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天使とネットゲーム
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「店長。店長ってお店が休みの日は何をしているんですか?」
その日はあいにくの雨で出掛けるには向かない日だった。
いつものように結花が事務所を掃除しながら店長に口を開く。
いつもは忙しそうな店長も、今日に限っては暇らしい。
タバコで輪っかを作りながら遊んでいた。
「んー、……世直しかな」
「どういう意味ですか!?」
結花と店長はかなり仲がよくなっている。
毎週のように顔を合わせてバイト代をもらう結花。
お客さんが来ない日は、本当にスマホをいじるか店長と話すだけだ。
それで時給がもらえるのは確かに美味しい。
もちろん、最低賃金は割ったままだが。
「店長ー。そういえばお客さんは異世界から来てるんですよね?」
「そうだな。……連れてかんぞ?」
「行きませんよ! 怖いですもん!」
結花が想像しているような簡単な異世界など存在しないだろう。
魔法が使えると聴くと魅力的に思えるが、その実はサバイバルだ。
自分で自分の命を守りながら行きていかなければならない。
平和な日本から急に異世界へ向かったら即命を落とすだろう。
「いやー。異世界の人って日本《こっち》に移住したりしないのかなーって思ったんですよね」
「ん? 何でだ?」
「だって魔法は使えないかもしれませんけど、平和だし文明も進んでる気がするし……住み心地よさそうじゃないですか?」
もし自分が異世界人で冒険者だと仮定する。
それで地球……いや日本を知ったらどうなるだろうか。
マイアのように現地に思い入れがあれば別かもしれない。
だが結花の知ってるような異世界であれば、日本の方が食事も美味しいしサバイバルをする必要もない。
それならこっちに引っ越したくなるのではないか。
「あー、そういや最近見てなかったな。ちょっと出掛けるぞ」
「えっ? 何処にですか?」
店長が無言で上の階を指差す。
確かこのビルはまだ上の階があるはずだ。
そこに誰かいるのだろうか。
結花は店長に言われるがまま、事務所にあるカップ麺や飲料水、ゴミ袋を持つ。
上の住人は普段から部屋に引きこもりがちらしい。
もしかしたら、日本に馴染めていないのだろうか。
店長がこちらに移住するように言って、失敗してしまった可能性もある。
準備をしながら少し神妙な顔つきになる結花。
そんな結花を見た店長が声をかけてきた。
「まぁなんだ。馴染めなかったってか……会えばわかるよ」
「むぅ。どんな方なんでしょう」
「ん? そうだな。こっちで言う天使かな」
「はいっ!?」
◇
上の階は何部屋か存在していた。
階段から登ってすぐの場所にある部屋が今回の目的地だ。
結花が呼び鈴を押そうと手を伸ばすと、店長に止められた。
「呼び鈴ぶっ壊れてんだ。それにあいつはでねーよ」
一体どんな天使がこの部屋にいるのだろうか。
ずっと部屋に引きこもりがちの天使。
本来なら男女の仲を取り持ったりするイメージが強いが……。
「おーう。生きてっかー?」
店長が勢いよくドアを開ける。
まず目に入ったのはゴミ、ゴミ、ゴミーー。
完全にゴミの山だ。
その奥にはテレビらしき物が淡く光っている。
さらには缶チューハイなどの酒類に空っぽのポテチの袋。
足の踏み場すらほとんどない。
「いやー、放置しすぎたな」
「人が住むってレベルじゃありませんよ!?」
「その内掘ってりゃ出て来るから片付けるか」
「掘ったら天使が出るんですか!?」
結花のツッコミが追いつかない。
しかしここで話していても解決しなさそうだ。
渋々そこら中のゴミを片していく。
店長も手伝うのかと思いきや、一人で部屋の奥まで歩いて行った。
部屋は典型的な1Kだ。
玄関の近くにトイレ付きの風呂とIHコンロ、奥には10畳ぐらいの部屋が見える。
