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妖怪王④
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「さてと、『実行部署』に見せる計画はこれでいいですか…」
吉沢職員は手元にある計画書をもち、『実行部署』へと駆けつけた。
「斎藤さん、例の件です」
「おうよ。ありがとさん」
実行部署長、斎藤は吉沢職員と同期である。
「それでは、ご武運を」
「はは、なあに、大丈夫さ」
そう言うと斎藤職員は資料に目を向け、吉沢職員は署長室から出て行った。
「さてと、アイツにも連絡しにゃああかん…」
◇
「…ん?なんだ…」
花川職員は、電話の鳴る音で目が覚めた。
「ったく、なんなんだ」
少し苛つきながら電話をうけとる。
「はい、こちら花川」
「おう、斎藤だ」
「…っ、斎藤さん!?」
「あぁ、吉沢が計画書をもってきてくれた。ここからは実行部署の力だぜ」
そう言って、斎藤職員は花川職員を署長室へ呼んだ。
「さてと、じゃあまずこの資料を見てくれ」
その資料には人物名とその人物の情報が書かれていた。
─────────
河童の姫(元)
正式名 幸子
河童の元姫であり、元国王の娘。その力は計り知れず天災を起こすほど。
だが人間の男に恋愛感情を抱く。
その原因は人間に化けて街を出歩いていたせいだと思われる。その際にとある男性と恋仲になる。
また河童同士でしか結婚できないという掟に反感を抱いている。相手の恋人にも自分が河童であることを打ち明けている模様。
行きつけの店は《ラ・メーン》
────────
もう一人は…
────────
会社員
福田 永戸。
ただの会社員であったが、河童の元姫である幸子に恋をし、恋仲になる。
また彼女が河童であることを受け入れるなど、異種間の違いを容認する。
幸子と同じく、元王に反感をもつ
───────
「あと、これ写真」
「写真…?」
それは、福田永戸という男が、幸子だけでなく、全く別の女と歩いている写真だった。
「こ、これは…」
花川職員は、その浮気写真と思しきものを見る。
「なるほど、妖怪王が他種族交際を認めない理由が分かりますね…」
「…そうかなぁ…」
「…?」
斎藤職員のその言い方が気になったが、そんなことは些細なことだ。
「計画はなんて?」
「えーと、まずは、人間状態の幸子を、追う。そして一人になったところでこの写真を見せる。それで…いい。だって」
そりゃあそうだろう。この写真を突き出し、浮気写真です!とでも言えば誰だって信じる。
「…それじゃあ決行しますか…?」
◇
雨が降っていた。
その日は雨が降っていた。
私はその日、運命の人と出会った。
あ、この人だ。この人は何て言うか、良い。温かい。
そうして私は永戸さんの恋人となった。
幸せな日々だった。
それはそれは幸せな日々だった。
でも、それは崩れた。
何日か経ったある日、スーツ姿の黒い男が貴女の彼氏は不倫をしていますよ、と言って来たのだ。
そんなわけはない。私は信じ切っていた。
怒り狂った私はその男を捕まえようとしたが、逃げられた。
しかし、どうだろうか。
私は雨に打たれていた。
さっき目の前で見せられたら写真と、今女の人と話している彼を見ると、それは信じることが出来るかも知れなかった。
最近はデートだってすぐに別れたがるしね。
◇
「うわ、雨だ」
花川職員は嫌な顔をした。
「別にこれくらい平気だろ」
斎藤職員は別に何とでもなかった。
「まぁいい。俺は非実体になって見守ってやるから、いいか、花川、巧くやれよ。」
「は、はぁ」
そう言うと斎藤職員はすぅぅと消えていった。
「上手くやれ?」
とりあえず、花川職員は人間界へ出た。
もちろん花川職員も変化が出来る。
街中華やかだった。傘の色が色とりどりだったからだ。
そして、人間の姿となり、幸子と永戸を見つける。
二人は予想通り、行きつけの店である、《ラ・メーン》に入った。
出て来るのを待つ。
「…!」
出て来た。
そして、何かを少し話し、幸子が悲しそうな顔をしたあと、二人が別れた。
(今だっ)
「あのー、すいません…」
「…はい?」
「わたくし、とある調査団のものなのですが、幸子さん、で間違いはありませんね?」
「は、はぁ…」
「こちらの写真をご覧になってください。わかりますか…?」
「…え?」
「これは、あなたの彼氏様の決定的な浮気の瞬間でございます」
「…うそ…」
幸子はもっていた傘を落とす。
「え、ぇぇぇ…」
───!
