王道

こんぶ

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第一章 家

第七話 道中、村にて 後編

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「うおおおお、こえええ」

田原が歩きながら言った。

「そんなの、俺も同じだよ…」

というより、そんなに怖いのなら、別に助けなくて良かったろ…

「あ?俺だってなぁ…彼女がぁ…」

「…クズオめ」

「あー!?」

「そんなんだからお前は彼女が出来ないんだよ!!」

「んだとてめぇ!」

「そっちだろヴが!」

ドコドコドコ…

取っ組み合い…

「ハァッ、ハァッ…やっぱ、Lv=強さのせいで…歯が立たない…」

「ハッハッハッ…」

「くぅっ!?」

「俺に勝ってみろ…田原!」

「あ、」

「ん?」

「…」

「どうした?」

「お、おい。アレ。アレ…ッ…て」

「…あぁ。例の、元人間、が住んでいるっていう…洞窟か」

「…」

「怖じ気ついてんのか?今更…」

「…」

「行くしかねぇだろ…それが今の俺達に出来る事なんだから…」

「…」

「それに…事件を思い出せよ…動かなければ。誰も救えない。辛いことは待っていればいくらでも襲ってくるぞ。幸せは、決して…待っているだけじゃ、訪れないんだから」

「…分かった…行こう…」

田原は、あまり乗り気じゃ無いようだな。

「じゃあ、出陣だ」

*****

洞窟は薄暗く、夜のせいでさらに見え辛い。
暗い…怖い…

「ハァッハァッ」

この奥に…いるのか…

「ラフ…暗視ダークヴィジョン持ってるか?」

「分かんねぇ」

「試しに唱えてみようぜ…もしかしたら発動するかも」

「よし。せーのっ」

暗視ダークヴィジョン

「っぉぉ!?」

そう唱えた途端、視界がぱあっと明るく、見えやすくなる。

「よし!進むぞ」

心なしか、田原の声の調子が上がっていた。

「…慎重にな」

「ああ」

「ゴブリン○レイヤーみたいな事にならないよう、注意するんだぞ」

「おい」

「…っっ、あれっ!」

俺はすかさず、それに指を指した。

「…なんっ、だこれ?」

火が灯してある、明るいランプのようだ。

「んおっ。右と左に分かれてる…」

「クラ○カ信者の俺は右に行くわ」

「いやいや、ランプが右に続いてる…あからさまな罠だろう」

「…まぁ」

「これもスキルか何かでどうにかならないかね?スキル万能だと思うんだけど」

「まぁ、自分が持ってるか、持ってないかで随分違うもんねー」

「ちょっと探してみるよ」

「おうー」

「……」

「どう?」

「あっ、あった」

「よし!やってみて」

「おう!」

スキル──『森羅万象把握統べてを知る

「…っおお!?」

一瞬にして、あらゆる情報が頭に入ってくる。どうでもいい情報はカットしていく。


「…うっ」

ずきりと頭が痛む。そりゃこんなに一気に情報頭に入れられたらな…

宇宙の全容が一瞬見えたし…

さて。

「傲慢の奴はどっちからでも行けるぜ」

「ずこぉ!まさかの両方かぁ…」

「…そう言う事みたい。まあ、右でいいよね」

「…まぁ、別に俺も嫌いじゃないんだよ。クラ○カ…だけどさぁ」

「右でいいよね?」

「…わ、分かった」

そして、俺達は右へ歩いていく。

壁は少し湿っぽい。土…なのかな?
道の横幅はちょうど人一人入れるくらいで、高さはまぁ、二メートル…無いくらい。
要するに、狭いと言うことだ。

「よし。もう着くぞ」

そして、道を抜け──

「……はぁ?」

田原が呆けた声を出す。

そこには、だいたいさっきの数倍の空間が広がっていただけだった。

「…なん」

「まぁ、まぁ」

俺は、壁をバン!と蹴飛ばす。

「見てみ」

穴を覗かせる。

「っ、なるほどね」

壁に開けた穴の先は、更に巨大な…この空間の数百倍は下らない巨大な空間が広がっていた。

水が、ポチャンポチャンとしたたる音が聞こえる。

穴の下は、十メートルくらいあって、かなり高い。

「さて。俺はさっきの森羅万象把握で己のスキルの全部を把握したからな。何でも使えるぜ…」

「例えば?」

「─『存在消滅エグジスディサペアー』」

その途端、多分田原から俺の事が消えた。