部屋とキッチンの間にはドアがあるものの、ゴミによって開きっぱなしだ。
ここの住人は相当ズボラなのだろう。
結花の脳内天使イメージが崩れていく。
しばらく玄関を掃除していると、奥から店長の声が聞こえてきた。
「あー、いたいた。干からびてるわ」
「それ大問題ですからね!?」
店長が持ち上げたナニカは人の形をしていた。
身長は150cm程だろうか。
美しかったであろう白髪は汚れがこびりついている。
頬はこけて痩せ細っており、口からは何か呪文のような言葉が漏れている。
「ほれ水だ。これで生き返るだろ」
「アアアァァ……」
生きている。生きている干物だ。
それはゆっくりと手を伸ばし店長から水を受け取ると口に含んだ。
乾いた喉を、体を水が潤していく。
500mlの水は一瞬にしてなくなった。
「ぷはーっ! 生き返るぅぅぅ!」
その天使は店長の手から降りると思いっきり背筋を伸ばした。
結花からは背中が見える格好だ。
そこに白く小さな翼がヒクヒクと動いている。
「まったく! うちじゃなきゃ死んでましたからね!?」
「わりーわりー。新人が入ったり何かと忙しくてな。結花、こいつが天使だ」
「え、あ、はい!」
急に名前を呼ばれた結花が部屋へ向かう。
先程まで干物だった天使はしっかりと生き返っていた。
年齢は10歳前後だろう。幼い顔が印象的な可愛い感じだ。
天使が結花と目が合うと、丁寧にお辞儀をする。
「はじめまして! 大天使ミカエルっす! ミカって呼んで欲しいっす!」
お辞儀をしながら自己紹介をすると、今度はポーズを取り始めた。
魔女っ子をイメージさせるようなポーズ。しかも年齢からか非常に似合っている。
結花もミカに自己紹介をした。
それからしばらく部屋の掃除の続きだ。
店長もミカも一緒にゴミを纏めて捨てていく。
燃えるゴミの日はまだ先なので、部屋の隅に固めておくしかない。
ある程度片付け終わると、部屋の床が見えてきた。
次は掃除だ。
流石に汚すぎるとわかったのか、ミカが申し訳なさそうに結花を見ている。
元々一人で家の掃除をしている結花だ。
これぐらい造作もない。
20分ぐらい経つと部屋は見違えるほど綺麗になった。
あいにくの雨だが、部屋のこもった空気を入れ替える。
ベランダのお陰か雨はほとんど入ってこない。
やっと部屋の全貌が見えてきた。
部屋の右半分を布団が占領し、もう半分に机などが置いてある。
一番目立つ場所には机とパソコン。
先ほど光っていたのはこのモニターだろう。
服は布団の近くにあるクローゼットに入っていそうだ。
ミカが綺麗になった部屋で嬉しそうに跳ねている。
「ありがとうっすー! いやー、やっぱ綺麗だといいですねぇ」
「いえいえ!」
汚い部屋を綺麗にするのは気持ちがいい。
何かを始めてスイッチが入るとずーっと掃除し続ける結花だ。
綺麗に掃除し終わり、鼻が高いのだろう。
「よし、休憩するか」
店長の一声で持ってきた食料や飲み物を開けていく。
何も食べていなかった鬱憤を晴らすようにミカがバクバクと大食いを見せ始めた。
その勢いは止まることがない。
この部屋から出ずに何日過ごしていたのか。
食料もなくなり落ち着いた頃、結花がミカに疑問を投げかけた。
「あの……ミカエル様?は、なぜこっちに……?」
「あぁミカでいいっすよ! なんでって……これっす!」
じゃじゃーん!と効果音がなりそうな感じでミカが指をさしたのはパソコンだ。
そこには所狭しとアイコンが並んでいる。
「えっ?」
「知らないんですか? ネトゲですよネトゲ! もーこれ面白くてハマっちゃいました!」
早速と言わんばかりに椅子に腰掛けてパソコンのゲームを起動する。
ゲームはストリートファイティングマスター。
あのゲーセンでも見かけたゲームだ。
「こいつはな、重度のゲームジャンキーだ。大天使の不死を活かして、寝ずにゲームしてるんだよ」
換気扇の下でタバコを吸っていた店長が声をかける。
まさか不眠不休でゲームしている人間がいるとは思わないだろう。
