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女将とスーパーマーケット
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「あぁお疲れさん。今回はどうだった?」
「ははは。さすがは勇者だな」
「今日は確かその日だな。連れていけるのか?」
「……ほんと、いつも悪いな」
「子供には会えてるのか?」
「あぁ! それがいいな。子供も喜ぶだろう」
「わかった。無理はしないでくれな」
「いつも、ありがとうよ」
◇
「結花。今日も常連さんが来るぞ」
「はい!出迎えの準備は出来ております!」
結花もこの仕事に慣れてきた。
店長と一緒にお客さんの行きたい場所へ向かったり、一緒に食事を取ったり。
最近は事務所の掃除も任されている。
今日も朝からしっかりと働いていた。
「店長、今日はどんな方なんですか?」
「んー……見ればわかるよ」
「あ! めんどくさくなりましたね!?」
最近は店長に軽口も叩けるほどだ。
そんな雑談をしていると、また部屋の奥の扉が開く音がした。
結花はお茶を用意しにキッチンへ向かう。
事務所のキッチンは非常に簡素な感じだ。
一口ガスコンロが一つと食器をしまう棚。
店長が食べるであろうカップ麺が置いてある。
料理という概念は店長にないらしい。
お湯を沸かしてお茶を作ると応接間に持っていく。
ソファには30代ぐらいの少しふくよかな女性が座って店長と話をしていた。
手にはタブレットを持っており、手慣れたように扱っている。
「こんにちわ!」
「あら。店長さんいつの間にこんな可愛い子雇ったんですか?」
結花が話しかけると、ふくよかな女性が嬉しそうに店長を見た。
店長も苦笑いしながら答える。
「まぁ最近手が塞がりがちだったからな」
「こんにちわお嬢さん。私は『マイア』よ。よろしくね」
結花の第一印象は非常にいい人だ。
笑顔が似合う人で、心が広そうにも見える。
少し茶色の入った髪をおだんごにしてあり、服装はカジュアルだ。
結花はお茶を差し出し、店長の隣に座った。
「この人の下で働くの大変でしょー? ちょっと常識なかったりするもんねぇ」
「いえいえ! 店長にはよくして頂いてます!」
ニコニコしながら毒を吐く。
マイアには店長もお手上げなのか苦笑いしかしていない。
それからもマイアはタブレットを触りながら色々な話をして来た。
どうやら店長とはそこそこ長い付き合いらしい。
しかも浮いた話一つ聞いたこともない。
ただの客かもしれないが、これでも心配してるとかなんとか。
なかなかお喋りが止まらなかった。
「店長さん? 若くていい子捕まえたわねー。式はいつあげるの?」
「なっ!! 私と店長はそんな関係じゃありませんからね!?」
「あらあら、まぁまぁ。うふふふふ」
こんな感じだ。
結花もそんなことを言われて顔が赤くなる。
店長は……相変わらず苦笑いだ。
結花も異世界系ライトノベルは読んだことがある。
もし自分の知っている異世界系なら、若いうちに結婚していてもおかしくない。
実際マイアは15の時に旦那と結婚したそうだ。
そんな話をしながら結花は気になっていることがあった。
それはマイアが使っているタブレットだ。
異世界にもタブレット端末が存在しているのだろうか。
そう思えるほどマイアの手つきは手慣れている。
「あら! もうこんな時間! ちょっとお買い物行ってくるわね」
「えっ? そしたら私もーー」
「あぁ結花。マイアさんは1人で行けるから大丈夫だ」
一緒について行こうとすると、店長に止められた。
タブレットを机に起き、エコバック(持参してきた)を持って部屋から出て行く。
結花が店長に説明を求めるような顔をしていると、店長もそれに応えた。
「まぁ……あの人はもう長いからね。半分日本の人だよ」
「そうなんですか」
マイアは異世界で宿屋を切り盛りしている。
食事場所がついた宿屋で、マイアの人柄と料理の腕が人気だそうだ。
日本へは主に調味料の買い出しに来ている。
肉や野菜は現地でなんとかなるが、調味料だけはないらしい。
