王道

こんぶ

文字の大きさ
17 / 35
第二章 魔王軍戦

第六話 想像を超える強敵

しおりを挟む
「んなっ!?」

不意打ちではあるものの、こいつは俺に攻撃を、さらにはダメージを与えてきた。
つまり、相当高レベルなはず。
そうラフォーレティーナは考え、『鑑定アナライズ』を使うも─

─────────

ステータスはありません。

─────────

その事に、ラフォーレティーナは驚く。
ステータスが無いことは、絶対にあり得ない。
ましてや、鑑定を防げる能力だって、ラフォーレティーナが知る限りではない。

ならば、何故こいつはステータスが『ない』のか…

ステータスが無いものは何があるかと考えた方がよい。

そう。ステータスとは、万物に宿るものだ。そう。例え物だろうが空気だろうが。自分の指定範囲外のものは出てこないんだから。

と言うことは、その枠外──

異常な存在と言えるだろう。

「お前…何者だ?」

「私は神域の者ですよ」

「違う!もっと詳しく」

「うん…うんうん。分かりますよ」

「?」

「神域の者ってなんだよ!説明しやがれと、そう仰いたいのでしょう?うん。でもね、神域の者は神域の者なんですよ…はは。レベルなんて概念に囚われるようなものではないのですよ」

「…どういう」

「太古の昔、いにしえの時代…神々の集まる地であったここの統括を、私はしていました」

「…」

「まぁ、なんやかんやあって神々は死にましたけどね。でもここの統括を再び始めるようにしたんですよ」

「何故?」

「はは、貴方も分かっていると思いますけど?深き闇が地に降り立つ刻、世界の歯車を一時的に加速させることだろう。とね。ある人が言ったんですよ」

「…」

深き闇とは、恐らく魔王軍のことだろう。

「そもそも、なんで俺はお前と戦わなくちゃいけない?」

「そりゃあ、貴方、闇に抵抗する気でしょう?」

「まぁ、そりゃ」

「なら裁判官たる私が裁かなくてはね」

「裁判官?」

「世界の秩序とは永久機関のようなものか否か…正解は前者ですが、稀に例外があります。そう、今とかね。私が深き闇と戦っても負けてしまうでしょうし、そもそも私はこの地から動けませんからね。だからこそ、戦う者の力量を見極める。審判。裁判官です」

「少しこじつけ臭いが…」

「そう言うもんです」

「そう言うもんか…」

ラフォーレティーナ、少しホッとする。

「ですが殺さない訳ではありませんよ」

「へ?」

「死ぬ気でやらないと、死にますよ」

「はっ、?あ、」

その直後、ラフォーレティーナの腹部に美しく飛び込むように、足をぐりぃとねじ込ませながら蹴りとばす神域者。

「ぶっ!」

メキメキと地面は割れ、地中深くへとラフォーレティーナは飛ばされる。

が、しかしレベル1000を越えているだけあって、大したダメージは無い。
ラフォーレティーナが少しオーバーリアクションなだけだ。

『瞬間移動』

一瞬にして、神域者の後に回り込む。

そして、手刀を振り下ろす。
それは、幾つものスキルで超強化された一撃だった。

しかし、──

「はい」

スカッと手刀は外れる。

「確かに素晴らしい身体能力、能力だ」

「っ!」

続けて横に縦に斜めに、手刀を当てようと神域者に斬りかかるが──

「ですが貴方──」

「ぅ」

「武術を知りませんか」

パシッと腕を叩かれて、その瞬間ぐらりと体が前のめりになる。

そこに

「はっ!」

ガンッ!と神域者は膝蹴りをする。

しかも、超高速で、ラフォーレティーナの顔が見えないほど速く。

ガンッガンッガンッガンッ

ガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッ

「ぶへっ!」

「うん。肉体強度も申し分ない…だが」

ラフォーレティーナは軽く口を切っただけだった。
故に、立ち上がり、神域者に飛びかかる。

が──

「やっ!」

飛びかかっている最中。空中で。
神域者はラフォーレティーナの顎を思いっきりその足で撃ち抜いた。

「がっ」

「私が足を使っている理由、わかりますか?」

「っっ!あぁっ!」

「全く」

足は、手の3~4倍近くの力がある。
故に、戦闘において足とは、強力な武器なのだ。

ラフォーレティーナは少し髪を乱し、持っていた無名刀で斬りかかる。

「ダメダメです。やる気あるんですが?」

が、それもするりと躱され──

「さて、そろそろ終わりにしますか?」

そして少女は、体を巨大化、及び変質化させた。

言い方を変えるならば、元の形に戻ったとも言える。


「はっ」

それは、竜だった。

竜…巨大な黒き翼をなんと八本も生やし、足は四本、手は二本…
強烈な瞳はみる物を恐怖させるであろう力強さ。体は十メートルは軽くあるのではないか…と思わせる。

「竜と龍の違い、分かるか?」

竜は、低い声でうなった。

「龍とは神の時代から生きる、私のような者をいうのですっ!」

そして竜は──否──龍は、口いっぱいに空気を含んだ。
すぅぅぅと息を吸い──

「バァァァァァァァッ!!」

「うおおおおおおおっっ!?」

龍は龍でも、神域者は火の神域者。

名付けるならば火龍。
そしてその一日に三回しか使えない固有スキルは──

『恒熱』

パァッと地面に一本の火の柱が立った。

しかし、規模が違った。

全長60000kmである。

雲を突き抜けていく。

それに比べ横幅は二百メートル程度しかない。

が、その分巨大なクレーターのようにラフォーレティーナを中心に焼け焦げていた。

バサッと龍が飛ぶ。

そして、ラフォーレティーナの上に乗っかる。

「まだ原形をとどめているとはな」

「かはっ、ま、まぁ、な」

「ふ、そうか。しかし、お前の弱さは如実だな。敗因としてまずは技量不足」

確かに、ラフォーレティーナは避けや防御にまわるのが苦手である。

「さらには、その性格の甘さ。貴様、本気ではなかっただろう?非情でさえない。こんな者、闇とは戦っても無駄よ、無駄」

ラフォーレティーナはつめが甘いし、それに同格との戦いは非常に不慣れだ。
そこで、龍はさらに強くラフォーレティーナを押さえつける。

「ぐあああっ」

「では、さらばだ」


龍の口から赤白い光が漏れる。

これは、恒熱の準備段階だ。


「ではな」

そして、それは放たれた。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...