いやむしろ人間ですらない。
「これだけじゃないっすよー? こっちは色んなゲームがあるから飽きないんっす!」
嬉しそうな笑顔を結花に向ける。
俗に言う廃人だ。
結花も知識ではボトラーなどを知っていたが、下手したらその類だろう。
ゲームをしながらミカが色々話してきた。
やはり異世界の住人であるミカは天界にいたそうだ。
しかし代わり映えのしない毎日に退屈を覚えていた。
そこで噂に聞いていた異世界ツアー旅行に応募したらしい。
「そこで店長と出会ってね。いやー、毎日ゲーム漬けなんて最高ですよ!」
廃人だ。何度でも言おう、廃人であると。
ロクな食事も取らずにゲームをしていれば、誰だってそうなる。
しかしゲームだけしていて生活が成り立っているのだろうか。
流石に店長がずっと面倒を見ている気はしない。
「あぁミカ、今月の家賃振り込んだか?」
「あ、いっけね! 今やりますね!」
そう言うとミカがスマホを取り出し、何やら操作している。
そしてすぐに「終わりましたよ!」と声が聞こえてきた。
それを聞いた店長がスマホを確認し頷く。
何が起きてるか結花にはさっぱりだ。
「あぁこいつはネトゲでRMTをしてるんだよ。だから金はあるんだ」
「ふっふーん。ゲームでお金も稼げる! まさに理想的っすよねー!」
確かに一定数はゲームで生活している人もいる。
しかもゲームセンターでTOPを張るほどの腕だ。
よっぽど上手いのだろう。
結花はそんなミカに少し親近感を覚えていた。
別にゲームが好きなわけではない。
同じ女の子であり、一人暮らし。
だが部屋は汚い。ミイラになる程。
何故か放っておけない気がした。
「ミカさん、友達になってください!」
「うえぇっ!? いや、その……」
友達と言われた瞬間にミカの饒舌な舌が止まった。
結花も自分の口から友達という単語が出たことに驚く。
ここ数年友達など作った覚えもないのだ。
「おーおー若いねー。いいんじゃねーの? ミカもこのままじゃミイラになっちまう」
店長も面白そうに笑う。
結花が来た時は本当にミカはミイラになりかけていた。
部屋の掃除もそうだが、同性の友達が出来るというのはまた違った意味でも楽しくなるだろう。
「う、いいんすか? うち家から出ませんよ?」
「いいですよ! たまに遊んだりしましょうよ!」
結花はバイトがない日は相変わらず暇していた。
一度店に来たことはあるが、もちろん開いていない。
一人で時間を潰すのが、以前よりつまらなくなっていた。
そこに現れたのがミカだ。
家から出ないのであれば、色々話もできるだろう。
ミカもこっちに来てから店長以外と話した覚えはほとんどない。
たまにネットを通したチャットはするが、リアルな相手は久しぶりだ。
今は店長がいて、勢いとその場のノリ踏み切っているがいつボロが出るかもわからない。
だが結花の笑顔にミカも笑顔で返すしかなかった。
「うぅ……よろしくお願いします……」
「ミカさん! よろしくね!」
「ミ、ミカでいいっすよ! ととと、友達ですもん……!」
ここに結花の奇妙な友人が生まれた。
大天使ミカエル。
その実態は廃人ゲーマー。
しかし、結花は久しぶりの友達に嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
◇
ある平日。
バイトもない結花がミカの家に直行していた。
ミカからは合鍵も渡されており、しっかりと手土産も用意してある。
「ミカちゃーん! 遊びに来ましたよー!」
「はーい! 今戦争してて手が離せないー!」
この返しにも慣れたものだ。
最初は何事かと思ったが、やっているゲームの中で戦争をしているらしい。
手慣れた手つきで食器棚からコップを取り出し、ジュースを注いで部屋に持っていく。
お酒に手を出すのはまだ早い。
「今日は何やってるのー?」
「うん。今CristalCrisisってゲームでね」
ゲームの説明をしながら目線は画面から移動させない。