タブレット端末も最初に見たときはめちゃくちゃ驚いたそうだ。
しかし利便性や料理のレシピを教えると、目が爛々と輝いた。
毎回来るたびに、色々とレシピを覚えて行くそうだ。
その料理は毎回マイアさん特性として、冒険者や現地の人に振るわれる。
「まぁあの人も大変なんだよ。戦争で旦那さんを亡くしてるからね」
店長がタバコをふかしながら遠い目をしている。
マイアは人と人が始めた戦争で旦那と子供を送り出した。
そして帰って来たのは旦那の死。
街は戦火と湧いて来た魔獣により滅ぼされてしまう。
その結果、子供や家族とも離れ離れになってしまった。
今でこそ戦争は落ち着いているが、まだ魔獣などの脅威は去っていない。
そんな中で自分が出来る事。
料理と元気を色んな人に分け与えたくて今の仕事を始めたそうだ。
「俺も何度かこっちに住むように誘ったんだけどな。意外と頑固なんだよ」
「なるほどですね……」
人気料理。しかも制作方法はマイアしか知らない。
調味料も貴重であり、狙われることもあった。
その時にはなんとか助かったものの、何度か危険な目にもあったことがある。
今では仲のいい冒険者達が守ってくれているが、それでも危険なことに変わりはない。
店長がマイアに日本に住まないかと訪ねたことがある。
だが彼女は首を縦に振らなかった。
曰く『家族や旦那がいた世界が好き』なんだそうだ。
「ほんと人間ってのは何考えてるかわからんよ」
「戦争に魔獣……か。本当に異世界なんですね」
「そーだぞ。多分結花がそっちの世界に行ったらすぐ食われちまう」
「……こ、怖いです」
店長がおどけたように両手を広げて結花を威嚇する。
結花が住んでいる日本では戦争はない。
もしかしたら今後起きる可能性もあるが、さすがに魔獣はいない。
平和な日本の生まれて、心底良かったとも思える。
しばらく店長と結花が雑談しているとマイアが帰ってきた。
一つだと思っていたエコバックは2つに増えており、パンパンになるまで詰め込まれている。
調味料や食材、さらには調理器具まで買っている。
彼女が向かったのはスーパーマーケットだ。
タブレットで安売りしている物も見逃してはいない。
買ってきた金額分を店長に異世界の通貨で渡し、荷物を少し取り出し始めた。
「店長さん、キッチン借りるわよ」
「おう」
キッチンに向かうマイアの顔は、宿屋を切り盛りする女将さんの顔になっていた。
持っていった調味料と肉、野菜。
普段使われていないキッチンが活躍する。
「あのキッチンはカップ麺用だと思ってました」
「んー、まぁマイアさんぐらいしか使わないからな」
店長と結花が雑談していると、キッチンからいい匂いが漂ってくる。
野菜を炒めるような音や油の跳ねる音。
お昼を食べていない胃を刺激し始めた。
しばらくするとキッチンから音がやんだ。
お盆に料理を乗せてマイアがやってくる。
出来立てのいい匂いが鼻をくすぐり、その姿を現した。
「はいよ。試食お願いね」
それは綺麗に上がったトンカツを、醤油やみりんなどで煮込んだカツ煮だ。
アクセントにしっかりと三つ葉も使っている。
一緒に出て来たのはオーブンで少し焼いたパンだ。
「こっちだとお米が主流だろう? 向こうのパンでも合いそうだからね」
「いただきまーす!」
実際にはカツサンドのようにパンとカツの相性が抜群な物をマイアも知っている。
しかしマイアの世界では、あそこまでふわふわなパンは出て来ていない。
少し硬めのパンが主流であり、その点カツ煮ならパンを汁に浸して食べることも出来る。
店長と結花が割り箸を使ってカツ煮を食べ始めた。
「おいしーい!」
「そうかい? なら向こうでも人気になるね!」
結花の言葉に快活に笑うマイア。
店長は美味しそうに無言で頬張っている。
確かにマイアの料理の腕は一品だった。
パンを汁につけて一滴も残さず食べ終わる。
「美味しかったぁ」
「ふふっ。店長さんもちゃんと食べなきゃダメだよ!」
マイアが買ってきた荷物を抱えて奥の扉へ向かう。
最後に振り返り手を振りながら口を開いた。
「結花ちゃん。花嫁修行ならいつでもおいでね!」
