王道

こんぶ

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第一章 家

第四話 ぷにぷにしてたら終わった

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「あっ」

そうだ。思い出した。この前キティに、まぁ暇だったら遊びに来てよね、的な事を言われたんだった。

「よし、行くか」

そうして俺は戦場に向かうことにした。

キティの家は歩いてそこまでの距離にあるわけではない。かなり近い。徒歩で家まで行く。

「そうだ」

折角家に遊びに行くのに、何も持って行かないと言うのは無礼だろう…せめて菓子折位は持って行くか…

菓子折を持って、それから歩いて行くと、そこには豪華な一軒家があった。

「ここがキティの家なのか」

と、感心した。こんなに大きな家を持つとは、彼女は相当か金持ちなのだろう。というか、お嬢様っぽかったし…

つやつやした黒い扉をコンコンと二度叩く。

「はぁーい」

扉からキティの母親だろう─が、出てくる。

「あ、あの、キティさんは…」

「ん?キティ…?キティー!キティー!ちょっと来なー!」

キティを大声で呼ぶ。

「なぁに?」

そこには、寝ぼけた、と言った様子のキティが、階段から下りてくる姿が見えた。髪はボサボサ、口は呆けて開いている。
服もいつもの清楚な服ではなく、少し乙女心溢れるといった感じの服。

「……!?」

そこで初めてキティは俺の存在に気付き、大慌てで身を隠す。

まぁ、もう手遅れだが。

「あは、は、少し待ちます」

「えー?上がっていいのにー」

「遠慮しておきます」

「あらそう…」

俺は扉にもたれ掛かり、息をつく。

「はは」

こんなところで何やってんだろ、俺は。
就職もろくに出来ないニートのくせに…
暇人の癖に…俺は…ここに遊びに来る資格があるのだろうか?
もっと、就活とか…

「取り柄がレベルって…君なめてる?」

「うぅーん。これと言ってなぁ。うちに求めている人材は──」

「不合格」

「就活やめたら?君、そう言うの向いてないね」

──。


「あっ、ごめん、…ってあれ?ラフ?…泣いてる?」

「あ?泣いてねーよ!」

「そ、上がって上がって」

「あ、あぁ」

他人に迷惑しかかけない俺が…

「何で来ないの?嫌なの?」

「…っ」

そう露骨に悲しい顔をされると困る。

「いや、大歓迎だよ」

「それはこっちのセリフでしょ!!」



キティ…お前は…つくづく…優しいな。


「くふぅぅうう」

「っえ?あっ、ごめん!?やっぱり嫌だったかしら?」

「うぅうぅ、すいません」

生きてて、すいません。

「ううっうううう」

「あ、泣かないでよ、ねぇ?」

「うぅうう」

「もう」

その瞬間──

体が温かくなる。


なんだ?この温もりは。決して感じることはなかった、この暖かさは。


「もぅ」

「…すいません」

何でか。
キティに抱きつかれていた…

*****

キティの部屋に入った。

おおお!初の女子の部屋(妹は女子ではない)。感動だ…というか広っ

「と言うより、質問なのだけれど」

「?」

「何でさっき泣いてたのよ?」

「…ぁ、ああ。思い出し泣きってやつだよ」

「何それ…」

変な目で見られた。

「逆に質問」

「ん?」

「何で俺に抱きついたの?」

「…ぁ、あー。ぁあ。あれ、ね。あれはー、アハハ、何でだろ」

「…?にしてもキティは暖かいよな。柔らかくて、ぷにゅぷにゅで」

「うっさい!」

「いや、別にけなしているんじゃ無いよ。尊敬してる。そんな風に人を包み込める。その優しさとか、勇気とか。尊敬する」

「…そ、そう?ありがとう」

「…なぁ、キティ」

「…?」

「もう一回、ぷにぷにさせてくれないか?」

「…」

「頼む」

「…一回だけだから」

そう言って彼女は照れるように上着の腹部を持ち上げた。そこから、白いお腹が見える。少しふに、としていて、可愛らしいなぁ。

「……こんなことするの…ラフにだけよ…」

キティは消えいるような小さな声で何か囁く。
まぁどうでも良いことだろう。
それよりも、目の前。

純白の宝石。

「じゃ、いい?」

「…」

こくりと頷く。

「じゃあ…」

俺は恐る恐る手を伸ばし、その肉をつかむ。



そして、力を込めた。




ぷに


おお!?