手慣れた手つきで、目の前の敵をどんどん倒していく。
やはり重度のゲーマーだ。
結花はそんなミカを見ながらのんびりお菓子を食べている。
別に何かをするわけではない。
ただ一緒の空間でダラダラと過ごしているのだ。
しかし今日は違った。
ゲームがひと段落終わったのか、ミカが一度席から立ち上がった。
そして押入れをゴソゴソすると、少し大きめの箱を取り出す。
結花も興味深くそちらを見ていた。
「結花ちゃん……一緒にゲームしないっすか?」
「えっ?」
ミカが取り出したのはノートパソコンだ。
少し画面が大きめで、色も落ち着いた色をしている。
ミカが手際よく設定を始めると、今やっているオススメのゲームをインストールされた。
「へぇー! こんな感じなんだ!」
「そうっすよ! なんか一緒にやりたくて買っちゃいました!……ダメっすか?」
「ううん。もちろんいいよ!」
その言葉を聞いて、ミカが嬉しそうに跳ね上がる。
友達のためにとポンと買えるミカの経済力。
ゲームのRMTで相当稼いでいるのだろう。
そしてミカが身だしなみを整え始めた。
別にゲームをするだけなので、綺麗にする必要はあまりないんじゃないだろうか。
不思議に思った結花の目線がミカに突き刺さっている。
「うし、出来たっす! んじゃ一緒に撮るっすよー!」
ミカがパソコンを並べて置くと、結花にこっちに来るように言った。
そしてその目の前にはWEBカメラの様なものが置いてある。
席に着いたミカが、一度クリックをすると話し始めた。
「皆さんこんにちわっす! ミカエルのゲーム実況! 今日は友達もいるっすよー!」
「まさかの実況配信!?」
ひょんな事から全国デビューした結花。
今後ゲーム廃人になってしまうのだろうか。
その日はあいにくの雨で出掛けるには向かない日だった。
いつものように結花が事務所を掃除しながら店長に口を開く。
いつもは忙しそうな店長も、今日に限っては暇らしい。
タバコで輪っかを作りながら遊んでいた。
「んー、……世直しかな」
「どういう意味ですか!?」
結花と店長はかなり仲がよくなっている。
毎週のように顔を合わせてバイト代をもらう結花。
お客さんが来ない日は、本当にスマホをいじるか店長と話すだけだ。
それで時給がもらえるのは確かに美味しい。
もちろん、最低賃金は割ったままだが。
「店長ー。そういえばお客さんは異世界から来てるんですよね?」
「そうだな。……連れてかんぞ?」
「行きませんよ! 怖いですもん!」
結花が想像しているような簡単な異世界など存在しないだろう。
魔法が使えると聴くと魅力的に思えるが、その実はサバイバルだ。
自分で自分の命を守りながら行きていかなければならない。
平和な日本から急に異世界へ向かったら即命を落とすだろう。
「いやー。異世界の人って日本《こっち》に移住したりしないのかなーって思ったんですよね」
「ん? 何でだ?」
「だって魔法は使えないかもしれませんけど、平和だし文明も進んでる気がするし……住み心地よさそうじゃないですか?」
もし自分が異世界人で冒険者だと仮定する。
それで地球……いや日本を知ったらどうなるだろうか。
マイアのように現地に思い入れがあれば別かもしれない。
だが結花の知ってるような異世界であれば、日本の方が食事も美味しいしサバイバルをする必要もない。
それならこっちに引っ越したくなるのではないか。
「あー、そういや最近見てなかったな。ちょっと出掛けるぞ」
「えっ? 何処にですか?」
店長が無言で上の階を指差す。
確かこのビルはまだ上の階があるはずだ。
そこに誰かいるのだろうか。
結花は店長に言われるがまま、事務所にあるカップ麺や飲料水、ゴミ袋を持つ。
上の住人は普段から部屋に引きこもりがちらしい。
もしかしたら、日本に馴染めていないのだろうか。
店長がこちらに移住するように言って、失敗してしまった可能性もある。
準備をしながら少し神妙な顔つきになる結花。
そんな結花を見た店長が声をかけてきた。