「なっ! 違いますからね!!」
ニコニコしながらマイアが扉をくぐって行く。
店長と結花は、姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
◇
「最近この辺も賑やかになって来たねぇ」
「えぇ。うちも大忙しよ」
宿泊酒場『女将の祝福亭』。
値段はそこそこで美味しいものが食べられると有名だ。
旅人や冒険者達に口コミで広まり、連日大盛況。
そこで1人の女性がキッチンに立っている。
従業員は全部で5名。
お客さんを捌くために所狭しと動き回っている。
「こっちエール4個!」
「はーい! ただいま!」
「新メニューくれ!」
「はーい! カツ煮入りまーす!」
マイア持ち帰ったカツ煮は大好評だ。
こっちの世界では、ブルオークという豚種の肉を使っている。
さらにパンも飛ぶように出るので、パン屋が泣いて喜んでいた。
色んな料理を並行して作っているので、キッチンには異常なまでの熱気に包まれている。
「女将さん。あんたに客が来たぞ」
「ちょっと手が離せないよ! 後にしてく……」
若い冒険者風の男女がカウンター越しにマイアを見ている。
キッチンからマイアが顔を出して断ろうとした時、言葉が止まった。
持っていたフライパンを地面に落としてしまう。
「あー、もったいねーー」
「メルク! ミーナ!!」
「「お母さん!!」」
2人はボロボロの服装だった。
冒険者として過ごして来たのだろう。
慌ててキッチンから出て行き、その2人を抱きしめる。
「あんた達……無事だったのね……」
「ごめん……心配かけてごめん……」
「お母さんも……グスッ……無事で……」
マイアの子供だった。
バラバラになった家族と出会えた喜びに大粒の涙が零れおちる。
お客さんの中には一緒に泣いている人までいた。
「あんた達は絶対に帰って来ると思ってたよ!」
「美味しい料理を出してくれるって噂を聞いてね!」
「お母さんの料理は世界一だから!!」
親子の再会。
それを嬉しそうに頷きながら見ていた一組の男女がいた。
2人は目を合わせるとその場から立ち去って行く。
女将の祝福亭では、夜遅くまで再会の宴が続いたそうだ。
「ははは。さすがは勇者だな」
「今日は確かその日だな。連れていけるのか?」
「……ほんと、いつも悪いな」
「子供には会えてるのか?」
「あぁ! それがいいな。子供も喜ぶだろう」
「わかった。無理はしないでくれな」
「いつも、ありがとうよ」
◇
「結花。今日も常連さんが来るぞ」
「はい!出迎えの準備は出来ております!」
結花もこの仕事に慣れてきた。
店長と一緒にお客さんの行きたい場所へ向かったり、一緒に食事を取ったり。
最近は事務所の掃除も任されている。
今日も朝からしっかりと働いていた。
「店長、今日はどんな方なんですか?」
「んー……見ればわかるよ」
「あ! めんどくさくなりましたね!?」
最近は店長に軽口も叩けるほどだ。
そんな雑談をしていると、また部屋の奥の扉が開く音がした。
結花はお茶を用意しにキッチンへ向かう。
事務所のキッチンは非常に簡素な感じだ。
一口ガスコンロが一つと食器をしまう棚。
店長が食べるであろうカップ麺が置いてある。
料理という概念は店長にないらしい。
お湯を沸かしてお茶を作ると応接間に持っていく。
ソファには30代ぐらいの少しふくよかな女性が座って店長と話をしていた。
手にはタブレットを持っており、手慣れたように扱っている。
「こんにちわ!」
「あら。店長さんいつの間にこんな可愛い子雇ったんですか?」
結花が話しかけると、ふくよかな女性が嬉しそうに店長を見た。
店長も苦笑いしながら答える。
「まぁ最近手が塞がりがちだったからな」
「こんにちわお嬢さん。私は『マイア』よ。よろしくね」
結花の第一印象は非常にいい人だ。
笑顔が似合う人で、心が広そうにも見える。
少し茶色の入った髪をおだんごにしてあり、服装はカジュアルだ。
結花はお茶を差し出し、店長の隣に座った。
「この人の下で働くの大変でしょー? ちょっと常識なかったりするもんねぇ」
