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妖怪王③
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「良いですか、リーティさん、この計画をするに当たって貴女を選んだ理由は貴女の可能性にかけました」
「…可能性?」
「…そう。貴女は汎用性が非常に高い…非常に臨機応変に動ける」
「…汎用性って…」
「そうです。今回の河童…ですが、私の持つ全ての資料の中でも、確定的な住み処の情報がありませんでした。どこにすんでいるのかはほぼ特定していますが、住み処の内容、中身が全く分からないのですよ…困りましたねぇ…故に、貴女がすることは簡単で良いんです」
「簡単?」
「貴女がするのは、一般の河童から情報を収集することです。あぁ、特に指定はしませんが、河童の王、その娘、まぁつまり姫様の情報が聞けると嬉しいですねぇ…」
「は、はぁ…つまり私がするのは…」
「──えぇ。河童の話を聞くだけで良いです」
「…吉沢さんは?」
「私ですか?私は───」
◇
リーティは滝の中に入った瞬間驚愕した。
「…」
(なんて大きい空間なの…)
そこは、途方もなく広い空間。先が見えないほどの超巨大空間だった。
ぽちゃんぽちゃんと水がしたたる音がする。
…大きな川が一本、先へと流れていった。
「…」
人っ子一人いないので、静寂がリーティを包んだ。水の流れる音としたたる音のみが聞こえる。
サァァァア…
(…まぁ、歩いてみるか。)
リーティは歩き始めた。とは言っても霧である。歩くという表現が正しいのかどうか分からない。どちらかと言えば、移動という方が正しい気がする。
「……」
すると、奥の方から何やらガヤガヤ聞こえる。
何やら騒ぎが起こっているようだが、祭りのようにも聞こえる。
「…」
リーティはそこへ歩を進めた。
「────…」
そこはまるで、人間の繁華街のよう。
河童の繁華街とでも言おうか、様々な店が並ぶ。そこに河童が大量に集まっていた。
(さてと、どこから情報を聞いたものか…)
リーティは吉沢の言葉を思い出した。
『──とは言っても一般の河童など、大量にいますからね。全部の話を聞くのは不可能です』
『そりゃあそうでしょう』
『ならば、どうしますか?』
『…情報が得られそうな場所に行く…?』
『半分正解です。さて、あと半分は何でしょう?』
──正解は…
──────変化。
『──貴女が河童になることです』
───さて、じゃあ誰かに話しますか。
「…」
近場の店に入る。
「…」
事前情報で河童に性別があることは分かっている。ならば、その手が最も安全だろう。
料理屋に入った。
リーティは席の隅に座る一匹の河童を見つける。
「…あ、あの魚の煮付け…」
「貴方、一人?」
リーティは一人の河童に話しかける。
「えっ」
「お邪魔させてもらうわね」
リーティはずかずかとその河童の隣に座る。
「…あのぅ」
「まぁまぁ、あ、店員さん、日本酒お願い」
─────数十分後…
「…っくそぅ!何だよあの王はよ!おかしいだろ!なぁ、ったくよ…アンタもそう思うよな…あの横暴的な法律が…まだ残ってる…娘さんが駆け落ちするのもしょうが無いよな…」
「駆け落ち…?」
「…お前知らないのか…?しかも相手はよりにもよって妖怪ではなく人間…すごいよな…」
…なるほど。
この数十分間で大分有意義な時間が使えたようだ。
かなり多くの情報を手に入れた。
まず、前王の残した法を今回の王も残しているということ。ちなみにその風習は古くさい、とのこと。
そして、河童たちはその身勝手な法律に苦しめられているとのこと。
そして、前王の娘は人間と駆け落ちをしていることが確定した。
(なるほどね…でもどうして河童のお姫様は人間なんかに恋をしたのかしら…)
そもそもリーティには人間という低俗な生き物の事が眼中になかった。
「…」
まだまだ聞きたいことは沢山あった。
沢山あったのだが…
「…それで、貴方は…」
「…んおっ!!?」
突然河童が驚く。
(…なんなのかしら?)
────バコッ!!!
突然、店の壁が壊れた。
「───えっ?」
「リーティさん!行きますよ──!」
吉沢がリーティの首根をもち、途轍もない速度で走り出した。
「ぁばばばばば!」
(速っ!はやすぎ…!)
「───ちょっと辛いですよ…」
吉沢はそう言い、直後目の前が真っ黒に染まる。
「へ?」
「もう一踏ん張りです」
黒い穴が空く。
「っおぉおおおぉお!」
そこに吸い込まれるように二人は入った。
◇
「後藤さーん、電話~」
「あーい」
暗黒の空間。
そこは、妖怪が相談に来る場所。
「…ったく、この時間に電話って誰だよ……ん?」
「っあぁぁぁぁぁあ!!」
女性の悲鳴が聞こえる。
そしてそれは、空から降ってきた。
「うわぁぁぁぁあ!」
後藤職員も驚く。
ガンッ、ゴロゴロゴロッ、バンッ!
