妖怪相談所

こんぶ

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妖怪王④

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「さてと、『実行部署』に見せる計画はこれでいいですか…」

吉沢職員は手元にある計画書をもち、『実行部署』へと駆けつけた。

「斎藤さん、例の件です」

「おうよ。ありがとさん」

実行部署長、斎藤は吉沢職員と同期である。

「それでは、ご武運を」

「はは、なあに、大丈夫さ」

そう言うと斎藤職員は資料に目を向け、吉沢職員は署長室から出て行った。

「さてと、アイツにも連絡しにゃああかん…」



「…ん?なんだ…」

花川職員は、電話の鳴る音で目が覚めた。

「ったく、なんなんだ」

少し苛つきながら電話をうけとる。

「はい、こちら花川」

「おう、斎藤だ」

「…っ、斎藤さん!?」

「あぁ、吉沢が計画書をもってきてくれた。ここからは実行部署の力だぜ」

そう言って、斎藤職員は花川職員を署長室へ呼んだ。

「さてと、じゃあまずこの資料を見てくれ」

その資料には人物名とその人物の情報が書かれていた。

─────────

河童の姫(元)
正式名 幸子
河童の元姫であり、元国王の娘。その力は計り知れず天災を起こすほど。
だが人間の男に恋愛感情を抱く。
その原因は人間に化けて街を出歩いていたせいだと思われる。その際にとある男性と恋仲になる。
また河童同士でしか結婚できないという掟に反感を抱いている。相手の恋人にも自分が河童であることを打ち明けている模様。
行きつけの店は《ラ・メーン》
────────

もう一人は…

────────

会社員
福田 永戸。
ただの会社員であったが、河童の元姫である幸子に恋をし、恋仲になる。
また彼女が河童であることを受け入れるなど、異種間の違いを容認する。
幸子と同じく、元王に反感をもつ
───────

「あと、これ写真」

「写真…?」

それは、福田永戸という男が、幸子だけでなく、全く別の女と歩いている写真だった。

「こ、これは…」

花川職員は、その浮気写真と思しきものを見る。

「なるほど、妖怪王が他種族交際を認めない理由が分かりますね…」

「…そうかなぁ…」

「…?」

斎藤職員のその言い方が気になったが、そんなことは些細なことだ。

「計画はなんて?」

「えーと、まずは、人間状態の幸子を、追う。そして一人になったところでこの写真を見せる。それで…いい。だって」

そりゃあそうだろう。この写真を突き出し、浮気写真です!とでも言えば誰だって信じる。

「…それじゃあ決行しますか…?」



雨が降っていた。
その日は雨が降っていた。

私はその日、運命の人と出会った。
あ、この人だ。この人は何て言うか、良い。温かい。

そうして私は永戸さんの恋人となった。
幸せな日々だった。
それはそれは幸せな日々だった。
でも、それは崩れた。

何日か経ったある日、スーツ姿の黒い男が貴女の彼氏は不倫をしていますよ、と言って来たのだ。

そんなわけはない。私は信じ切っていた。
怒り狂った私はその男を捕まえようとしたが、逃げられた。

しかし、どうだろうか。

私は雨に打たれていた。

さっき目の前で見せられたら写真と、今女の人と話している彼を見ると、それは信じることが出来るかも知れなかった。
最近はデートだってすぐに別れたがるしね。



「うわ、雨だ」

花川職員は嫌な顔をした。

「別にこれくらい平気だろ」

斎藤職員は別に何とでもなかった。

「まぁいい。俺は非実体になって見守ってやるから、いいか、花川、。」

「は、はぁ」

そう言うと斎藤職員はすぅぅと消えていった。

「上手くやれ?」

とりあえず、花川職員は人間界へ出た。

もちろん花川職員も変化が出来る。

街中華やかだった。傘の色が色とりどりだったからだ。
そして、人間の姿となり、幸子と永戸を見つける。
二人は予想通り、行きつけの店である、《ラ・メーン》に入った。

出て来るのを待つ。

「…!」

出て来た。

そして、何かを少し話し、幸子が悲しそうな顔をしたあと、二人が別れた。

(今だっ)

「あのー、すいません…」

「…はい?」

「わたくし、とある調査団のものなのですが、幸子さん、で間違いはありませんね?」

「は、はぁ…」

「こちらの写真をご覧になってください。わかりますか…?」

「…え?」

「これは、あなたの彼氏様の決定的な浮気の瞬間でございます」

「…うそ…」

幸子はもっていた傘を落とす。

「え、ぇぇぇ…」

───!
丁度いい、と花川職員は思った。

「…あれをご覧になってください」

「…?…!」

それは、永戸が他の女とどこかへ行く瞬間だった。

「…そんな、いや…」

花川職員は、ふぅ、良くやった、と思っ────

「いやぁぁぁぁあ!!!」

「ううっ」

花川職員は耳を押さえる。
なんていう咆哮だろうか。
河童の姿に戻っている。

「ユルサナイ、ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!」

だめだ!壊れている!

「っち、離れるか…」

──天狗の翼で飛び立とうとしたが、

ピュン、と幸子の口からレーザーのような水がとばされる。


「っは!?」

水が翼を貫通する。

「──────!?幸子さん!?」

そこに何故か永戸が来た。

「幸子さん!大丈夫ですか!?」

「…お前が、お前がうわきしてるんだろぅが!」

「…浮気…?」

「とぼけるな!さっきの女は──」

「さっきの女性は僕の知人ですよ」

「…え?」

花川職員は驚愕する。まぁ、それが事実なら、だが。

「…それが事実であるという証拠はどこにある!!」

「…じ、実は彼女は僕に協力してくれたんですね…」

協力…?

「渡したいものがあったんです。はい」

それは、黒い傘であった。

それは、日傘だった。

「これがあれば日中でも簡単に動けるでしょう?」

…この人間は、怖くないのか?

河童の姿をしたこいつが…

「あと、はい、これ花です…花束…どれにした方が喜ぶかなぁと、色々教えて貰って店をまわっていたんです…」

「え、永戸くん…」

だんだん人間の姿にもどっていく河童の幸子。

「…そして、もう一つ、大事な話があります」

大事な話───…!

永戸はポケットから黒い箱を取り出し、パカッと空けた。

「僕と結婚してください」

「…!はい」

「…っぇえええええええええ!!!」

花川職員は驚くことしかできなかった。













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