「いえいえ! 店長にはよくして頂いてます!」
ニコニコしながら毒を吐く。
マイアには店長もお手上げなのか苦笑いしかしていない。
それからもマイアはタブレットを触りながら色々な話をして来た。
どうやら店長とはそこそこ長い付き合いらしい。
しかも浮いた話一つ聞いたこともない。
ただの客かもしれないが、これでも心配してるとかなんとか。
なかなかお喋りが止まらなかった。
「店長さん? 若くていい子捕まえたわねー。式はいつあげるの?」
「なっ!! 私と店長はそんな関係じゃありませんからね!?」
「あらあら、まぁまぁ。うふふふふ」
こんな感じだ。
結花もそんなことを言われて顔が赤くなる。
店長は……相変わらず苦笑いだ。
結花も異世界系ライトノベルは読んだことがある。
もし自分の知っている異世界系なら、若いうちに結婚していてもおかしくない。
実際マイアは15の時に旦那と結婚したそうだ。
そんな話をしながら結花は気になっていることがあった。
それはマイアが使っているタブレットだ。
異世界にもタブレット端末が存在しているのだろうか。
そう思えるほどマイアの手つきは手慣れている。
「あら! もうこんな時間! ちょっとお買い物行ってくるわね」
「えっ? そしたら私もーー」
「あぁ結花。マイアさんは1人で行けるから大丈夫だ」
一緒について行こうとすると、店長に止められた。
タブレットを机に起き、エコバック(持参してきた)を持って部屋から出て行く。
結花が店長に説明を求めるような顔をしていると、店長もそれに応えた。
「まぁ……あの人はもう長いからね。半分日本の人だよ」
「そうなんですか」
マイアは異世界で宿屋を切り盛りしている。
食事場所がついた宿屋で、マイアの人柄と料理の腕が人気だそうだ。
日本へは主に調味料の買い出しに来ている。
肉や野菜は現地でなんとかなるが、調味料だけはないらしい。
タブレット端末も最初に見たときはめちゃくちゃ驚いたそうだ。
しかし利便性や料理のレシピを教えると、目が爛々と輝いた。
毎回来るたびに、色々とレシピを覚えて行くそうだ。
その料理は毎回マイアさん特性として、冒険者や現地の人に振るわれる。
「まぁあの人も大変なんだよ。戦争で旦那さんを亡くしてるからね」
店長がタバコをふかしながら遠い目をしている。
マイアは人と人が始めた戦争で旦那と子供を送り出した。
そして帰って来たのは旦那の死。
街は戦火と湧いて来た魔獣により滅ぼされてしまう。
その結果、子供や家族とも離れ離れになってしまった。
今でこそ戦争は落ち着いているが、まだ魔獣などの脅威は去っていない。
そんな中で自分が出来る事。
料理と元気を色んな人に分け与えたくて今の仕事を始めたそうだ。
「俺も何度かこっちに住むように誘ったんだけどな。意外と頑固なんだよ」
「なるほどですね……」
人気料理。しかも制作方法はマイアしか知らない。
調味料も貴重であり、狙われることもあった。
その時にはなんとか助かったものの、何度か危険な目にもあったことがある。
今では仲のいい冒険者達が守ってくれているが、それでも危険なことに変わりはない。
店長がマイアに日本に住まないかと訪ねたことがある。
だが彼女は首を縦に振らなかった。
曰く『家族や旦那がいた世界が好き』なんだそうだ。
「ほんと人間ってのは何考えてるかわからんよ」
「戦争に魔獣……か。本当に異世界なんですね」
「そーだぞ。多分結花がそっちの世界に行ったらすぐ食われちまう」
「……こ、怖いです」
店長がおどけたように両手を広げて結花を威嚇する。
結花が住んでいる日本では戦争はない。
もしかしたら今後起きる可能性もあるが、さすがに魔獣はいない。
平和な日本の生まれて、心底良かったとも思える。
しばらく店長と結花が雑談しているとマイアが帰ってきた。
一つだと思っていたエコバックは2つに増えており、パンパンになるまで詰め込まれている。
調味料や食材、さらには調理器具まで買っている。
彼女が向かったのはスーパーマーケットだ。
タブレットで安売りしている物も見逃してはいない。
買ってきた金額分を店長に異世界の通貨で渡し、荷物を少し取り出し始めた。