俺が見えなくなるとか、俺を感知出来なくなるとか、そういう次元じゃない。

俺の存在を消している。

「パン!」

「うぅお!?」

「どうだ?」

「…??どうだ?さっきまでそこに居たじゃないか…」

「…」

やはり、消えている間の記憶は抜け落ち、元の記憶が再生成されるのか。

「さて。じゃあいくか。『全体落下無効マス フォールインヴァリド

「お」

そう唱えると、俺と田原は黄金色のオーラで纏われる。

「…よし、降りるぞ」

俺は、さっき開けた穴から飛び降りる。

「あっ、ちょ!?大丈夫!?」

「大丈夫だー。お前もこいー」

「…あいよー」

田原も飛び降りる。

スタッと地面に着地する。

「…すげぇ。痛みも衝撃も何も感じなかった…」

「それが無効というものだ。…おっと、主犯者のお出ましだ」

目の前からは、黄金の兜をつけ、藍色のマントを着て、黒革のブーツをはき、明らかに高級なズボンを履いていた。

「お前が傲慢か?」

「…!?」

その時、田原は違和感を感じた。

何故、ラフは怖じ気ついてないのだろう。
いや、そもそも、何だかさっきから変だ。と。

その理由は、単純。
森羅万象把握のせいである。

森羅万象把握の効果時間はおよそ一時間。それまでは、ラフはずっと中二病こじらせキャラとなってしまう。

「傲慢。お前を殺す」

「ほう。それが出来るのかな?」

「いや。訂正だ。生け捕りにする」

「そんな夢物語…」

傲慢、と呼ばれるそいつは、比較的穏やかな声で、こう、答えた。

「成立しねぇんだよ」

傲慢は一瞬にしてラフの目の前にいた。

「ラフ!」

「まぁ、まて。『鑑定アナライズ』」

ほぉ、とラフは息をついた。

傲慢  Lv64

HP 7000
VIT 2000
STR 1999
AGI 4000

スキル 七大罪 傲慢

──────────────────

「あぁ!?」

傲慢は憤ったように、ラフの顔面を殴りつけた。

「『物理反射』」

「ぐはっ!?」

傲慢の腕が変な方向にぐきゃりと曲がる。

「っの!」

「はぁーっ。飽きた。『時間停止』」

「───」

「…っぅぉぉ」

田原は一応動けるものの、全くと言って良いほど体がついてこなかった。


「流石だな。田原。さて。こいつをどうしよう。うん。決めた」

「…?」

「『絶対気絶』」

ラフは傲慢の顔面の前に手をかざしたと思うと、時間停止がとけて、体がふっと軽くなる。

それと同時に傲慢が倒れた。

「さて。では帰るか」

右手で傲慢を持ちながら、ラフはそう言った。

「はやぁ」

「『全体転移』」

─────。


「ありがとうございます!」

「あなたがたは英雄様です!」

鋼鉄の縄で7重くらいに縛った傲慢を届けると、俺と田原は謝礼を言われた。

「あっー、と言っても」

俺の記憶が一部無いんだよなぁ。

なんで?

「というか、田原、彼女は?」

「あ?彼女ではないけど、仲間が一人加わったぜ。はぁ、嫌になる」

「…?」

「あっ、やべっ、来たっ!よし!俺も使うぜ!『転移』」

すると後から猛スピードで何かが駆けてくる様子が…

「あはぁーん!田原サまぁ!」

その腹についた贅肉を揺らしながら、まぁこう形容するのはあまりにもあまりにもなんだが、ふくよかというか…
あれは。

「デブね」

「お前が言えたことじゃないだろう…」

因みにどうでも良いこと…ではないが、俺達二人は付き合う事になった。

いつかは突きあえると良いな。

「ちょ!ラフ!助けてくろ」

「…よし!休養も済ましたし、帰郷するぞ!」

「そうね」

俺達二人は、馬車に乗り込み、そして、軽やかに馬を走らせた。

「あっ!ちょ!」

田原は、後から迫り来る気配に気付く。

「…あ。あぁ」

「田原サまぁ!」

それを村長と村一番の強い者が見ていた。

「ほほ、若いのう」

「…(俺じゃなくて良かった…)」

いや、でも。村長の孫娘、痩せたらべっぴんさんになるも思うけど…
そんな事は口が裂けても言えない村一番の強者。

「っあぁ!離れろ!リリー」

彼女の名は、リリー。
リリー・ブラウン。

新たな仲間だ。

「…あれ?馬車は?」





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