王道

こんぶ

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第二章 魔王軍戦

第五話 神域の者

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「それで、これから一体どうするんだ?」

「取り敢えずこの赤い球を使ってみよう…あ、その前に二人を戻さないと」

「あ、そうだね。どこに飛ばしたんだよ?」

「ちょっと待って…えーっと、あ、見つけた。俺らも飛ぶからちょっと俺の体のどっかに触れて」

田原はラフの肩を掴む。

「よし、いくぞ」

シュンッ!

急に視界が変わった事により、田原は少しふらっとするが、それでも流石の体幹で耐えた。

「っ、ここは、草原か?」

「みたいだな…おーい、二人とも、行くぞ」

二人が草原にいたので、それを連れ戻そうと呼びかけるが

「きゃー!それで?それでどうなったのですか?」

「そんでね、私がふざけんなぁ!ってぶん殴ったら泣きっ面かいてさぁ」

「あはっ」

「そんで──」

「あ、あの」

「うるさい!でね、」

ラフォーレティーナ、うるさいの一言で沈黙。

「お、おい…一応お前の彼女なんじゃないか?」

「そ、そうだけどさぁ…怖くて」

「何がだよ」

「色々だよ!」

「色々じゃ分かんないよ」

「色々はいろいろだよ!」

「平仮名に直しただけじゃん!」

しかし、この時ラフはしっかりと考えていた。どうすれば、この状況を上手く切り抜くことが出来るのか。
恐らく、このままいけば不味い。
時間の無駄な浪費と、雑用を持たされるだろう。
常識が最もあるリリーでさえ今はキティの餌食となっている。
つまりは、今の一番の希望はリリーである。

「ふぅーっ」

今までのラフならば、きっと棒立ちのまま、無意味な時間を過ごすだろう。
しかし、今のラフは違った。
強いという傲りは軽くあるものの、それだけではない。
今は、世界の平和がかかっているのだ。