「店長さん、キッチン借りるわよ」
「おう」
キッチンに向かうマイアの顔は、宿屋を切り盛りする女将さんの顔になっていた。
持っていった調味料と肉、野菜。
普段使われていないキッチンが活躍する。
「あのキッチンはカップ麺用だと思ってました」
「んー、まぁマイアさんぐらいしか使わないからな」
店長と結花が雑談していると、キッチンからいい匂いが漂ってくる。
野菜を炒めるような音や油の跳ねる音。
お昼を食べていない胃を刺激し始めた。
しばらくするとキッチンから音がやんだ。
お盆に料理を乗せてマイアがやってくる。
出来立てのいい匂いが鼻をくすぐり、その姿を現した。
「はいよ。試食お願いね」
それは綺麗に上がったトンカツを、醤油やみりんなどで煮込んだカツ煮だ。
アクセントにしっかりと三つ葉も使っている。
一緒に出て来たのはオーブンで少し焼いたパンだ。
「こっちだとお米が主流だろう? 向こうのパンでも合いそうだからね」
「いただきまーす!」
実際にはカツサンドのようにパンとカツの相性が抜群な物をマイアも知っている。
しかしマイアの世界では、あそこまでふわふわなパンは出て来ていない。
少し硬めのパンが主流であり、その点カツ煮ならパンを汁に浸して食べることも出来る。
店長と結花が割り箸を使ってカツ煮を食べ始めた。
「おいしーい!」
「そうかい? なら向こうでも人気になるね!」
結花の言葉に快活に笑うマイア。
店長は美味しそうに無言で頬張っている。
確かにマイアの料理の腕は一品だった。
パンを汁につけて一滴も残さず食べ終わる。
「美味しかったぁ」
「ふふっ。店長さんもちゃんと食べなきゃダメだよ!」
マイアが買ってきた荷物を抱えて奥の扉へ向かう。
最後に振り返り手を振りながら口を開いた。
「結花ちゃん。花嫁修行ならいつでもおいでね!」
「なっ! 違いますからね!!」
ニコニコしながらマイアが扉をくぐって行く。
店長と結花は、姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
◇
「最近この辺も賑やかになって来たねぇ」
「えぇ。うちも大忙しよ」
宿泊酒場『女将の祝福亭』。
値段はそこそこで美味しいものが食べられると有名だ。
旅人や冒険者達に口コミで広まり、連日大盛況。
そこで1人の女性がキッチンに立っている。
従業員は全部で5名。
お客さんを捌くために所狭しと動き回っている。
「こっちエール4個!」
「はーい! ただいま!」
「新メニューくれ!」
「はーい! カツ煮入りまーす!」
マイア持ち帰ったカツ煮は大好評だ。
こっちの世界では、ブルオークという豚種の肉を使っている。
さらにパンも飛ぶように出るので、パン屋が泣いて喜んでいた。
色んな料理を並行して作っているので、キッチンには異常なまでの熱気に包まれている。
「女将さん。あんたに客が来たぞ」
「ちょっと手が離せないよ! 後にしてく……」
若い冒険者風の男女がカウンター越しにマイアを見ている。
キッチンからマイアが顔を出して断ろうとした時、言葉が止まった。
持っていたフライパンを地面に落としてしまう。
「あー、もったいねーー」
「メルク! ミーナ!!」
「「お母さん!!」」
2人はボロボロの服装だった。
冒険者として過ごして来たのだろう。
慌ててキッチンから出て行き、その2人を抱きしめる。
「あんた達……無事だったのね……」
「ごめん……心配かけてごめん……」
「お母さんも……グスッ……無事で……」
マイアの子供だった。
バラバラになった家族と出会えた喜びに大粒の涙が零れおちる。
お客さんの中には一緒に泣いている人までいた。
「あんた達は絶対に帰って来ると思ってたよ!」
「美味しい料理を出してくれるって噂を聞いてね!」
「お母さんの料理は世界一だから!!」
親子の再会。
それを嬉しそうに頷きながら見ていた一組の男女がいた。
2人は目を合わせるとその場から立ち去って行く。
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