「痛ったぁ!!頭うった!」
「…ふぅ、大丈夫ですか?リーティさん」
「大丈夫…な訳あるかぁ!」
「…よ、吉沢さん?」
後藤職員が吉沢を呼んだ。
「…はい?」
「…何故空中から降ってきたんですか!?」
「それは私には分かりません…」
「そ、そうですか…」
「…ですが、リーティさん…ふふ」
吉沢職員は、悪い顔で笑った。
「もちろん、成功しましたよ…」
そう言って吉沢職員は、手の中から何かを出した。
「───ッ!これは…っ」
「…可能性?」
「…そう。貴女は汎用性が非常に高い…非常に臨機応変に動ける」
「…汎用性って…」
「そうです。今回の河童…ですが、私の持つ全ての資料の中でも、確定的な住み処の情報がありませんでした。どこにすんでいるのかはほぼ特定していますが、住み処の内容、中身が全く分からないのですよ…困りましたねぇ…故に、貴女がすることは簡単で良いんです」
「簡単?」
「貴女がするのは、一般の河童から情報を収集することです。あぁ、特に指定はしませんが、河童の王、その娘、まぁつまり姫様の情報が聞けると嬉しいですねぇ…」
「は、はぁ…つまり私がするのは…」
「──えぇ。河童の話を聞くだけで良いです」
「…吉沢さんは?」
「私ですか?私は───」
◇
リーティは滝の中に入った瞬間驚愕した。
「…」
(なんて大きい空間なの…)
そこは、途方もなく広い空間。先が見えないほどの超巨大空間だった。
ぽちゃんぽちゃんと水がしたたる音がする。
…大きな川が一本、先へと流れていった。
「…」
人っ子一人いないので、静寂がリーティを包んだ。水の流れる音としたたる音のみが聞こえる。
サァァァア…
(…まぁ、歩いてみるか。)
リーティは歩き始めた。とは言っても霧である。歩くという表現が正しいのかどうか分からない。どちらかと言えば、移動という方が正しい気がする。
「……」
すると、奥の方から何やらガヤガヤ聞こえる。
何やら騒ぎが起こっているようだが、祭りのようにも聞こえる。
「…」
リーティはそこへ歩を進めた。
「────…」
そこはまるで、人間の繁華街のよう。
河童の繁華街とでも言おうか、様々な店が並ぶ。そこに河童が大量に集まっていた。
(さてと、どこから情報を聞いたものか…)
リーティは吉沢の言葉を思い出した。
『──とは言っても一般の河童など、大量にいますからね。全部の話を聞くのは不可能です』
『そりゃあそうでしょう』
『ならば、どうしますか?』
『…情報が得られそうな場所に行く…?』
『半分正解です。さて、あと半分は何でしょう?』
──正解は…
──────変化。
『──貴女が河童になることです』
───さて、じゃあ誰かに話しますか。
「…」
近場の店に入る。
「…」
事前情報で河童に性別があることは分かっている。ならば、その手が最も安全だろう。
料理屋に入った。
リーティは席の隅に座る一匹の河童を見つける。
「…あ、あの魚の煮付け…」
「貴方、一人?」
リーティは一人の河童に話しかける。
「えっ」
「お邪魔させてもらうわね」
リーティはずかずかとその河童の隣に座る。
「…あのぅ」
「まぁまぁ、あ、店員さん、日本酒お願い」
─────数十分後…
「…っくそぅ!何だよあの王はよ!おかしいだろ!なぁ、ったくよ…アンタもそう思うよな…あの横暴的な法律が…まだ残ってる…娘さんが駆け落ちするのもしょうが無いよな…」
「駆け落ち…?」
「…お前知らないのか…?しかも相手はよりにもよって妖怪ではなく人間…すごいよな…」
…なるほど。
この数十分間で大分有意義な時間が使えたようだ。
かなり多くの情報を手に入れた。
まず、前王の残した法を今回の王も残しているということ。ちなみにその風習は古くさい、とのこと。
そして、河童たちはその身勝手な法律に苦しめられているとのこと。
そして、前王の娘は人間と駆け落ちをしていることが確定した。
(なるほどね…でもどうして河童のお姫様は人間なんかに恋をしたのかしら…)
そもそもリーティには人間という低俗な生き物の事が眼中になかった。
「…」
まだまだ聞きたいことは沢山あった。
沢山あったのだが…
「…それで、貴方は…」
「…んおっ!!?」
突然河童が驚く。
(…なんなのかしら?)
────バコッ!!!
突然、店の壁が壊れた。
「───えっ?」
「リーティさん!行きますよ──!」
吉沢がリーティの首根をもち、途轍もない速度で走り出した。
「ぁばばばばば!」
(速っ!はやすぎ…!)
「───ちょっと辛いですよ…」
吉沢はそう言い、直後目の前が真っ黒に染まる。
「へ?」
「もう一踏ん張りです」
黒い穴が空く。
「っおぉおおおぉお!」
そこに吸い込まれるように二人は入った。
◇
「後藤さーん、電話~」
「あーい」
暗黒の空間。
そこは、妖怪が相談に来る場所。
「…ったく、この時間に電話って誰だよ……ん?」
「っあぁぁぁぁぁあ!!」
女性の悲鳴が聞こえる。
そしてそれは、空から降ってきた。
「うわぁぁぁぁあ!」
後藤職員も驚く。
ガンッ、ゴロゴロゴロッ、バンッ!
「痛ったぁ!!頭うった!」
「…ふぅ、大丈夫ですか?リーティさん」
「大丈夫…な訳あるかぁ!」
「…よ、吉沢さん?」
後藤職員が吉沢を呼んだ。
「…はい?」
「…何故空中から降ってきたんですか!?」
「それは私には分かりません…」
「そ、そうですか…」
「…ですが、リーティさん…ふふ」
吉沢職員は、悪い顔で笑った。
「もちろん、成功しましたよ…」
そう言って吉沢職員は、手の中から何かを出した。
「───ッ!これは…っ」
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