「まぁなんだ。馴染めなかったってか……会えばわかるよ」
「むぅ。どんな方なんでしょう」
「ん? そうだな。こっちで言う天使かな」
「はいっ!?」
◇
上の階は何部屋か存在していた。
階段から登ってすぐの場所にある部屋が今回の目的地だ。
結花が呼び鈴を押そうと手を伸ばすと、店長に止められた。
「呼び鈴ぶっ壊れてんだ。それにあいつはでねーよ」
一体どんな天使がこの部屋にいるのだろうか。
ずっと部屋に引きこもりがちの天使。
本来なら男女の仲を取り持ったりするイメージが強いが……。
「おーう。生きてっかー?」
店長が勢いよくドアを開ける。
まず目に入ったのはゴミ、ゴミ、ゴミーー。
完全にゴミの山だ。
その奥にはテレビらしき物が淡く光っている。
さらには缶チューハイなどの酒類に空っぽのポテチの袋。
足の踏み場すらほとんどない。
「いやー、放置しすぎたな」
「人が住むってレベルじゃありませんよ!?」
「その内掘ってりゃ出て来るから片付けるか」
「掘ったら天使が出るんですか!?」
結花のツッコミが追いつかない。
しかしここで話していても解決しなさそうだ。
渋々そこら中のゴミを片していく。
店長も手伝うのかと思いきや、一人で部屋の奥まで歩いて行った。
部屋は典型的な1Kだ。
玄関の近くにトイレ付きの風呂とIHコンロ、奥には10畳ぐらいの部屋が見える。
部屋とキッチンの間にはドアがあるものの、ゴミによって開きっぱなしだ。
ここの住人は相当ズボラなのだろう。
結花の脳内天使イメージが崩れていく。
しばらく玄関を掃除していると、奥から店長の声が聞こえてきた。
「あー、いたいた。干からびてるわ」
「それ大問題ですからね!?」
店長が持ち上げたナニカは人の形をしていた。
身長は150cm程だろうか。
美しかったであろう白髪は汚れがこびりついている。
頬はこけて痩せ細っており、口からは何か呪文のような言葉が漏れている。
「ほれ水だ。これで生き返るだろ」
「アアアァァ……」
生きている。生きている干物だ。
それはゆっくりと手を伸ばし店長から水を受け取ると口に含んだ。
乾いた喉を、体を水が潤していく。
500mlの水は一瞬にしてなくなった。
「ぷはーっ! 生き返るぅぅぅ!」
その天使は店長の手から降りると思いっきり背筋を伸ばした。
結花からは背中が見える格好だ。
そこに白く小さな翼がヒクヒクと動いている。
「まったく! うちじゃなきゃ死んでましたからね!?」
「わりーわりー。新人が入ったり何かと忙しくてな。結花、こいつが天使だ」
「え、あ、はい!」
急に名前を呼ばれた結花が部屋へ向かう。
先程まで干物だった天使はしっかりと生き返っていた。
年齢は10歳前後だろう。幼い顔が印象的な可愛い感じだ。
天使が結花と目が合うと、丁寧にお辞儀をする。
「はじめまして! 大天使ミカエルっす! ミカって呼んで欲しいっす!」
お辞儀をしながら自己紹介をすると、今度はポーズを取り始めた。
魔女っ子をイメージさせるようなポーズ。しかも年齢からか非常に似合っている。
結花もミカに自己紹介をした。
それからしばらく部屋の掃除の続きだ。
店長もミカも一緒にゴミを纏めて捨てていく。
燃えるゴミの日はまだ先なので、部屋の隅に固めておくしかない。
ある程度片付け終わると、部屋の床が見えてきた。
次は掃除だ。
流石に汚すぎるとわかったのか、ミカが申し訳なさそうに結花を見ている。
元々一人で家の掃除をしている結花だ。
これぐらい造作もない。
20分ぐらい経つと部屋は見違えるほど綺麗になった。
あいにくの雨だが、部屋のこもった空気を入れ替える。
ベランダのお陰か雨はほとんど入ってこない。
やっと部屋の全貌が見えてきた。
部屋の右半分を布団が占領し、もう半分に机などが置いてある。
一番目立つ場所には机とパソコン。
先ほど光っていたのはこのモニターだろう。
服は布団の近くにあるクローゼットに入っていそうだ。
ミカが綺麗になった部屋で嬉しそうに跳ねている。
