに登って真っ二つにされたディグドを見る。切断面も綺麗だし、これならちゃんと修復もできるだろう。
俺は切られた場所を綺麗にくっつけ、死んでいるディグドに手を当てて精神を集中させる。
膨大な魔力と魔素を集結させ、ディグドを包み込むように魔法を操作。思った通り、これなら蘇生はしやすい。
「リザレクション」
「えっ?」
ディグドの体を包んだ魔力と魔素が光り輝いたかと思えば、先程まで真っ二つだったディグドが綺麗にくっ付き蘇生される。
目を開けて俺の顔を見た瞬間その場から飛び退くように動いたディグドだが、何が起きたのか理解していないのだろう。自分の手足を見ながら固まっている。
「し、師匠……これは……」
「さ、次だ次。エリィ、今度はさっきの魔法なしで戦いなさい」
「えっ? あ、はい」
死後数時間以内なら蘇生はできる。肉体から魂が完全に切断されれば不可能だが、死後数時間までなら魂は浄化されずに残っているものだ。
今後もエリィが殺したとしても、ディグドの心が壊れない限りは蘇生するつもりだ。このまま何度も死にながらエリィの糧となってくれ。
「な、何が起きた? クソ、何しやがった!!」
「ほらエリィ、相手はやる気満々だぞ?」
「……はい!」
それから数日間、ディグドの心が壊れるまでエリィはたっぷりと対人戦を学ぶことが出来た。
◇
「隊長! ヘイムリア隊長!」
「なんだ騒々しい」
B級賞金首を追い詰めたが逃げられた騎士団は、原初の森からひょっこり出てくる可能性に賭けて近場で野営をしつつ見回りを行っていた。
逃した日から数日間経過しており、最近は出てきた痕跡がないかだけを確認するようになっていた。
「ディグドです! 森の入り口にディグドが!」
「何!? 現れたのか!?」
見回りの報告書を書いていたヘイムリアは、ディグドが現れたと聞き立ち上がった。
だが、どうやら報告に来た騎士の様子がおかしい。もしや逃したのかーーそんな思いは次の言葉によって破壊された。
「あ、現れたのですが……首だけです。逃げた人数分、首だけの状態で……」
「は?」
急いで馬に乗り原初の森の入り口へと向かう。すでに何人かの騎士が入り口を警戒するような素振りで待機しており、その目線の先には台座があった。
そしてその台座の上には、氷漬けにされた5人の首が並べてある。
「これは……」
「隊長、これも龍の仕業ですかね……」
「……わからん。とりあえす持ち帰るぞ」
騎士達は氷漬けにされた首を回収すると、原初の森を後に立ち去る。
ヘイムリアは途中で立ち止まり森へと振り返った。
その目線は、森に対しての敬意か畏怖か。本人にしかわからない。
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