そう。そこにあるのは勇気だった。

そして、奇跡は起こる。

「ぁ、ぁのぉー」  

「少し静かにしていただけませんか?」

──筈だった。



「ラフ…」

「うっ、ぁぁぁぁぁ」

◇数時間後

「結局荷物持ちかよ…」

「まぁ、筋力がある分人に頼られるってのは当然の事よ」

「はぁ…でもさ、酷いぜ!俺ばっか」

「…そうか?みんな自分に合ったことをしてるだけだと思うけど」

「んだよー、田原。じゃあお前も荷物持ち平気なのかよ?」

「あぁ。適材適所なんだから」

「何で…」

「じゃあお前…飯作れるか?」

「いや」

「洗濯は?家事は?買い物は?」

「いや…あんまり…自分一人が精一杯かな」

「だろ?」

「…」

「人には人にあった事があるんだから…置かれた場所で咲けなんて、無茶な話よ?だけど、ちゃんとした所に置かれたら、咲けない理由はないんだから」

「そう…だな」

適材適所か。

「さて、晩飯でも食うかー」

「今日はわたくしが作りましたー」

「んお、リリーの作る料理は初めてだな…俺食うの」

「そうなのか?俺は前に一回だけあるぜ」

「私も無い」

「なるほど。ラフとキティちゃんが食べてないのですわね…でも大丈夫!今日は結構自信がありますわよ」

「なにぃ~、何作ったんだ?」

「これです」

バン!と机に皿が置かれる。
今更だがここはまだ草原なのだ。

机などは俺が荷物持ちとして運んできた。

「焼き魚か」

「うへらぁ、上手そう」

ジュウゥゥといういい音と共に皿に出されたのは四匹の焼き魚。

「なんて魚だ?」

「確か、エンヴァトレです」

「へぇ、良い名前」

青っぽい色の皮をしている。
身も少し青っぽいな…

「う、なんだか食欲が無くなるわね」

「そうか?なんかわくわくしてきたけど」

「お、俺もあんまなぁ、こういうのは」

「ま、まーまー、皆さんで食べましょう」

「よーし、じゃあ俺から食べるぜ」

まずは俺から食べる事になった。

箸で身を切り取る。

「ぬ?骨がない?」

「はい!そう言う奴です」

「そ、そう言うやつか…」

さて、箸で身をすくって口まで運ぶ。
良い香りだなぁ。

「いただきます」

はむ。

「う」

食べた。
一口噛む。

もぐ。

「っっ」

どわっ、と脂身が口内に広がる。
が、淡泊な味わいと相まって絶妙なテイストとなっている。
不思議な味だ。
食べているだけで、体が温かくなってくる。
もぐもぐ…

「うまいっ!」

「ほ、本当ですの?作った張本人が言うのもアレですけど、美味しそうには見えませんでしたわよ」

なら何故作ったと言いたいところだったが、このうまさでそんなことは吹っ飛ぶ。
むしろ、リリーには感謝してるくらいだ。

「お、俺も食おう…」

「た、田原様、だ、大丈夫ですの?そんなもの食べて」

「いや、作った人がそれ言う!?」

「あ、あぁ。少し不安だが、食べないわけにもいかない…」

箸で身を切り取り、すくって口元まで運ぶ。

ゴクリ…

「いただきます」

はむ、と田原は口内に青い魚の身を入れる。
そして、咀嚼。
もぐもぐ…

「っ!?う、うまいぃ!」

「っ」

リリーがパァァッと笑顔になる。

というか、一体こんな魚どこで仕入れてきたんだか…

まぁ、人生で一番上手い!って程では無いけれど。
きっと高級な魚なのだろう。
焼き魚にしただけでこんなに上手いなんて。

と思いリリーに尋ねてみると、

「そんなにですわよ」

だと。

「いくらくらい?」

「んー、四匹で1200もしなかったと思いますわ」

激安ぅ。
さぞかし人気かと思いや、そんなことはなかったらしい。まぁ見た目が見た目だが。

普通に俺はかっこいいと思うんだけどなぁ。

「わ、私も食べよ…」

「ならわたくしも…」

はむっ。

「お」

「「美味しい」」

「だろう?」

「へー、どんな魚なんだろ?どこで採れるのかなぁ」

「多分、あれだろ。あの───」


その日は、結構喋りこんだ。



翌日。
早朝。

多分六時くらい。
日がのぼりはじめている。

とても神秘的な光景に、思わず見とれてしまいそうになる。

「さぁ、て。それじゃあみんな、この球に触れて」


「はい」

「はい」

「はい」

俺を含め四人が手を置く。

「よし…それじゃあ…転移──発動っ!!」

パァァァッと視界が急に切れ変わる。
唐突な変化に少し体がついて行けず、吐き気が軽くする。
だが、そこで収まる。

「ふぅ、な、なんか暑いな」

目を開けたその先には──

「は?」

曇天の空の下、十近くの巨大な火山が連なっているのが見えた。

「っ」

辺りを見渡しても、魔王城的なものは全く見えないし、看破系の能力を使っても見えない。
ということは、転移先はここということ。

もしかして──

「おや?まんまと罠にかかった者がいるみたいですね」

「っ」

「失礼。私は神域の者…よろしく」

「あ、あぁ」

そいつはなんと、火山の中から出て来た。

真っ白すぎる肌に、赤い服。
赤い瞳。

見た目は美少女だが、恐らくこいつは──


「こちらこそ、よろし──」

その瞬間、途轍もない威力で何かが鳩尾に的確に入ってくる。

「っ~~~」

息が出来ない。ズリズリズリと地面を擦って吹き飛ばされる。

「かっ、はっ」

落ち着け。深呼吸だ…

「はっ、はっ、はっ、はーっ、はっ、はーっ、ふーっ」

なんとか呼吸を正せた。

「おや?軽く蹴りとばしただけなんですけどね」

「っ!?」

気付けばさっきの位置から相当飛ばされたみたいだ。
服はビリビリに裂けている。

「…」

遠視をすれば、三人は無事のようだ。

よし。

通信コミュニケーション

『俺は無事だ。だが、戦闘をしていて、少し戻るのが遅れ──』

その途端、今度は右横腹に激痛が走る。

「っあぁぁぁぁあ!!」

痛い!
痛い痛い痛い!

「さて、ではやりましょうか」

「っうぅぅ、いいぜ。正々堂々やってやる」

死ぬ気でやる。
それで死なないと良いけどな…

「はは」

そもそも神域の者ってなんだよ…
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