「ありがとうっすー! いやー、やっぱ綺麗だといいですねぇ」
「いえいえ!」
汚い部屋を綺麗にするのは気持ちがいい。
何かを始めてスイッチが入るとずーっと掃除し続ける結花だ。
綺麗に掃除し終わり、鼻が高いのだろう。
「よし、休憩するか」
店長の一声で持ってきた食料や飲み物を開けていく。
何も食べていなかった鬱憤を晴らすようにミカがバクバクと大食いを見せ始めた。
その勢いは止まることがない。
この部屋から出ずに何日過ごしていたのか。
食料もなくなり落ち着いた頃、結花がミカに疑問を投げかけた。
「あの……ミカエル様?は、なぜこっちに……?」
「あぁミカでいいっすよ! なんでって……これっす!」
じゃじゃーん!と効果音がなりそうな感じでミカが指をさしたのはパソコンだ。
そこには所狭しとアイコンが並んでいる。
「えっ?」
「知らないんですか? ネトゲですよネトゲ! もーこれ面白くてハマっちゃいました!」
早速と言わんばかりに椅子に腰掛けてパソコンのゲームを起動する。
ゲームはストリートファイティングマスター。
あのゲーセンでも見かけたゲームだ。
「こいつはな、重度のゲームジャンキーだ。大天使の不死を活かして、寝ずにゲームしてるんだよ」
換気扇の下でタバコを吸っていた店長が声をかける。
まさか不眠不休でゲームしている人間がいるとは思わないだろう。
いやむしろ人間ですらない。
「これだけじゃないっすよー? こっちは色んなゲームがあるから飽きないんっす!」
嬉しそうな笑顔を結花に向ける。
俗に言う廃人だ。
結花も知識ではボトラーなどを知っていたが、下手したらその類だろう。
ゲームをしながらミカが色々話してきた。
やはり異世界の住人であるミカは天界にいたそうだ。
しかし代わり映えのしない毎日に退屈を覚えていた。
そこで噂に聞いていた異世界ツアー旅行に応募したらしい。
「そこで店長と出会ってね。いやー、毎日ゲーム漬けなんて最高ですよ!」
廃人だ。何度でも言おう、廃人であると。
ロクな食事も取らずにゲームをしていれば、誰だってそうなる。
しかしゲームだけしていて生活が成り立っているのだろうか。
流石に店長がずっと面倒を見ている気はしない。
「あぁミカ、今月の家賃振り込んだか?」
「あ、いっけね! 今やりますね!」
そう言うとミカがスマホを取り出し、何やら操作している。
そしてすぐに「終わりましたよ!」と声が聞こえてきた。
それを聞いた店長がスマホを確認し頷く。
何が起きてるか結花にはさっぱりだ。
「あぁこいつはネトゲでRMTをしてるんだよ。だから金はあるんだ」
「ふっふーん。ゲームでお金も稼げる! まさに理想的っすよねー!」
確かに一定数はゲームで生活している人もいる。
しかもゲームセンターでTOPを張るほどの腕だ。
よっぽど上手いのだろう。
結花はそんなミカに少し親近感を覚えていた。
別にゲームが好きなわけではない。
同じ女の子であり、一人暮らし。
だが部屋は汚い。ミイラになる程。
何故か放っておけない気がした。
「ミカさん、友達になってください!」
「うえぇっ!? いや、その……」
友達と言われた瞬間にミカの饒舌な舌が止まった。
結花も自分の口から友達という単語が出たことに驚く。
ここ数年友達など作った覚えもないのだ。
「おーおー若いねー。いいんじゃねーの? ミカもこのままじゃミイラになっちまう」
店長も面白そうに笑う。
結花が来た時は本当にミカはミイラになりかけていた。
部屋の掃除もそうだが、同性の友達が出来るというのはまた違った意味でも楽しくなるだろう。
「う、いいんすか? うち家から出ませんよ?」
「いいですよ! たまに遊んだりしましょうよ!」
結花はバイトがない日は相変わらず暇していた。
一度店に来たことはあるが、もちろん開いていない。
一人で時間を潰すのが、以前よりつまらなくなっていた。
そこに現れたのがミカだ。
家から出ないのであれば、色々話もできるだろう。