ぷにぷに



おおお!?



ぷにぷにぷにぷに


おおおおお!




ぷにゅぷにゅ

「あの、顔とか、良いっすか?」

「…」

キティは半泣きで了解した。

よし。


顔とか、良いんだな?


良いんだな?


「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ」

そして、俺は顔を近づけ…



ぷにぃ




「うはっ!?」

キティが変な声を上げる。


「ちょ、くすぐった…あっ、ハハハハ」

「ふにふに」


ぷにぃ、ぷにゅぷにゅ

ぷにぷに


柔らけぇー

暖けぇー

「はぁぁ」


癒やされる…


その時だった。

ガチャリとキティの部屋の扉が開いたのは…

「っっ!?」

「あ、お母さん…」


やべ。


「ちょっと、キティ、どういう事?」

やべ、きれかけてやんの。

にーげよ…

「貴方も残ってちょうだいね」

「はい!」

喜んで!!

*****




そして、俺は自宅にその事を通達され、家を出ろ!と、遂に自宅から追放された。


「はぁ」


嘘だろ…







「ハハハハ」



これから、どうすれば良いんだろう?

一人、寝床さえ無いので、公園に行く。

とりあえず公園に着いたが、しかし、どんどんと虚しさと後悔の念は強くなっていく。


ヒュオオオと風が吹いた。

その後、静寂が訪れる。

「…」

無。



無である。

「…寂しいな」

一人、シーソーに座る。


「はは、誰もいないから」


そこで、俺の言葉は途切れる。


あれ?こんな事が昔にもあったような。


そうだ。あれは幼少の頃…


「はは、誰もいないから、動かねぇ~」

「動くわよ」

そう言って、乗ってくれたやつがいたっけか。




まぁ、もうそんなやつさえいない訳だが。


「んだよ、この作品…ギャグじゃねぇーのかよ…」

いや。
現実は甘くない。自分から行動しない。自堕落。それでいて他人に縋る。そんなやつは、底辺。人間の底辺だ。それでいて現実は厳しいなんて、努力しないのも良いところだ。

「…ふふっ、ううっ、うううううぅうう」

急に涙が溢れてきた。

俺は、どこまで堕ちるんだ?


そうやって、すぐ泣いて…


泣いてどうする?




「金…」


結局は金が大事なのだろう。


一番大事なのは…









その時、ギィ、とシーソーが動いた。


「動くわよ」


「…っ」


き。

キティ…

「…キティ、お、俺は…」


「ラフ!どうしてくれるのよ!」

「え?」

「私、家から追い出されちゃったじゃない!」

「っ。」

本当に大事なのは、金なんかじゃない。



本当に大事なのは、人間だ。
人間そのものだ。



「キティ…」

「ん?」

「どうしよう?」

「さぁ?」

ギィ、ギィとシーソーは動く。


「簡単だ」


その時、不意に後から誰かが現れる。


「北東の都…そこは仕事募集をしている奴が多くいるらしい!行けるぞ!」

「た」

「「田原!」」

「ふっ!どうだ?三人で北東の都へ」

「良いんじゃないか?」

「いいわね」


「決まりだな」


「あれ?田原、お前アルバイトは?」

「あ?クビになった」

「えぇーっ!?」

何だよ

「さぁ!行くぞ」

「…お、おぅ」

「…え、えぇ」

何で行くんだろう?

「馬車だ」

「「…自転車でいこ」」

「馬車だ」

「「自転車でいこ」」

「馬車だ」

「…」

「…」

「馬車だ」

「「…正気か!?」」

あんなもん!座れたモノじゃ無いぞ!多分こいつん家の馬車を使うんだろうが、あれめっちゃ尻痛いぞ!?痔になるぞ!?

「まぁ、自転車で二ヶ月近く。馬車で行けばそれがたったの十日だぞ?」

「…まぁ」

確かに時間と費用という点でいえばかなりの効率を誇る馬車…

「決まりだな」

「はぁー、仕方ないが」

「仕方ないわね」

「「賛成だ!」」

そうして俺達は、北東の都へ行くことになった。

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