丁度いい、と花川職員は思った。
「…あれをご覧になってください」
「…?…!」
それは、永戸が他の女とどこかへ行く瞬間だった。
「…そんな、いや…」
花川職員は、ふぅ、良くやった、と思っ────
「いやぁぁぁぁあ!!!」
「ううっ」
花川職員は耳を押さえる。
なんていう咆哮だろうか。
河童の姿に戻っている。
「ユルサナイ、ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!」
だめだ!壊れている!
「っち、離れるか…」
──天狗の翼で飛び立とうとしたが、
ピュン、と幸子の口からレーザーのような水がとばされる。
「っは!?」
水が翼を貫通する。
「──────!?幸子さん!?」
そこに何故か永戸が来た。
「幸子さん!大丈夫ですか!?」
「…お前が、お前がうわきしてるんだろぅが!」
「…浮気…?」
「とぼけるな!さっきの女は──」
「さっきの女性は僕の知人ですよ」
「…え?」
花川職員は驚愕する。まぁ、それが事実なら、だが。
「…それが事実であるという証拠はどこにある!!」
「…じ、実は彼女は僕に協力してくれたんですね…」
協力…?
「渡したいものがあったんです。はい」
それは、黒い傘であった。
それは、日傘だった。
「これがあれば日中でも簡単に動けるでしょう?」
…この人間は、怖くないのか?
河童の姿をしたこいつが…
「あと、はい、これ花です…花束…どれにした方が喜ぶかなぁと、色々教えて貰って店をまわっていたんです…」
「え、永戸くん…」
だんだん人間の姿にもどっていく河童の幸子。
「…そして、もう一つ、大事な話があります」
大事な話───…!
永戸はポケットから黒い箱を取り出し、パカッと空けた。
「僕と結婚してください」
「…!はい」
「…っぇえええええええええ!!!」
花川職員は驚くことしかできなかった。
吉沢職員は手元にある計画書をもち、『実行部署』へと駆けつけた。
「斎藤さん、例の件です」
「おうよ。ありがとさん」
実行部署長、斎藤は吉沢職員と同期である。
「それでは、ご武運を」
「はは、なあに、大丈夫さ」
そう言うと斎藤職員は資料に目を向け、吉沢職員は署長室から出て行った。
「さてと、アイツにも連絡しにゃああかん…」
◇
「…ん?なんだ…」
花川職員は、電話の鳴る音で目が覚めた。
「ったく、なんなんだ」
少し苛つきながら電話をうけとる。
「はい、こちら花川」
「おう、斎藤だ」
「…っ、斎藤さん!?」
「あぁ、吉沢が計画書をもってきてくれた。ここからは実行部署の力だぜ」
そう言って、斎藤職員は花川職員を署長室へ呼んだ。
「さてと、じゃあまずこの資料を見てくれ」
その資料には人物名とその人物の情報が書かれていた。
─────────
河童の姫(元)
正式名 幸子
河童の元姫であり、元国王の娘。その力は計り知れず天災を起こすほど。
だが人間の男に恋愛感情を抱く。
その原因は人間に化けて街を出歩いていたせいだと思われる。その際にとある男性と恋仲になる。
また河童同士でしか結婚できないという掟に反感を抱いている。相手の恋人にも自分が河童であることを打ち明けている模様。
行きつけの店は《ラ・メーン》
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もう一人は…
────────
会社員
福田 永戸。
ただの会社員であったが、河童の元姫である幸子に恋をし、恋仲になる。
また彼女が河童であることを受け入れるなど、異種間の違いを容認する。
幸子と同じく、元王に反感をもつ
───────
「あと、これ写真」
「写真…?」
それは、福田永戸という男が、幸子だけでなく、全く別の女と歩いている写真だった。
「こ、これは…」
花川職員は、その浮気写真と思しきものを見る。
「なるほど、妖怪王が他種族交際を認めない理由が分かりますね…」
「…そうかなぁ…」
「…?」
斎藤職員のその言い方が気になったが、そんなことは些細なことだ。
「計画はなんて?」