ミカもこっちに来てから店長以外と話した覚えはほとんどない。
たまにネットを通したチャットはするが、リアルな相手は久しぶりだ。
今は店長がいて、勢いとその場のノリ踏み切っているがいつボロが出るかもわからない。
だが結花の笑顔にミカも笑顔で返すしかなかった。
「うぅ……よろしくお願いします……」
「ミカさん! よろしくね!」
「ミ、ミカでいいっすよ! ととと、友達ですもん……!」
ここに結花の奇妙な友人が生まれた。
大天使ミカエル。
その実態は廃人ゲーマー。
しかし、結花は久しぶりの友達に嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
◇
ある平日。
バイトもない結花がミカの家に直行していた。
ミカからは合鍵も渡されており、しっかりと手土産も用意してある。
「ミカちゃーん! 遊びに来ましたよー!」
「はーい! 今戦争してて手が離せないー!」
この返しにも慣れたものだ。
最初は何事かと思ったが、やっているゲームの中で戦争をしているらしい。
手慣れた手つきで食器棚からコップを取り出し、ジュースを注いで部屋に持っていく。
お酒に手を出すのはまだ早い。
「今日は何やってるのー?」
「うん。今CristalCrisisってゲームでね」
ゲームの説明をしながら目線は画面から移動させない。
手慣れた手つきで、目の前の敵をどんどん倒していく。
やはり重度のゲーマーだ。
結花はそんなミカを見ながらのんびりお菓子を食べている。
別に何かをするわけではない。
ただ一緒の空間でダラダラと過ごしているのだ。
しかし今日は違った。
ゲームがひと段落終わったのか、ミカが一度席から立ち上がった。
そして押入れをゴソゴソすると、少し大きめの箱を取り出す。
結花も興味深くそちらを見ていた。
「結花ちゃん……一緒にゲームしないっすか?」
「えっ?」
ミカが取り出したのはノートパソコンだ。
少し画面が大きめで、色も落ち着いた色をしている。
ミカが手際よく設定を始めると、今やっているオススメのゲームをインストールされた。
「へぇー! こんな感じなんだ!」
「そうっすよ! なんか一緒にやりたくて買っちゃいました!……ダメっすか?」
「ううん。もちろんいいよ!」
その言葉を聞いて、ミカが嬉しそうに跳ね上がる。
友達のためにとポンと買えるミカの経済力。
ゲームのRMTで相当稼いでいるのだろう。
そしてミカが身だしなみを整え始めた。
別にゲームをするだけなので、綺麗にする必要はあまりないんじゃないだろうか。
不思議に思った結花の目線がミカに突き刺さっている。
「うし、出来たっす! んじゃ一緒に撮るっすよー!」
ミカがパソコンを並べて置くと、結花にこっちに来るように言った。
そしてその目の前にはWEBカメラの様なものが置いてある。
席に着いたミカが、一度クリックをすると話し始めた。
「皆さんこんにちわっす! ミカエルのゲーム実況! 今日は友達もいるっすよー!」
「まさかの実況配信!?」
ひょんな事から全国デビューした結花。
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地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
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支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
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快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
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