「えーと、まずは、人間状態の幸子を、追う。そして一人になったところでこの写真を見せる。それで…いい。だって」
そりゃあそうだろう。この写真を突き出し、浮気写真です!とでも言えば誰だって信じる。
「…それじゃあ決行しますか…?」
◇
雨が降っていた。
その日は雨が降っていた。
私はその日、運命の人と出会った。
あ、この人だ。この人は何て言うか、良い。温かい。
そうして私は永戸さんの恋人となった。
幸せな日々だった。
それはそれは幸せな日々だった。
でも、それは崩れた。
何日か経ったある日、スーツ姿の黒い男が貴女の彼氏は不倫をしていますよ、と言って来たのだ。
そんなわけはない。私は信じ切っていた。
怒り狂った私はその男を捕まえようとしたが、逃げられた。
しかし、どうだろうか。
私は雨に打たれていた。
さっき目の前で見せられたら写真と、今女の人と話している彼を見ると、それは信じることが出来るかも知れなかった。
最近はデートだってすぐに別れたがるしね。
◇
「うわ、雨だ」
花川職員は嫌な顔をした。
「別にこれくらい平気だろ」
斎藤職員は別に何とでもなかった。
「まぁいい。俺は非実体になって見守ってやるから、いいか、花川、巧くやれよ。」
「は、はぁ」
そう言うと斎藤職員はすぅぅと消えていった。
「上手くやれ?」
とりあえず、花川職員は人間界へ出た。
もちろん花川職員も変化が出来る。
街中華やかだった。傘の色が色とりどりだったからだ。
そして、人間の姿となり、幸子と永戸を見つける。
二人は予想通り、行きつけの店である、《ラ・メーン》に入った。
出て来るのを待つ。
「…!」
出て来た。
そして、何かを少し話し、幸子が悲しそうな顔をしたあと、二人が別れた。
(今だっ)
「あのー、すいません…」
「…はい?」
「わたくし、とある調査団のものなのですが、幸子さん、で間違いはありませんね?」
「は、はぁ…」
「こちらの写真をご覧になってください。わかりますか…?」
「…え?」
「これは、あなたの彼氏様の決定的な浮気の瞬間でございます」
「…うそ…」
幸子はもっていた傘を落とす。
「え、ぇぇぇ…」
───!
丁度いい、と花川職員は思った。
「…あれをご覧になってください」
「…?…!」
それは、永戸が他の女とどこかへ行く瞬間だった。
「…そんな、いや…」
花川職員は、ふぅ、良くやった、と思っ────
「いやぁぁぁぁあ!!!」
「ううっ」
花川職員は耳を押さえる。
なんていう咆哮だろうか。
河童の姿に戻っている。
「ユルサナイ、ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!」
だめだ!壊れている!
「っち、離れるか…」
──天狗の翼で飛び立とうとしたが、
ピュン、と幸子の口からレーザーのような水がとばされる。
「っは!?」
水が翼を貫通する。
「──────!?幸子さん!?」
そこに何故か永戸が来た。
「幸子さん!大丈夫ですか!?」
「…お前が、お前がうわきしてるんだろぅが!」
「…浮気…?」
「とぼけるな!さっきの女は──」
「さっきの女性は僕の知人ですよ」
「…え?」
花川職員は驚愕する。まぁ、それが事実なら、だが。
「…それが事実であるという証拠はどこにある!!」
「…じ、実は彼女は僕に協力してくれたんですね…」
協力…?
「渡したいものがあったんです。はい」
それは、黒い傘であった。
それは、日傘だった。
「これがあれば日中でも簡単に動けるでしょう?」
…この人間は、怖くないのか?
河童の姿をしたこいつが…
「あと、はい、これ花です…花束…どれにした方が喜ぶかなぁと、色々教えて貰って店をまわっていたんです…」
「え、永戸くん…」
だんだん人間の姿にもどっていく河童の幸子。
「…そして、もう一つ、大事な話があります」
大事な話───…!
永戸はポケットから黒い箱を取り出し、パカッと空けた。
「僕と結婚してください」
「…!はい」
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